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第十八章-第三幕- 強襲、無人兵器軍団






勇者軍主力部隊は目標としていた
惑星アース国際平和機構本部を目前とし、
敵の大部隊をことごとく駆逐したものの、
更に出てきた無人兵器部隊に足を止める事となった。
「レーダーと勇者軍内データベースの照合を開始します!
 六十秒ほどお待ちくださいませ!!」
キョウカ王妃が端末と猛烈なにらめっこを始める。
「接敵までおよそ百六十秒! 連合軍と同規格の
 強襲揚陸艦<グレイゴースト・ファントムⅡ>四隻、
 ステルス戦闘機<ブラックイーグル>十八機、
 戦闘ヘリ<シルバー・フィン改>七機、
 機動戦闘戦車<グラムロックⅣ>式が三十台、
 更にライディング・フレーム<パープルカオス>三機、
 自走砲台<ドラゴンスケイルⅢ>四台に、
 多脚機動兵器<インセクトⅤ>十五台!」
矢継ぎ早にキョウカ王妃が報告する。
「おお、大軍じゃないの」
と、余裕顔のリュミエル。

「接敵まで待ってやる義理は無い! 地上部隊は
 ジルベルト、ソニア、以下多数に任せる!!
 空中部隊は俺達に任せろ!!
 フローベール、メイベル、続け!
 ドルカスはデリバリーランチャーの用意だ!
 対空攻撃に適した人員を何人か撃ち出せ!!」
ヴァジェスが的確に指示を飛ばす。
「幻杖レプリアーツ……エアフロート、解放!
 私もこれで攻撃出来そうですよ」
イスティーム王も風の魔法で飛翔する。
エア・ウィングと呼ばれる高速飛行魔法より速度は劣るが、
汎用性に勝る初級飛行魔法である。

「せぇぇぇぇぇぇぇえいッ!!」
コンラッド、ライナスなど比較的パワーに劣る面々が
<インセクト>と呼ばれる多脚機動兵器を相手にし、
パワーに勝るジルベルトやテディなどが
<パープルカオス>と呼ばれる人型機動兵器を相手取る。
そのどちらにも属しないバランスの取れた人員は
自走砲台<ドラゴンスケイル>を片付けていく。
「野蛮ね。エンジンをダメにするだけでいいのに」
と、リュミエルは鼻で笑いつつ、御札を取り出し、投げる。
御札は炎上し、生き物のように隙間からエンジンへ入り込む。
ぼごん!!
大炎上し、たちまち沈黙する戦車群。
「ま、ざっとこんなモンかしらね」

勇者軍も地上部隊の方が数が多い分だけ、あっという間に
地上部隊は沈黙していくが、数が多い空中部隊が厄介だった。
勇者軍は致命的に空戦戦力に欠ける上に、敵の数も
空中部隊の方が多いという有り様である。

ひゅるるるるるるるる……

ずどん、ずどんずどんずどんずどん!!
雨あられと爆雷を降らせてくる敵の戦闘機。
「いかん、キョウカ王妃への着弾だけは避けろ!!」
コンラッドが慌てて叫ぶが、ジルベルトは慌てない。
すぐさま爆雷群へ目指して射出するようにドルカスへ
アイ・コンタクトを送る。
「デリバリー・ランチャー、シュート!!」
その意図を察し、デリバリー・ランチャーに
掴まったジルベルトを速やかに射出。
ジルベルトは砲剣ストレンジバスターで射撃。

ずどごん!!!

あっという間に爆雷に誘爆。たちまちほぼ全ての爆雷が
使い物にならなくなった。流石という他は無い。
「続けて行くわよ!
 戻って来れる自信のある奴から名乗り出て!」
ドルカスが張り切って叫ぶと、
ギース、エイリアの両名が名乗り出た。
「こういう状況なら」
「我々が専門だろうな! やってくれ、ドルカス!」
「行け!!」
デリバリー・ランチャーで、二人は宙に舞う。
さしずめ標的はのんびり飛んでいる戦闘ヘリ辺りだ。

「てぇぇぇぇぇい!!」
メイベルとフローベールはそれぞれの技により、次々と
戦闘機や戦闘ヘリを落としている。
「まだ行けそう!? メイベル!」
「まだやれます! そちらは!!」
「ベアトリスも私も大丈夫、行くわよ!」
「はい!」
女子二人は更に多くの戦闘機を落とすが、
ヘリまで手が回らない。
そこへデリバリー・ランチャーの弾頭に掴まった
ギース、エイリア両名が現れる。
「でやっ!」
「せいっ!!」
ギース、エイリアの両名は手を離すと、
かなり無理矢理な姿勢でそれぞれ別の戦闘ヘリに飛び乗り、
あらん限りの攻撃手段で強引に撃墜させる。
そして次の戦闘ヘリに飛び移り、それを繰り返す。
「凄い……強引だわ」
ギース、エイリアはそれぞれ全ての戦闘ヘリを叩き落とす。
その頃にはフローベール、メイベルも戦闘機を叩き落としていた。
「救出しろ!」
「飛び移るぞ!!」
ギースはフローベールに向けてジャンプ。
エイリアはメイベルに向けてジャンプする。
フローベールは急行してギースをキャッチ。
エイリアは鞭でメイベルを絡め取った事により、
メイベル自身の飛行能力で助かったのであった。

