ハルヒと親父 @ wiki内検索 / 「母さんの数冊」で検索した結果

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  • 母さんの数冊
    ハルヒ:もう親父はあてになんないから、母さんの本をあげてちょうだい。  母 :本ねえ。あまり手元に残してないの。あげちゃったり、捨てちゃったり。 ハルヒ:特に心に残っているのとか、ないの?  母 :それはたくさんあるけど。そうねえ…… Gretchen Ward Warrenの“Classical Ballet Technique" Agrippina Vaganovaの“Basic Principles of Classical Ballet” Vera S. Kostrovitskayaの“100 Lessons in Classical Ballet The Eight-Year Program of Leningrad s Vaganova Choreographic School” Gail GrantのTechnical Manual ...
  • 親父さん、何読んでるの?(涼宮オヤジの100冊)
    ...ー『波止場日記』 母さんの数冊 Gretchen Ward Warren,“Classical Ballet Technique" Agrippina Vaganova,“Basic Principles of Classical Ballet” Vera S. Kostrovitskaya,“100 Lessons in Classical Ballet The Eight-Year Program of Leningrad s Vaganova Choreographic School” Gail Grant,"Technical Manual and Dictionary of Classical Ballet" 松本 秀夫『プロのためのわかりやすい中国料理』 水野 邦昭 『プロのためのわかりやすいフランス料理』 永作 達宗 『プロのた...
  • 親父と母さんの格闘
     「すまんが、これを預かってくれないか?」 「黄金(こがね)の指輪、ですか」 「月並みですまんが、母親の形見なんだ。なくすと困る」 「話し合いに行くのではなかったの?」 「そのつもりだし、『話し合い』で負けるつもりはないんだがな。少々ボキャブラリーが不足気味らしくて、すぐに刃物や拳で語り出す連中なんだ」 「『通訳』に同行しましょうか?」 「とてもあり難い申し出だが、ほら、あるだろ、命もプライドも両方が惜しいって状態」 「自信家ね」 「いや、バカなんだ」 「さっきのはプロポーズじゃなかったの?」 「そのつもりだ」 「じゃ、指輪はあなたがはめてください」 「お、おう」 「約束です。無事に帰っていらっしゃらない時は、連れ戻しに行きますから」 「ああ。善処する」    ● ● ●  「なんの用だ? おれはもう行員でもなけりゃモサドでもない。ああ、あんたら...
  • やつは大変なものを盗んで行きました
    オヤジ 母さん、あれは何だ? 母さん ハルですか? キョン君とケンカしたんですよ。 オヤジ ふーん、ケンカするのか、あいつら。 母さん そりゃもう、しょっちゅう。 オヤジ 相手を「甘噛み」するのは、ケンカと言わんぞ。 母さん じゃあ、じゃれ合いかしら? それとも、ちちく……。 オヤジ ごほん、けほん。 母さん お父さん、風邪ですか? オヤジ 引いたことないんだけどな。……なんとかとバカ親父は風邪を引かないらしい。 母さん 今年は新型だそうですから。……あら、慰めにいくの? オヤジ そうじゃない。バカ娘が抱きつぶしてるクッションを救出に、な。 母さん がんばってね。 オヤジ やい、こら、そこの娘。 ハルヒ ……なんか用? オヤジ 頭の中はシンプルなのに、外に出てくるまでがややこしいんだよな。ったく。 ハルヒ 用がないなら、どっか行って。あんたを相手する無駄な力はないの。 オヤジ 泣...
  • ハルヒのピアノ
     ピアノ? ああ、それは母さん。なにしろ、バレエとピアノで根っこができてる人だからね。  習った、というより、遊びね。砂時計がピアノの上に置いてあってね、それを倒して、3分間、一人で弾くの。  最初は曲にも何にもならないわよ。でもピアノの鍵を叩けば、とにかく音は出るでしょ。最初はそれで十分楽しいわけ。デタラメに叩いて、デタラメな音でね。  3分間が終われば、次の人の番。あたしが最初なら、次は母さんね。母さんも何か3分間だけ弾くの。それはうっとりするようなきれいな曲だったり、ただあたしが叩いたのをそっくり真似したりとか、いろいろだったけど。  母さんが真似するあたしのデタラメを聞いてたら、嫌になるじゃない。だから、あたしも母さんみたいにきれいなのが弾きたいと思うようになったわ。  でも教えてといっても、笑ってるだけでね。ほら、ハルの番よ、って。で、自...
  • 恋文たち
    ハルヒ 親父、母さんってそんなにもてたの? オヤジ ああ。おまえだって、おれの遺伝子が入ってさえなけりゃ、いまごろ逆ハーレムだぞ 。 ハルヒ なにそれ? 意味がわかんない 。 オヤジ 涼宮のDNAには、どうやら人をイライラさせる遺伝子と、ハラハラさせる遺伝子が入ってるらしい 。 ハルヒ あほらしい。母さんに聞いてくるわ 。 ハルヒ 母さん、すごくもてたってほんと? 母さん どうかしら? 確かにお付き合いした人は多いけど。今でもお手紙をやりとりしてる人もいるしね 。 ハルヒ ええっ、そうなの? 母さん 今では立派になってる人も、妻子持ちの人も、いるわ。私信だけれど、愛する娘に見せる分には大丈夫ね、きっと 。 ハルヒ げ、この人、知ってる。こっちも結構、有名 。 母さん あら、お父さんだって昔、どこかのアフリカの大統領に気に入られて、切手になる...
  • 涼宮ハルヒの特訓
    母さん どうしたの!ハル、その格好? ハルヒ 知らないおっさんに捕まりそうになって、気持ち悪いから、頭突きして逃げてきたわ。あと、おっさんの車のナンバー、覚えてるわ! 母さん まあ、大変。ケガはない?どこか痛いところは? ハルヒ ない。おでこが少し痛いけど。 母さん どれどれ、ええ、大丈夫みたいね。無事でよかったわ。でも、どうして頭突きにしたの? ハルヒ 最初ぼかぼか殴ってやったんだけど、そんな小さな手じゃきかないな、って言われたんで、もっと重くて大きなもの、と思ってアタマを思いついたの。 母さん まあ、そうなの。……んー、ハル、まだ元気あるかしら? ハルヒ もちろん、あるわ! 母さん じゃ、ちょっと『特訓』しましょう。お庭にいらっしゃい。母さん、そのおじさんの車のナンバー、警察に電話しとくから。 ハルヒ ね、ね、『特訓』って何するの? 悪い...
