崩壊学園wiki
烈炎の呪い
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………………
ポポ
………。
………。
ポポは遠くを見つめた。空は暗くどんよりとしており、遠くの方にひとつだけ明るい星が輝いているのが見えた。
ポポ
もう夜……。
もう夜……。
あの星の名前は分からない。でも、今の状況でそんな事にこだわる人なんて一人もいない。私の名前にこだわる人がいないのと同じように。
時々私は、あの星が私に似ているのではないかと感じていた。あの星も私も、この時代に属していないかのように感じられたから。
タタッ、タタッ……。
時々私は、あの星が私に似ているのではないかと感じていた。あの星も私も、この時代に属していないかのように感じられたから。
タタッ、タタッ……。
ポポ
!
!
ビクターの手下がすぐ側を通り過ぎていった。そこに居るポポの事なんてまるで埃と同じかのように、一切気に留めた様子はなかった。
この先にビクターのアジトがある。
この先にビクターのアジトがある。
ポポ
はぁ………。
はぁ………。
やはり恐ろしかった。あの聖痕ハンターのことを思い出すと、ビクターの事を思い出すと、体の震えが止まらなかった。
しかし他に選択肢はなかった。
しかし他に選択肢はなかった。
ポポ
赤いやつ、あの赤い箱さえ手に入れば。
赤いやつ、あの赤い箱さえ手に入れば。
ポポ
中に入れた.......誰にも見つかってない......。
中に入れた.......誰にも見つかってない......。
………。
ポポ
(周りがなんだか騒がしくなってきたような気がする。)
(周りがなんだか騒がしくなってきたような気がする。)
火だ!みんな、早く消火するんだ——
ポポ
これって.....倉庫で火事があったの?
でも、今しかない。
薬の棚は確かこの先だったはず。
これって.....倉庫で火事があったの?
でも、今しかない。
薬の棚は確かこの先だったはず。
ポポ
炎が.....どんどん広がってる。でもあと少しだし、危ないけど進むしかない——
———
見えた!赤い箱!ヒポクラテスグループの薬……
……
どうして?
どうして空なの?
炎が.....どんどん広がってる。でもあと少しだし、危ないけど進むしかない——
———
見えた!赤い箱!ヒポクラテスグループの薬……
……
どうして?
どうして空なの?
(理解できない。どうして。誰かが混乱に乗じて持って行った?
でも、薬を奪った後にわざわざ箱を閉じたの?)
でも、薬を奪った後にわざわざ箱を閉じたの?)
???
クッ——
クッ——
ポポ
!?
!?
ビクター
——
——
ポポ
ビ、ビクターさん!?
ビ、ビクターさん!?
ビクターの顔が炎の中から現れた。炎で光と影が揺らめき、その表情は恐ろしくも神秘的にも見えた。
ポポ
わ、わたっ、私はただ.......。
わ、わたっ、私はただ.......。
(どうしよう?説明する?それとも逃げる?あるいは銃で.....)
ビクター
お前、おま......あれ......。
お前、おま......あれ......。
ポポ
わ.....私じゃないです。火をつけたの。
わ.....私じゃないです。火をつけたの。
ビクターは続けて何かを言おうとしているように見えたが、突然大きく口を開けたかと思うと、次の瞬間、どす黒い煙とすすを吐き出した。
「もちろんあなたが火をつけたわけじゃないわ。」
ポポ
あなたは......ビクターさん...?
あなたは......ビクターさん...?
ビクターの胸の辺りからおかしな声が聞こえてきた。するとビクターの背がどんどん高くなっていった——
いや、彼の背が高くなったわけではなかった。ビクターは誰かに首をつかまれ、持ち上げられていたのだ。
いや、彼の背が高くなったわけではなかった。ビクターは誰かに首をつかまれ、持ち上げられていたのだ。
???
火を放ったのは私。
フン、ひとつもマシな物は無かったわ。あのガラクタを売るために高級そうな箱をいくつも作って、高値で売り飛ばそうとしていたのね。
火を放ったのは私。
フン、ひとつもマシな物は無かったわ。あのガラクタを売るために高級そうな箱をいくつも作って、高値で売り飛ばそうとしていたのね。
炎の中から黒焦げの死体よりも恐ろしい存在が現れた。
???
