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死逢わせ



俺は強くあろうとする。
それがあいつとの約束だから。




「――――誰とも会わないなぁ」
「そうね……」
「あ、疲れたなら休憩します? 自分は構いませんが」
「いやいや、大丈夫だよ……早くレックスも見つけたいし」

稲垣葉月さんと会ってから一時間強経った。
あれからずっと歩き続けているので、さすがに葉月さんも疲れているだろう。
俺みたいなサッカーしか能がない人間とは違う。
体力には勿論差がある。
実は葉月さんが何かのスポーツ選手ですごいスタミナの持ち主かもしれない。
……それの可能性は低そうだけれどね。
肉つきがスポーツマンとは違った感じだ。
ごく普通の、一般的な女性と言ったところだろう。
ドがつくほどに平凡で平坦だ。

「……そういえば、もうすぐ市街地がありますからそこで休憩しましょう」
「いや、大丈夫だよ! 私はこれでも結構体力ある方だと思っているし」
「いいや、僕が疲れたので……実は結構長い間何も食べてなくておなかが減ってて」

葉月さんにもこれで了承を得れた。
……一応俺が言ったのは事実である。
元居た場所で、俺は弟を殺した。
その後、全力疾走と言っていい状態で走り続けたんだ。
そして今もずっと歩いていて、結構腹が減っているのだ。
運動するにはちょっと腹が減っている方がいいけれども、これは運動とかではない。
腹が減っては戦は出来ぬ――――いつでも最悪に備えないといけない。

「さぁて、そうと決まれば行きましょう……ん?」
「どうしたの? 翔君」
「ああ……いや、何でもありません」

少し違和感があったが、気のせいだったのか。
市街地から音が聞こえた――――ような感じがした。
普段だったならば何を言っているんだで済んだだろう。
だが、ここは殺し合いと言う場所だ。
下手に人と接触するのは好ましくない。

「……」

危険かもしれない。
いや、きっと危険だろう。
最悪を考慮して行かなければ、足元をすくわれる。
そう思いながら俺はただ市街地へ向かう道を歩き続けた。




「……ほー、こりゃあ面白いねぇ」

須牙襲禅は目の前の状態を見て笑っていた。
地面に飛び散っている血の跡。
何故か傍に転がっているタッパー。
タッパーに関してはよくわからないが、ここで戦闘があったことは明白だ。
血は若干乾いているため傍に人がいるかは不明だ。
だが、戦闘意思があるやつと戦って殺せると考えるとワクワクが止まらない。
童心に返るというのはこういう事を言うのだと須牙は実感した。

「照り焼きバーガーか……別に拾っておいて損はなさそうだな」

食糧はあるに越した事は無い。
そう思いながらバックに適当に放り込む。
他に武器は無いかと探したが、結局は見当たらなかった。

「――――まぁ、ここら辺にはもうなにもなさそうかねぇ……」

わざとらしく辺りをぐるりと見回す。
人がいる気配は特にないようだ。
家を一軒一軒探すのなんて面倒にもほどがある。
それよりはここから出て、新しい場所を探すのが一番だろう。

「さーてと、じゃあこの場におさらばと行きましょうか」

イングラムM11を片手に須牙はゆっくりと歩き出した。




街の入り口部分のような場所にまで俺達は来ていた。
人がいない事以外は異常がない市街地だ。
ただ俺は無言に街を見渡していた。

「……本当に、人がいないんだよなぁ」

目の前に突き付けられた現実を認める。
参加者以外に人はいなくなっているのだろう。
こうなってしまえば本当に警察はこの場にはいないのだろうか。
……まぁ、警察官を信頼できるわけはないけどな。
龍磨が苦しい思いをしてるのに動いてくれなかった警察なんか、信じたくない。
だからこの場は、俺達だけで何とかしてやる。
例え何があったとしても――――――――。



――――――――――――――――ダダダダッ



そんな事を思っていたら、最悪の状況が来てしまったようだ。
この音が何か、最初は分からなかった。
だが、足元付近を見て一瞬で理解した。
いくらかに分かれている焦げている痕跡。
そこからは少しだが煙が上がっている。
それに先ほどの音であった。

