215オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 16:48:32.36ID:cB+B8des0
 AM07:50

 ガンダム兄弟は敗北した。

 学校の外縁でデビルトミノ軍団と戦っていたカミーユらは、その圧倒的物量の前に打ちのめされた。
 アルレットたちは地下に潜んでいたフル・フロンタルを地上に引きずり出すも、
 ネオ・ジオングと彼の執念の前に敗北。
 唯一、アクシズ落下を阻止できるはずのユニコーンガンダムを撃破された。
 そして、兄弟の敗北はこの二か所にとどまらない。


 日登町西区
シロー「こいつら、ビーム兵器が効かない!?」
コウ「敵はヘビーメタルだ。全機ビームコート持ちってことか、某ロボゲー風に言うと!」
ガロード「くっそ! サテライトキャノンさえ使えりゃこいつらなんて……いや、アクシズだって撃ち落としてやるのに!」
セレーネ(スターゲイザーで観測中)「学校上空のワームホールが開いた状態で安定した……まさか、アルレット姉さんたちに何かあったっていうの!?」
シーブック「ベラ! マザーバンガードで学校に突撃できないのか!?」
ベラ「無理よ。警察署への進行作戦で一度使ってしまったし、無理をすればオーバーヒートで自爆するわ!」
セイ「打つ手なしってこと……?」
セカイ「糞っ! せっかくデビルガンダム倒してユウマの父ちゃんも助けたっていうのに!」

 デビルオージェと戦いつつ、セカイは悔し気に空を見上げた。
 そこには、もはやここからでもはっきりと見えるアクシズの姿があった。


 アクシズ外縁

ブライト「ラー・カイラムとレウルーラで、アクシズを押すんだよ!」
ナナイ「無茶を言わないでください、ブライト艦長!」
キラ「今計算してみたけど、戦艦2つをぶつけたところでアクシズは止まらないよ。
   むしろ弾みがついて、落下が早まるだけだ」
ギュネイ「ったく、地上の奴らは何やってんだよ! どうしてワームホールを閉じない」
クェス「そうだよ。アタシたちとっくに大佐を助けたっていうのにさ」
チェーン「先ほどまでワームホール周辺で観測されていたサイコフィールドが消えました。おそらくは」
アムロ「やられてしまったか、バナージ……!」

 ブリッジで、アムロは悔し気に唇を噛んだ。
 その視線の先には、それでもアクシズを止めようとする奮闘する弟たちの姿があった。

キオ「νガンダムとサザビーの首、置いてけえええええ!!」

 宇宙を走るCファンネルが、10数機のνガンダムとサザビーの首を刎ねる。

ヨナ「こいつら、アクシズ内部にあったMS! モビルドールだったのか!」
リタ「どいてーっ! わたしたち、アクシズを止めなきゃなんないんだから!!」

 しかし、増援は止むことなく、続々とアクシズから出撃してくる。
 そのすべてが、リタにワームホールを閉じさせまいと妨害を仕掛けてくるのだ。
 一糸乱れぬ波状攻撃の前に、さすがのフェネクスも思うように動けない。

ファラ「なんて周到さ、フル・フロンタルは目的のためにどれだけの保険をかけてたんだい!?」
デュランダル「ナナイくん、すまないが地上のフロスト兄弟に連絡は取れるか?」
ナナイ「それは構いませんが、なにか策が?」
デュランダル「ここまで来れば策と呼べるほどのものはない。ただこうして手をこまねいているわけにもいかない。最悪の結末だけは避けるためにも」
シャア「ああ、そうだ。日登町とともに町の住民たちも消え去る。そんな最悪の結末を許すわけにはいかない。たとえ、どんな犠牲を払っても……」

216オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 16:49:19.20ID:cB+B8des0
 学校:北防衛線

シャギア「そうか、宇宙もそんな有様か」
オルバ「悲惨なのはどこも同じだね、兄さん」
シャギア「そうだな、我々もどうにか鉄華団の連中と合流出来たはいいが」

昭弘「こいつら、次から次へと湧いてきやがる……!」
シノ「見た目はモビルワーカーとそうそう変わんねえくせに、マンガみたいな動きしやがって!」

 デビルプロメウス、デビルガバメントといったウォーカーマシンの大群に包囲される鉄華団。
 それに加え、もともと強襲作戦を得意とする彼らに防衛戦は不向き。徐々に追い詰められていく。
 そして、