あら「ポポ」、また会ったわね。私がタダで買い物をするのが好きな事に気が付いて、見物にでも来たのかしら?
あら「ポポ」、また会ったわね。私がタダで買い物をするのが好きな事に気が付いて、見物にでも来たのかしら?
彼女が親しげに話しかけてきた。
「中から誰かの声がするぞ?おい、みんなこっちだ!これは偶然の火事なんかじゃない、誰かが盗みに入ったんだ!」
ポポ
あ、ああああなた......あなたはあの——!
あ、ああああなた......あなたはあの——!
???
チッ、どうやらやるしかないようね。あなたは退いてなさい。遮蔽物になりたくなかったらね。
チッ、どうやらやるしかないようね。あなたは退いてなさい。遮蔽物になりたくなかったらね。
ポポ
はい?......はいっ——
はい?......はいっ——
ポポ
ハア.......ハア......ハァ——うっ!
ハア.......ハア......ハァ——うっ!
???
しっ、そんな大きく息をしないで。
しっ、そんな大きく息をしないで。
「奴らを探せ——」
???
……。
……。
………
???
よし、行ったわね。
感謝するわ。こうしてあなたの家に身を隠せなかったら、あと10キロは走って逃げなきゃいけない所だった。
よし、行ったわね。
感謝するわ。こうしてあなたの家に身を隠せなかったら、あと10キロは走って逃げなきゃいけない所だった。
ポポ
...あの状況でしたから。それに、あなたのおかげで逃げ切れましたし、こちらこそありがとうございました。
...あの状況でしたから。それに、あなたのおかげで逃げ切れましたし、こちらこそありがとうございました。
そういえば.....以前ってきた机の下に、弾の入った拳銃が貼り付けてあった。この状況なら——
???
あなたずっと机の方を気にしてるけど、そこに銃でも隠してあるんでしょう?
残念だけど、私の体にはバリアが張り巡らされているのよ。私が生きている限り、実弾なんてほとんど効かないから。
…… 子どもを殺すのは好きじゃないし、変な気を起こさないことね。
あなたずっと机の方を気にしてるけど、そこに銃でも隠してあるんでしょう?
残念だけど、私の体にはバリアが張り巡らされているのよ。私が生きている限り、実弾なんてほとんど効かないから。
…… 子どもを殺すのは好きじゃないし、変な気を起こさないことね。
ポポ
やっぱり.........あなたは「聖痕ハンター」なのですね。
やっぱり.........あなたは「聖痕ハンター」なのですね。
???
聖疲ハンター?
.....そうね、まあ分かればいいわ。私たちは殺戮するのにも瞬きひとつしない、冷酷な存在だから。
ということで、今日一晩泊めてくれる?ありがとう。
聖疲ハンター?
.....そうね、まあ分かればいいわ。私たちは殺戮するのにも瞬きひとつしない、冷酷な存在だから。
ということで、今日一晩泊めてくれる?ありがとう。
ポポ
……………はい。
……………はい。
???
ハハ、意見が一致したみたいでよかった。それじゃあ遠慮なく泊まらせてもらうわね——
ハハ、意見が一致したみたいでよかった。それじゃあ遠慮なく泊まらせてもらうわね——
バッ——!
???
誰——
誰——
身に付けられていたものが引っ張られるのを感じ、聖痕ハンターはすぐさま腰の単管散弾銃を抜き、引っ張られた方向へと銃口を向けた。
ポポ
お母さん!?
お母さん!?
聖痕ハンターが引き金を引く前に、私はお母さんを守るように立ちはだかった。
???
……。
……。
彼女はしばらくその様子を見ると、銃を収めて言った。
???
撃てばあいつらがここに集まってくることになる。だから撃たないと約束するわ。
だから早く.....さっき奪い取ったものを返すよう、あなたの母親に言いなさい。ついでにあなたたちに危害を加えないことも約束するから。
撃てばあいつらがここに集まってくることになる。だから撃たないと約束するわ。
だから早く.....さっき奪い取ったものを返すよう、あなたの母親に言いなさい。ついでにあなたたちに危害を加えないことも約束するから。
ポポ
……今の私には、あなたのその約束を信じることしかできません。
お母さん……。
……今の私には、あなたのその約束を信じることしかできません。
お母さん……。
警戒した所でなんの意味もない事は分かっていた。そこで私は後ろを向き、地面で縮こまっていた母の隣へと座った。
ポポ
お母さん、何を取ったの?