  • 親父さんと谷口くんエピローグ
    親父さんと谷口くん5から オヤジ 母さん、ちょっと頼みがあるんだが。 ハル母 なんですか、お父さん。 オヤジ 今から、谷口ってのが戦勝報告にくるらしい。まえにハルキョンも連れて、初デートを覗きにいった奴がいたろ? もう3ヶ月経つが、うまくいってるんでお礼方々伺いたいんだと。 ハル母 礼儀正しい方ですね。ハルヒと中学から同級の人でしたね。 オヤジ うーん。やっぱりうちのバカ娘は育て方を間違えたか? ハル母 あれでも、外ではちゃんとしてるみたいですよ。 オヤジ 粗暴なのは親父限定か。あ、それでな。男女別々に話を聞こうと思うんだが。 ハル母 そうなの? じゃあ、彼女さんにはお茶の用意を手伝ってもらいます。 オヤジ 頼む。親父の道楽に付き合わせてすまんな。 ハル母 ふふ、何をいまさら。それに楽しいことじゃないと私も付き合わないわ。 谷口 おじゃまします! 彼女 あの、失礼しま...
  • 捨て猫と会った日のこと
    ハルヒ あ、猫だ。 オヤジ うむ。捨て猫らしいな。 ハルヒ ほんと、捨ててあるの?……ここは人道的配慮から、あたしが拾ってて、うちで飼うわ! オヤジ ハルヒ、猫が死ぬところを見たことがあるか? ハルヒ え? ううん、ない。 オヤジ 質問を変えよう。猫が死ぬとこが見たいか? ハルヒ そんなの見たくないわ。 オヤジ だったら、そいつに手を出すな。 ハルヒ な! なんで? どうしてよ! オヤジ 言って欲しいか? そいつはもうすぐ死ぬからだ。 ハルヒ え……。 オヤジ 随分弱ってる。もうミルクどころか水も飲めないだろう。 ハルヒ そ、そんな! 親父、なんとかして! たまには役に立ちなさい! オヤジ じゃあ、死ぬときまで、おれが責任持って見ててやる。それでいいか? ハルヒ そうじゃない! 助けなさいっていってんの! あんた、それでも人間? 血も涙もないの!? オヤジ 涙ぐらいいくらでも流せる。血も誰...
  • 子犬の恋
    ハルヒ ねえ、母さん。初恋って実らないのかな? ハル母 そうでもないわ。 ハルヒ そう? ハル母 お父さん、母さんが初恋だったそうよ。 ハルヒ 悪いけど、あいつの言うことは信用できない。 ハル母 いつもふざけてるし、たちの悪い冗談も言うけど、基本的にはいい人よ。 ハルヒ たちが悪い、と分かってるなら、少しは止めて。 ハル母 母さんも嫌いじゃないもの、たちの悪い冗談。 ハルヒ 母さん! ハル母 そうそう、初恋の話だったわね。 ハルヒ うん。 ハル母 むかしむかし付き合った人にね、ぼくらの恋愛はpuppy loveだと言われたことがあったわ。 ハルヒ puppy love? 子犬(puppy)の恋(love)ってこと? ハル母 “intense but relatively short-lived love, typically associated withadolescents”、若い人た...
  • 一人旅に必要な事 エピソード4
    参観日 (登場人物) キョン:バツ1。前妻と離婚後、ハルヒと結婚。 アキ:キョンと前妻の子。連れ子。ハルヒに懐いてる。 ナツキ:キョンとハルヒの子。 オヤジ:ハルヒの父、アキ、ナツキの祖父 母さん:ハルヒの母、アキ、ナツキの祖母。 オヤジ アキの参観日? ハル母 そう。 オヤジ 母さんが俺にその話をするってことは、あいつら忙しいのか? ハル母 ありがたいことにね。 オヤジ キョンが無職だった頃は一日中一緒だったからな。で、母さんが替わりに行くのか? ハル母 ふふふ。 オヤジ ……何故だか、母さんの考えてることが分かる。 ハル母 長年連れ添った夫婦ですもの。『参観日』って、おとうさんにとってはレア・アイテムでしょ? オヤジ 仕事が忙しかったし、ハルヒが死ぬほど嫌がったからな。 ハル母 それだけじゃないですけど。 オヤジ はて? ハル母 お父さんのことだから、自分のしたことは忘れ...
  • 留守番(二人は暮らし始めました)
     「……ハルヒ?」  手が隣が居る誰かを探していた。  気が付いて、目が覚める。 「そうか。あいつ、帰ってたっけ」  あの親父さんがインフルエンザだとかで、「タダでさえ体の弱い母さんにうつしたら大変」だからと、親父さんは一室に隔離され、食事を出したり着替えを出し入れしたりをハルヒがやることになった。 「おまえにうつったら意味ないだろ?」 「あたしはそんなマヌケじゃないわ。親父のタミフルひったくって先に飲んでおくから。親父? タミフルなんかに頼らず気合で治させるわ。この暮れの忙しいときに呼び付けるんだから、それぐらい当然よ。それにタミフルの服用は、症状は劇的に改善するけど、治癒についていえば平均で1日だけ治りが早くなるくらいの効果しかないの」  あわれ、親父さん……。  あいつと暮らし始めて、8ヶ月。  のべつまくなし、ほとんどあらゆる時間を一緒に居...
