第十八章-第二幕- 突貫作戦
勇者軍主力部隊は
レッド・ワイズマンMk-Ⅱの到着を確認するなり、
すぐに乗船。新たにイスティーム王を加え、
引き続きキョウカ王妃を護衛しつつ、
北上して
クルーズ・シティに近い陸地を直接目指した。
ドルカスの献策通り、実にスムーズに、かつ迅速に上陸した彼等は、
一気にクルーズ・シティ郊外にある
惑星アース国際平和機構本部の
建物を目指し、一気に突撃作戦を敢行するのだった。
「方角はこちらになります。お急ぎを!」
ユイナ王女の愛馬、
チトセに騎乗したまま、キョウカ王妃が言う。
「おう!」
全員、一斉に駆け出す。出来れば敵の大部隊に接触する前に
建物を目視するところまでは行きたかった。
が、勿論そう上手くいくわけもなかった。
「予想通り来たぞ! 通すな!!」
正面に敵の大部隊。推測するに数は三千名前後。
「勇者軍主力部隊は撃退するだけでいい! 我等のターゲットは
レイリア、エイリア両名とゼクウとかいうクローンの
ニンジャ!
それと奴等の連れている猫共だ! 集中攻撃をかけよ!!」
「怒」
怒りも露に、ゼクウがむしろ先陣へと斬り込む。
ラング=ユウキのクローンとして生まれた事を
悪し様に言われる事が許せないのであろう。
「この程度の数で!」
「我々が殺れると思っては迷惑だ!!」
レイリア、エイリア両名もむしろ前へ前へと出て暴れまくる。
「うにゃー!!」
「ってあんた達はダメ! 今回は流石に大人しくしなさい!!」
それにつられて前に出ようとした大福達はソニアの手によって
とっ捕まえられて、キョウカの元へ放り込まれた。
「うぅぅりゃぁぁぁぁぁ!」
強引に突破を試み、敵陣中央で大暴れをかましているのは
バスク。それにフローベールのタッグだった。
ルシアやドルカスも遠くから牽制射撃を雨あられと浴びせる。
「
ウィンドブラスター!!」
イスティーム王の
幻杖レプリアーツが、
あらかじめ貯蔵していた魔法を解放し、
キョウカ王妃や猫に近寄る敵を全てなぎ払う。
討ち漏らしは、丁寧にメイベルやヴァジェスが処理。
遅れてサイモン、テディ、コンラッドが敵の攻撃を
真っ向から受け止め、そして丁寧に無力化していく。
たちまち敵兵の数が凄まじい勢いで減っていく。
聖杯ライブチャージャーなど使う必要も無かった。
一方最も先に進攻しているのはライナスとソニア。
そしてジルベルトの三名であった。
ライナスも
呪鞘カオスリキッドに剣を収めたまま、
なんと予備の剣だけで敵を多数駆逐していた。
その際に巻き起こる怨嗟の声が、呪鞘カオスリキッドに
負の感情の力を与えていく。要するに敵を駆逐し、
パワーをチャージしているのであった。
ソニアはいつも通りの俊足を生かしての乱戦。
そしてジルベルトは
砲剣ストレンジバスターを構える。
「そんなデカブツが当たるかよ!!」
そう言い、怯まず突っ込んでくる敵集団に向けて
かなり遠距離から砲撃を開始する。
ずどごん!!
凄まじい爆風がジルベルト自身をも後退させるが、
それに伴い、多数の敵が爆風に巻き上げられ、吹き飛ぶ。
やはり人類相手に利用するには規格外過ぎて、
こういう運用ぐらいしか出来ないが、むしろ集団戦では
もっとも効果的に性能を発揮出来ると言っても良かった。
二千五百……二千三百……二千……千六百……千二百……
ものの三十分も経たないうちに、かなり本気の勇者軍に
あっという間に蹴散らされていく、
ネイチャー・ファンダメンタルの大部隊。
「何だアレは!? 俺達は化け物を相手にしているのか!?」
戦慄したネイチャー・ファンダメンタルの大部隊は
パニックに陥り、一人、二人と戦列を離れていく。
「敵の戦列が崩れたぞ、今だ、王妃!!」
「はい!」
ヴァジェスの指示が飛んだ。
キョウカ王妃が前へ出る。勿論抱き上げられている猫や
愛馬チトセ、それにイスティーム王や
護衛に付いているメイベルなども一緒である。
「突っ切れ! 王妃に続くぞ!!」
「ええ!」
「了解!!」
テディの指示が響き、まずドルカスが、
そして残りのメンツが応じる。
「まだ惑星アース国際平和機構の本部は見えませんか!?」
「あと三キロメートルほどですわ、元帥閣下!」
イスティームの問いに答えるキョウカ王妃。
迎撃大部隊を蹴散らした以上、そう遠い距離ではないが、
まだいくらかの疾走を余儀なくされる勇者軍主力部隊であった。
しかし、キョウカ王妃がチトセの足を止めさせる。
「どうしました、キョウカ!?」
「私達の輸送機、ブリッドライクを襲撃した
マシンのエンジン音に酷似した反応!
端末のレーダーにも機動兵器の反応を確認!
多数、来ますわ!! 応戦準備を……!」
どうやら敵の第二波が訪れつつあるようだった。
陸から、空から、かなりの戦闘機や武装ヘリ、
そして戦車などがメイベルなどの目からも目視出来た。
「敵の増援のおでましか。生命反応は?」
追いついてきた斬り込みチームのライナスが言う。
「ありません! 全て無人兵器ですよ!」
バスクが端末の生命反応探知機能を使う。
「なら遠慮は要らんな」
「是」
テディやゼクウらも、無事に追いついてきたようだ。
ばらばらと、一斉に他の味方も追いついてくる。
戦力は再度集結しつつあった。後はここを突破すれば
惑星アース国際平和機構は目の前である。
決戦の時はいよいよ近付きつつあった。
所詮、この戦いも前座に過ぎないのは確かなのだが――
最終更新:2011年05月22日 21:21