私にくれる?
それがないと私たち、殺されちゃうよ。
お母さん、何を取ったの?
私にくれる?
それがないと私たち、殺されちゃうよ。
母親
う.........い.....いや........。
う.........い.....いや........。
ポポ
そんな事言わないで......。
そんな事言わないで......。
私は恐る恐る、母の体をくるんでいる毛布を取っていった。そして、私が目を背けてしまう今の母の姿を第三者の目に晒した。
母親
いや......痛い......焼けるみたい.......。
いや......痛い......焼けるみたい.......。
母は激しく呼吸し、なんとか抵抗しようとした。胸元が激しく上下し、呼吸に合わせて助骨が見え隠れした。
母は両手で胸を覆うようにしており、取った物がそこにあることは明らかだった。
母は両手で胸を覆うようにしており、取った物がそこにあることは明らかだった。
ポポ
そうしたら......それもらうね。
そうしたら......それもらうね。
母が少しでも受け入れやすくなるようにと、ポポは自分が次にする事を伝えた。
そして手を伸ばし、母の懐からそれを引っ張った。
母はとても弱っていた。これが崩壊エネルギーに侵食された今の母の姿だった。
以前、発電所で働いていた母はとても健康的な人だったが、今や抵抗する力すら持ち合わせていなかった。
握っていた母の手をいとも簡単に解き、母の手からそれを回収した。
そこにあったのは小さな薬のビンだった。
そして手を伸ばし、母の懐からそれを引っ張った。
母はとても弱っていた。これが崩壊エネルギーに侵食された今の母の姿だった。
以前、発電所で働いていた母はとても健康的な人だったが、今や抵抗する力すら持ち合わせていなかった。
握っていた母の手をいとも簡単に解き、母の手からそれを回収した。
そこにあったのは小さな薬のビンだった。
ポポ
あっ。
あっ。
???
Ⅱ型抑制剤.....なるほどね。
Ⅱ型抑制剤.....なるほどね。
この聖痕ハンターがあの時欲しがらなかったのも頷ける。彼女は元々持っていたのだ。
ポポ
ごめんなさい。すぐに返しますから。
ごめんなさい。すぐに返しますから。
母親
うああああっ——
うああああっ——
抑制剤をハンターに渡そうとした瞬間、非力だった母が突然痛烈な勢いでポポにとびかかり、その手を噛んだ。
???
!?
!?
ポポ
撃たないでっ!——この通り、私は大丈夫です。
…薬はあなたに返します......どうぞ。
撃たないでっ!——この通り、私は大丈夫です。
…薬はあなたに返します......どうぞ。
???
あなたたち……
あなたたち……
ポポは薬のビンを手に取りハンターに渡した。
???
あなた......本当に大丈夫なの?
あなた......本当に大丈夫なの?
ポポ
本当に少しも痛くないんです。ただ少しビックリしただけです。
本当に少しも痛くないんです。ただ少しビックリしただけです。
???
別に消毒液くらいだったらケチらずにあげるわよ。本当はどうなの?
別に消毒液くらいだったらケチらずにあげるわよ。本当はどうなの?
ポポ
本当に大丈夫です......私も今気づきましたが......。
母の歯は全部抜けて、もう一本も残っていないみたいです......。
うっ……。
ううっ......うううっ......。
ハ....ゴホゴホ.....ハンターさん、実は私、あなたのその銃、直すことができるんです。でも、直してしまうと更に多くの人々が殺されてしまうと思って、直せないとウソをつきました。
それで......あの.....銃を直す代わりにお願いを聞いてもらえませんか。
どうかお願いします。私がなんでも直すので、その薬を私にください。
本当に大丈夫です......私も今気づきましたが......。
母の歯は全部抜けて、もう一本も残っていないみたいです......。
うっ……。
ううっ......うううっ......。
ハ....ゴホゴホ.....ハンターさん、実は私、あなたのその銃、直すことができるんです。でも、直してしまうと更に多くの人々が殺されてしまうと思って、直せないとウソをつきました。
それで......あの.....銃を直す代わりにお願いを聞いてもらえませんか。
どうかお願いします。私がなんでも直すので、その薬を私にください。
???
