3-4 復帰の日 - 崩壊学園wiki

学園に戻ってきたペルセポネーは、意外な報せを耳にした。弱虫だったシィルが、他人のために依頼を解決する道を歩んでいるというではないか。

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バビロン学園。
物語の出発地点。
校舎の真向かいの広場に立っていると、周囲の話し声がペルセポネーに聞こえてきた。
「聞いた？最近、シィルがやっていること……」
「知ってる知ってる。ペルセポネーがいなくなってから、あの『銀の謎解き人』を受け継いで、学園のいろいろな依頼を受けているんでしょ……たくさんの人を助けているみたいだね！」
「しかも、先代の銀の謎解き人とは違って、彼女の依頼解決方法は、ただの推理だけじゃないんだよ……」

ペルセポネー
ふぅ……。

軽く息を吐きだすと、ペルセポネーは学園の中に向かって歩き出した。
最後にこの道を歩いたのは1カ月あまり前だっただろうか。歩く感覚は当時と変わっていなかった。
そして、ペルセポネーは歩きながら携帯電話を取り出し、よく知っている番号に電話をかけた。
「プルル……プルル……」
電話の相手はすぐに出た。

シィル
……もしもし？

ペルセポネー
……シィル。

シィル
あっ、先輩——
……お久しぶりです！

ペルセポネー
帰ってきたわよ。

シィル
えっ、ええっ——

「ドン、ドン——」
電話の向こう側から、何かが地面に落ちる音が聞こえた。

シィル
ほ、本当ですか……先輩、今どこですか！？

ペルセポネー
バビロン学園よ——
ここ1カ月くらい、家でゴタゴタがあってね。どうしても戻って対応しなければいけなかったの。
いきなりいなくなって悪くなったわね。でも、あなたがこの1カ月あまりの間にしたことを聞いたわよ。
文芸部が作品集を作り直すのを手伝い、ミステリー同好会がみんなで一緒に夜間探検に行き、仲間同士の絆を深めるのを手伝い、模型部がゲームを設計するのを手伝い、新聞部の週刊新聞に「工作」に関する研究ノートを掲載し……。
それだけじゃないわね。生徒会、美術部、SF同好会、昼寝部、音楽ゲーム部、弦楽バンド……この1カ月、いたるところであなたが人助けをしている姿が見られた。
やっぱり、あのバッジはあなたの手元でも同じような輝きを放ったわね。

シィル
あのバッジ……やっぱり先輩がわざと置いていったものなんですね。思ったとおりです……。
で、でも、シィ……あたしは先輩ほど頭が良くないので、自分の手でみんなを助けるしかなかったんです……。実は、この1カ月の間、また難事件がいくつも起きたんですが、あたしはまったく推理できなくて……。

ペルセポネー
それはあなたの問題じゃないわ。
あなたは自分のやり方で他の生徒を助けているけど、それは私にはできないことよ。
真実が人に幸せをもたらすとは限らないの。そして、私は真実を明らかにすることしかできず、人の気持ちとかに対しては何もできないわ。
——だけど、あなたは違う。シィル、あなたは人の気持ちを自分事のように感じ、共感して寄り添うことができる。それはあなたにしかできないことよ。

シィル
……先輩……。

ペルセポネー
さあ、後で会いましょう。
この1カ月あまりの間にたまった残りの事件を1つずつかいけつしていくわよ。
でも、その前に、やらなければいけないことがあるの。シィル、少し待っててね。

シィル
……はい、分かりました！