一方のヴァジェスはというと、ブレスを連発して
戦艦を二隻も撃墜していたりする。
「イスティーム、無理すんな! その魔法を使いながらじゃ
 それほど大した芸当は出来ねぇだろう!」
「ならば背中を借ります!」
「おい!?」
エアフロートを解除したイスティーム王はワイバーン形態の
ヴァジェスへと飛び乗り、幻杖レプリアーツの力を再度解放する。
「ウォーターライン!!」
ばしゅっ!!
ウォータージェットが凄まじい速度で発射される。
一撃で戦艦のエンジンを撃ち抜いたのか、見事に轟沈していく。
「おい、それリコリスの技だろが!?」
リコリス=カレン。リュミエルの伯母に当たる人物で、
ヴァジェスとも縁の深い人間であった。
ちなみにイスティーム王とは同世代の勇者軍メンバーである。
「言ったでしょう。許容量の限り完全コピーだと。
 これでコピー出来ない技は限られていますよ。
 もう一隻もいきます! 奥技・グラフカリバー!!」
今度はギースの父親の必殺魔法である。
たちまち両断された戦艦はこれまた轟沈していく。
「……いつコピーさせてもらってたんだ?」
「コピーするには直接杖に技を当ててもらう必要があります。
 つい最近会った時に貯蔵しておいてもらいましたよ」
と、笑顔のイスティーム王。
「とんでもないな、それ。まあいい、戻るぞ」
ヴァジェスが周囲を見渡してみれば敵は残っていなかった。
フローベールがギースを、メイベルがエイリアを連れている。
増援に来てくれたらしいと分かると、全員で地上に降りた。

「ふう……片付いたか」
ヴァジェス達が降りてきたのを確認してテディが言う。
するとその時、後方から人間の反応があった。
接近速度から察するに敵では無いらしいが、気にはなる。
「誰なの!?」
ルシアが呼ばわると足を止める集団。
「キョウカ長官! お待ちしておりました!
 我々惑星アース国際平和機構高官一同、
 ネイチャー・ファンダメンタルとやらの
 横暴に対し、反攻の機会を伺っておりました!
 彼等の我々に対する乱行は目に余ります!」
と、拝礼する集団。
「皆様……よくぞご無事で……私は大丈夫です。
 これより勇者軍と連合して、
 惑星アース国際平和機構本部施設を奪還します。
 今しばらくのご辛抱をお願いできますか?」
「はっ、了解しました! ご武運をお祈りしております!
 制圧には我々の人員も向かわせますので、
 連携を何卒、よろしくお願いします!
 勇者軍主力部隊の皆様方、当てにしておりますぞ!」
『分かったのー』
と、黙って頷くジルベルト。

「分かっちゃいないのは彼等だな。
 勇者軍はあくまでも、自衛組織だ。
 キョウカ王妃の事が無ければ我々の介入の目も薄かった。
 俺達を自分達の便利屋のように思っている。不愉快だ」
と、吐き捨てるように言うギースを嗜めるサイモン。
「我々がいくら自衛組織だと言っても、結果単位で
 世界を救ってしまったのは事実だからね。誤解も仕方が無い。
 彼等を責めたところで我々の状況は好転しないよ、ギース君」
「分かっています。それに防衛対象がこちらに多数いる以上、
 どっちみちネイチャー・ファンダメンタルとの戦闘は
 不可避だったと解釈します。では、行きましょう」
「すみません、皆様……でも、お許し下さい。
 私自身もあの組織の長なのです……」
キョウカ王妃が申し訳無さそうに謝罪する。
彼女とて、勇者軍と平和機構の板挟みだ。
立場は決して愉快ではないだろう。
「誰が悪い、彼が悪いという性質の戦いでもないだろ。
 もはやこれは奴等との生存競争になったと言って過言じゃない。
 今は余計な事は考えないことだよ、みんな」
と、ライナスが穏やかに締める。

そして見えてきたのであった。
惑星アース国際平和機構本部施設。
そして今はネイチャー・ファンダメンタルの基地が――



<第十九章-第一幕-へと続く>
最終更新:2011年05月22日 21:24