あなたもわかってるでしょう?お母さんの今の状況からして、ここにいても助からないって。
状態がここまで悪化してしまったら、抑制剤1本どころか100本、いや1000本あったって助からないことも。
万が一回復して、幻覚と焼け付くような痛みが消えたとしても——
一週間くらい経って一時的に普通の状態に戻れたとしても——
また3、4日すれば意識が飛んで官の不全で死んでしまう。それくらい、あなたも分かってるんじゃないの?
あなたもわかってるでしょう?お母さんの今の状況からして、ここにいても助からないって。
状態がここまで悪化してしまったら、抑制剤1本どころか100本、いや1000本あったって助からないことも。
万が一回復して、幻覚と焼け付くような痛みが消えたとしても——
一週間くらい経って一時的に普通の状態に戻れたとしても——
また3、4日すれば意識が飛んで官の不全で死んでしまう。それくらい、あなたも分かってるんじゃないの?
ポポ
でも......少しでも可能性があるのなら.......。
でも......少しでも可能性があるのなら.......。
???
申し訳ないけど、これはあげられないわ。この薬、私にとってもすごく大切だから——
申し訳ないけど、これはあげられないわ。この薬、私にとってもすごく大切だから——
ポポ
ウソです!聖痕ハンターはもともと聖使いか、疑似聖痕の移植体のレシピエントのどちらかのはずです!そんな事くらい、中学生だって知ってます!......あなたたちには崩壊の侵食なんて関係ないのに……。
お願いします。いくら払えば譲ってもらえますか?私に出来ることなら何でもします!どうかお願いします!その薬を譲ってください!
ウソです!聖痕ハンターはもともと聖使いか、疑似聖痕の移植体のレシピエントのどちらかのはずです!そんな事くらい、中学生だって知ってます!......あなたたちには崩壊の侵食なんて関係ないのに……。
お願いします。いくら払えば譲ってもらえますか?私に出来ることなら何でもします!どうかお願いします!その薬を譲ってください!
???
確かにあなたの言うことは事実よ。レシピエントも聖痕使いも抑制剤なんて必要としない。
だけど私は今、そのどちらでもないの。
確かにあなたの言うことは事実よ。レシピエントも聖痕使いも抑制剤なんて必要としない。
だけど私は今、そのどちらでもないの。
ポポ
えっ?でも、あなたの体にはレシピエントが使う基座が——
えっ?でも、あなたの体にはレシピエントが使う基座が——
???
ええ。でも私には.....疑似聖痕がないのよ.....失くしてしまったから。
今も様々な崩壊エネルギーの装備を使うことはできる。でも新たに疑似聖痕の移植体を手に入れるまでは、私も抑制剤とかで侵食を抑える必要があるのよ。
ええ。でも私には.....疑似聖痕がないのよ.....失くしてしまったから。
今も様々な崩壊エネルギーの装備を使うことはできる。でも新たに疑似聖痕の移植体を手に入れるまでは、私も抑制剤とかで侵食を抑える必要があるのよ。
そう言うと聖痕ハンターはこちらに背を向け、もう話すことは何も無いと行動で示した。そして、これ以上私の顔を見たくないと言わんばかりに、ドアの方へと歩いていった。
???
……。
ごめんなさい。私にはやらなくちゃいけない事があるの。
……。
ごめんなさい。私にはやらなくちゃいけない事があるの。
ポポ
でも——
でも——
バン!
ドアが閉じられた。
ドアが閉じられた。
ポポ
………。
………。
僅かな希望が閉ざされた。
ポポ
どうすれば......どうすればいいの.......。
どうすれば......どうすればいいの.......。
母親
ぱ……
ぱ……
ポポ
お母さん.......さっきは..…。
さっきはごめんね……。
お母さん.......さっきは..…。
さっきはごめんね……。
母親
聞い......て....
聞い......て....
ポポ
どうしたの?.....わかった、聞くから。
どうしたの?.....わかった、聞くから。
…………
???
