[[ダブルクロス]] The 3rd Edition PL名:にゅい
「この地域で一番と聞いていたが、まあ、こんなものか。いいか、今後二度と、弱い者いじめをするな。二度とだ。」 ――高校生時代の佐伯総一郎、いじめ首謀者の不良を叩きのめした後に。
【基本情報】 名前:佐伯 総一郎 コードネーム: 年齢:42歳 性別:男 星座:蠍座 身長:178cm 体重:72kg 血液型:AB ワークス:FHセルリーダーA カヴァー:UGNエージェント ブリード:クロスブリード シンドローム:バロール/オルクス
【能力値】 肉体:1 白兵4Lv 回避1Lv 感覚:2 知覚1Lv 精神:3 知識:心理2Lv 社会:3 情報:FH1Lv 情報:ビジネス2Lv 調達4Lv
【ライフパス】 出自:疎まれた子 感情を全く出さない私を、両親は何故かひどく恐れていた。淡々と実績を積む私を見て、なおそれは強まったようだ。 経験:永劫の別れ 私が中学生の頃、両親は事故で死んだ。残念ながら、なんの感慨も湧かなかった。 邂逅:恩人 覚醒:無知(侵蝕値:15) 衝動:加虐(侵蝕値:15)弱者を虐げるような下衆ほど、叩きのめす時の喜びは増す。自分が力で捻じ伏せられる側になった気分はどうだ? 基本侵蝕値:30
HP:25 行動値:7 戦闘移動:14m 全力移動:28m
常備化ポイント:6 財産ポイント:2
【ロイス】 天野 一郎 恩人 P:感服 N:脅威 ラウェイの師匠だ。彼が今の私を作ったと言っても過言ではない。彼の意志はまだ私の中にある。しかし恐るべき人でもあった。 両親 家族 P:遺志 N:悔悟 師匠以上に大切に思ってやれなかったこと、死に対して涙してやれなかったこと、申し訳ないとは思っている。 アッシュ・レドリック 借り P:有意 N:敵愾心 有能な男らしい。だが私の耳にまで黒い噂が届くのは看過できない。いずれ尻尾を掴む必要があるだろう。 鳴宮 あやめ 協力者 P:誠意 N:不安 ジャームとなってなお、心やさしい少女だ。私の目指す理想に欠かせない人材でもある。仮面を手放すなよ。 竜胆 さら 秘密 P:憧憬 N:隔意 彼女の言動はひとつひとつが常に予想外で、眩しい。私もああだったら、人生は変わっていたかもしれんな。 イリア 秘密 P:感服 N:脅威 正直言って、底知れない相手だと感じる。身のこなし、歩き方、目の配り……あの穏やかな雰囲気通りの人物ではないだろう。
【エフェクト】【115】
No | : | 名称 | : | Lv | : | タイミング | : | 技能 | : | 難易度 | : | 対象 | : | 射程 | : | 侵蝕 | : | 制限 | : | 効果 |
- | : | リザレクト | : | 1/3 | : | オート | : | - | : | - | : | 自身 | : | 至近 | : | 効果 | : | - | : | (LV)D点HP回復、侵蝕値上昇 |
- | : | ワーディング | : | 1/1 | : | オート | : | - | : | 自動 | : | シーン | : | 視界 | : | なし | : | - | : | 非オーヴァードをエキストラ化 |
=バロール=
No | : | 名称 | : | Lv | : | タイミング | : | 技能 | : | 難易度 | : | 対象 | : | 射程 | : | 侵蝕 | : | 制限 | : | 効果 |
01 | : | 漆黒の拳 | : | 1/5 | : | メジャー | : | <白兵> | : | 対決 | : | 単体 | : | 武器 | : | 3 | : | - | : | 攻撃力+LV、装甲無視。 |
02 | : | 時の棺 | : | 1/1 | : | オート | : | - | : | 自動 | : | 単体 | : | 視界 | : | 10 | : | 100% | : | 判定を失敗に。判定を行なわないものは不可。シナリオ1回。 |
=オルクス=
No | : | 名称 | : | Lv | : | タイミング | : | 技能 | : | 難易度 | : | 対象 | : | 射程 | : | 侵蝕 | : | 制限 | : | 効果 |
