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  • 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)
  • 乙女な神様と平凡少年の話

涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki(避難所)

乙女な神様と平凡少年の話

最終更新:2020年03月18日 23:45

haruhi_vip2

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だれでも歓迎! 編集

※これは『卑屈超能力者と傷心宇宙人の話』の続きですがどちらからでも読めます。





「ねえ、キョン」
授業の合間の休み時間、喧騒に包まれた教室。外はしとしとと雨が降り続き、暖房などないこの教室は寒々としていて、さらにその上湿気もある。少しは前触れを見せてくれたっていいのに、いきなり寒くなったせいで防寒対策などろくにできていない。寒い。
「なんだよ」
振り返ると、ハルヒは頬杖をつき、窓の向こうの景色から目線を外さずに言った。
「今日は寒いわね」
「そうだな」
……そのまま沈黙。こいつまさか、それを言うためだけに話しかけたのか?
「雨、帰るまでに止まないかしら?」
「さあな。今んとこ止みそうにないが」
ハルヒはまだ視線を窓に固定していた。
「あたし、今日傘持ってくるの忘れちゃったのよ」
「そりゃあ災難だな」
するとハルヒはきっと前を向き、
「帰り、傘を貸しなさい」
と言って俺を睨みつけた。
「俺も傘を使わないと帰れないんだが」
「じゃあ傘に入れてあげるわよ」
それが人から物を借りる態度か。というか、俺が貸した傘に自分が入れて貰うっておかしいだろどう考えても。
「まあいいじゃない。減るもんじゃないし」
なに親父臭いことを言ってやがる。それに減るぞ、主に俺の精神というか神経あたりが。
ハルヒはふふんと笑うと、
「団長命令よ!」
と言い切ると会話を打ち切って次の授業の準備をし始めた。
おい、それで話は終わりかよ。そもそも団長命令といえば俺の拒否権は存在しないと言うのか? なんとも酷い話だ。しかし文句を垂れてもハルヒはそれを聞き入れてはくれそうにないので、俺もさっさと諦めて机からあまり授業以外で開いたことのない教科書を出すことにした。