……。
事情を知っていたらついて来なかったのに。あんな状況を目の当りにする事になるだなんて。
今の私には他人の生死を心配する資格なんてないんだから。それにそもそも、もうすぐ壊滅する小さなコミュニティとなんか関りを持つべきじゃない。
……。
事情を知っていたらついて来なかったのに。あんな状況を目の当りにする事になるだなんて。
今の私には他人の生死を心配する資格なんてないんだから。それにそもそも、もうすぐ壊滅する小さなコミュニティとなんか関りを持つべきじゃない。
パチン。
???
!?
!?
これは.....高濃度の崩壊エネルギーが結晶化し、明かりが消えたって事?
「聖痕ハンター......さん。」
暗闇から低い声が聞こえてきた。
暗闇から低い声が聞こえてきた。
???
言ったでしょう。薬はあげないって。
言ったでしょう。薬はあげないって。
ポポ
ハンターさん、賭け事は好きですか?
ハンターさん、賭け事は好きですか?
明かりがついた。
???
あなた......銃なんか持って何する気?
実弾なんて私には効かないと言ったはずよ。
あなた......銃なんか持って何する気?
実弾なんて私には効かないと言ったはずよ。
少女はいざという時のために準備してあった銃を手に取り、安全装置を外した。
そしてそれを——自分のこめかみに突き付けた。
そしてそれを——自分のこめかみに突き付けた。
ポポ
聖痕ハンターさん。
正体が分かった時から、あなたの事がすごく怖かった。
あなたと関りを持つのが怖かった。
殺されてしまわないかと怖かった。
見つかってしまうのが怖かった。
聖痕ハンターさん。
正体が分かった時から、あなたの事がすごく怖かった。
あなたと関りを持つのが怖かった。
殺されてしまわないかと怖かった。
見つかってしまうのが怖かった。
銃を持つ手とは逆の手で服のボタンを外し始め、徐々に胸元が露わになった。
ポポ
私が覚醒した聖痕使いであることを、あなたに知られてしまうのが怖かった。
私が覚醒した聖痕使いであることを、あなたに知られてしまうのが怖かった。
???
……!
……!
明かりが再び消えた。いや、消えたわけではない——光が奪われたのだ。
マスクの暗視モードでさえ役に立たなくなっていた。
マスクの暗視モードでさえ役に立たなくなっていた。
???
ふうん、この能力を使って倉庫に忍び込んだのね。今時の若者はそれくらい普通にできるものだと勘違いしちゃったわ。
ふうん、この能力を使って倉庫に忍び込んだのね。今時の若者はそれくらい普通にできるものだと勘違いしちゃったわ。
補助照明モードも赤外線モードも役に立たず......ソナーモードにしてようやく少女を補足できた。
ポポ
聖痕ハンターが使っている聖痕移植体は、軍部から提供されたものじゃないんですよね。
聖痕ハンターたちは各軍の聖痕局に雇われていて、聖痕の覚醒した人を殺したり、誘拐して研究のモルモットにしている。
彼らが使っている疑似聖痕はそうして得られたもの。
でも、聖痕移植体のないハンターはとても危険な状況にある——そうですよね?
聖痕ハンターが使っている聖痕移植体は、軍部から提供されたものじゃないんですよね。
聖痕ハンターたちは各軍の聖痕局に雇われていて、聖痕の覚醒した人を殺したり、誘拐して研究のモルモットにしている。
彼らが使っている疑似聖痕はそうして得られたもの。
でも、聖痕移植体のないハンターはとても危険な状況にある——そうですよね?
???
……。
……。
ポポ
つまりあなたにとって、私はすごく価値があるということ。
その私に抑制剤を売ってくれませんか?
代金は私自身——
私に出すことのできる最も価値のある対価です。
つまりあなたにとって、私はすごく価値があるということ。
その私に抑制剤を売ってくれませんか?
代金は私自身——
私に出すことのできる最も価値のある対価です。
???
……私があなたを聖痕局まで連れて行って売るの?そんなのリスクも不確実性も高すぎるわ。
……私があなたを聖痕局まで連れて行って売るの?そんなのリスクも不確実性も高すぎるわ。
ポポ
はい。これは賭け事ですから。
私はあなたがこの考えに同意することに賭けました。
はい。これは賭け事ですから。
私はあなたがこの考えに同意することに賭けました。
???