「葉月さん! 逃げてください!!」

俺は思わず叫んでいた。
相手がどれほど近くにいるかは分からないが、これほど連射できる銃が当たらないほどの距離だ。
葉月さんが逃げる程度の余裕はあるはずだ。
だが、葉月さんは逃げようとしない。

「ダメだよ! 翔君も逃げなきゃ……」
「甘い事を言わないでくださいよ! 貴方には恋人がいるんでしょう!!」
「でも、翔君だって……」
「――――俺のはどうだっていいんです、あくまで罪滅ぼしなんだから」
「……え?」

一部ではあるが、打ち明けた。
俺が隠していた事実を。
葉月さんに隠していた、『人殺し』の面を。

「悠長に話してる余裕があるのかい、お二人さんよぉ!!」

少し話している間に撃ってきたと思われる男がこちらに走ってきていた。
風貌はまるで獣の様だった。
着ぐるみでも着ているのかと最初は思った。
だが、そんな考えもすぐに打ち消されてしまう。
つきつけていたのは、銃だった。
距離は数メートルと言ったところまで迫ってきている。
もう避けようがない、このまま行けば俺と葉月さんは両方死んでしまう。
――――それだけは嫌だ。
何もできないまま死ぬのなんて御免だ。
だから俺は何も考えずに――――。



その男のところに飛び込んでいった。






結果論から話させてもらおう。
あ? おまえは誰だって?
そんな事はどうだっていいだろう。
良くないから言ってるんだって?
ああそうですかい、だったら自己紹介してやりますか。
俺は被検体01号と呼ばれている。
人無とか言うやつに『ジョーカー』を任された奴だ。
とは言っても俺にはそんな事をする気は一切ないがな。
人選ミスと言うやつだ、ざまぁ見やがれ。

さてと、じゃあ話を元に戻そうか。
俺がその状況に参加したのは少年が獣みたいなのに飛び込んでいった時だ。
傍から見ていれば何があったのかなんて理解不能だった。
その時の俺は、市街地から適当に治療用具っぽいのをかっぱらってきてたところだ。
医者の家なのかは知らないが、立派そうな用具がたくさん置いてあった。

理解出来てなかった俺だが、その後はっきりと聞こえた発砲音と鮮血を噴き出していた少年を見て俺は状況を理解した。
これは普通の状況ではない。
今まさに行われているのは、殺し合いだった。

「ッ、だらあああああああああああああああああ!!」

声を上げてその獣みたいな奴のところに突進する。
男は上に乗っかっている少年を蹴飛ばして俺の方を見た。
銃弾は残っているのかは分からない。
だが、このまま放置すれば確実にあの少年も傍にいる女性も死ぬのは目に見えた。

「チッ――――邪魔が入ったか……」
「邪魔で悪かったな……さて、そこのお嬢さん」
「…………」
「意識があるか分からないが、あるのなら俺のバックを貸す。
 その中には治療用具と説明書がたんまりと入っている。
 どうにかしてその少年を救え、わかったな」

バックをその女性のところに投げる。
それに反応した女性はすぐに少年を抱えて市街地の奥へと入っていった。
これで残ったのは二人となった。
一対一のガチンコ勝負と言う事だ。

「あぁ? テメェ首輪がねぇな……主催共の奴か?」
「ある意味そうともいうかもな」

ほぼ裏切ったようなものではあるが。
従ったふりして鼻を明かそうとしているんだからな。
もう主催側はクビになっていてもおかしくはない。
まぁ、あんな奴らはお断りだがな。

「ほぉ……ははは、イイネェ……面白くなってきたじゃねえか」
「別に俺は面白くもないんだけどねぇ…………」

なんか相手さんがヒートアップしてしまったようだ。
正直こちらとしてはここで戦うなんていうのは避けたいんだけどねぇ。
だけれども、やる時はやらなくてはいけない。

「……さぇて、じゃあ……行くぜぇ!!」

獣っぽい奴――――もう獣と言うか。
獣は早速銃弾を放ってきた。
それを全部避けれる訳はなく、限界まで体を硬質化して銃弾を避ける。
左腕や脇腹に銃弾を喰らう。
硬質化をしていたため銃創と言った傷まではない。
だが、痛みと銃弾の勢いは消せるわけではない。
それにわずかながらだが出血もある。
そう簡単に受けていては身が持たない。