雨も止まないまま放課後。
この日ばかりはヒーターのある部室での時間が至福だ。雨が降ろうが槍が降ろうが神人が出ようが、放課後の部活の内容に変化はない。
「あなたの番ですよ」
「そうだな……」
頭を掻きながら見慣れない形をしたボードを見つめる。
古泉がこの間持ってきたものだが、聞き慣れない名前でかなりマイナーなゲームらしく、ルールを把握しきれていないせいで一手一手に時間がかかる。難しいゲームな訳じゃないんだがな。古泉はこういうもんを一体どこから入手しているんだ?
考えながらふと前を見てみると、古泉の視線は盤上には無い。視線を追うと、窓際で本を開く文学少女に行き当たった。
古泉の顔からいつもの笑顔がわずかに溶け消えているように、俺には見えた。
この超能力者が宇宙人に向ける視線の意味に、俺が気付いたのはいつ頃だっただろうか? たまに視線を向けていることに気付いたのは最近だが、それにこもった古泉の感情はすぐに読み取ることができた。
しかし古泉はその感情を俺たちには隠しておきたいらしい。普段はその態度をおくびにも出さないが、そこに俺が気付けたのは、まあ、放課後に毎日顔を突き合わせてるからな。長門のおかげで微細な表情の変化も分かるようになったからかもしれない。
「古泉」
一瞬しまった、という顔になるのを俺は見逃さなかった。
「お前の番だぞ」
正直、野郎の表情を読み取っても嬉しくもなんともないんだが、こうして古泉の気持ちを知ってしまった以上、気にしないわけにはいかない俺だった。でも、古泉がそれを隠したいならば、わざわざそれを指摘するつもりもない。相手があの無表情宇宙人というのがなんとも気がかりではあるが。
今んとこ、俺に出来るのは古泉が俺に打ち明けるのを待つくらいか。古泉がありえない位置に駒を進めるのを見て思う。しかし、こいつは本当にルール分かってんのか? 俺にルールを教えたのはお前だぞ?
ぎし、と椅子の軋む音がして振り返ると、ハルヒが窓の外を見て腕を組んでいた。
「うーん、今日は寒いし、もう解散にしましょ!」
ハルヒが振り返ってそう宣言する。確かにいつもより時間が早い。しかし、せっかくヒーターがきいているというのに、何故寒いという理由から解散となるんだ。別にいいけどさ。
そして特に誰も文句を言う事は無く、朝比奈さんがぱたぱたと湯飲みや急須の片づけをし始めた。朝比奈さんの着替えがあるから、さっさと部室を出なきゃならん。古泉と先程まで興じていたボードゲームを片し、鞄を持って部室の外へ出た。
部室との室温の差もあって滅茶苦茶寒い。しかも暗い。こんな中でハルヒに傘を貸すためだけに奴を待たなきゃいかんというのか。学校に置き傘して忘れ去られたままになってる傘でも使えばいいのに、とは思うが、本人には言わない。どうせ言ったって聞かないのは目に見えている。
見れば、この雨のおかげで人っ子ひとりいない窓の向こうの景色を眺めているさわやか青年が一人。
「お前はまだ帰らないのか?」
映画のワンシーンのような隙のない所作で古泉が振り返る。何をやっても決まるから嫌なんだよなこいつ。
「ええ、少し用事が残っていまして」
薄暗い中でも、古泉はいつもの笑みだった。
「あなたは?」
「いや、ハルヒが今日傘を忘れたってんでな、強制的に俺の傘に入れなければならなくなっちまったんだ。んで、ハルヒの部室の鍵閉め待ちだよ」
「それはそれは」
演技がかった動作で手をぽん、と叩いた。何がそんなに嬉しいんだ。
「ふふ、羨ましいですね。あなた達が」
「何を言ってやがる。お前のその面があれば彼女だって幾らでも作れるだろ」
そう言った後、しまった、と思った。だが古泉は平気な様子で、
「機関や涼宮さんのことがありますから。ちょっと難しいというのが現状ですね」
と困り顔をしながら答えた。
どうだこの見事なまでのポーカーフェイスっぷり。感心どころか称賛に価するね。むしろ全部問い詰めてその貼り付いた笑顔を引っぺがしてやりたいよ俺は。しないけど。
「それじゃ、施錠は任せた」
「承りました」
古泉の大げさな動作は放っておいて、こんなクソ寒い空間に一秒でもいたくない俺は部室の扉をノックしようと扉に近づく。
