881オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/10/26(月) 00:42:08.45ID:xcGgmHiv0
 AM 05:24 日登町中央区:学校

ギャバン「ヨルムンガンド弾頭の大気圏再突入、確認!」
ハロ長官デビルガンダムの方は!?」
リリ「第一波はなんとかこらえたようですわ。でも、続いて第二波を確認。3分後です」

 学校の視聴覚室は現在、臨時の警察本部となっていた。
 そこではハロ長官をはじめ、日登警察の上層部が情報の把握と指示に躍起になっている。

ハロ長官「グラハム警視正につないでくれ。学校の守りはどうなっている?」
グラハム(無線)『こちらグラハム・エーカーだ。東・西・南はすでにDG軍団と戦闘に入った。遅れていた北方面もまもなく鉄華団が到着する』
ハロ長官「わかった。到着を確認次第、君も西方面の防備に就いてくれ」
グラハム『了解した』
リリ「長官、今度は赤い彗星のひとから通信です。『現在、学校を覆っている結界はあと2分ほどで解除される』とのことです」
ハロ長官「そうか。魔法少女たちの協力に感謝すると伝えてくれたまえ」
リリ「わかりましたわ」
ギャバン「思ったよりも早く戦闘が始まりそうですな」
ハロ長官「いや、むしろよくここまで保ったというべきだろう。なんにせよ、配備が間に合ってよかった」
ギャバン「しかし、今回のデビルガンダムの戦闘力は未だ未知数。今の戦力で耐えられるかどうか……」
ハロ長官「それでもやらなくてはならない。……リリ嬢、東西南北の戦線に繋いでくれ。結界が解除され次第、デビルガンダムへの反攻作戦を開始する!」

 勇ましく宣言するハロ長官。だが次の瞬間、送られてきた第二波の映像に、彼は絶句した。

ハロ長官「これは……なんだ」

 学校:南防衛線 
サイ・サイシー「おいおい、マジかよこれ……」
チボデー「Shit……!」
ジョルジュ「これは……さすがの私も笑えませんね」

 第一波を退けたあと、新たに現れたDGガンダム軍団に愕然とするガンダムファイターたち。
 その敵の正体は……

デビルELS「( ゚∀゚)ジコサイセイ!ジコシンカ!ジコゾウショク!」
デビルELS「( ゚∀゚)ジコサイセイ!ジコシンカ!ジコゾウショク!」
デビルELS「( ゚∀゚)ジコサイセイ!ジコシンカ!ジコゾウショク!」
デビルELS「( ゚∀゚)ジコサイセイ!ジコシンカ!ジコゾウショク!」

アルゴ「ELS……! DG細胞に取り込まれたというのか!」
アレンビー「ヒドイよ! せっかくドモンが頑張って仲直りしたっていうのに!」
ヴィダール「悔しがってる暇はない! 来るぞ!!」

882オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/10/26(月) 00:43:41.67ID:xcGgmHiv0
 学校:北防衛線
デビルハシュマル「グオオオオオオオオオ!!」
ユージン「くそっ! 奴さん顔を見るなりいきなり撃って来やがったぞ!」
昭弘「いくら攻撃してもすぐ回復する……これがデビルガンダムの力か!」
シノ「ちくしょう! こっちは三日月もいねえってのに!」
オルガ「おい! 東防衛線に連絡を取れ! ソレスタルビーイングに援軍を……!」
メリビット「ダメ! 向こうはデビルシドの大群に襲われてるって! 応援は期待できないわ!」
オルガ「なんだと!?」

 東・南・北の三つの戦線に襲い掛かったものの正体。
 それはデビルガンダムによって捕獲・あるいは再生された怪物的MA軍団だった。
 これまで対面したことのない脅威に苦戦を強いられる一行。
 そして、ガンダム兄弟たちが担当する西防衛線に現れたのは……

カミーユ「気をつけろ、みんな! あれは……あれはただのMSじゃないぞ!」
ベルリ「バナージ、あれって!」
バナージ「サイコジムだっていうの!?」

 100メートルを超える巨体、ジムを思わせる頭部、真っ赤な装甲。 
 それはまさに、MAとの戦闘でバナージたちが遭遇したイd……もといサイコジムに他ならない。

ジュドー「デビルガンダムは……あんなものまで複製したっていうのかよ!?」
ヨナ「ぼんやりするな! 撃ってくるぞ!!」
デビルサイコジム「グレンキャノンモダアァァァァァァ!!!」