「って、おいおい……今度は銃が効かない奴かよ」
「別に効かないってわけじゃないさ、俺が銃にちっとだけ強いってだけさ、こんくらいな」

親指と人差し指で輪を作り見せつける。
獣さんがそれでどう思うかは知らないが、これで逃げてくれるとありがたいのだが。

「――――はん、テメェ撃っても銃弾の無駄だ……ここは逃げておいてやるよ」

獣は笑うと住宅街から走って出て行ってしまった。
正直助かったが、またあいつと会う可能性はあるのだと思うと面倒になってくる。
そして戦闘と言うよりは一方的な殺害(未遂)っぽいのをされたところで思い出した。
先ほどの少年と女の人だ。
治療用具は渡したが、どこでやれとかまでは言わなかったし、言うわけない。
結果的にあの二人がどこにいるかなんてわからない。

「……だがまぁ、探すには探してやるか……あのバックの中には食料もあるしな、動いたら腹が減ってきやがった」

動いたと言ってもそこまで動いてはいないけれどな。
まぁ、味方は作っておいて損はないというやつだ。
とりあえず――――適当にここら辺の家を探しまわるか。


【C-6/市街地/一日目/午前】

被験体01号@新・需要無しロワ】
[状態]:左腕、脇腹からわずかな出血
[服装]:特筆事項なし
[装備]:鶴嘴
[道具]:なし
[思考]
基本:あいつの鼻を明かしてやるぜ。殺人は……あんまやりたくないな
1:さっきの二人を探してやるか
2:あの獣(須牙襲禅)とはもう会いたくねぇな
[備考]
※ロワ参加前からの参戦です
※ジョーカーの特権として、首輪を装着していません




「……これで、いいかな?」

近くの家に翔君を背負いながら入って、先ほどの男の人からもらったバックに入っていた治療セットでの治療が終わったころ。
かなりの出血に最初は恐ろしくて手が震えていたけれども、なんとか治療は終えた。
翔君の顔色は悪いものの、呼吸は安定してきた。

「……レックス、どこにいるのかなぁ」

こんな状況になり、思いだされるのは最愛の獣だった。
この場に呼ばれているのだが、どこにいるのか分からない。
もしかしたら、死んでしまっているかもしれない。
レックスが強いのは知っている。
だけれども、先ほどみたいに銃が乱射されたのを全部避けれるかと言われれば『ノー』だ。
もし、死んだのならば自分がどうなってしまうのかが怖い。
絶望して死んでしまうのだろうか。
でも怖い。
心を壊して人を殺していくのだろうか。
でも怖い。
死を乗り越えて生きようとするのか。
でも怖い。
どの道にも絶望しか待っていない気がしてならない。
どうしようもなく、絶望しか感じられない。

「――――まだ、諦めるには早いですよ」

そこで、目の前の少年が声を出した。
意識を取り戻したようで、弱く名がらも呼吸をして答えてくれた。
無理やりに体を起こそうとしているが、痛みによるものか起き上がれない。

「しょ、翔君……まだ治療したばっかりだから……」
「僕は大丈夫ですよ……それで、先ほどの話の続きですが、諦めるのは早いですよ。
 まだレックスさんは死んだとは言われていない、考えるのは知ってからでも遅くないですよ」
「でも、それでも……」
「怖いんですよね、それは僕も分かりますよ――――大事な弟をが死んだ時、感じました。
 いや――――弟を殺した時に感じました」

殺した、その言葉に私は驚いた。
先ほど言っていた『罪滅ぼし』の意味がこれだったのか。
翔君が弟を殺した、と言うのは私は聞いていない。
いや、言えるはずはないだろう。
「私は人殺しです」と言われて信頼されるだろうか。
絶対に信頼されないだろう。

