結局の所、黒狼
レックスと少女
三瀬笑子は元いた病院に戻って来てしまった。
いや、とは言っても戻らざるを得ない状況になってしまったので仕方無いと言えるのだが。
レックスは腹に小銃弾を食らっていた。
今の所命に関わってはいないが、出血が無視出来ないレベルで、止血処置が必要だった。
「……笑子ちゃん、包帯巻ける?」
処置室の処置台の上に乗ったレックスが笑子に訊く。
レックスの前足で包帯を巻くのは至難の業なので、人間である笑子に巻いて貰うしかないのだが。
「……正直言うと、初めてですけど」
「グヘェー」
「へ、変な風にならないようにはします」
「ま、まあ、笑子ちゃんに頼むしかないから……頼むよ」
「はい、あ、一応消毒しておいた方が良いですよね……えーと」
笑子は薬品棚を漁り、消毒用のエタノールを取り出す。
レックスはとても嫌な予感がした。
「笑子ちゃん? あの」
「ちょっと痛いと思いますけど我慢して下さい」
「あっ、ちょ」
笑子はレックスの傷口にエタノールを直にぶっかけた。
「がああぁあ……あッ」
思わず悲鳴をあげそうになったレックスだったが、大きな声を出すのはまずいと咄嗟に声を小さく抑える。
時間が経って麻痺してきた痛覚が目を覚ましてしまい、知らず知らずの内に目に涙が滲む。
「すみません、すぐ終わります」
「ひぎぃいっ、い、い」
「こ、これで大丈夫かな? もう消毒終わりです」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
エタノールで濡れた傷口付近をガーゼで拭う笑子。
レックスはと言うと、先刻の時と言い、情けない姿ばかり見せている自分が段々嫌になってきていた。
葉月相手ならまだ良い、だが別の女性の前となると、余りへまをしている所は見せたくないのだが。
そして笑子は不慣れな手つきで包帯を巻き始める。
「あぎぃ!」
「あ、ごめんなさい!」
「優しくしてくれよぉ(´;ω;`)」
「……(可愛い)」
先刻の、
矢部翼と対峙している時とは打って変わって弱音を吐いているレックスを見て、
笑子は不覚にも可愛いと思ってしまった。
◆◆◆
黒狼が少女に治療して貰っている病院に、来訪者が現れる。
「はぁ……はぁ……」
憔悴の色が強く顔に滲み出る、
カインツ・アルフォード。
その背中に意識混濁状態の
古川正人、そして二人分のデイパックを持って長い距離を歩いている。
疲労しない方がおかしい。
ようやく、目的地である病院へと辿り着き、カインツの顔が僅かに綻ぶ。
「ここなら適切な治療が出来るはずだ……!」
急性アルコール中毒となった正人を救うために、カインツは疲労が蓄積し震える両足を動かし、
病院の中へと足を踏み入れる。
「……?」
カインツはある物を見付けた。
床に点々と血の跡が続いている。
まだ比較的新しい物で、一階フロアの奥へと続いていた。
自分達以外にも誰かいるのだろうか。
「いや、それより……!」
カインツは病院の案内図に目を通す。
正人を治療するには集中治療室でなければまず無理だろう。
そして集中治療室は二階にあるようだった。
一階奥へ続く血の跡も気になるが今は正人を助けるのが先決だった。
「正人君! 正人君! もう少しの辛抱だ、頼む頑張ってくれ!」
辛うじて呼吸はしているがもはや返事が無い。
非常に危険な状態だと言う事は深く考えなくても分かる。
カインツは気力を振り絞り、エレベーターへと向かった。
【A-1/病院エレベーター/一日目/昼】
【カインツ・アルフォード@オリキャラで俺得バトルロワイアル】
[状態]:疲労(極大)、背中に古川正人を背負っている
[服装]:特筆事項無し
[装備]:催涙スプレー
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品(1)
[思考]
基本:なるべく多くの人間と脱出
1:病院二階の集中治療室にて正人君を治療する。
2:正人君と行動、多くの人間と同盟を組む。
3:「取引」は守る。
4:危険にさらされたら、刺し違えてでも危険人物を止める。
[備考]
※俺得オリロワ参加前からの参戦です。
※古川正人と「取引」しました。
※
白崎ミュートン、酒々楽々、
愛崎一美の名前と容姿を記憶しました。
※病院一階に誰かがいると思っています。レックス、三瀬笑子の存在には気付いていません。
【古川正人@DOLバトルロワイアル2nd】
[状態]:急性アルコール中毒による意識喪失(応急処置済)
[服装]:特筆事項無し
[装備]:黒作大刀@俺得ロワ3rd
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品(1~2、刀剣類は無い模様)
[思考]
基本:今度こそ笑子を守る。
1:…………。
2:カインツと行動する。
3:笑子を探す。
[備考]
※DOL2nd死亡後からの参戦です。
※カインツ・アルフォードと「取引」しました。
※白崎ミュートン、酒々楽々、愛崎一美の名前と容姿を記憶しました。
※レックス、三瀬笑子の存在には気付いていません。
※カインツと古川の取引は、
1:カインツが古川に武器を貸す。
2:その代わり古川がカインツを守る。
3:怪我をした場合は医者としての力をカインツが古川に貸す。
以上です。
◆◆◆
「……?」
レックスの耳がぴくりと動く。
「どうかしましたか……?」
「……いや、何でもない」
(……誰か、男の声が聞こえたような気がしたが……気のせいか?)
本当に微かではあるが、男の声が聞こえたような気がした。
しかし本当に微かだったので何か別の音を男の声と聴き間違えた可能性もあった。
そのためレックスは気のせいだと判断した。
「あがっ!」
「ごめんなさい!」
「(´;ω;`)ウッ…」
【A-1/病院一階処置室/一日目/昼】
【レックス@新訳俺のオリキャラでバトルロワイアル】
[状態]:腹に銃創(現在応急処置中)、痛くて涙目
[服装]:特筆事項なし
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:殺し合いはしたくない、襲ってくる奴には容赦しない?
1:(´;ω;`)ウッ…
2:緑髪の女に警戒。
3:葉月は無事だろうか―――。
4:男の声がしたような、気のせいだろうか。
[備考]
※新訳俺のオリキャラでバトルロワイアル、開始前からの参加です。
※カインツ・アルフォード、古川正人の存在には気付いてません。
【三瀬笑子@DOLバトルロワイアル2nd】
[状態]:健康、不安
[服装]:特筆事項なし
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:正人に会うまで死にたくない。
1:レックスさんの手当てを済ませる。
2:正人――大丈夫かな。
3:私は死んだはずじゃ………?
[備考]
※DOLバトルロワイアル2nd死亡後からの参加です。
※名簿を確認していません。
※カインツ・アルフォード、古川正人の存在には気付いてません。
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最終更新:2013年04月23日 05:48