「うおっ」
目の前で扉がいきなり開いておもわずよろけた。なんだなんだハルヒの超能力発動か? しかし扉に近づく足音さえ聞こえなかったぞ。
「…………」
しかし予想に反して、入口に立っていたのは長門だった。なるほど、確かに長門なら気配が一切無かったのも頷ける。
「何だ長門か。帰るのか?」
顎が数ミリ引かれる。戻る。
「そうか。じゃあな長門、また明日」
「また明日」
平坦な声でそう返し、俺の脇をすり抜けるように歩いていった。古泉には目もくれない。その古泉の様子を窺うと、相変わらずの笑顔で長門を見送っていたが、なんとなくそれは笑顔という体面を取り繕った無表情にも見えた。俺の考えすぎかもしれないが。常に保たれているその笑みが、全て本心からのものとは俺も思ってないしな。
改めて扉をノックする。
「ハルヒ、帰るぞ」
しばらくしてハルヒがドアから顔を出した。
「なによ、まだ鍵を閉める仕事が残ってるの。団長の仕事ぐらい待ちなさい」
「いや、古泉がまだ用事を残しているみたいでな。施錠はこいつがやってくれるらしい」
ハルヒの頭が古泉のほうを向いた。それにしても扉からハルヒの頭だけが飛び出している姿は何とも滑稽で笑える。
隙間の向こうは見ないようにはしているが、中から『涼宮さ~ん、隙間風が寒いから早く締めてくださいぃ』とかわいらしい悲鳴が聞こえた。今なら少し覗いてもバレな……って何を考えているんだ俺は。
「あら、じゃあお願いしていいかしら? 古泉君」
「ええ。どうぞお気になさらず」
古泉は慇懃にそう返す。
「ほら、古泉がそういってるんだからさっさと鞄とって来い。俺は早く帰って暖を取りたいんだ。ここは寒くてかなわん」
「……いちいち言わなくたって取ってくるわよバカ!」
そう言ってハルヒはドアを勢いよく閉めた。何でいきなり怒りだすんだよあいつは。
「……かわいくねー」
「そうでしょうか? 僕は大変可愛らしい方だと思いますが」
俺は一瞬耳を疑った。本気で言ってるのか?
「あいつがいない所でまで持ち上げなくたっていいんだぞ」
「そんな顔をしないでください。でも、僕は世辞のつもりで言ったわけではありませんよ」
古泉の表情は嘘をついているそれには見えない。先程のポーカーフェイスっぷりを見た後ではそれも信用ならないが。
確かにハルヒの容姿が平均より大分高い所に位置しているのは分かるが、俺には古泉の言葉がお世辞にしか聞こえなかった。だってそうだろ、さっきのハルヒの態度を見りゃ。
「なーにが寒いから早く締めてよ。みくるちゃんはこんなにふかふかであったかいじゃないの!」
「涼宮さっ……ダメですそんなとこ触っちゃ………ひっ、ちべた!」
扉の向こうでは聞いちゃいけないような会話が繰り広げられている。あー……駄目だ想像してはいかん。聞こえない聞こえない。想像するのは家に帰ってからにしておかなくては。
俺が聞かないように必死になっていると、古泉はふっと笑って、また窓の向こうに目を向けた。だからいちいちドラマのような所作をするな。俺に対する当てつけかこんちくしょう。
「それにしても寒いですね、今日は」
「……そりゃあこの雨だからな」
今日はそんな感じの台詞を何度も聞いた。いい加減誰か一人ぐらい俺の心を温めるようなことを言ってくれる奴はいないのだろうか?
「ええ、朝からずっと降り続いていて、とても寒い。そんな時は、人の温もりが恋しくなったりしませんか?」
振り返りながら手首を返す。何が言いたいんだ。さながらCDのジャケットに写るアイドル歌手のようなポーズを決められたって意味がわからん。
その意味を古泉に問いただそうとしたまさにその時、勢いよくドアが開いた。
「おまたせっ!」
「うおっ、ハルヒ……おい古泉、お前一体どういう」
ハルヒが俺の腕を強引に掴む。なんて力だ。お前本当に女子高生か?
「ほらキョン、早く帰りたいならさっさと行くわよ! 雨がいつ強くなるかもわからないんだから」
ああそうか、俺はハルヒを傘に入れてやって帰らなきゃ……って、あれ?
「じゃあ古泉君、鍵閉めお願いね。また明日っ」