ハッシュ「抜かれた!」
デュオ「飛行型がそっち行ったぞ、大将!」
オルガ「ユージン、対空砲火しっかりやれ! 全員衝撃に備え……ぐあっ!」
メリビット「きゃああ!」

 デビルドラン数機の自爆特攻によって揺れるイサリビのブリッジ。

オルガ「ユージン! 状況は! 状況を知らせろ!!」
ユージン「今のでエンジンをやられた! まずいぞ、このままだと沈む!」
ビスケット「どうする、オルガ!」

オルガ「ちっ……」ギリギリと唇を噛み締める。「全員、艦を降りる準備をしろ。撤退戦に切り替える」
ユージン「徹底戦って、いいのかよ」
オルガ「いいも悪いもねえ。ここで死んだらそれこそ無駄死にだろうが。おやっさん、俺のMSを……」

 艦長席から立ち上がり、振り返ったオルガ。その彼の目に飛び込んできたのは、黒ずくめの女の姿だった。

死神「あらその顔……とうとうあなたにも私が『視え』ちゃった?」
オルガ「…………!」

 オルガに向かって怪しく微笑みかける死神。だが彼は、あえて彼女を無視するように脇を通り過ぎた。

オルガ「見えねえよ。俺には何も見えねえ! おやっさん、俺の獅電を用意しろ。撤退戦の殿は俺がやる!」
死神「止まるつもりはないってことね。ふふ、だからあなた達が好きなのよ」

 徐々に高度を落としていくイサリビ、そこから次々と脱出していくモビルワーカー。
 最後に白い角付のMSが出て、戦艦は地上に沈んだ。

オルガ「MS隊はモビルワーカーの進路を確保しろ! 全員踏み潰されんなよ、とくにビスケット!」
ビスケット「わ、わかった!」
オルガ「諦めねえぞ俺は……こんなところで、くたばってたまるか」
オルバ「どうやら鉄華団は逃げ出すことを決めたらしいね」
シャギア「賢明な判断だ。ここはまだ我々が死ぬステージではないからな。加勢するぞ」
オルバ「了解兄さん。……というわけで僕たちでは君の期待に応えられそうにないよデュランダル。東防衛線はどうだい」

217オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 19:57:22.42ID:cB+B8des0
 学校:東防衛線

ロックオン「どうしたライル! さっきから外しまくってるぞ!」
ライル「そうは言うがよ兄さん。こいつらポンポンワープしまくって……!」

 バイタルジャンプを繰り返すデビルグランチャー軍団に苦戦するソレスタルビーイング。

ティエリア「点でダメなら面で制圧すればいい!」

 プトレマイオスの甲板に立つラファエルガンダムはGNビッグキャノンを展開、
 迫りくるデビルトミノ軍団に向かって大出力のビームを放った。だが

カトル「ダメです! ビーム兵器は効果が薄い、ほとんど数を減らせてません!」
ハレルヤ「こいつらどっちもバリア持ちかよ! 俺たちにゃ相性最悪な相手だなあオイ!?」
アレルヤ「こんなとき、刹那がいてくれれば……!」

 小虫のように襲ってくるオーラマシンの大群、そのオーラバリアに苦戦するアレルヤは思わず弱音を漏らした。

スメラギ「有利な相手を選ぶよう学習したのね、デビルトミノ軍団は。くうっ!」
フェルト「GNフィールド、突破されました!」
クリス「デビルオーラバトラー、来ます。……なにこれ、大きい!」
リヒティ「なんだあの赤いヤツ……デカすぎる! ホントにオーラバトラーっすか!?」

 先陣を切ってやってきたのは、ハイパー化したレプラカーン。
 デビルレプラカーンは剣先にオーラを纏い、プトレマイオスに容赦なく斬りかかる!

