知久「まどか。さやさや、あんあん、まみまみって聞いたことがあるかい?」 その1

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知久「まどか。さやさや、あんあん、まみまみって聞いたことがあるかい?」

まどか「ううん? 何それ?」

知久「まどかはもう知らないか。見滝原にかつてわんさか生息していた種のことだよ。ほら、図鑑に載ってる。まどかが好物のほむほむと似ていたんだよ」

まどか「じゃあほむほむみたいに食べられたの? 『かつて生息していた』ってことはもう食べられないの?」

知久「確かに食べる事はできたけど、ほむほむほど広く食べられていたわけじゃないね。さやさや達はほむほむを主食としていたんだ」



まみまみ「ティロ!」バンッ

ほむほむ「ホブァッ!?」ドタッ

まみまみ「マミマミ♪」トコトコ

ほむほむ「ホッ……ホムゥウゥ――」


あぐあぐっびじぶしゅぅぅ



あんあん「アンアン!」ズバンッ

ほむほむ「ホムアッアァァァ!!」ベチャァ

さやさや「サヤサヤ!」ドスドスドスッ

ほむほむ「ホブッ!……ホッ……ホ」


ごきゅごきゅばりめぎくっちゃくっちゃっ



まどか「今は見かけないのはどうして?」

知久「ほむほむが美味しくて栄養豊富だっていうことは知ってるよね?」

まどか「勿論」

知久「実はね、専門家が調査した結果、ほむほむの体内に含まれる栄養素とうま味成分は、ここ数十年の間で数百倍に増えたという調査結果があるんだ」

まどか「す、すうひゃくっ? 一体どうして?」

知久「詳しい原因はわかっていないらしいよ。人間が品種改良したほむほむが野良に紛れた結果だとか、見滝原の緑化計画の影響を受けたとか。とにかく、ほむほむが美味しくなった結果、さやさや達は見かけられなくなったのさ」

まどか「ええー? 何それ?」

知久「栄養素というのは生き物に有用なものだけじゃない。例えばコレステロールだ。これもほむほむの含有量は同じく数百倍に増えている」

まどか「……あ、ひょっとして」

知久「そう、あんあん達がほむほむを食べると、あっという間にでぶになってしまうのさ」



まみまみ「マミミィ」ゲップ

まみまみ「――? マミミ――?」ミリミリミリィ


ボヨォン!!


でぶまみ「……マ、マヒ!? マヒィィィッ!?」デブーン



さやさや「サヤサヤ♪」ゲフゥ

あんあん「アンアン――アン?」グググ――

さやさや「キョーコ? ――サ、サヤッ?」メリメリメリ……


ボボン!!


でぶさや「サ、サハア!?」ドシィン

でぶあん「アンフォォ!?」ズシィン



知久「あんあんとさやさやがほむほむを4匹食べればでぶさや、でぶあんと呼ばれる体格に変化すると言われている。まみまみに至っては3匹ででぶまみになるらしい」

まどか「さやさや達ってそんなにほむほむを食べちゃうの?」

知久「ああ。あんあん達は一日で5~6匹、多いときには10匹のほむほむを食べていたという。さっきの量を食べてでぶ化するならあっという間だろうね」

まどか「それで皆おでぶになっちゃって、成人病になっちゃったとか?」

知久「病気とは違うね。いいかい、でぶ化したほむほむは肉付きが良くてほ食者に喜ばれる事があるけど、でぶ化した本人にとってはデメリットしか無い。まず動きが遅くなり、食料調達に支障が出る」



でぶさや「サハサハ!」ドスドスドス

でぶあん「アフアフッ!」ドシドシドシ

ほむほむ「ホムムー!」スタタタタタッ

でぶさや「サーハーサーハー……」ヨロヨロ

でぶあん「アフー……アフー……」ガクッ



知久「動きが鈍くなる、ということは逃げるのも遅くなるということだ。敵に見つかったとき、食べられる可能性も高くなる」

まどか「さやさや達にも天敵がいたの?」

知久「決まった天敵は居なかったらしいよ。けど、つがいになって子供が産まれたまどまどやほむほむに近づくと、容赦なく狩られたそうだ」

まどか「えっ、さやさや達はほむほむを食べてたんでしょう?」

知久「だからって常に負けたわけじゃない。子供を守ろうとする親は凄い力を発揮するんだよ。仔まど達を育てるには沢山餌を取らなきゃいけないしね」
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