「おいこら、古泉お前!」
「ええ、また明日」
古泉は無理矢理ハルヒに引き摺られている俺を、助けるどころか全く意に介さず笑顔で挨拶を返した。待てハルヒ、俺は古泉に追求しなきゃいかんことがあるんだ。その手を放せ。
しかしハルヒは俺の要求をさっくりと無視して、ずんずんと前へ進んでいく。一体さっきの不機嫌はどこへ飛んで行ってしまったのだろうか?
古泉がみるみる小さくなって、階段を下り旧校舎を出たころには、俺はすっかり追求することを諦めていた。ハルヒが前を見ているならば、どんなに抵抗しようとも元の場所へ戻ることは不可能なのである。
「ほらキョン、さっさとしなさいよ」
一方のハルヒはというと、昇降口の下駄箱についた途端に俺を掴んでいた手をパッと放し、さっさと履き替えてしまっていた。傘を貸すのは俺だというのに、なんて女王様ぶりだ。いつものことだが。
「うるさいな、ちょっとぐらい待てないのかよ」
「あら、早く帰りたいと言ってたのはどこのどいつだったかしら?」
そう言ってニヤリと笑う。……やっぱり可愛くない。
「ほら、傘出して」
「あいよ」
何の因果でハルヒと相合傘なんかしなくちゃならんのか。谷口辺りに見られたら確実に死ねるな。あいつも早く暖まりたいとか言ってさっさと帰っちまったみたいだが。
二人で、降りしきる雨のおかげで雨音以外に何も音の聞こえない坂道を歩く。空は厚く垂れこめた灰色の雲が、さっきよりも黒ずんで辺りを薄暗くさせていた。
「うー、本当に寒いじゃないの。これじゃもう冬よ」
「これからもっと寒くなるかもしれんな」
「冗談じゃないわ。せめて寒くなるなら、季節ごとに順々に寒くなってくれればいいじゃないの。急にこんなに気温が下がるなんて反則だわ」
それについては大いに同意するね。せめて準備期間でもあればいいものを、何故寒気というものは気まぐれにやってくるのだろうか? まるでハルヒみたいだと思ったことは、口に出さないでおく。
「ハルヒ、もっと近くに寄らないと濡れるぞ」
「ん」
俺の傘は持ち運びのしやすさを優先したために、あまり大きいものではない。おかげで傘からはみ出た俺の肩が、どんどん熱を奪われて冷たくなっている。しかしハルヒも一応女性であるから、ここは配慮してやることにしよう。
「……前もあったわよね、こういうの」
「そうだっけ?」
「あんた、覚えてないの? あったでしょうが、こんな感じの雨の日に居眠りするキョンをあたしが置いて帰れなくって、起きるまで待っててあげたのよ?」
「あー……あったな、そういえばそんなことが」
「なんでキョンはこうも忘れっぽいのよ。バカ」
ハルヒはまたプリプリ怒り始めた。そんなこと言ったって、毎日繰り返される下校の様子をいちいち記憶してるわけないだろ。
「あの時は今とは逆だったのよ。あたしがキョンを傘に入れてあげたの」
たしか俺の記憶によるとハルヒは職員室から傘を勝手に拝借していたような気がしたんだが。
「他の皆は帰っちゃって、キョンはなかなか起きないし、その間に雨も降っちゃうし。散々だったわ」
そういえば部室にいたのはハルヒだけだったな。朝比奈さんも長門も古泉も帰っちゃって……あれ。
「あの時、あの三人は一緒に帰ったのか?」
「んん? ……そうね、三人一緒に部室を後にしてたし。三人で帰ったんじゃないかしら」
「そうか……」
考え込む俺をハルヒは訝しげに見遣る。まさに両手に花じゃねえか。古泉が憎らし……じゃなくて。
「ハルヒ、古泉のことなんだが。最近のあいつを見てどう思う?」
「どう、って何よ。本当は古泉くんと一緒に帰りたかったの?」
「そうじゃねえよ。あいつに何か変わった様子がないか聞きたいだけだ」
ハルヒは顎に指をあて、考える仕草を見せた。
「変った様子って言ったって……そうねえ、あえて言うなら……
なんだか最近、と言っても結構前からなんだけどね。考え込んでるような感じになってる時が何となく多い気がするわ。悩んでる、っていうかなんというか。悩みがあるなら相談してくれればいいのに」