アニュー「きゃ!」
ミレイナ「ハ、ハイパーオーラ斬りですううう!」
イアン「ヤバいぞ! 今ので格納庫に穴が開いた! このままじゃ小っこいのがドンドン入ってくる!」
スメラギ「イアン、モレノ先生を連れてブリッジに来て今すぐ!」
ラッセ「逃げねえのかスメラギさん」
スメラギ「逃げてどうするの! 思い出しなさい、私たちの後ろに誰がいるのかを!」
フェルト「私たちの」
ミレイナ「後ろにですか」
スメラギ「私たちの後ろにはアル君がいるのよ! 半ズボン姿のアル君が!」
アニュー「あっ……」
スメラギ「私たちは逃げないし、必ず生きて帰る。生きて……アル君に膝枕で頭ナデナデしてもらうんだからーー!!」
リヒティ「スメラギさん、またアル中を発症して……」
ラッセ「まあ士気が高いのはいいことだがよ」
フェルト「せめて、近距離戦が得意な南防衛線のシャッフル同盟と合流できれば……」

218オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 19:57:50.52ID:cB+B8des0
 学校:南防衛線

チボデー「Shit! 当たらねえ!」
ジョルジュ「『時間停止』に『透明化』、オーバーマンがこれほど厄介とは!」
サイ・サイシー「オイラたちにとって天敵みたいな相手だねこりゃ」
アルゴ「苦戦の理由はそれだけではない」

 そういってアルゴはちらりと後ろを見た。

ヴィダール「マクギリイィィィィィス!!」

 デビルトミノ軍団にわき目もふらず、ガンダムヴィダールはガンダムバエルに襲い掛かった。

ヴィダール「久しぶりだなマクギリス。まさかこんなところで会えるとは!」
マクギリス「失礼、どなただろうか。申し訳ないが君とは初対面だと思うが」

 マクギリスの言葉に、ヴィダールは激昂して仮面を外した。

ガエリオ「よく見ろマクギリス。この顔を、忘れたとは言わさんぞ!」
マクギリス「おや、ガエリオじゃないか。久しぶりだな。君がアルミリアのパンツを盗んだ時以来か」
ガエリオ「それを貴様が謀ったんだろうがあああアアアアアア!!(怒)」

 烈火のように怒り狂いながらバエルに襲い掛かるガンダムヴィダール。
 その踵落としをバエルは軽々と回避する。

チボデー「何をやってんだアイツらは!」
アルゴ「どうやら因縁の相手のようだな。それがたまたま出会ってしまったか」
サイ・サイシー「だからって今ここでケンカを始めることないだろ!」
妹蘭「どうやら戦士の決闘のようだな。ならばその立ち合い、私がやらせてもらう!」
五飛「頼むから煽らないでくれ……」
ジョルジュ「アクシズ落下まであと10分足らず。中央の落下阻止作戦はどうなっているのでしょうか」

219オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/24(土) 19:59:33.13ID:cB+B8des0
 日登町:学校

リリ「ええ、そちらはわかりました。それで、使われていない裏山のシェルターの状況は」
ハロ長官「リリ君……」
リリ「長官! ご無事でしたのね」
ハロ長官「ああ。寸でのところでマスターアジアとドモンくんに助けられた。おかげで生き恥を晒すだけで済んだよ」
リリ「それでも生きて帰っていらしただけ、幸いですわ」

 ドモンたちに両脇から支えられながら立つハロ長官。
 ボロボロになった彼の胸に、リリは額を押し付けた。

ハロ長官「それで、各戦線の様子は?」
リリ「よくありません。まず、西戦線のガンダム兄弟との連絡が途絶えました」
ドモン「なんだと!?」
東方不敗「落ち着けドモン」
ハロ長官「そうか……あそこはもっとも敵の攻撃が集中していたからな」
リリ「他にも北の鉄華団は戦艦を落とされ、こちらに向かって撤退中。東のソレスタルビーイングはまだ持ちこたえていますが」
ハロ長官「時間の問題ということか。南は?」
リリ「まだ戦闘中です。ですが、一部の機体が同士討ちを始めたとかで……」
ドモン「何をやってるんだ……!」
東方不敗「こうも戦闘が長引けば、心を乱すものも現れるということだ」
リリ「そして、ネオ・ジオングですが……」
ハロ長官「見ていた。ガンダム兄弟は――敗北したな」
リリ「ええ、一時は撃墜寸前まで追い詰めましたが、我々をアクシズの破片から守るために」
ドモン「…………」
リリ「その後ネオ・ジオングは動いていません。こちらに攻撃を仕掛ける様子もないようです」
東方不敗「それはそうだろう。ユニコーンガンダムを倒した今、ヤツの目論見はほとんど達成されたのだからな」
ハロ長官「そして、我々の運命もな」