  • 化粧
    「キョン、今のメイクは、目元ぱっちりが基本だ。くちびるも眉も薄い淡い色をつかって、マスカラは2つ高いのにしろ」 「いや、貴重な情報なんですが、役立てる術がなくて。だいたい、あいつはあんまり化粧とかしないし」 「だ・か・ら、おまえに言ってるんだ」 「いや、だったら、なおさら、おれなんかが言っても……。いつも不思議に思うんですが、どこでそういう情報を仕入れて来るんですか?」 「これはという美容部員を見つけたらお茶か食事に誘う。簡単だ。季節が変わる毎にやってるから、更新も怠りない」 「……谷口がナンパを習いに行ってると聞きましたが、本当でしたか」 「ああ、バカだが根性のある奴だ」 「……お母さんも、化粧っ気ないですよね?」 「母さんはいいんだ」 「親父さん」 「お、キョン、反論か? 受けて立つぞ」 「……うちにも妹がいるから分かりますが、基本的に女の子は母親の化粧品を悪戯す...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その1
    ハルヒと親父2 ー おとまりから 親父 ハルヒ、悪いが、次の土曜の夜、空けておけ。 ハルヒ 悪いがって……、親父、悪い事でもするの? 親父 するか!あとキョンも呼んどけよ。 ハルヒ いったい何なのよ? 親父 1周年だ。 ハルヒ 何が? 親父 おまえらが初エッチしてから。 ハルヒ は? え? って、何で知ってんのよ! 親父 バカ娘、語るに落ちるとはことのことだ。親父を舐めるな。あと言った本人が傷つくようなことを言わせるな。 ハルヒ 勝手にそっちが言ってたんじゃないの! 親父 ああ、そっちじゃない。知り合いの店が1周年なんだ。ほんとは1年前に連れてくはずだったんだが、予定がかち合ったな。 ハルヒ って? あ、母さんが前に言ってたような。あたしが生まれたとき、お祝いもらった? 親父 ああ。今はその娘が継いでるんだがな。 ハルヒ わかったわ。空けとく。 親父 いい心がけだ。そういう娘には...
  • ハルヒと親父2その後 一周年 その3
    ハルヒと親父2その後 一周年 その2から  朝が来たのは分かった。  おれの精神(こころ)及び肉体(からだ)は、まだ完全には覚醒しておらず、周囲の状況を把握するには至ってなかった。おれの右手は、そこにいるはずの誰かを無意識に探していたが、成果ははかばかしくなかった。それで、人の気配を感じたとき、おれの肺は空気を喉と口蓋に送りこみ、この世のものとは思えぬ音を出すという失態をやらかした。だが音の方がしでかしたことは、よくよく考えればはるかにマシで、更なる大問題は音声信号の内容の方だった。 「ん……ハルヒ?」 「残念。はずれ」  この似ているが確かに違う声について、脳髄が前頭前野と側頭野と海馬に鞭を入れ、最高速度の検索を要求する。結果:この声は確かに・・・ 「って、ハルヒのお母さん!」 「おはよう、キョン君」 「お、おはようございます!」 「誰かお探し?」  ハルヒの...
  • ダンス・ダンス・ダンス
    「あれ? 母さん、めずらしいね」 「そう?」 「うん。新聞の切りぬきなんて」 「ええ、知ってる人がね」 「ふーん、出てるの?」 「訃報なの。昔の知りあい。ピアノの学校でね……ん?」 「母さん?」 「そんなに心配かけるような顔してた? 母さんも修行が足りないわ」 「そんな修行はしなくていいわよ。たまには心配ぐらいさせなさい」 「ありがと。ほんと、ハルはいい子に育ったわ」 「な、なに、言ってるのよ」 「うん、かわいい、かわいい。……ハル、夕飯頼めるかしら? 炒めものでないとありがたいわ。小鉢は2種類、ごはんは炊きこみごはんがうれしいかしら」 「わかった。……聞いていい?」 「ええ」 「その人、そんなに親しい人?」 「そうね、ピアノの学校で知りあった親友の……元旦那様。ちょっとは名の知れた人よ。一人で亡くなられたそうだから、それでちょっとね」 「パーティ...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その6
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その5から 「ところでキョン君、鹿撃ちにいかないか?」  次の日の朝。  俺たちが宿泊したコテージのベランダにでかいダイニング・テーブルを引っ張り出して、4人で朝食をとった後、コーヒーを飲みつつ、親父さんは、その気楽な格好のように、気楽に言った。 「今、なんと?」 「こんな小島に、鹿なんてでかいものが生きていける生態系がないでしょうが」  と突っ込むハルヒ。 「ではキョン君、カジキマグロを釣りに行かないか?」 「それはどこの港町ラハイナよ!」  と突っ込むハルヒ。 「ではハルヒ、キョン君はもう食ったのか?」 「ぶっ!ごほごほ」  と咳きこむ俺。 「このエロオヤジ!どうしてあたしに聞くのよ!こっちに先に来くのが筋ってもんでしょ!」  いや、それも筋が違うぞ、ハルヒ。それにその話題を引きずり戦線を拡大すると、このSSが...
  • 雪洞の親父
     「あ、キョンか? 親父だ。しくじっちまった。ああ、俺の方はピンピンしてるが、バカが一人、足首をひねってな。おれの見立てじゃ骨まではいってない。今夜は腫れるだろうが、周りは雪だらけで冷やすものには事欠かん。今か? スキー板ででっかい雪胴を掘った。その中にいる。雪は断熱性も遮音性も抜群だからな、中は静かなもんだ。天井もちゃんと滑らかにしたし、壁の下には溝を掘ったから、溶けた雪が垂れて来て悩まされる心配もない。で、用件だ。ついさっき、母さんの携帯にGPSのデータを送った。だが、おれのカンだと、2、3日、低気圧が居座りそうだ。となると、母さんの能力は半減だ。すまんがサポートしてやってくれ。バカと話すか?」 「早く貸しなさい! ……キョン? 親父が大げさなこと言ってたけど、あたしは全然平気だから、あんたはつまんない心配はしないように。この通り、ピンピンしてるわ。この歳で親父とビバークするとは思わ...
  • できちゃった 外伝ー教材仁義
    オヤジ 母さん、今ちょっといいか? ハル母 ええ。なんですか? オヤジ 南朝・梁(502 - 549年)の武帝が、周興嗣に作らせた千字文(せんじもん)というのがあるだろ。東アジアじゃ各地で子供に漢字を教える初級テキストになった長詩だ。 ハル母 敦煌でも手本や習字した断片が出土したそうですね。日本でも寺子屋で使ってたのかしら。 オヤジ ああ。だが今の人間には少々難しいから、石渡明という人が、小学校学年別漢字配当表にある字を使って現代っ子向けにつくった「平成千字文」というのがあるんだ。それを筆で書いてみた。あいつらに送ろうかと思ってな。 ハル母 相変わらず、いい字ですね。王羲之とまではいかなくても。 オヤジ あっちは空前絶後の書聖、こっちは親父の手習いだ。 ハル母 アカザキさんとマサカドさんが「イメージと違う」と言ってらしたわ。誰も読めないような筆跡にちがいないと思ってたのに、って。 ...