03 | : | コンセントレイト:オルクス | : | 2/3 | : | メジャー | : | シンドローム | : | - | : | - | : | - | : | 2 | : | - | : | CT値-LV(下限7)。 |
04 | : | アニマルテイマー | : | 3/3 | : | メジャ/リア | : | シンドローム | : | - | : | - | : | - | : | 3 | : | - | : | 判定ダイス+[LV+1]個。 |
05 | : | 形なき剣 | : | 1/3 | : | メジャー | : | <白兵><射撃> | : | 対決 | : | - | : | 武器 | : | 2 | : | - | : | ドッジの判定ダイス-LV個。 |
06 | : | 妖精の手 | : | 2/3 | : | オート | : | - | : | 自動 | : | 単体 | : | 視界 | : | 4 | : | - | : | ダイス目ひとつを10に。1回の判定に1回まで。シナリオLV回。 |
07 | : | 完全なる世界 | : | 3/3 | : | メジャー | : | S | : | 対決 | : | - | : | - | : | 5 | : | 100% | : | 判定ダイス+[LV+1]個、攻撃力+[LV×3]。 |
08 | : | 力の法則 | : | 1/3 | : | オート | : | - | : | 自動 | : | 単体 | : | 視界 | : | 4 | : | 100% | : | DR直前宣言。自身対象不可。ダメージ+[LV+1]Dする。ラウンド1回。 |
【イージーエフェクト】【4】
No | : | 名称 | : | Lv | : | タイミング | : | 技能 | : | 難易度 | : | 対象 | : | 射程 | : | 侵蝕 | : | 制限 | : | 効果 |
1 | : | 地獄耳 | : | 1/1 | : | メジャー | : | - | : | 自動 | : | 自身 | : | 至近 | : | - | : | - | : | 顔や姿をを変化させる。見破るには<知覚>対決。オートで戻れる。 |
2 | : | 真偽感知 | : | 1/1 | : | メジャー | : | - | : | 自動 | : | 単体 | : | 視界 | : | 2 | : | - | : | 相手の発言に嘘がないか聞き分ける。判定は<RC>。 |
【武器】
名称 | : | 種別 | : | 技能 | : | 命中 | : | 攻撃力 | : | ガード値 | : | 射程 | : | 常備化 | : | 解説 |
指貫の黒い手袋 | : | 白兵 | : | <白兵> | : | 0 | : | 1 | : | 1 | : | 至近 | : | 10EXP | : | ダメージグローブ相当品 |
: | : | : | : | : | : | : | : |
【防具】
名称 | : | 種別 | : | ドッジ | : | 行動 | : | 装甲値 | : | 常備化 | : | 解説 |
: | 防具 | : | : | : | : | : | ||||||
: | : | : | : | : | : |
【一般アイテム】
名称 | : | 種別 | : | 技能 | : | 常備化 | : | 解説 |
思い出の一品 | : | その他 | : | : | 2 | : | 師匠がくれた手袋。これを着ける時、いつも師匠の教えを思い出す。<意志>判定値+1。 | |
情報収集チーム | : | コネ | : | <情報:> | : | 2 | : | 人事部で研修した新人たち。今は各部署の一線で活躍している。情報収集の達成値+2、シナリオ3回 |
徒手格闘術 | : | エンブレム/その他 | : | : | EXP2 | : | たゆまぬ日々の鍛錬の賜物。白兵の命中判定+2。オーヴァード空手相当。 | |
擺歩(はいほ)・扣歩(こうほ) | : | エンブレム/その他 | : | : | EXP2 | : | 八卦掌の歩法。白兵/射撃の武器を使用した命中判定+2。オーヴァードシュート相当。 | |
無足の法 | : | エンブレム/その他 | : | : | EXP2 | : | 「動きを消す」古武術の歩法。初動を視認しづらい。戦闘移動+2m、これにより全力移動も増加。オーヴァードダッシュ相当。 | |