 浴びせかけられる大量のミサイルの雨。
 兄弟たちのガンダムは散開すると、覚悟を決める間もなくデビルサイコジムとの戦闘に入った。


 AM 05:24 日登町上空

 一方、デビルガンダム掃討作戦のためヨルムンガンドで射出されたシローたちも、
 予期せぬトラブルに見舞われていた。

ミケル「まずいです! 弾頭の軌道がどんどんズレていってます!」
サンダース「発射間際のドタバタで軸がズレたのか?」
エレドア「ていうかそもそもヨーツンヘイム社のトンデモ兵器なんだし、どこかしらに欠陥があったと考える方が自然じゃね?」
カレン「言えてるね」
ミケル「そんな落ち着いてる場合ですか! このままじゃ僕たち、警察署どころか海の中に一直線ですよ!」

883オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/10/26(月) 00:44:17.79ID:xcGgmHiv0
 トラブルはこれだけではない。
 デビルガンダムが目覚めたことによりデスアーミー軍団が活性化。
 シローたちの乗るヨルムンガンドの弾頭目掛けて、大量のデスバーディーが集結してくる。

モニク「ちっ! あの蝿ども、私たちに気づいたか!」
セイ「こ、このままじゃ僕たち撃ち落とされちゃうんじゃ……」
カスペン「ええい、戦場で怯えた声を出すな新兵!」
サンダース「隊長、指示を!」
シロー「それは……」

 問いかけにシローは一瞬口を濁らせた。
 彼らがいるのはまさに敵の中枢、判断一つ誤っただけで即全滅もありうる。
 その責任の重さをわかっているからこそ、シローはうかつに口を開けない。
 だが

ホルバイン「……爺さんが言っていた。鮫は怯えたヤツから襲ってくる。喰い殺されたくなけりゃ、先に鼻づらぶん殴れってな」

 最初に動いたのはヨーツンヘイム社の海の漢、ヴェルナー・ホルバインだった。
 彼は手動で弾頭のハッチを無理やりこじ開けると、相棒のアッガイタンとともにゼーゴックのエンジンに火を入れる。

シロー「ま、待て! 勝手な真似をするな! まだ命令は……」
ホルバイン「で、おたくの命令を呑気に待ってる間に蜂の巣になれってか? そんなの俺はゴメンだね」
アッガイタン「モキュ!」
ホルバイン「行くぜ、エントリイイィィィィィィ!!」

 シローが止める間もなく、ゼーゴックはハッチから飛び出した。
 そして装備した拡散ビーム砲を乱射しながら、デスバーディーの群れを切り裂いていく。

モニク「あのバカ……! 勝手に飛び出しおって……!!」
三日月「でも、このまま撃ち落とされるよりマシでしょ」
ソンネン「へへっ、とはいえゼーゴックで地上に降りたあとはどうすんだって話だよな……しゃあねえ、俺も行くか!」
デュバル「ええい貴様ら! このヅダより目立つことは許さんぞ!」

 更に三日月のバルバトスをはじめ、ヒルドルブ、ヅダといったヨーツンヘイム社のMSも降下。
 自由落下しながら地上のデスアーミー軍団に攻撃を加えていく。

カレン「あ~あ、まったくどいつもこいつも無鉄砲ばかりさね」

 カレンはため息をつきつつ、シローを振り返った。

カレン「で、隊長? アタシらはどうする? このまま海に飛び込むかい?」
シロー「それは……」
エレドア「かーっ! らしくねえなあ! 昔のアンタだったらいの一番に飛び出してったろうに」
サンダース「隊長、あまり気負わないでください。俺たちはみな、覚悟を決めてきたんです。デビルガンダムから町を取り戻すために」
ミケル「それに、僕らだって出会った頃のままじゃありませんよ! そう簡単にミンチはなりません!」
シロー「みんな……」

 小隊員たちの言葉に、シローは内心己を恥じた。
 どうやら、一番覚悟ができていなかったのはシロー自身らしい。

884オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/10/26(月) 00:46:19.36ID:xcGgmHiv0
シロー「08小隊全機およびヨーツンヘイム社のみんな! これより我々はこの弾頭を捨てて地上に降下する。全機……俺に続けえぇぇ!!」
カレン「了解!」

 シローたち08小隊の面々は、パラシュートユニットを背負い一斉に降下。
 モニクら残りのヨーツンヘイム社メンバーもそれに続く。

セイ「初出撃でいきなり敵陣ど真ん中に降下なんて……!」
セカイ「なんのこれくらい! 修行でサメがウヨウヨいる海に飛び込んだときに比べたら!」
シロー「二人とも、機体のバランサーを注視しろ! 大丈夫だ、もしもの時は必ず俺が受け止めてやる!」