  • 親父抜きの大晦日
     「……ねえ、母さん、親父は?」 「やっぱりダメみたいね。向こうもすごい雪で、とても飛行機飛びそうにないって」 「まったく。年越しを何だと思ってるのかしら」 「お父さんも残念そうだったわ」 「あ、あたしは別に……」 「そうそう。ハルヒには謝っといてくれって、お父さんが」 「たまには殊勝なこと、言うわね」 「それから、『手は打っておいた』って。心当たりある、ハル?」 「……ない。……でも、すごく嫌な予感がする」 「母さんも、嫌な感じはしないけど、そろそろ誰かやって来そうね。お湯を沸かすわ」 「ハルヒっ!!」 「な、なによ、今の? って、キョン!?」 「息切れしてる声、走ってきたみたいね。ハル、早く行ってあげなさい」 「キョン!……あんた、いつから雪だるまと縁続きになったのよ!?」 「は、ハルヒ、無事か?」 「無事も何も……って、親父の奴ね!」 「ああ、親父さん...
  • そのとき親父書きは何を思ったか(その1)?
    みじかいやつ(1シーン、会話もの)の場合 (→このあたりの作品)  親父書きの場合、だいたい台詞の数行から十数行が最初に頭に浮かびます。  それで完成すれば言うことはないのですが、さて、そこからオチに持っていくのが一苦労かといえば、会話だし、適当なところで切ってやればいいや、とお気楽な考えを抱いているので、なんというか適当です。  読んでいて楽しいように、もといつらすぎないように、適度なくすぐりやボケを入れようとは思いますが、そこは親父さん、ほっといても何かやらかしてくれます。  むしろ親父さんなりハルヒなりが突っ走りすぎないように、それだけを考え祈っているような気がします。最終手段は、ジョーカーたる母さんの登場&とどめ、ですが。  ただ最初に思いついたときの、会話する二人の間で共有される空気みたいなのが、伝わればいいなと、そちらが一番意を尽くすところで...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その2から  そんなこんなで、出発当日。  ハルヒから電話をもらった俺は、パッケージング・バイ・ハルヒのトランクを、俺の部屋から玄関へと運び、その到着を待っていた。  ほぼ予定時刻に、すでに涼宮家を満載したライト・バン型タクシー(?)が、うちの家の前に到着した。 「いわゆる空港行きの乗り合いタクシーだ。予約している飛行機の便を連絡しとくと、タクシー会社が調整して、ドア・トゥ・ドアで送迎してくれる。今日は、おれたちだけみたいだが」  とハルヒの親父さんが、運転手に代わってそのシステムを説明してくれる。 「それじゃあ、行ってくるから」  と家族に、特に妹に、言い聞かせるように旅立ちの挨拶をする。 「ご迷惑かけないようにね。涼宮さん、お世話になります」 「こちらこそ。無理を言ってすみません」 「いえいえ、うちの馬鹿息子は、本当にハルヒ...
  • 親父の臨終
    母  お父さん、あと何か言いたいことはありますか? 親父 プロポーズのこと覚えてるか? 母  ええ、もちろん。 親父 俺と同じくらい長生きしてくれ、って言ったっけな。 母  こんなおばあちゃんになるまで生きられるなんて誰も思わなかったわ。お父さんのおかげよ。 親父 俺が死んでも、合わせなくていいぞ。2倍ぐらい長生きしてもいい。 母  一人でさびしくないんですか? 親父 娑婆がにぎやか過ぎた。さびしいってやつを思いだすのに時間が必要だ。 ハルヒ にぎやかさの半分は、親父のせいでしょ! 親父 あとの半分はおまえだ。なあ、キョン、おまえもそう思うだろ? キョン はい。 親父 あとは頼むぞ。といっても、こいつら勝手になんとかするからなあ。 キョン ええ。 親父 ああ。最後にかっこいいこと言って死のうと思ってたんだがな。 ハルヒ いいわよ、最...
  • 親父抜きの大晦日その後
    親父抜きの大晦日から   「……ハルヒ」 「何よ?」 「……風呂のおかげで、生き返った」 「たいがいにしなさいよね。本当に死んだらどうすんの!?」 「ああ、すまん」 「あんたは助けに駆けつけたつもりだろうけど、そうなったのは全部あのバカ親父のせいだけど、力つきたあんたを発見するあたしの身にもなりなさい!」 「すまん。あやまる」 「わかったら、さっさと着替えなさい! 風邪引くわよ!」 「ハル、パジャマ、出してあげた?」 「出したわよ」 「サイズはどうかしら?」 「一寸の狂いも無く、ぴったりよ」 「これ、親父さんのじゃないよな?」 「ぜんっぜん違うわ」 「よかったわ。キョン君がいつ泊まりに来てもいいようにと買っておいたの。さすが、ハルの採寸ね。本当にぴったり」 「採寸って、おまえ、そんなことしたか?」 「覚えてないなら、忘れてよし! いいえ、ぜひ忘れな...
  • オヤジラジオ その4
    オヤジラジオ その3から ハルヒ それ、どういうこと? じゃあ、発信機を探しだせても、何にもならないの? キョン そういうことだ。 ハルヒ ちょっと、キョン、どうすんのよ!? キョン ハルヒ、落ち着け。 ハルヒ って、あんたは何でそんなに落ち着いてんのよ!? キョン ハルヒ、これって、いろいろ周囲を巻きこんで多少傍迷惑ではあるが、要するに、お前と親父さんの親子ゲンカだろ。 ハルヒ う、うぐ。た、確かに、そう言えなくもないけど。 キョン だから、だ。俺たちが背負ってるのは世界の破滅でも、誰かの不幸でもない。相手は超常現象でも不条理でもない。いくらか常軌を逸しているが、親父さんの悪知恵と悪戯心に勝てばいいんだろ。 ハルヒ ぶっちゃけ、そうよ!  キョン だったらな、ハルヒ、おれたちは多分、答えの鍵をすでに手にしてると思うぞ。 ハルヒ どういうこと? キョン それも、後でなんで気付かなか...
