――夜10時、日曜日なのに幼稚園には明かりがついている――
いや、ついていて当然か……こんな事態になったんだから。
俺は幼稚園の入り口の重い鉄のドアを開く、
そして園内に入り教員室を覗く――そこには俺の知っている園児二人の両親方が暗い表情をして園長と話し合ってるのが見えた。
……あの野球好きの成瀬優雨君と楠明灯ちゃんのご両親、
俺はすごく責任を感じすぐに教員室へと駆け込んだ。
「あのっ!! 俺のせいで……すみませんでしたっ……」
「はこみん君……」
園長が突然の訪問で驚いている中、俺は精一杯ご両親に向かって頭を下げる。
俺のせいで……、関係ない優雨君と明灯ちゃんが巻き添えになってしまったのだ。
いち早く山塚の危険思考に気づけていれればっ!
「いえ、お話は聞かせていただきました、あなたは悪くないですよ……」
「俺らがいけないんです……今日“マンションの駐車場でキャッチボールする”
って言って雨の中野球の練習に行ったあの子を止めなかったのが悪かったんです」
……あの子達野球してたのか、こんな雨の中なのに、
その瞬間、俺は思う――もしかしたら、山塚が凶行に及んだのはあの二人に“天賦の才”を感じたからなのだろうか?
山塚は極端な努力家タイプだった、それ故自分に才能が無い事を妬みそれに追いつく為もっと練習していた。
それ以上に山塚は天才が努力するのを何よりも恐れていた――
中学時代も何人も同期の人間を踏みにじってエースになったという、
奴は場合によっては、本当にあの二人を殺しかねない……この凶行ではっきりと分かる。
今のアイツは狂ってると――
あの子たちを救うためにも山塚を救う為にも、俺は動くことをこの時決めた。
とはいえ奴らもおれのことをよく知っている、素人ばかりをあつめても奴らには敵わないだろう。
しかしそんなことを考えている余裕もなかった。
「必ず……俺が二人を助けます!」
「俺も手伝うぞ」
その瞬間、たっちゃんがふとどこからか現れて言う、
たっちゃんが協力してくれるのはありがたい……左だから外野か一塁手だな。
俺は両親に対し二人を助けることを誓う、
しかし俺にできるのだろうか、発言とは裏腹に俺の気持ちは不安に満ち溢れていた。
――そうして、俺の仲間集めは始まった。
最終更新:2010年02月10日 11:56