 そういって長官は上空のアクシズを見上げた。

ハロ長官「町の外から、連絡はあったか?」
リリ「いいえ、残念ながら」
ハロ長官「そうか。やはり間に合わなかったか……」
リリ「今、私たちを守ってくれているサイコジムのバリアーは、アクシズの落下にも耐えられるのでしょうか」
ハロ長官「それはわからない。だが」

 長官は悲し気に首を振った。

ハロ長官「そんな神様の奇跡に頼らなければならないようでは、どのみち我々は滅ぶしかないのかもしれないな」

220通常の名無しさんの3倍2021/07/24(土) 20:38:20.79ID:teiM+uTB0
異世界?からの敵には、異世界からの援軍が有効と聞くとか聞かないとか………
オーラバトラーはともかく、ヘビーメタルは某大戦Fではホントに厄介だった
果たして援軍は来るのか?そして期待出来る機体なのか?
それは、神のみぞ知る………決して髪ではないのでヒタイダーには期待しないほうがよさそうだ

221オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/25(日) 02:03:02.00ID:KhoRRvbG0
 AM07:51 日登町中央区:学校

ミネバ「イヤだーーーー! なぜ止める! あのネオ・ジオングはバナージのかたきなんだぞ!?」
マリーメイア「ばか! サイコジムのバリアの中には街の人たちがいるんだぞ!」
マユ「そうだよ、ここで戦ったら、下の人たちもみんなミンチになっちゃうよ」
プルツー「でも、どっちみちアクシズが落ちたらバリアももたない。そしたらみんなおしまいだ」
プル「あ、ならさ、私たちでアクシズで壊しちゃおうよ。パワーもまた上がってきたし、今ならサイコジムソードで真っ二つだよ」
アルミリア「それよりも襲ってくるデビルトミノ軍団を倒した方が確実ですわ!」

 一方、サイコジム内部でも問題は起こっていた。
 ガンダム兄弟がやられた今、戦えるのはサイコジムのみ。その力をどう使うのか、少女たちの意見は割れていた。
 そんな中、メカニックのカーラは不安そうにサイコジムのゲージを見上げる。

カーラ「どうしよう……サイコジムのゲージ、なんかどんどん強くなっていってる。まるで、もうすぐ爆発するみたいに――」


 そんな混乱を横目で見つつ、フル・フロンタルは最後の通信を開いていた。

カガチ『そうか。ようやく計画は成ったか』
イゼルカント『聞いていたより随分時間がかかったようだな』
フロンタル「ガンダム兄弟のおかげですよ。彼らが頑張り過ぎたせいで私も大幅に計画を修正せねばなりませんでした。
      しかし心配ありません。彼らの誰も、もう私に手を出すことはできない」

 苦笑しながらも、フロンタルはモニターに映る面々――ザンスカール・コーポレーションの専務フォンセ・カガチ、
 ヴェイガン首領フェザール・イゼルカント、ジュピター社相談役クラックス・ドゥガチに計画の推移を報告した。

ドゥガチ『話はわかった。では、あと数分でアクシズは落ちるのだな」
フロンタル「ええ。正確には9分37秒でアクシズはワームホールを通り抜け、そのまま日登町に落下します。
      その時こそ、我が『IMD計画』成就の時」
イゼルカント『そして、我々の望むエデンが訪れるときというわけだ』
ドゥガチ『期待しているぞ、フル・フロンタル』
カガチ『貴様の計画に投資した我らの想い、くれぐれも裏切るなよ』

 そう念押しして、三人は通信を切った。

フロンタル「まったく、こんな時に連絡を寄越してくるとは。我が“スポンサー”様も随分心配性なことだ」

 そういって苦笑するフロンタル。そこで彼は、先ほどの報告に一つ間違いがあることに気づいた。

フロンタル「そういえば……ガンダム兄弟にはまだ末の弟たちが二人残っていたな。まああんな子供に、今更この状況をどうにかする力などあるまいが」

222オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/25(日) 02:10:56.92ID:KhoRRvbG0
アル「うっ……ううっ……!」
シュウト「アル……泣かないでよアル」