 シローのその言葉に背中を押されるように、
 セイとセカイ、二人もまたデスアーミー軍団の待ち受ける地上へとダイブしていった。

 一方、先に降下したホルバイン、ソンネン、デュバル、三日月らの面々は無事地上に降下したものの、
 すでに辺りには大量のデスアーミー軍団が集結しつつあった。

ホルバイン「へっ、獲物の匂いに釣られて続々とやってきやがったな」
デュバル「海兵! 地上ではゼーゴックはただの置物だ!」
ソンネン「そういうこと。ここは俺たちに任せて、ヘヘ、おとなしくしてな」
ホルバイン「なあに、まだ火器の弾は残ってる。砲台役くらいはやってみせるさ」
三日月「どうでもいいけどオジサンたち。来たよ」

 じりじりと距離を詰めてくるデスアーミー。
 そこから飛び出した一番槍を、バルバトスはメイスで叩き潰した。
 だがそれを契機に、何百体ものデスアーミー軍団が、一斉に襲い掛かってくる!

カレン「まずいね。先に行った奴らがデスアーミーに襲われてる」
サンダース「隊長、こちらも援護射撃を!」
シロー「ダメだ! 空中で射撃なんかしたら降下ポイントがずれる。敵中で孤立するぞ!」
サンダース「しかし……」
エレドア「ちょっと待った! ちょっち静かにしてくれ」
ミケル「どうしたんですか?」
エレドア「何かがスゲえ速さで一直線にこっちに向かってくる……それに、なんだこの音は……ジャズ?」
シロー「ジャズ? まさか!」

 シローはハッとして上空を見上げた。
 そこには猛烈な速さで飛んでくる三発目のヨーツンハイム弾頭。
 さらにそこから、一機のMSが離脱し、地上に向かって降下してくる。

サンダース「あれは……フルアーマーガンダム!」
シロー「イオか!」

イオ「ハハッ! やっぱ俺とお前の愛称は最高だなフルアーマー! ジャズもよく似合う!」
三日月「この音、イオ兄さんか」
イオ「頭を下げてな三日月とその隣のオッサンども! 今から景気のいいヤツお見舞いするからよ!」

 フルアーマーガンダムは自由落下しながら照準をデスアーミー軍団に合わせた。
 そして引き金をひくと、一機のMSには過剰なほどの武装が一斉に火を噴く!
 弾丸とミサイル、そしてビームの嵐がデスアーミーたちを一瞬でスクラップに変えていく。

セカイ「すげえ……なんて火力だよ」
セイ「火力だけじゃないよ。踏ん張りが効かない空中であれだけの射撃を成功させた腕。間違いなくエースだ」

885オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/10/26(月) 00:49:31.03ID:xcGgmHiv0
 脅威が取り除かれた地上へ無事降り立った08小隊一行。
 その横にフルアーマーガンダムも着陸する。

イオ「よう、シロー。一日ぶりだな、元気かブラザー」
シロー「イオ! よく来てくれた! そのフルアーマーガンダムも!」
イオ「おう、フェリーニから取り返してきたぜ!」
三日月「確か借金のカタにとられてたんだよね、ソレ」
イオ「まーな。武道館でやったレフェリーのバイト代でようやく返してもらったワケよ。で、急いで学校に戻って」
シロー「ヨルムンガンドの第三射で追いかけてきてくれたんだな」
イオ「そういうこと。ま、あんなもんに乗せられるとは思ってなかったけどな」
シロー「なんにせよ助かった。ありがとう、兄弟」
イオ「どういたしまして、兄弟」

 MSごしに、二人は固く握手を交わした。

イオ「それで、これからの予定はどうなってんだ?」
セカイ「ええと、これからっていうと」
三日月「警察署にいって、デビルガンダム本体と動力炉?ってヤツを壊すんでしょ」
セイ「うん、そうだったよね」
モニク「しかしここはほとんど南区に近い。ここから西区の警察署までだと、直線距離でも結構な距離があるぞ」
ミケル「予定じゃもう少し警察署近くに落ちる予定だったんですけどね……」
カレン「確かに、デスアーミー軍団がひしめく中で、見つからないように進むのは結構な骨だね」
カスペン「ならばここは、我々がエサになろう」
サンダース「エサ?」
カスペン「つまり陽動作戦だ。我々ヨーツンヘイム社の面々でデスアーミー軍団を引き付ける。その間に」
シロー「俺たちで警察署に向かい、デビルガンダムを倒すと。そういう訳ですね?」

 カスペンは大きく頷く。

セイ「そんな! 危険すぎませんか? 敵は何万体いるかわからないんですよ!? たった数機のMSで……」
ソンネン「へっへっへ、だがよ、これが一番可能性が高い手なんだぜ」
カスペン「それに我々は囮になっても犠牲になるつもりはない。必ずや生き延び、お前たちに合流すると約束しよう!」
セイ「カスペンさん……」
デュバル「よおし、そうと決まれば善は急げだ! デスアーミーどもにヅダの雄姿を見せつけてやる!」
モニク「あ、待てバカ! 急にスロットルをあげたらヅダは……」

 その時、急加速によってエンジンが限界を迎え、ヅダは突然の爆発!