かけがえのない逸品 | : | 使い捨て | : | : | EXP5 | : | 登場侵蝕率ダイスの振り直し。 | |
コネ:アッシュ・レドリック | : | リレーション/コネ | : | : | EXP30 | : | <情報:UGN><情報:裏社会>ダイス+2。/強化効果:GMに質問、シナリオ1回。 | |
マルチエフェクター | : | その他 | : | : | EXP5 | : | 他シンドロームのイージーエフェクトを取得。 | |
: | : | : | : |
【コンボ】 名称 条件 組み合わせ タイミング/技能/難易度/対象/射程/侵蝕値/ 判定/CT/攻撃/備考 コンボ ~99% 1+3+4+5 メジャー <白兵> 対決 単体 至近 10 5dx8+8 8 2 装甲無視、ドッジダイス-1個。 100%以上 1+3+4+5+7 メジャー <白兵> 対決 単体 至近 15 11dx7+8 7 15 装甲無視、ドッジダイス-2個。 ※《要の陣形》で複数化にした場合、侵食値+3、対象を3体に。 ※侵食率ダイスボーナスは加算していないので注意。
【概要】 キャライメージ http://sky.geocities.jp/lanuitsite/DX3_SaekiSouichirou.jpg 「冷静沈着」という言葉を具現化したような男性。 常に必要最低限の言葉で淡々と喋り、要点を押さえた話し方をする。 その場その場で起こる事態に対する順応力、適応力、把握力が異常なまでに高く、 ある程度の瞬間判断力も備えているため、余程の出来事に対しても驚いたりうろたえたりせず、 冷静に、適切な判断を下し、対応できる。 一見、端正な容姿に見えるが、冷たいとさえ言える釣り目と、全く感情を表に出さない性格が相まって、 恐ろしく冷たい眼差しで相手を見る人間という印象を持たれやすい。 愛嬌や愛想という言葉と無縁な上、最低限の言葉しか発さないことや、 「自分は自分、他人は他人」という線引きをして人付き合いをすることから、周囲から疎んじられやすい。 実際、なまじ仕事においては優秀で、40にして部長に抜擢されたことなどから、 裏では「ロボット」「鉄仮面」「サイボーグ」などと嫉妬と揶揄を込めて呼ばれており、 本人もそれを耳にしてはいるが、全く気にかける様子は見られない。 このように、周囲が持つ「恐ろしく冷淡で無感情、無感動で無駄のない冷酷な人間」という評価に反して、 意外にも「人を教え導く」ことに天賦の才があり、かつ面倒見がよく、こまやかな配慮ができ、 人事部で新人の研修を担当していた際は、無駄な叱責を一切せず、適切なアドバイスだけをし、 総一郎自身の辛抱強い性格も幸いして、伸びるのに時間と手間のかかる一見「劣った」人材でさえ、 最終的には一線で充分な働きをする社員に育てあげることで、大きく自身の評価を伸ばした。 もっとも営業職に就く人材を育てることには極めて不向きであったため、これは同僚が担当していた。 彼に指導を受けた社員からは信望が厚かったが、当然ほとんどの社員は各部署に散って行き手元に残らず、 また前述したような評価から、周囲とはほぼ断絶しているような状態であったが、幸運にも彼を 「面白い」と見た上司に引き立てられ、若くして部長職に就くこととなる。 なお、一部女子社員から「叱責されたい、罵倒されたい上司」として人気を誇っていたが、 さすがにこの評価には困惑していたようである。当然だが、彼が人を罵倒することはまずない。 【性格】 素っ気ない物言い、必要最低限の言葉選び、冷淡な視線、無感動な反応、全く動かない表情から、 冷酷な人間と誤解されがちだが、実際のところはとても人間味にあふれており、 基本的にはやさしく穏やかで、こまやかな配慮ができ、辛抱強く、共感力があり、正義感が強く、 また実に意外なことだが、情熱的な人間でもある。 が、恋愛感情というものが極めて希薄で、実際これまでに人を「評価した」ことはあっても、 「好きになった」という経験がまったくない。 理念として「秩序」と「公平」、そして「理不尽を許さない」という考えを持つ。 滅多なことで感情を動かす様子を見せないが、社内ではハラスメントや不公正、フェアでない行ない、 日常生活では弱者に理不尽な暴力やいじめを行う人間を看過せず、上司であろうが積極的に糾弾したり、 処分を下すことに躊躇がなく、街中での理不尽な暴力などに対しては、不可避であれば力で解決することも厭わない。 