 地面にひざをつき、頭を抱えるようにして泣き続けるアル。
 そんな彼の姿に、シュウトはありきたりな慰めの言葉をかえるので精一杯だった。

シュウト「泣かないでよアル。アルレット姉ちゃんと約束したじゃないか。僕たち応援するって」
アル「そのアル姉ちゃんがやられちゃったんだよ!?」
シュウト「!!」

 アルはバッと顔をあげると、いら立ちをぶつけるかのごとくシュウトに向けて叫んだ。

アル「アル姉ちゃんだけじゃない。マイ兄ちゃん、バナージ兄ちゃん、それに助けにきてくれたヒイロ兄ちゃんだってやられちゃったじゃないか、あのフル・フロンタルに!?」
シュウト「それは……そうだけど」
アル「アル姉ちゃんたちだけじゃない。デビルトミノ軍団と戦ってたカミーユ兄ちゃんたちだってやられちゃった。
   シロー兄ちゃんたちも、ヨナ兄ちゃんたちも、誰も戻ってこない。僕たちの応援なんて……なんの意味もなかったんだよ!!」

 突きつけられたアルの言葉に、シュウトは絶句した。
 それはシュウト自身、内心思っていながらも認めたくなくて、ずっと押し殺していた言葉でもあったからだ。

シュウト「そんなの……そんなの……」

 なんとか反論しようとするも、唇は震えるばかりで何の言葉も出てこない。代わりに、ボロボロと涙がこぼれてくる。

「鉄華団、学校の裏山に到着! デビルギア・ギアと交戦中!」
「ソレスタルビーイングのプトレマイオス、デビルオーラバトラーに取りつかれたままこちらに落下してきます!」
「警察隊、最終防衛ラインまで到達! 損耗率74パーセント!」
「南防衛線のシャッフル同盟、抜かれました! デビルドミネーターを中心にゴレーム隊、来ます!!」
「シェルターは本当にもう限界なのか!?」
「せめて……せめて子供たちだけでも!」

 耳をすませば聞こえてくるのは、絶望的な知らせばかり。
 それらすべてが、ある動かしがたい真実を伝えてくる。

アル「シュウト……僕たちは、ガンダム兄弟は、もう負けたんだよ」
シュウト「!? あ……あ……ああっ……!!」

 その言葉に、遂にシュウトも膝から崩れ落ちた。ずっと張っていた緊張の糸がプツンと切れ、シュウトは声をあげて泣き始めた。
 いつも元気な兄弟のらしくない姿にアルは一瞬ポカンとした表情を浮かべるも、その目には、また大粒の涙が溜まってくる。
 そのまま二人は、人目もはばからず号泣した。

223オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/25(日) 23:54:36.24ID:KhoRRvbG0
爆熱丸「なーに赤子みたいにワンワン泣いてんだ、二人とも?」
ゼロ「いつも能天気なお前とは違うのだ、爆熱丸。私と同じ美しく繊細な心をもった二人なら、時には泣きたい時だってあるだろう」
爆熱丸「誰が能天気だってこの!」
シュウト「爆熱……丸?」
アル「ゼロも……どうしてここに?」
爆熱丸「それが、朝起きたらキャプテンから連絡が来ててな」
ゼロ「私もです。『日登町は危機を迎えている。今すぐ力を貸して欲しい』と」
アル「キャプテンが……」
爆熱丸「で、気になって見に来てみたんだが――」
ゼロ「思った以上にひどい有様ですね、これは」
爆熱丸「まあ、俺たちが来たからには大船にのったつもりで……って、おいおいなんでまだそんな顔してんだ?」
アル「来てくれたのは嬉しいけど、無理だよ。だってフル・フロンタルは兄ちゃんたちが束になってかかっても勝てなかったんだよ」
シュウト「それに、学校の外には100万機のデビルトミノ軍団がいるんだ。とても二人だけじゃ」
爆熱丸「ひゃ、百万!? そりゃ驚きだ。ちゃんとみんなに声かけといてよかったな」
シュウト「え?」
ゼロ「フッ、ここに来たのが私たちだけだと誰が言いました?」

