舐めてんじゃねえよ ◆XeNPMA79dU
――はぁ。一人の少女が溜め息をついた。
風に赤毛を靡かせて、表情は苛立っているような、面倒臭がっているようなそれだった。
彼女にしてみれば、現在自分が置かれている状況は本当にただ気だるいだけのものでしかない。
「……くっだらねー」
下らない。
ありがちな感想だとは思ったが、この状況を形容するのに相応しい表現を、彼女はこれ以外に持ち合わせていなかった。
何故、人間に危害を加える魔女を討伐する役目を帯びている筈の自分達が殺し合いなどせねばならんのだ。
元から、そこまで強い正義を持っているわけではない杏子だったが、これには正直嘆息するしかない。
こんなことを思い付くなんて、余程暇なんだろうなとさえ思う。
全く――下らな過ぎて、腹が立ってくる。
「しっかし、どうすっかねえ……あたしにはこんな面倒臭えモンを外す知識なんて無えしな」
コツコツと、自分の首に装着された首輪を叩いてみる。
まるで飼い犬のようなこの扱いに憤る自分もあったが、それどころではないのは承知していた。
何せ、これが起動されれば待っているのは『死』。
そんなものが自らの身体に取り付けられているという時点で、正直落ち着いて戦える気など全くしない。
殺し合いに乗るなど論外の選択肢だが、この首輪をどうにかしない内はこちら側の勝ち目は零といってもいい。
それに、勿論彼女にこの首輪を解析し、解除するなんて器用な真似は出来ない。
無理してやって、途中で作動させてしまうのが落ちだろう。
なら『こういう物』に精通している輩を見つけ出して解除させるしかないのだが――果たして都合よくそんな人物がいるか。
はぁ、ともう一度。
今度は一際深く溜め息をついて、少女は空を見上げた。
「……問題は山積み、か」
問題だらけだ。
自分がどんなに戦えたって。
普通の人間とは違っていたって。
――結局、こんなにも無力なのだから、お笑いだ。
(――でもな)
お笑いだ。
確かにお笑いだったが、少女には負けられない理由があった。
彼女が何の気なしに助けた少女が、あの町で待っているのだ。
自分を助けるために魔法少女になった馬鹿なガキが、見滝原の町で自分を待っているのだ。
――なら、彼女の元に帰るためにも戦わなければならない。
優勝なんて安直な手段ではなく、正々堂々、王道ストーリーらしく悪の大ボスを打ち負かして、だ。
(あたしには、ここで死ねない理由があるっ!!)
大体、まだ『魔法少女狩り』の一件だって片付いてはいないのだ。
あの幼い少女を取り残したままにしておくのは、
巴マミ達の存在があったとしても危険すぎる。
とっととこんな糞ゲームを終わらせて、後腐れなく主催の連中をボコボコにして、帰ってこっちの問題を解決させよう。
――魔法少女・
佐倉杏子として。
杏子は一歩を踏み出した。
反逆への一歩を。
勝利への一歩を。
愛と勇気が勝利するエンディングへの一歩を。
――そして、今もどこかで嘲笑っているだろう黒幕どもに向かって、にやりと笑って言い放つのだ。
「舐めてんじゃねえよ、ばーか」
【一日目・深夜/C-1】
【佐倉杏子@魔法少女おりこ☆マギカ】
【状態】健康、ソウルジェムの穢れなし
【装備】ソウルジェム
【所持品】支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:殺し合いを打倒して、見滝原に帰る
1:首輪を外せそうな奴を探す
【備考】
※第五話「そのために私はここにいる」以前からの参戦です
最終更新:2012年12月10日 03:04