  • できちゃった その1
    親 父 できたって何が? ハルヒ 子供よ! 親 父 どこの?だれの? ハルヒ あたしとキョンの、に決まってるでしょ、バカ親父! 親 父 おまえらが最初にうちに来たのが×月×日だろ。ちょっと待て、計算が合わん。 ハル母 お父さん、それは計算が合わないというより、前提が少し違うと思うわ。 ハルヒ これからはあたしたちだって親なんだから、親ってだけで威張らないでよね。 親 父 母さん、こいつの言う理屈も変だと思わないか? ハル母 後で話しておくわ。本題に戻りましょう。 親 父 いいとも。で、おまえら、これからどうするんだ? ハルヒ 一人っ子だとさびしいから、男女同じ数がいいわね。あたしもがんばるから、あんたもがんばりなさい、キョン! 親 父 母さん、こいつ、大丈夫か? ハル母 お産は大変だから、ハイになる脳内物質が出るそうだけど。 親 父 お...
  • なれそめ
    男「どこかでお会いしましたか?」 女「いいえ」 男「では、記憶違いかな」 女「間違いなく」 男「自信たっぷりですね」 女「お気を悪くなさらないでください。ただ、一度お会いした方は忘れたことがありませんので」 男「それはすごい。どんなにくだらない人物でも?」 女「お話したくない方は会ったことも忘れます」 男「くしゅん! あ、失礼」 女「お風邪ですか?」 男「いや、ご婦人の前では、よく笑うのに失敗するんです」 女「たしかに笑うべきところでしたね」 男「誰にも話す訳じゃないんです」 女「え?」 男「いや、『どこかでお会いしましたか?』とか、笑うのを失敗する話とか」 女「ああ。でも、それを証明するのは難しいですね」 男「よく言われます」 女「よく言われてちゃ駄目ですね」 男「くしゅん。くしゅん」 女「笑っていただいても構いませんのに」 男「お気になさらず。そ...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その3
    涼宮ハルヒのリフォーム その2から  「すごい鍵束だな」 と親父さんは俺が持っているものを見て言った。 「マスター・キーってものがないんだそうです」 「扉ひとつに、ひとつずつか。よく、玄関の鍵がそれだとわかるな」 「ええ、これひとつだけ飾りが付いていて。残りの扉は、面倒なんで、昨日来た時に鍵は開けておきました」 「ふーん」  洋館内部の実測と点検は、てきぱきと進められた。  部屋の内側の形と面積を知るのが主な目的だったが、親父さんが指示を出し、巻き尺の端を持って俺を走らせる。軽口も冗談も休まないが、親父さんは判断が速くて正確で、たとえ間違っても「ああ、やっちまった」と認めるのも修正するのも躊躇がない。おかげで作業は驚くほど速く、それに気持ちよく進んだ。  親父さんは、俺が走る間にも、壁を叩いたり、床を蹴ったりしつつ、建物本体の具合をチェックしているみたいだっ...
  • ハルヒ先輩8
    ハルヒ先輩7から  こんな晴れ上がった日に、何だってんだ!?   《ハルヒちゃん、事故、○○総合病院》  3時限目の真っ最中、窓からさし込む日航の明るさと暖かさに、目覚めてはまどろみ、夢と現実の間を行ったり来たりしていた俺に、携帯が震えてメールがあったことを伝えた。家からだった。  電報みたいな文面を読み終える前に、おれはカバンを引っ掴み廊下に飛び出していた。  「ハルヒ!!」  病院の受付に、つかみかかるような勢いで尋ねて、教えてもらった病室に飛びこんだ。 「はいはい、手も足も首もついてるわ。お願いだから、泣かないで」  いつもの顔、やれやれといった声。……気付かなかった。手の甲で目をこすると、確かに濡れていた。 「ハルヒ、無事?」 「無事じゃないわね。足は捻挫ですんだけど、利き腕が折れたみたい。ほら、できたてのギブス。ああ、なんでこうなっ...
  • ハルヒとその母:共に居る理由
    「ねえ、母さん」 「なあに、ハル?」 「いまでも親父のこと、好き?」 「大好きよ」 「どうして?」 「そうね。理由なんて考えたこともないけど。あった方がいい?」 「んー、本当に聞きたいのはそういうことじゃない気もするんだけど」 「そう。でも真面目に考えてみるわね」 「うん」 「お父さん抜きの毎日なんて考えられないわね。もちろんハルもだけど」 「うん」 「でも、どちらかが先に死ぬことになるわね、多分。そのことを考えると悲しくてたまらないけど」 「別れたら悲しいから、いっしょにいるの?」 「ちょっとへんな感じね。どこかで間違ったみたい」  そう言って母さんは、ちょっと映画みたいに肩をすくめた。どこか儚(はかな)げなのは、病弱な体のせいばかりじゃないと思う。多分、何度も自分の死や家族との別れのことを考え尽くしたせいかもしれないと、その時のあたしは思った。  「とにかく一緒にいたいの。そしてい...
  • 朝食の情景
    オヤジ よう、キョン。早いな。 キョン あ、親父さん。おはようございます。 オヤジ なんか、おまえがうちで朝飯食ってても、不思議ともなんとも思わなくなったな。 ハルヒ 何がどう不思議なのよ? オヤジ おまえには父親の気持ちなんぞ一生分からん。 ハルヒ 当たり前でしょ! って、キョン、あんた何、胸に手をあてて考えてんの? オヤジ 朝食後のスピーチか? どうせなら聖書に手を置いてやれ。 ハルヒ つっこみどころが多過ぎて、一行に収まんないでしょ! 母さん ハル、ご飯食べて行くんでしょ。すわったら? ハルヒ ……はーい。……親父、覚えてなさい! オヤジ おれが何かしたか? ……キョン、真剣に答えなくていいぞ。 ハルヒ 母さん、おかわり! オヤジ おまえは芸人か!? もっと味わって食え。 ハルヒ 事は一刻を争うの! 一秒一秒を真剣に生きてたら、そんな悠長なこと言ってられないわ! オヤジ ずーっと、ふ...