 そういってゼロは振り向いた。その先にいたのは――

元気丸「おーいシュウト、アル、来てやったぞ!」
騎馬王丸「久しいな童ども」
シュウト「元気丸に騎馬王丸! それに天宮のみんな!」
アル「ラクロアの騎士たちも……」
爆熱丸「どうだ! 夢の天宮・ラクロア連合軍だ!」
ゼロ「驚くのはまだ早いですよ。異世界から来たのは我々だけではありません」

 その時、ジャーン、ジャーンと銅鑼の音が激しく鳴り響いた。
 そして、学校を取り囲むように、空中に無数の扉が出現する。

アル「空に浮かぶあの扉……あの見慣れた形は」
シュウト「押し入れだよ! 空に、押し入れがいっぱい浮かんでるんだ!」

 ガラッ!!

趙雲「趙子竜、参上!」
張飛「あ、一番槍は俺が狙ってたのに!」
関羽「あの美しかった日登町がこの有様とは……!」
孔明「この惨状、よくぞ知らせてくれましたイオク」
イオク「いえ! こちらこそ皆様に来ていただいて、これほど心強いことはありません!」

 押し入れから最初に登場したのは、劉備が君主を務める翔の面々。
 続けて孫権が率いる轟、そして曹操の国、機駕の軍が姿を現す。

曹操「かつて我らは、この町のガンダム兄弟の世話になっていたことがある」
孫権「一宿一飯の恩、ここで返さなきゃ侠じゃない!」

 曹操、孫権らが天に向かって武器を掲げると、配下の武将たちも一斉に鬨の声をあげた。

224オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/25(日) 23:56:00.37ID:KhoRRvbG0
呂布「ふん、貴様らも来たか」
孫権「あ、呂布!」
曹操「長らく姿を消していると思ったが、やはりこちらにいたか」
呂布「ゴミどもから貂蝉を守らねばならんのでな。それより敵は悪魔が産み出した巨人が100万機だぞ。
   見たところ貴様らの手勢は精々数千。それで足りるのか?」
司馬懿「馬鹿め! むしろ多すぎたくらいよ!」
関羽「たとえ数が及ばずとも、ここにいるのはすべてが一騎当千の兵ぞろい!」
周瑜「それに我らの知略が加われば」
孔明「まさに百万の味方を得たがごとし、でしょう?」
イオク「その通りでございます!(号泣)」
張飛「コイツ、前に調練受けてからすっかり鬼ヒゲたちの信奉者だなー」

シュウト「すごいや……三璃紗のみんなまで来てくれるなんて」
ゼロ「驚くことはない。これもシュウト、君たちガンダム兄弟の人徳のなせる業だ」
シュウト「僕らの?」
爆熱丸「とくに劉備や孫権、曹操はおまえたち二人に散々世話になったからな。そりゃあ三璃紗の連中も喜んで駆けつけるってもんよ」

 思わぬ援軍の登場と、それに自分たちが貢献していたことを知らされ、アルとシュウトは信じられないような表情で顔を見合わせた。
 そこへ、今度は超々高度から、ミデアが編隊を組んで現れた。
 絶妙な操縦テクニックでデビルトミノ軍団の攻撃を回避し、裏山に降り立ったミデア。
 その甲板では、傷だらけのボディのザクが手を振っている。

ザクさん「おおーい、アルー!」
アル「あれはザクさん!? どうしてここに? 極地に左遷になったはずじゃあ……」
ザクさん「そうなんだけどね。日登町がピンチだって聞いて慌てて帰ってきたのさ」

 傷だらけのザクことアルの友達、司令のザクさんはそういって胸を張った。

ザクさん「もっとも戦闘はあんまり自信がないから、ありったけの武器弾薬を持ってきたんだけど……そうそう、途中でこんな人たちを拾ったよ」
マシュマー「ハマーーーンさまあああ!! このマシュマー、あなたのためにキュベレイをお持ちしましたあああアアアアアア!」
ハマーン「マシュマー? いないと思ったがMSを取りに行っていたのか!」
キャラ「それに付き合わされたあたしらはいい迷惑だったけどね」
ゴットン「デビルメガノイドの群れに追われたときはもう確実に死んだと思った……」
グレミー「ついでに格納庫にあったジオン系のMSを持ってきた。この町ならば使える者も多かろう」