ただ、それらの美点を表現するのが極めて苦手であり、また本人自身が見せないよう抑制しているいる節があり、 むしろ周囲の評価の通り、サイボーグのように振る舞っているため、大半の人間が誤解したままである。 なお、ストップウォッチ機能のある腕時計を愛用しており、身支度にかかる時間、通勤にかかる時間、 朝の自主トレーニングメニューを全てこなすまでの時間、食事にかかる時間、お気に入りのカフェまで徒歩で要する時間などなど、 自分が何をするのにどれほどの時間を要するのかを逐一ストップウォッチで計るという奇癖があり、 このため、彼の生活リズムは、まさしく秒単位で管理されている。 その几帳面さは一種、異常を通り越して狂気に近いのかもしれない。 【背景】 未熟児として産まれ、とても病弱な幼児期を送る。 心配した両親が身体を鍛える目的で、その武術の攻撃性を全く理解せず、 ただ自宅の目と鼻の先に、たまたまあったというだけの理由で、 ラウェイ(ミャンマーの古式拳闘)の道場に通わせるようになる。 決して才能に恵まれてはいなかったし、むしろ才能の面からいえば劣ってさえいたかもしれない。 だが毎朝の自己鍛錬を欠かさない堅実な性格が、確実に実力を育み、伸ばした。 この頃から滅多に病気をしなくなり、両親は無邪気に健康になったことを喜んだ。 しかし小学校低学年頃から、彼は現在のようなパーソナリティを確立し始める。 それは半分は資質であり、もう半分はラウェイの師匠である人柄に感化されてのことだった。 師匠は、ラウェイの技術以上に、人として大切なことを幾つも、幼い彼に教え込んだ。 幼い総一郎は彼を慕い、その言葉ひとつひとつを丁寧に吸収し、自分のものにしていった。 物静かで、表情を動かすことがなく、素っ気なく、無感動に見える彼は、 いじめっ子たちにとって格好の標的となった。 一方で、両親もロボットのように無機質に振る舞う我が子を見て、恐れを感じ始める。 そしてその漠然とした恐れは、かなり悪い形で現実のものとなる。 幼少から人の心の働きをよく観察し、熟知していた彼は、ある時、 いじめっ子の首謀者に対して反撃を試みた。 まずこれまで黙って耐えてきただけのいじめに、論理的に反抗した。 続いて、彼の素行の悪さをひとつひとつ丁寧に指摘し、それが批判されて当然のものだと糾弾した。 当然、ただの小学生であるいじめっ子にまともな抗弁ができるわけもなく、 暴力でもってこの反抗的な態度に制裁を加えた。 その間も総一郎は、いじめっ子に対する糾弾をやめず、敢えて怒りを煽った。 診断書に「全治一週間」と書かれるだけの怪我を負わされて初めて、 総一郎は反撃を開始した。 それはあっという間に終わった。 毎朝の鍛錬で積み上げてきた拳の一撃を、それも怪我を負わせない水月にあざやかに叩き込んで昏倒させ、 わずか一秒足らずで勝敗を決した。 ここまでなら、まだ良かった。 彼はそっと自宅の自室に帰ると、貯金箱のお金を財布に詰め込み、食器棚から保険証を盗み出して、 近所の病院に向かい、治療を受け、診断書を受け取った。 次に家電量販店に向かい、小型の録音機を購入すると、その足でいじめっ子の自宅に向かった。 診断書はコピーを取り、原本は周到に隠し持つことさえ忘れなかった。 いじめっ子とその親を家から呼び出し、ファミリーレストランで対面。 事の一部始終を説明し、謝罪を求めた。 親も伴わず、子供一人に呼び出され、謝罪を要求されたいじめっ子の親は激昂。 罵詈雑言を総一郎に浴びせた。 親が落ち着いたところで、総一郎は録音機と診断書を取り出し、民事訴訟で、 傷害と名誉棄損で告訴すると告げ、さっさとその場を後にする。 翌日。 玄関で土下座するいじめっ子と両親から一部始終を聞かされ、 総一郎の両親は絶句する。 我が子の、小学生とは思えない冷徹で、的確で、容赦のない性格に、恐怖を覚える。 総一郎が録音[[データ]]と診断書のコピーを、丁寧にも校長、教頭、学年主任、担任それぞれに 手渡し、握りつぶすようなら教育委員会と弁護士に相談する用意がある、と告げたことで、 いじめそのものは、完全消滅した。 ただ、彼に接触しようとする生徒も、同時にいなくなった。 噂が噂を呼び、露骨に彼との付き合いを子供に禁じる親まで出てきた。 誰もがこの大人顔負けの不気味な小学生を恐れた。 