モニク「……空中分解すると言っておろうに……!」
セカイ「デュ、デュバルのオッサ~~~ン!!?」
デュバル「ええい、まだだ!」
セイ「あ、と思ったらまだミンチになってなかった」
ミケル「なんでか機体も再生してるし」
デュバル「ふっ、こんなこともあろうかと、予めアクト・ヅダのマグネットシステムを取り付けておいたのだ!」
モニク「いつの間にそんなことを……!
デュバル「ここは待ちに待ったヅダの見せ場なのだ! 世界中にヅダがゴーストファイターでないことを証明するまで終われんよ!」

 そう高らかに宣言すると、ヅダは超高速でその場を飛び去っていった。
 途中、なんどか空中分解するも、その度にマグネットパワーが発動して機体が再生する。

セカイ「じしゃくの ちからって スゲー」
セイ「しかも派手に空中分解するから、デスアーミーも順調におびき寄せられていってるし」
モニク「あ~……まあ、こういうワケだ。デスアーミーどもは我々が陽動する。お前たちはその間に警察署に行ってくれ」
カスペン「ふっ! また会おうぞカスペン大隊の諸君!」

三日月「……なんか、すごく騒がしい人たちだったね」
イオ「まあ、ある意味じゃああいう連中だからマイとも上手くやってけんだろうさ」
シロー「お前たち! もう無駄話をしている余裕はないぞ! ヨーツンヘイム社のみんなのためにも……必ずデビルガンダムを倒す!!」

886オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2020/10/26(月) 01:24:23.86ID:xcGgmHiv0
 AM 06:10 ネオジオン社近郊

セレーネ「う……ん……」
スウェン「三人とも待ってくれ。セレーネが目を覚ました」
ガロード「マジで!」
セレーネ「こ、ここは……」
コウ「ネオジオン社の近くだよ」
ガロード「俺たち、姉さんを助けに来たんだ」
アセム「姉さん、ずっと薬で眠らされてたんだぜ?」
セレーネ「そう、薬で……」

 パイロットに横たわり、再び目を閉じるセレーネ。
 だが、何かを思い出したかのようにすぐに跳ね起きる。

セレーネ「眠らされてた……! ウソでしょ! 今の時間は?」
スウェン「無理をしないほうがいい、セレーネ。まだ薬が体内に残って……」
セレーネ「そんなこと言ってる場合じゃないの! 今は……6時10分!? なんてこと、あれから4時間も経ってるなんて!」
コウ「セレーネ姉さん、何そんなに焦ってるか判らないけどとにかく学校に戻ろう。今はデビルガンダムが町中で暴れてて……」
セレーネ「デビルガンダムなんてどうでもいいのよ!!」

 凄まじい剣幕で怒鳴りつけるセレーネに、コウは思わず怯む。

アセム「どういうことなんだ、セレーネ姉さん。何が起こってるのか、俺たちにもわかるように説明してくれないか」
セレーネ「全部ダミー、ブービートラップなのよ。今日現れたMAやシド、それにELSやデビルガンダムさえもね」
コウ「トラップって……誰が仕掛けた?」
セレーネ「フル・フロンタルに決まってるじゃない! あの全裸野郎!!」

 ありったけの罵詈雑言を叩きながらも、セレーネの手は止まらない。
 彼女は手早くスターゲイザーを操作すると上空の観測を開始する。

セレーネ「ウソ……もうこんな近くに来てる……!」
ガロード「来てる? だからなにが」
セレーネ「アクシズよ」
ガロード「え」
セレーネ「もうすぐ日登町にアクシズが落ちてくる。アクシズ落としこそが、フル・フロンタルの本当の狙いだったのよ!!」

  同時刻 ネオ・ジオングコクピット内

フロンタル「ふ…………」

 ネオジオン社近郊にある、生き残っていた数少ない監視カメラの映像は、
 セレーネの衝撃の告白をしっかりと捉えていた。

フロンタル「偽装も、ここらが潮時か」

 彼はひとりごちると手元のコンソールを操作し、なにかの装置の出力をオフにする。
 するとそれまで日登町の空を覆っていたミラージュコロイドによる偽装がはがれ、
 中央区全体を覆いつくすほどの巨大なワームホールが姿を現した。

 ワームホールの中は宇宙に繋がっている。
 その先に見えるのは、日登町に向かってゆっくりと落下してくるアクシズの姿だった。


 AM 06:11 日登町へのアクシズ落下まで、あと3時間12分――――!

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最終更新:2023年05月01日 13:48