  • かなしいうた
    母さん ハル、考えごと? ハルヒ うん。 母さん 昨日はキョン君とデートだったんでしょ? ハルヒ デートじゃないわ。二人で出掛けて、街の中歩いたり、買い物したり、帰りにちょっとカラオケに行っただけよ。 母さん それにしては、浮かない顔ね。かといって悩んでるわけでもなさそうだし。 ハルヒ だから、まさに「考えごと」よ。 母さん そうなの? ハルヒ キョンってあんまり歌がうまくないの。音痴って訳じゃないけど、淡々としすぎてるというか、情感がこもってないっていうか。ついでにレパートリーもそんなに多くなくって、いつも決まって歌う曲があるの。それを、いつものように、昨日も歌ったんだけどね。 母さん ええ、それで? ハルヒ ううん、昨日はそれだけ。何かあったのはさっきよ。めったに聞かないラジオをつけたら、昨日、キョンが歌った歌が流れてきたの。本物のが。曲も歌詞も自分で書く人みたいね。ものすごく悲しい歌...
  • ハルヒと親父1
    「なによ。ずいぶんとご機嫌ね?」  カーペットに寝転んでTVを見てるのは親父。いい大人が日曜の朝からアニメ見ておもしろい? 「そうとも。気分がいい。だが、お前には負けそうだ」 「どういう意味かしら?」 「年頃の娘の幸せそうな姿を見るのは親冥利に尽きるが,男親としては寂しさに悲しさが添加されるようだ」 「な・に・が・言いたいのかしら?」 「ハル、お父さんと遊んでいいの? 思ったより時間過ぎてるわよ」  と助け舟を出したのは母さん。どっちにとっての助け舟かしらね。 「ええ、うそ。やばい。じゃ、行ってくるね」 「まて娘。行きがけの駄賃だ」  そういってバカ親父が何か放ってくる。と、と、と、キャッチ。え、あたしの携帯? 夕べ、居間でテレビみながらメールして、そのままだったんだ。 「心配するな。何も見てない。それから充電なら、しといた」  何も聞いてないでしょ! ……見てたら...
  • For piano four hands
    腕の腫れ、氷の癒しから 「ハル、もう筋肉痛はいいの?」 「すっかり全快よ! 今ならリストの超絶技巧練習曲どころか、ソラプジの超絶技巧百番練習曲だって楽勝よ!」 「うーん。ソラプジを楽勝で弾くのはソラプジ本人にも無理っぽいけど。それに100曲あるから、全部弾くと7時間以上かかるわね」 「で、母さん、やる曲は決まったの?」 「演奏したいのは、いくつかあるのだけれど。……そうねえ。ハル、ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』を、ラヴェルが連弾用に編曲したのがあるのだけど」 「母さん、前に一人で弾いてたことあったね」 「ボーウィックがピアノ独奏用に編曲した方ね。10本の指の限界に挑戦、みたいな感じだったけど」 「あれ、よかったわ。ちゃんとドビュッシーに聞こえたもの」 「ありがと。あなたに褒められるのが一番うれしいわ。私たちもドビュッシーに聞こえるかどうか、やってみましょう...
  • 嫁いだ日
    オヤジ 行っちまったか。 ハルヒ母 ええ。 オヤジ 騒がしい奴らだったな。 ハルヒ母 いなくなるとさびしくなりますね。 オヤジ 自分たちの住処を見つけて、越していっただけだぞ、母さん。 ハルヒ母 ええ。私たちもそうして一人立ちしたのよ。 オヤジ 今のあいつらよりは、歳くってたけどな。 ハルヒ母 今ごろになって、お父さんの気持ちが少し分かった気がするの。 オヤジ どの気持ちだ? ハルヒ母 「惜しくってたまらん。美人に育ちすぎたぞ」って。 オヤジ そんなこと言ったのか、おれ。 ハルヒ母 ええ。 オヤジ 馬鹿オヤジ、ここに極まれリ、だな。 ハルヒ母 そういうところも好きですよ。 オヤジ あいつらが出ていったら、犬でも飼おうかと思ったんだけどな。 ハルヒ母 そうなの? オヤジ だが、やめた。こんな気持ちは一度でたくさんだ。 ハルヒ...
  • ハルヒと親父2 ー おとまり
    「あのね、母さん。明日、映画見に行ってくるから」 「そうなの。じゃあ、シャンペン抜きましょう」 「な、なに言ってんの!?」 「あら、和風がよかった?お赤飯にする?」 「そんなんじゃないわよ!」 「そんなのじゃないって何が?」 「あう」 「ただ映画行くだけなら、わざわざ前日に言って行かないでしょ」 「それはその、5本立てオールナイトだから、帰るの次の日の朝になるし……」 「ゆっくりでいいわよ。朝帰りはかえって『お泊りしてきました』って言ってるようなものだし」 「……////」 「合宿のときは、平気で泊まってきたじゃない」 「あの時とは、ちょっと、事情が違うというか……」 「それだけ聞けば十分。あまり聞いても話したくなるだけだから聞かないわ」 「……うん。そ、それとね」 「お父さんでしょ? 明日、明後日と珍しく家にいるから」 「う、うん」 「心配いらないわ。母...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その8
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その7から  シャワーの音が止まった。  少し経って浴室のドアがゆっくりと開く。  俺はベッドの端に、そっちには背を向けて座っていた。 「スケベなこと考えてる顔ね」 「そんなことはない」 「だとしたら失礼な話よね」 こっちに近づいてきた奴が、後ろから俺の首に両手を回してくる。 「だいたい、うしろからじゃ見えないはずだろ」 「あんた、背中までポーカーフェイスのつもり?」 「ただの仏頂面だ」 「ホテルの最上階。二人っきり。邪魔が入る恐れなし。タオル一枚の美女が背中に体重をかけてくる。これで何が不足か、聞こうじゃないの?」  俺はゆっくりと口を開いた。 「子供の名前を考えてた」 「うっ。……なかなかやるわね」 「うそだ。最悪のタイミングで、ムードぶち壊しのことを言うことになるかもしれんが、この旅行ももうすぐ終わりだ。だから率...
  • ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その4
    ハルヒと親父3−家族旅行プラス1 その3から  飛行機は快調に空を飛び、涼宮ハルヒは俺の二の腕に盛大に頭をぶつけて眠っている。 「おい、ハルヒ。起きろ、飯だ、機内食だぞ」 「ん……あ?」 「どっちにしろ寝ちまうんだな」 「"What would you like, beef or fish? 」 「ああ、うん。……キョン、あんた、魚とお肉、どっちがいい?」 「ああ、肉にするか」 「Can I have the fish meal ? He says he d like to have the beef.(わたしは魚料理をちょうだい、彼は肉料理を食べたいそうよ)」 「いまさら驚かんが、英語もできるのか?」 「親父の持論だと、ハロー、プリーズ、サンキュの3つとクレジット・カードがあれば、どこへ行ってもなんとかなるらしいけどね」  ハルヒがト...