その賭けに乗らなければ、引き金を引いて自ら命を絶ち、私が何も手に入れられないようにするのね。
その賭けに乗らなければ、引き金を引いて自ら命を絶ち、私が何も手に入れられないようにするのね。
ポポ
はい。もし同意して全てが上手くいけば、大金と疑似聖痕を手に入れられる可能性があります。
どうしますか?
はい。もし同意して全てが上手くいけば、大金と疑似聖痕を手に入れられる可能性があります。
どうしますか?
???
フッ、そんなの決まってるじゃない。
フッ、そんなの決まってるじゃない。
………
………………
………………
ポポ
お待たせしました。
お待たせしました。
???
どう?お母さんに飲ませた?
どう?お母さんに飲ませた?
ポポ
はい……。
はい……。
???
少しは良くなった?
少しは良くなった?
ポポ
たぶん.....そのはずです。
たぶん.....そのはずです。
???
さて、他に何か持っていくものはある?
私の戦利品さん。
さて、他に何か持っていくものはある?
私の戦利品さん。
ポポ
ありません。私が所有するものなんて何もありませんから。
ありません。私が所有するものなんて何もありませんから。
???
ため口で構わないわ......そうだ、自己紹介しないとね。今後、私のことは寒鉄と呼んで。
あんたは?
ため口で構わないわ......そうだ、自己紹介しないとね。今後、私のことは寒鉄と呼んで。
あんたは?
ポポ
………ポポ。
………ポポ。
寒鉄
そうね。それぞれあだ名で呼ぶのが公平かもね。
私、まだあんたの聖痕にどういう力があるのか聞いてなかったわよね。
もしくだらない能力だったら......今更だけど返品できたりする?
そうね。それぞれあだ名で呼ぶのが公平かもね。
私、まだあんたの聖痕にどういう力があるのか聞いてなかったわよね。
もしくだらない能力だったら......今更だけど返品できたりする?
ポポ
えっ......冗談ですよね?
えっ......冗談ですよね?
寒鉄
ハハハ、これから先長い旅になるわけだし、早いとこ私の性格に慣れた方がいいかもね。
あんたの力って、光を操る能力で間違いない?
ハハハ、これから先長い旅になるわけだし、早いとこ私の性格に慣れた方がいいかもね。
あんたの力って、光を操る能力で間違いない?
ポポ
うん.......。
光を操って自分の姿を隠したり、光を完全に遮断することができるの.....。
他にも何かできる事があるかも。
うん.......。
光を操って自分の姿を隠したり、光を完全に遮断することができるの.....。
他にも何かできる事があるかも。
寒鉄
へぇ、光の聖夜?聞いたことがないわね......。
まあとにかく出発しましょう。
この道路に沿って進んでいくのよ、わかった?
へぇ、光の聖夜?聞いたことがないわね......。
まあとにかく出発しましょう。
この道路に沿って進んでいくのよ、わかった?
ポポ
車とか無いの?それにこの方向って——あの巨大な亀裂の方に向かうってこと?
車とか無いの?それにこの方向って——あの巨大な亀裂の方に向かうってこと?
寒鉄
巨大な亀裂?
あぁ、あの突然現れた崩壊エネルギーによる亀裂を呼ぶのには、確かにピッタリの言い方ね。
そう、そこに向かうのよ。
あんたも聖痕使いだし、あれくらいの崩壊エネルギーで体が参ることもないしね。
巨大な亀裂?
あぁ、あの突然現れた崩壊エネルギーによる亀裂を呼ぶのには、確かにピッタリの言い方ね。
そう、そこに向かうのよ。
あんたも聖痕使いだし、あれくらいの崩壊エネルギーで体が参ることもないしね。
ポポ
どうしてあそこに向かうの?
どうしてあそこに向かうの?
寒鉄
まあ、行けばわかるわ。あんたとの旅がいよいよ始まるね——
逃げたりしたら......すぐにぶっ殺しちゃうから。
まあ、行けばわかるわ。あんたとの旅がいよいよ始まるね——
逃げたりしたら......すぐにぶっ殺しちゃうから。
…………
こうして、烈火に始まり豪雨で終わる冒険の幕が上がった。
こうして、烈火に始まり豪雨で終わる冒険の幕が上がった。