もう一度君に会いたい ◆auiI.USnCE
大好きになった人が居た。
少しおどおどしていた子で。
最初に出会った時はとても弱弱しくて好きになると思わなかった。
自分の好みでは全くは無かったと思う。
けど、一緒に居て。
色々沢山話して。
少しずつ、少しずつ。
ゆっくりと、ゆっくりと。
好きになっていた。
いつの間にか心を奪われていた。
弱さの中に強さを持った子で。
私はそんな彼と何時でも居たいと思った。
だけど、あの子は急に居なくなって。
私は、とても哀しくなった。
まともに別れも出来なかった。
まだ、色んな言葉をあの子にかけたかった。
でも、それも出来なくて。
あの子は、もう居ない。
けど、私はずっとずっと待っている。
今も、あの場所で。
ずっとずっと、あの子を……待っている。
そう、できるならもう一度――――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「は?」
扉を開けたら、目の前に居たのは、先程まで目の前で喋っているあの天使みたいな格好の人が居た。
何を言っているか自分でも解らないが、何故か殺し合いを主催している男が、目の前にいる。
既に混乱しかけてるのに、更に大混乱しそうになる。
「な、なんであんたが……」
「汝に用があるからだ、相良美佐枝」
「は、はぁ?」
私は尚更首を傾げてしまう。
色々この男と接点を考えて。
結局、むさ苦しい男共を束ねる寮母をしてる自分が、この一見優男と何か関係あるかと言われるとある訳ない。
「悩む必要は無い。汝をたまたま選ばれただけだ」
「たまたまぁ?……はあ?」
「まずは我が名を名乗っておこう。我が名はディー」
ディーと名乗った、優男はそっと微笑んだ。
だけど、私はその微笑が温かいものではなく、とても冷たいものにしか感じられない。
むしろ、体が恐怖と生理的な嫌悪感に襲われてしまう。
私は身体を震わせながら、それでも、言葉を続ける。
「たまたまといっても……理由が解らないんだけど」
「……ふむ、納得はいかまいか」
「当たり前よ」
「ならば、語るしかあるまい。この残り120ものの中で、まず、ある理由で選別された」
「ある理由?」
「強い願いを持つ者だ」
願いという言葉に身体がはねた。
ハッとするような表情を浮かべていたと思う。
私は心の底にある願いを見透かされた様な気がして、気持ちが悪い。
若干嫌悪感を示しながら、ディーの話を聞き続ける。
「その中で、更に私の誘いに乗る者を選別した結果、汝が選ばれただけだ」
「……誘いですって?」
「そう、契約を交わし、我が手駒となれ、相楽美佐枝」
…………はぁ?
意味が解らない。
何故、私なんかにこの男は提案する?
「何それ? よく解らないんだけど」
「殺し合いを促進し、進めたまえ。その為の支給品も良いものを渡そう。まずはそれだけでまずは充分だ」
「……私に殺しをしろって? ふざけるのも……」
「代償に願いを必ず叶えよう」
「っ……!?」
殺し合いを進めるよう促すディーに対して否定の言葉をかけようとして。
私は彼が示した代償に動きが止まる。
根源的な、私の願いを。
「叶える……?」
「そうだ」
「信じられる訳が……」
「……汝はもう、その願いを叶える事に縋っている様にも見えるが?」
「…………っ」
私の願い。
私はあの子に……もう一度。
無理だと思ってたその願いが。
……叶えられる?
「信じるも信じないも自由だ。ここで契約を蹴っても構わないが……この千載一遇の機会をすてるのかね?」
チャンスと彼は言う。
騙されるな、これはきっと甘言に過ぎない。
そう思っているのに、何故かとても魅力的な誘いに感じる。
私は……私は……
「さあ、我と契約を結ぶか? 我に全てを捧げると誓えるか。髪の毛一本から血の一滴に至るまで。魂までも我に捧げると」
契約を結ぶかと問いかけてくる。
私は、その誘いが魅力的と同時に怖くも感じる。
この誘いに乗るともう二度と戻れなくなる感じがして。
乗らない事もできる。
私は、どうする?
どうしたい?
その時、突然、思い浮かんだ顔が、あって。
「私は――――」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ただ、ただ、それだけだった。
でも、私にとっては、とても大切な想いだった。
私はもう一度あの子に。
もう一度、君に逢いたかった。
【時間:1日目午後1時00分ごろ】
【場所:B-5】
相楽美佐枝
【持ち物:不明支給品、水・食料一日分】
【状況:健康 ディーと契約?】
最終更新:2011年08月30日 18:28