アットウィキロゴ

血闘の予兆 ◆aWSXUOcrjU




 雨が、降っている。
 日の落ちた夜の暗闇の中で、轟々と雨音が鳴り響いている。
 一寸先の光景ですらも、定かではない豪雨の中、唸りを上げるものがあった。

「アンデッドは全て封印した! お前が最後だ――ジョーカー!」

 荒々しい怒号を上げながら、拳を振るうのは青い影だ。
 青を基調としたボディの上に、銀色の装甲を纏った異形が、暗闇の中で吼えていた。

「俺とお前は……戦うことでしか分かり合えないッ!」

 それに呼応するように、漆黒が闇の中で蠢く。
 黒い鎧を纏った異形が、青い戦士と拳を交わす。

「えぇぇいっ!」

 英雄と魔王。
 人間と怪物。
 魔物の姿を借りた人と、人に近づけなかった魔物。

「ハァァァッ!」

 巡り会ったその2人は、互いに戦い合う運命にあった。
 雨に濡れ、汚泥にその身を穢されながらも、立ち止まることは許されなかった。
 たとえ身体が砕けても、どれほど心が軋んでも。
 相容れない人と魔物同士は、どちらかの命が尽きるまで、戦い続ける宿命にあった。

「……ッ!」

 やがて、死闘の幕は下りる。
 熾烈を極めた決闘は、静寂の中で終局を迎える。
 青い戦士が引き抜いたのは、雨に濡れた1枚の紙切れ。
 人類の誕生から脈々と続く、永劫の戦いを終えるための、たった1枚の薄っぺらなカードだ。
 手首のスナップを利かせ、投げる。
 鋭い豪雨の中でなお、カードはまっすぐに投げ放たれる。
 カードは吸い込まれるようにして、黒い魔物の懐へと、一直線に向かっていった――


 五代雄介の見たそれは、今よりもほんの少しだけ、未来の世界を描いた特撮映画だった。
 タイトルに「劇場版」とついていたのは、テレビシリーズか何かの作品を、映画化したものであるということだろう。
「………」
 一言で言い表すのなら、悲しい物語だ、と思った。
 青い戦士に変身する主人公と、黒い戦士に変身する怪物は、恐らくは、親友同士と言っていい関係だった。
 それでも、片方は人類を守るため、もう片方は本能に従って、互いに殺し合うことになってしまった。
(……あれは、俺の)
 あの映画が示していたのは、未来の己自身の姿か。
 英雄と魔王の戦いは、己の行く道の暗示か。
 五代は暗い表情で、少し前の光景を回想する。
 バラのタトゥの女――一条が倒したはずの、未確認生命体B1号。
 その女が見せた、黄金の鎧を着た男と、怪物達との戦いを思い出す。
(あの時、最後に現れたのは、間違いなく第0号だった)
 赤熱の炎を切り裂いて、舞い降りた白き魔人の姿は、見まごうことなき因縁の宿敵。
 戦闘民族グロンギを率いる、最強にして最悪の親玉――第0号ン・ダグバ・ゼバの姿に他ならなかった。
 あの少年も、自分と同じように、何かに巻き込まれていたのだろうか?
 それとも、この殺し合い自体が、第0号の仕組んだ戦いなのだろうか?
(どっちにしても……俺はこの先、彼と戦うことになる)
 それは間違いない事実だ。
 もちろん、五代雄介としては、こんな殺し合いなど許容できない。
 そうして彼らに歯向かうことになる以上、近いうちに第0号とは、決着をつけることになる。
 そうなればそこに待ち受けるのは、映画の冒頭と同じ結果だ。
 分かり合えない者同士が、極限まで暴力を突き詰め戦う、悲しい決戦となるだろう。
(結局俺は……俺も、こんな結論しか出せなかった)
 握った右の拳が震える。
 分かり合うことを放棄した、己の情けなさに打ち震える。
 そしてその中には、ほんの少し、恐怖もあったのかもしれない。
 究極にして禁断の力。
 太陽を葬る憎しみの暗黒。
 リントが恐れ封印した、戦士クウガの最強の姿――黒い鎧の凄まじき戦士。
 第0号と戦うためには、その禁を破らねばならない。そのことは先の戦いで、文字通り骨身に沁みて思い知った。
 莫大な力を得る代償に、人であることを捨て去る力。
 一度変身してしまえば、怒りと憎しみに支配され、永劫に戦い続ける阿修羅の化身。
 そんな力を振るわなければならないというのは、情けないと思うし、恐ろしいとも思う。
 戦いが終わったその後に、自分が自分でいられるのか。
 その先を考えるのが、ほんの少し、恐ろしかった。
(それでも)
 だとしても、やるしかないのだと。
 拳の震えを気力で制し、強く握って誓いを固める。
 こんなふざけたゲームに巻き込まれた、全ての人々を救ってみせると。
 たとえ心が砕けても、必ずや第0号を倒し、怯える全ての人々を救うと。
 第0号を止められる者は、自分を置いて他にはいない。であれば、自分の手で止めてみせる。
 中途半端をせず、最後まで関わり抜くこと――それこそが、力を背負った者が、果たすべき責任なのだから。


【1日目・深夜/F-3 映画館】

【五代雄介@仮面ライダークウガ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:殺し合いを止める
1:外に出て参加者を探す
2:ダグバと戦う時までは封印するが、その時が来たら、迷うことなく凄まじき戦士に変身する
【備考】
※EPISODE48「空我」にて、九郎ヶ岳に向かっている最中からの参戦です
※F-3映画館にて、「劇場版仮面ライダー剣 MISSING ACE」を半分ほど見ました。
 そのため、エデン呉キリカの戦闘の音を聞き逃しました

※F-3映画館では、様々な映画が自動的に上映されています
 他の上映室で何が流れているのかは、後続の書き手さんにお任せします

Back:鉄のこころ 時系列順で読む Next:プライド
Back:鉄のこころ 投下順で読む Next:プライド
GAME START 五代雄介 Next:晴れぬ雷雲


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年05月11日 18:50