午前九時、俺は温かい布団の中で目が覚める、
もう九時か……由姫ちゃんはもう今日の試合の為に出ていったのかな?
それにしても――今日も俺は夢を見た。
時々、俺は今も親父の夢を見る――
野球に未練のある今、マウンドに立つ親父の夢を見るのがどんなに辛いことか。
俺の親父はプロ野球界でも有名な剛速球投手として有名であった。
アンダースローから150を超える前代未聞の投球と変化球で打者は次々と打ち取られていく、それはまだ幼い頃の俺の目にはどんなに輝いて見えた事だろうか。
俺は必死に独学で練習を積み重ねた、今の由姫ちゃんのように――
そんな俺の為に、たまにしかない休日に親父は練習に付き合ってくれ、仕事であるはずの野球を家でも教えてくれた。
俺は、そんな親父に憧れた。
今も尊敬できる人と言ったら親父しかいない、俺にとってはそれだけ大きい存在であったのである。
そんな親父も死んだのだ、今から約二年程前の事。
死因はガン、流石に親父も病魔には勝てなかったのだろう、俺にはその事を隠し、最後はマウンドで息絶えたと言う。
ショックだった――
本当に悲しい気持ちになった
母親を知らない俺が唯一、頼りにしていて、尊敬できた親父が死んだのだから。
今、俺は由姫ちゃんに頼りにされている、
俺は絶対に――由姫ちゃんを悲しませるようなことはしないよ。
そうだ、今日は由姫ちゃんのチームの試合がある、
今日はセカンドとしての登板かな? マウンドに上がるのかな?
活躍したら帰りに美味しい物奢ってやろう。
俺はそう思いながら――布団を思いっきり蹴飛ばした。
序章 『二人のアンダースロー』
最終更新:2010年02月10日 01:37