 そういってグレミーが指差したミデアには、ザクをはじめとする数十機のジオン系MSがずらりと並んでいる。
 すると、学校に避難していた住民たちが、何事かと裏山に集まってきた。

ハモン「あなた見て。グフがあるわ」
ラル「うむ。しかもヒート・ロッド付の先行試作機。今はやりのグフカスとは違うのだよグフカスとは!」
シン・マツナガ「あの白いザク、昔を思い出すな。久しぶりに寿司の代わりに操縦桿を握るとするか」
ウィッツ「オイ見ろよ! こっちのミデアにはガンダム系のMSが積んであるぜ!」
ロアビィ「ラッキー! 俺のレオパルドも積んであるじゃない」

225オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/25(日) 23:57:10.58ID:KhoRRvbG0
ハロ長官「これは……まさか!」
ガンバイカー「お待たせした……ハロ長官」
ガンイーグル「S.D.G.の特別任務……へへっ、どうにか達成だぜ」
ハロ長官「やってくれたか、諸君!」

 ボロボロになったS.D.G.のメンバーとミデアに積まれた大量のガンダム系MS。
 それらを見比べて、ハロ長官は声を震わせた。

リリ「長官が仰っていた、S.D.G.に与えた任務ってこれのことだったのですね。町中に取り残されたガンダムを集めるという……」
ハロ長官「そうだ。ここにいる住民たちはみな腕に覚えのあるものが多い。MSさえあれば、我々はまだ戦える!!」

 ハロ長官の読みは正解だった。昨日から立て続けに起こった事件の前に意気消沈していた住民たちの目は、
 大量のMSを見たことですっかり生気を取り戻していた。
 人々は我先にとMSに乗り込み、装備に弾丸を詰め込むと、彼方から迫りくるデビルトミノ軍団をじっと睨みつけた。


 そして、援軍はこれだけではない。

 学校:西防衛線

 同じころ、西防衛線にはデビルトミノ軍団によって蹂躙されたカミーユたちガンダム兄弟の機体が転がっていた。

「お、見つけたぜ」
「まさか、死んでるのか!?」
「生命反応はある。かろうじてな」

 そこに現れたのは一隻の戦艦とそこから降下してくる数機のMS。
 そのうちの一機、ジンに乗ったパイロットが、Zザクに向けて檄を飛ばす。

イライジャ「おい! いつまで寝てんだカミーユ!!」
カミーユ「うっ……この声、イライジャか?」
フリット「サーペントテールが……なんでここに」
劾「決まっている。ミッションを受けたからだ。日登町を救えとな」
刹那「日登町を救うミッション……だと?」
ロウ「そういうこと。で、ついでに情けなくやられたお前らの回収に来たって訳よ」
ジュドー「ゲ……ロウもいるのかよ。かっこ悪いなあもう」
ベルリ「ま、おかげで助かったし。結果オーライってことでいいんじゃない。」
ウッソ「でも、いくらなんでもサーペントテールとロウさんだけじゃ」
劾「無論、俺たちだけではない」

226オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/25(日) 23:58:12.74ID:KhoRRvbG0
 学校:東防衛線

マネキン「左舷、デビルオーラバトラーを狙え! これ以上プトレマイオスに近づかせるな!」
スメラギ「あれはカティの船!?」
マネキン「パトリック、お前は接近戦だ。トレミーに潜入し、中から入り込んだ虫どもを叩け!」
コーラサワー「了解です! たあああぁぁいさあああぁぁ(*´∀`*)」
カリス「無事ですか、カトル、ティエリア!」
カトル「カリス! 君なんだね!」
リヴァイヴ「仕方ない、これもリボンズの尻ぬぐいだ」
ヒリング「ほら、アンタも出撃するよ!」
リジェネ「え~やだ~ゴロゴロした~い」
ブリング「トランザム」
ディヴァイン「トランザム」
ロックオン「マジかよ、イノベイター家の連中まで手ぇ貸してくれるってのか!?」