中学一年の冬、両親の乗る車が、運送会社のトラックに追突された。 両親が道を確認するため、路肩に停めていたところへの不意の事故で、両親ともに即死だった。 電話で連絡を受けた総一郎は、不気味なほどに冷静だった。 病院で遺体を確認し、両親に違いない、と告げられた医師と看護師は、 そのあまりに静かで冷静な対応と、冷ややかな視線に恐れをなした。 総一郎の考えたことは、治療費がかからずに済んだこと、葬儀の費用と今後の生活費は 当分、運送会社からの慰謝料で賄えそうだ、ということぐらいだった。 葬儀の日。 両親二人は親戚に好かれており、皆涙したが、総一郎は涙ひとつ見せないどころか、 これが中学生かというような立派な対応で親族一人一人に足労の礼を述べた。 皆、口では「立派だ」「二人も安心しているわね」とは言うものの、 内心、13歳の少年の冷ややかで冷静な対応に、背筋に冷たいものを感じていた。 親戚の家に引き取られることが決まり、荷物も運び終えた後、 彼は再びラウェイの道場を訪れた。 稽古の再開を願い出るつもりであったが、師匠は旅に出て道場をたたむと言う。 彼は自らが愛用していた指貫の黒い手袋を総一郎に渡し、姿を消してしまう。 師匠が去ってなお、総一郎は鍛錬を欠かすことはなかった。 「我が身一つ守るならそこそこ強ければいい。 だが大切な人を全て守るにはいくら強くなっても、なお足りない。」 という師匠の言葉が、総一郎の中で生き続けていたからだ。 とはいえラウェイなどという珍しい格闘技の道場がそうそうあるわけもなく、 その後は空手や総合格闘技、中国拳法の道場などを渡り歩いて、 新たなる師を探し続けるも、この人こそは、という相手には恵まれなかった。 しかし各道場に通い続けたことで、総一郎は思わぬ壁に当たる。 性質として只ひたすら攻撃に特化したラウェイは、 対戦相手によってはひどく相性がわるく、惨敗を喫することも珍しくなかった。 ゆえに、総一郎は各武術・格闘技の長所や技を次々に学び、取り入れることによって いかなる状況、いかなる相手にも対応できるよう、自らのスタイルを変化させていく。 柔道、レスリング、空手、合気道、有用と思えば何でも学んだ。 必要と思えば、素手を信条とする総一郎には珍しく、武器を使うものすら学んだ。 この頃、総一郎が街で不良たちとの喧嘩になった際、相手を侮った結果、 予想以上に不良がナイフの扱いに長けており、全員叩きのめすまでに、 かなりの手傷を負わされる結果となった。 この結果を恥じた総一郎は、これまで通りの鍛錬を続けるとともに、 武器を手にした相手をどう制するか、という問題に本気で取り組むことになる。 ナイフ格闘術、棒術、薙刀道、対武器格闘を謳う格闘術などを学ぶも どれも今一つ総一郎を納得させることはできず、道場を転々とするうち、 黒田鉄山の振武舘に行き着き、彼の神妙としか形容のしようがない技に魅せられ、 一か月の期限付きでの入門を願い出る。 民弥流居合術、駒川改心流剣術、四心多久間流柔術、椿木小天狗流棒術、誠玉小栗流殺活術など、 この道場以外ではほとんど継承されなくなった古武術の数々を学ぶうち、 総一郎は長年抱いていた違和感の正体を知る。 師匠が幾度も見せてくれた手本と、自らの技の、次元の違いを。 同じラウェイでありながら師匠のそれには一切の無駄な動きがなく、しなやかでさえあった。 しかし総一郎の技はどこまでいっても筋力・パワー・スピード頼みであり、 当然それは鍛錬を一日でも欠かせば、あるいは齢を重ねれば衰えること必定のものだった。 ところが、新たな師、黒田鉄山はどうか。 齢四十に届こうというのに、門下生の誰よりも速く、力強い。 他流で名を上げた精強な弟子も多数いるというのに、誰一人、彼の速さについていけず、 屈強な弟子にタックルを受けても大木の如く微動だにせず、どころか、小石でも放るかのように 道着の帯を掴んで軽々と投げ捨ててしまう。 黒田のあまりの強さ、殊に速さについて門下生が冗談交じりに「先生は速すぎる」とこぼしたところ、 生真面目な表情で黒田は答えた。 自分が速いのではない、既存の格闘技が十工程で技を成すところを、自分を六工程で成している。 ゆえに速く見えるのであり、これは自分にしかできないことではなく諸君らにもできることだ、と。 この言葉をヒントに、総一郎はかつての師の技と、黒田の技とに共通点を見出した。 