  • 親父抜きの大晦日その後^2
    親父抜きの大晦日その後から  「お、キョンか?雪だるまになったそうだな。悪いことをした。ノートパソコン? ああ、構わん。好きなのを使ってくれ。別に、MIKURUフォルダもHARUHIフォルダもないから、遠慮するな。あと、悪いことは言わん、NAGATOフォルダには手を付けるなよ。冗談だ」  おれは悪質な冗談を華麗にスルーし、借りうけたノートパソコンをキッチンに持ちこんだ。 「親父、OKしたの?」 「ああ、本を貸してくれ」  親父さんが断るとは全く思わなかったが、これくらいはOKしてもらわないと雪だるまが夢まくらに立つと思うぞ。  おれはネットで検索し、この小さな「フランス料理のバイブル」が、1902年にオーギュスト・エスコフィエが書いた、料理人の大きなバイブルである「Le guide culinaire ル・ギッド・キュリネール(料理の手引き)」という本を、弟子の二人が覚...
  • 銀行強盗
     「なあ、キョン。あいつら殴って来ていいか?」 「お、落ち着いてください、親父さん。他にも人質が居るし、犯人たちは全員武装してます」 「ちっ。だがどうする。このままでは埒が明かんぞ。……時間に間に合わんと事だ」 「た、確かに」 「あいつら、楽しみにしてたからな」  夕方には、ハルヒの母さんのバースディ・パーティが予定されていた。それ用に注文されていたケーキと七面鳥の丸焼きを取りに、親父さんと俺は派遣された訳だが、軍資金を降ろそうと立ち寄った都市銀行支店で、何の因果か捕われの身になっていた。  犯人は4人組。武装は全員、本物っぽく見えるサブ・マシンガン。うち一人は、名乗りを上げ威嚇するために、先ほど実際に乱射して見せた。  全員の携帯電話は没収され、待ち合いスペースの真ん中にまとめて置かれている。  男性の行員及び客は、みな後ろ手に縛られている。女性たちが窓際の椅子に集...
  • ホワイトデー
    母さん あ、ハル、おかえりなさい。 ハルヒ ただいま。……母さん、あれ何? 母さん ん?お父さん? ハルヒ おやじ、何してるの? 母さん さあ。よくわからないけど、ホワイト・デーの準備かしら? ハルヒ 毎年、不思議で仕方がないわ。義理でも、あれにチョコを渡す人の気が知れない。世の中、よっぽど変わり者好きが多いのね。 母さん 手近に不思議が見つかってよかったわね。 ハルヒ よくない! あれは不思議というより、ただの不気味よ。 母さん あれだけの量だもの、返すのも大変ね。 ハルヒ どこの新人王よ?アイドルよ?……母さん、聞き飽きたと思うけど、あんなののどこがいいの? 母さん どこといわれても……全部、かしら? ハルヒ 母さん、しっかりして! 母さん 飽きっぽい母さんが、これだけ一緒に居ても飽きないのだもの。それだけで、替わりは見つからないと思わない? ハルヒ 珍しいだけなら、ガラパゴスにいけば...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その1
    ハルキョン家を探す その5から  「あたしたち、幽霊屋敷に住むわ。SOS団のみんなも一緒よ!」  いやハルヒ、『前回までのあらすじ』を強引に一言で言ってしまえば、確かにそういう風にもまとめられるかもしれないが、それだと誰も安心も納得もできないぞ。  俺は、例の不動産屋の店主との出会いのいきさつから、ついさっき訪れた古い洋館のだいたいの部屋数まで、差し障りのなさそうな部分をかいつまんで話したが、それでも主賓クラスのスピーチの長さになってしまった。ハルヒの親父さんが「ジー・ジェイ」とかなんとか言ってた気がするが。  頃は合格発表の晩、ところは涼宮オヤジの縁が深い、俺とハルヒも再開店1周年の際に訪れたことのある洋館風のレストラン、主催俺の家アンド涼宮家、協賛SOS団と愉快な仲間たちでもって開催された「ハルキョン超合格宿がパーティ」(誰だタイトル考えた奴?)は、ハルヒと俺に...
  • 父の日のこと
    オヤジ 今日は父の日だな。 ハルヒ ……。 オヤジ 今日は父の日だな。 ハルヒ それが何? オヤジ おれはおまえの何だ? ハルヒ 親父。 オヤジ 親父とは父のことだ。 ハルヒ そうみたいね。 オヤジ ……。 ハルヒ ……。 オヤジ ……。 ハルヒ ……うっとうしい。何が欲しいのか、早く言いなさい! オヤジ 愛。 ハルヒ 他当たりなさい。母さんとか。 オヤジ 母さんにとって、俺は夫だ。父ではない。 ハルヒ 父の日は、1909年にアメリカ・ワシントン州在住のJ.B.ドット夫人が、彼女を含む子供6人を男手ひとつで育ててくれた父をたたえて、教会の牧師にお願いして父の誕生月6月に父の日礼拝をしてもらったことがきっかけになって始まったの。 オヤジ ……。 ハルヒ このお父さんも、子供たちが全員、成人した後、亡くなっちゃうんだけどね。...
  • 二人は何故レスリングなんかしてたのか?
    二人でドライブより 親 父 強くなりたい? そりゃまた、あまりに少年マンガ的な決意だな、カカロット。 キョン いや、ベジータに勝てるまで強くなくてもいいんですが。 親 父 ぶっちゃけて言うとな、キョン、人間は訓練で強くなったりしない。毎日、砂を叩いてこぶしを固くすることはできるだろう。経験から間合いをつかむコツを会得するかもしれん。だが、どれだけやっても、捨てるほど安い拳銃一丁持ったガキにかなわんし、複数人に襲われたらひとたまりも無い。まして誰かに襲われて、自分以外の者を守ったりなどできん。 キョン ……だからです。 親 父 ん? キョン 俺たちが何かそういう場面に出くわした時、ハルヒは俺を守って戦わなくちゃならなくなる。うまく言えませんが、俺があいつの足手まといになりたくない、というか。 親 父 なるほど。そういうバカップルな決意だったか。……いいだろ...