 学校:裏山

アミダ「行くよ、アジー! まずはあのデカブツをやる!」
アジー「はい、姐さん」
ラフタ「えへへ、これで貸一つだよ昭弘」
昭弘「すまねえラフタ、助かった」
名瀬「よう、まだ生きてるかオルガ?」
オルガ「兄貴!」
名瀬「おっと、勘違いするなよ? 俺はただ仕事をやりに来ただけだ。お前に手を貸すのはついでさ」
タカキ「仕事って……」

 学校上空

ゼクス「行くぞ、ノイン!」
ノイン「ええ、ゼクス!」

 ミデア隊に続いて学校上空に現れたのはアークエンジェルやディーヴァをはじめとする数隻からなる艦隊。
 そこからはトールギスIIIをはじめ、プリベンターやOZの機体が続々と降下してくる。

五飛「あの先頭の戦艦……施された無駄にエレガントな装飾は貴様かトレーズ!」
マリーメイア「お父様!」
トレーズ「遅くなってすまなかったね、マリーメイア。ハロ長官の依頼で、町の住民全員が避難できるだけの船を用意していたのだ」
リリーナ「非戦闘員の皆さんは急いでこの船に避難を!」
ドロシー「でも、慌てる必要はありませんわ。席は十二分に用意しておいてよ」
レディ・アン「操艦のできる者はブリッジへ! 避難と住民の警護に協力せよ!」
マリュー「私たちの出番ね。行きましょう、ナタル、ナトーラ!」
ナトーラ「ハ、ハイ!」
ナタル「了解です!」

227オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/07/26(月) 00:03:35.16ID:71uued9o0
リリ「これは……なんてことでしょう」

 事態はほんの数分前から大きく変わっていた。
 背後には三璃紗と天宮・ラクロア連合軍。
 上空には町の外から救援にきたトレーズたちの船。
 そして、隊長のザクさんとS.D.G.がもってきたMSに乗る日登町の住民たち。
 それらが徒党を組み、迫りくるデビルトミノ軍団に向けて戦闘態勢をとっているのだ。

ギャバン「まさに壮観、奇跡ですな」
リリ「ギャバン隊長、ミンチから復活されたのですね」
ギャバン「ええ、つい先ほど。……しかしこの光景、長官の根回しが功を奏しましたな」

 だが、ハロ長官は静かに首を振った。

ハロ長官「私は大したことはしていない。ただ立場に求められる仕事をしたまでだ。
     この状況を引き起こしたのはガンダム兄弟の――とくに、アルくんとシュウトの力だよ」
リリ「あの二人の?」
ハロ長官「そうだ。種族や世界が違うとしても分かり合おうとする真摯な姿勢。
     それこそがこんな未曾有の危機に、こうして多くの友が駆けつけてくれた原動力なのだ」
ギャバン「子供だと侮っていましたが、あの二人も、立派なガンダム兄弟の一員なのですな」

 自分たちがそんな重要人物だとは露ほども知らず、アルとシュウトは元気丸たちと再会を喜び合っていた。

曹操「さて、役者も揃ったところで、そろそろやるか」
孫権「アレ? そういえば劉備はどこ行った?」
関羽「キャプテンガンダム殿もおらんな」
シュウト「劉備とキャプテンは……」
孔明「まあ、あの方のことですからフラリとどこかへ行かれたのでしょう。ならばフラリとまた戻ってきますよ」
孫権「なんだ、せっかく開戦の号令を頼みたかったのに」
曹操「では、代わりに貴様がやるか? 呂布よ」
呂布「ふん! 俺は俺で好きなように暴れさせてもらう。号令など貴様らで好きにせよ」
グラハム「ならばその役目! 僭越ながら私が引き受けよう!」

 そう言って現れたのは傷だらけのMS。グラハム警視正の駆るブレイブだ。
 グラハムは学校に集った戦士たちを見つめ、大きく息を吸い込む。

グラハム「今こそ運命への復讐(アベンジ)の時! 行くぞ、日登町全住民……アッセンブル!」

 AM07:53 アクシズ落下まで後8分

【日登町全住民+三璃紗・天宮・ラクロア連合軍】
 VS
【99万機のデビルトミノ軍団】開戦――!


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最終更新:2023年05月16日 10:54