「大事な人がいなくなるのは辛いですけれど、いなくなったと決まっていないのにくよくよしていたら何もできません。
 悲しんでつられて死んだりしたら、きっと大事な人嫌われてしまうと思います。 だから、僕は決めたんです、意地でも最後まで自分を貫き通すと」

翔君は笑いながら言った。
そうだ、まだレックスが死んだというわけではない。
きっと私を探し続けてくれてるに違いない。

「……うん、ありがとう翔君……元気が出たよ」
「どういたしまして……あー、眠くなったので僕は寝させてもらいます」
「あ、うん……おやすみ」

翔君はそのまますぐに寝てしまった。
呼吸はしているので死んでいるわけではないようである。
私も少しづつ、眠気が襲ってきた。
疲れていたからなのだろう。
急に襲われて、逃げて、怖がりながら治療した。
考えてみればかなり色々あった。
少しづつ少しづつ、私の意識は闇へと落ちていった。


【C-6/市街地中村家/一日目/午前】

浅倉翔@変哲もないオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:腹部に複数の銃創(処置済み)、失血(大)、睡眠中
[服装]:特筆事項無し
[装備]:サッカーボール@現実
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:この殺し合いを止める、もうこれ以上誰かを殺したくない
0:……
1:葉月さんと行動、レックスさんを見つける
2:凛に襲った事を謝りたい
3:狼……?
[備考]
※変哲オリロワ1話終了後からの参戦です
高原正封の容姿をほとんど見ていません、そのため獣人とは分かっていません
※須牙襲禅の容姿を把握しました、それに伴い獣人の存在を知りました

【稲垣葉月@新訳俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:右頬に切傷、精神的疲労(中)、睡眠中
[服装]:特筆事項無し
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3、被検体01号の支給品(基本支給品一式、栄養ドリンク(残り9本)、治療用具@現地調達)
[思考]
基本:レックスに会いたい、死にたくない
0:……
1:翔君と行動、凛君と言う人に会いたい
[備考]
※新訳俺オリロワ参加前からの参戦です。
※高原正封の外見と名前を記憶しました。
※須牙襲禅、被検体01号の容姿のみ把握しました。


ろく


「……ハッ、ここにいる奴らはどうなってやがんだ」

マガジンを交換しながら須牙襲禅は笑っていた。
普通この状況で笑っていられる人間は少ない。
いや、ほぼいないと言って過言ではないだろう。
銃を放とうが、ほぼ防がれる。
今のこの武器だけではまだ足りない。
そして、先ほどの奴をも倒すための武器がどこかにあるはずだ。
倒せない敵はいない、ここではそうなっているはずだ。

「まだまだ銃がどこかにあるかもしれねぇからな……さぁて、次はどこに行こうかねぇ」

逃げていた先ほどまでとは違い、須牙襲禅はゆっくりと歩き始めた。


【C-6/平地/一日目/午前】

【須牙襲禅@俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:健康
[服装]:特筆事項なし
[装備]:イングラムM11(32/32)
[道具]:基本支給品一式、イングラムM11のマガジン(2)、ランダム支給品×2、照り焼きバーガー入りタッパー@四字熟語ロワ
[思考]
基本:人を撃つ事を楽しむ。
1:市街地を歩いて回る。
2:化物みたいなやつは相手にしない。
[備考]
※ロワ死亡後からの参加です。
鬼一樹月天王寺深雪の外見のみ記憶しました。また、鬼一は死んだと判断しました。
※被検体01号を化物と判断、そしてそれに伴い被検体01号並の敵も倒せるもっと強力な武器があると判断しました。


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019:逆襲の時! 浅倉翔 070:失踪する思春期のパラベラム『ブリリアント・カタルシス』
019:逆襲の時! 稲垣葉月 070:失踪する思春期のパラベラム『ブリリアント・カタルシス』
041:何遍でも迷って、行き止まって 須牙襲禅 068:疾走する思春期のパラベラム『みんな大好き戦争』
032:1mmも負ける気がしない 被検体01号 070:失踪する思春期のパラベラム『ブリリアント・カタルシス』

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最終更新:2012年12月17日 17:58