  • できちゃった その4
    できちゃった その3から ハルヒ母 どうしたの、ハル? 部屋の隅で膝なんか抱えて。アンニュイな雰囲気が出てるわ。 ハルヒ そんなの出したくない。 ハルヒ母 体育座りは、確かに妊婦さんにはお勧めではないわね。キョン君はどうしたの? ハルヒ オヤジにとられた。 ハルヒ母 あらあら。 ハルヒ 「進路指導」なんだって。何やって将来食って行くつもりなんだ、とか、なんとか。 ハルヒ母 そんなの『ハルヒの嫁、ハルヒの嫁、ハルヒの嫁』でいいのにね。 ハルヒ いや、いきなり、そこまでは私も割り切れてないというか、切り込めてないというか。 ハルヒ母 どんな風に働くかなんて、何のために働くかがはっきりしないと決められないでしょ? ハルヒ むー、オヤジも母さんも「出たとこ勝負400戦全勝」だからいいけど。 ハルヒ母 誰だって負けることはあるわ。でも大人は多少...
  • 親父の一番長い日
    親 父 おちつけよ、キョン。 キョン いや、大丈夫、大丈夫です。 親 父 まあ男は結局気をもむくらいしかできんけどな。 キョン 大丈夫、大丈夫。 親 父 おいおい。そんなに心配なら、ラマーズ法とかあったろ。中に入って手でも握ってやればよかったんだ。 キョン 「あんたがいたって役に立たないんだから」って言われて。 親 父 まあ、実際、そうだけどな。 キョン (ぶつぶつ) 親 父 まだ何時間か続くぞ。そんなに気を張ってたら、痩せこけて腹も引っ込んじまう。 キョン 大丈夫、大丈夫です。 親 父 時間つぶしに、何か面白おかしい話でもしてやろうか。たとえばあいつが生まれた日のこととか。 キョン ハルヒが? 親 父 あんときは、どっちか片方は死ぬとか、物騒なこと言われたなあ。 男  どっちか、あきらめろ? それが医者のいうことか! 医者 おまえだからいうんだ。このままだと両方が危険だ。 男 ...
  • 愛と運命についての対話
    ハルヒ ねえ、親父? オヤジ ああ? ハルヒ 母さんと出会ってなかったら、今頃どうしてる? オヤジ さあな。ロンドンの運河沿いの骨董屋で、外人だまして浮世絵でも高値で売りつけてるんじゃないか? ハルヒ つっこみどころもなく最低ね。 オヤジ 何故そんなことを聞く? ハルヒ ……いつか、自信たっぷりに「母さんと会ったのは運命だ」っていってたじゃない。 オヤジ 母さんにとっては災難だったかもな。だが、そういう「もしも質問」はあんまり意味がない。 ハルヒ 何でよ? オヤジ 母さんに出会う前と後とじゃ、世界が違っているからだ。 ハルヒ ……あんたねえ。 オヤジ ロマンチックな意味じゃない。いや、そういう意味が微塵もないわけじゃないぞ。 ハルヒ じゃあ、どういう意味よ。 オヤジ 今から二千年以上前の話だが、エピクロスという哲学者は、ものを見ることが...
  • 二人でドライブ
     居間でごろごろしながら携帯でネットを見ていると、母さんが声をかけて来た。 「ハル、午後、3時間くらい時間ある?」 「いいわよ。車でしょ? 買い出し?」 「悪いわね。キョン君はいいの?」 「それくらい離れて暮らした方が愛も深まるってもんよ!」 「あの……3時間だけでいいのよ」  最近、車の免許を取った。キョンと一緒にだけどね。  母さんも免許は持っているけれど、運転は得意でないらしい(大抵の事は何でもこなすのに、めずらしいこともあるもんだ)。  親父は、居れば居るでうっとうしいくらい構ってくるけど、普段は滅多に家にいることがないから、あたしが小さい頃を除けば、うちには車は無い期間が長かった。  で、免許取得と同時に、新車がやってきた訳。 「どうせ3分も経たないうちに、ぶつけてぺしゃんこになるんだから、紙製でいいぞ、紙で」 と親父はまた馬鹿な事を言ってたけれど、も...
  • 涼宮ハルヒのリフォーム その4
    涼宮ハルヒのリフォーム その3から リフォーム4  涼宮夫妻合作のツナキャベツ・サンドを食べ終えた後も、ハルヒと俺は、ひなたぼっこともおしゃべりともつかぬ何かをしつつ、庭の隅にあったベンチに腰かけていた。  ハルヒが会話を切って横を向き、俺もハルヒの顔から視線を外してそっちを見ると、気配を消してきた親父さんがすぐそこまで来ていた。 「おまえら、ほんとに仲良いな。離れ離れになったら、ダメダメになっちまうんじゃないか?」 「なるわけないでしょ」  いつものオヤジ・トークだ。声にもからかいの色が乗ってるし、口元もニヤリとしてる。ハルヒが適当に受け流して、それでいつものように終わるものだと思っていた。  ところが、今日に限って、親父さんは食い下がった。多分、ハルヒの返事の些細な違い、たとえば「おおきなお世話よ」と無視を決めこむのか、それとも今日のように明確な否定を...
  • 7月30日プロレス記念日
    ○7月30日 プロレス記念日  1953(昭和28)年7月30日、力道山が中心となり日本プロレスリング協会が結成されました。  力道山は1952年(昭和27)年2月3日、プロレス修行のためハワイへ出発します。  その後、アメリカ太平洋岸を転戦し、300戦295勝5敗の成績を残して帰国、同協会を設立しました。 キョン ハルヒ、おまえプロレスとか見てたか? ハルヒ あんまり。技覚えてオヤジに使っても、全然効かないんで、すぐに興味なくしたわ。小さいと、間接技も手足が届かないしね。 キョン たしかに、親父さんと闘うので、すでに腹いっぱいな感じだな。けど親娘ケンカで間接技はやめとけ。 ハルヒ 夫婦ケンカにはいいの? キョン (今この場で返せるツッコミにしてくれ!) ハルヒ それにあんまりテレビでやってなかった気がするけど。 キョン そうだな。むしろ俺たちの親の世代かな。 オヤジ お...
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