その言葉を聞いて驚いた。悩んでるというのは間違いなく長門の事だとして、結構前ってことは、俺が気付くよりも大分前からハルヒは古泉の様子に気づいていたんだな。さすが団長様というかなんというか。古泉の気持ちまでは気付いてないみたいだが。
「で」
ハルヒがニヤリと笑う。うげ。
「なんでそんなこと聞くのかしら。話さないとあんたの傘の所有権はあたしのものになって、あんたはびしょ濡れで帰ることになるわよ」
そう言ってハルヒは挑戦的な笑みとともに俺のネクタイではなく、持っている傘の柄を掴んだ。どうやら、俺が自らハルヒの好奇心の種を蒔いちまったみたいだ。こうなっては、恐らく言い逃れできる道は残されていない。ハルヒはやると言ったらやる奴だ。そして、その後ゆっくりと追求されるだろう。すまん古泉。殴るなら俺を殴ってくれ。
「ふーん、古泉くんが有希にねえ……」
「言っとくが俺にはそう見えただけで、確証はないぞ。あくまで俺の想像だ」
「分かってるわよ。……でも、いろいろと繋がったわ。確かに、古泉くんが考え込んでる時、よく窓際の方を見てるなーとは思ってたのよ。あの時は有希を見てたのね」
そう言うハルヒの表情は、他人の恋心に対する好奇心というよりも、純粋に団員を思いやるそれだった。
「いいんじゃない? 二人とも理知的というか、なんか雰囲気が似てるとこもあるしね」
「長門はどう思ってるかは知らんがな。しかしハルヒ、恋愛は精神病なんじゃなかったのか?」
「あー……言ったわねえ、そんなことも」
そんなこととは何だ、そんなこととは。
「だからと言って仲を引き裂こうとも好きになるのをやめなさいとも言いたい訳じゃないし。それにあの頃よりは、あたしもそういうものに対して少しは理解を示してるわよ」
「意外だな」
「何よ。感じ取りなさいよ」
感じ取るって……意味がわからん。
「あー、でもそうなると……みくるちゃんがかわいそうね……」
ハルヒはまるで独り言でもいうような調子で言った。
「は? 朝比奈さんがかわいそうってどういうことだ」
「! な、何でもないっ」
どうやら本当に独り言だったらしい、ハルヒの顔が真っ赤になった。
「おい、どういう意味だ。まさか朝比奈さんが古泉のことを」
「違うわよ! どうでもいいじゃないそんなこと……」
いや、よくない。場合によっては古泉をとっちめてやらなくてはならん。長門だけならいざ知らず、朝比奈さんまでなんて俺は絶対に許さんぞ。
「だから違うって言ってんじゃないこのバカキョン! もう知らないこのバカっ!」
そう言ってハルヒは傘から出て走り出した。バカって二回言いやがったなこんちくしょう。
「濡れちまって風邪引いても知らんぞ!」
「別に構わないわよバカキョン! それにあたしはあんたと違ってバカではないけど風邪なんて引かないから平気よバカ!」
バカって何回言う気だこいつ。
「ああ、そういえばあるんだったな。傘」
ハルヒはぴたりと立ち止った。
「……どういう意味よ」
「今日、朝から雨が降ってたんだぞ。まさかお前は濡れ鼠のまま学校に来たとでも言うのか?」
「ち、違うわ。……車で来たのよ、今日は。この雨だし」
ハルヒは再び走り出そうとはしない。俺はそのまますぐにハルヒに追いついた。
「ま、俺にとってはどっちでもいいがな。せっかくここまで入れてやったんだ。駅まではもうすぐだし、そこまでなら傘に入れてやるよ」
と言ってハルヒに傘を向けてやる。ハルヒはぷいとそっぽを向くと、
「……ふん、しょうがないわね。入ってあげるわよ」
再び俺の横で歩き出した。まったく素直じゃない奴だ。


「じゃ、ここまでだな」
「ええ。また明日」
俺の傘を持つ手はすっかりかじかんでいた。
「……傘、貸してやろうか? 持ってないなら」
「べっ、別にいいわよ。じゃあね!」
そう言ってハルヒは傘から出て、そのまま走り出しちまった。やれやれ、本当に傘無しで帰る気かよあいつ。
……ま、いいか。本当に風邪引かなさそうな奴だしな。
「かわいくねーな、本当に」
そう言って踵を返す俺のニヤケ顔は、傍から見たらさぞかし気持ち悪かったことだろう。



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