「アミロペクチン第二章-27話 ~週間WorldWeekノーデン語版~」


 それでは我が部屋を紹介しよう。
我が部屋はフルス米粉パン普及活動エシスシルグループのためにフリュアに造られた
“ミーツカゼルネ・コメタリア”というアパートメントの201号室である。
 広さは約11平方ヤードの長方形で、トイレはあるが風呂はない。
しょうがないので公衆浴場に行くしかない。
そしてエシスシルには風呂という文化がないのだが
ここらは鉱泉が沸いているため温泉施設があるのだ。
 北側にはピカピカのドアとエシスシル風の文様が施された収納がある。
東には設置したばかりの本棚があり、まだ本はあまり入っていない。
南にはガラス窓と机が置いてある。
西では私の洗濯物が干してあり、若干ジメジメしている。
 引っ越してきたばかりなので荷物は少ないがこれから数年、
人生を共にしていく大切な部屋である。ゴチャゴチャと散らかすわけにはいかない。
              ◆
 このような我が部屋にて眠りに就いていた私であるがある日、
何者かによる我が部屋のドアへの暴行事件によって起こされた。
誰かがドアをガンガンと叩いている。これはれっきとした暴行である。
ドアを救済すべく、私はドアを開けた。そこにいたのはシュルツであった。
「なんだ、なんだ、こんな時間に」
「ほら、見ろよ。コレ、コレ」
「うむ?」
 それはウェンバスで刊行されている“週間WorldWeek”のノーデン語版であった。
“週間WorldWeek”とは世界のニュースを記載している結構フェイマスな週刊誌である。
ウェンバスでは世界初のニュース誌、“ZEIT”と一位二位を争うほどの人気である。
 そして、シュルツが持っていた週間WorldWeekにはこうあった。
「米でパンを!コメタリアン始動」
その下には我々の活動や幹部の方々などが紹介されていた。
「な、凄いだろ」
「あ、ああ」
「これで米粉パンの売り上げも上々だ!」
「しかしエシスシルじゃWorldWeekはあまり有名じゃないし、
新聞とか“週間ウェシス”とか有名なものに載らないと」
「何言ってるんだ、これが第一歩となってその他の出版物にも載るだ」
「うむ。なるほど」
少し希望が見えてきた。このままいけばバラ色の人生も夢ではない。


用語
  • 約11平方ヤードの長方形・・・六畳間ほど。
  • ZEIT誌・・・“ツァイト”と読む。世界初のニュース誌。


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最終更新:2011年03月14日 21:22