かつての師も、黒田も、「動きを消す」ことによって無駄な動作を減らしており、 「身体の使い方」を熟知している。 ゆえに速く、ゆえに強く、齢を重ねてなお、屈強な弟子たちと違う次元にいるのだ、と。 この時から総一郎は、本格的に黒田に師事することを心に決めた。 中学、高校と総一郎はひたすら稽古と鍛錬の日々を送った。 学業は、親戚の家に居候させてもらっている手前、そこそこにこなしたが、 性格ゆえ学校に友人と呼べる相手は出来ず、また作ろうともしなかった。 道場の仲間たちは、淡々と稽古に励み、にこりともしない総一郎を面白がったが、 深い交友関係には至らなかった。 ただ、いじめに関してだけは、人一倍敏感だった。 その首謀者が学校一番の不良であろうと、総一郎は容赦なく叩きのめした。 おかげで、少なくとも総一郎が在学している間、中学、高校ともに、 いじめというものは起こらなくなった。 学生時代を、ただ稽古と鍛錬、読書に費やしながら、総一郎は感じていた。 何かが足りない、と。 大学卒業後、大手電気通信事業者、国際高速通信に入社し、人事部に配属されてからはめきめきと頭角を現わし、 三十を前にして人事部研修課の課長に、異例の抜擢をされる。 当人は知る由もなかったが、この企業、FHの日本における最も重要な活動資金源であった。 総一郎はその優秀さからいずれエージェントに抜擢される予定であったが、 ここで思わぬ介入が入る。 当時、国際高速通信は赤字経営が続き、このため日本電信電話株式会社(なんとこちらはUGNの関連会社であった)との 合併の会議が繰り返し行われていたが、当然、この会議は難航した。争点は吸収合併か、新設合併か、である。 ある日、業務に加えて、会議の精神的負荷で倒れた上役に代わって、総一郎が会議に出席した。 ここに、UGN査察部部長であったアッシュ・レドリックが、偶然にも出席していた。 紛糾する会議の中で、総一郎は挙手して発言をする。 意外にも、総一郎は自社が不利になる吸収合併の案を推し、その理由を冷静に、的確に説明した。 当人にしてみれば、赤字経営が続いている現状で、ただ可能な限り縄張りと権限を維持して新設合併が 呆れるほど非合理にしか見えなかっただけなのだが、この発言がアッシュ・レドリックの興味を引く。 FHエージェントへの抜擢が目と鼻の先であった状況に、レドリックが牽制をかけ、 総一郎の知らぬところで、UGNとFHとの水面下での駆け引きが行なわれた末、 双方、総一郎へは手出しをしないという形で手打ちとなった。 もっとも、レドリックは総一郎に必要があれば連絡を、と名刺を渡すことで、この禁を平気で破ったのだが。 ところで会議は結局、吸収合併で落ち着いたため、レドリックは総一郎のはるか上にいる上司という形になった。 最も、今のところ地位に違いがあり過ぎ、両者が顔を合わせることはない。 かくして総一郎は、いずれにも所属することなく四十を迎え、部長へと昇進。 日常の中に留まり続けることになる。ただ一つ、拭いきれない違和感を抱えながら。 何、と問われれば返事に窮するのだが、 「なにか」が足りない、という漠然とした思いを持ちながら。
【成長履歴】
2015.08.04 ダメージグローブ 取得 10点 2015.08.07 《領域の盾》 取得 15点 2015.10.18 《帝王の時間》 取得 2点 2015.12.11 初期作成経験点でリビルド、上記三項目は経験点に還元。 2015.12.12 《妖精の手》 取得 20点 2015.12.15 かけがえのない逸品 取得 5点 2015.12.15 コネ:アッシュ・レドリック 取得 30点 2015.12.16 【性格】に少し、【背景】に大幅に加筆。 2015.12.19 《地獄耳》 取得 2点 2015.12.19 マルチエフェクター 取得 5点 2015.12.19 《真偽感知》 取得 2点 2015.12.20 初回セッション後のリビルドをGM裁可を得てセッション中に実施、ワークスリビルド。 2015.12.20 Dロイス:工作員 取得 2015.12.20 オーヴァードダッシュ 取得 2点 2015.12.20 《力の法則》 取得 15点 2015.12.20 《時の棺》 取得 15点
【参加シナリオ】
2015.12.19「When my Devil Rises」GM:汐さん
【コンセンサス】
●とてもやりたいこと
●とてもやりたいこと
●NGなこと