念能力

作中に登場する特殊能力。
自らの肉体の「精孔(しょうこう)」という部分からあふれ出る、オーラとよばれる生命エネルギーを、自在に操る能力のこと。

念を使う者を「念能力者」と呼ぶが、一般人の間では念能力の存在自体が知られていないことも多く、「霊能力者」「超能力者」と呼ばれていることも少なくないと言う。

作中では戦闘に使用する能力が代表的だが、必ずしも戦いのための能力に限らず、例えば芸術の分野などで特に優れた能力を持つ者などは念能力に目覚めている場合がある*1

ハンターは仕事柄、未知の領域に踏み込むことが多く、念が使えないと*2一人前のハンターとして認めてもらえないばかりか、命を危険に晒しかねない。

四大行

念の基本となる修行のこと。

纏(テン)
オーラが拡散しないように体の周囲にとどめる技術。
「纏」を行うと体が頑丈になり、常人より若さを保つことができる。

絶(ゼツ)
全身の精孔を閉じ、自分の体から発散されるオーラを絶つ技術。
気配を絶ったり、疲労回復を行うときに用いられる。

練(レン)
体内でオーラを練り精孔を一気に開き、通常以上にオーラを生み出す技術。
なお、ハンター同士のスラングで「修行の成果を見せる」ことを「練を見せる」と呼ぶ*3

発(ハツ)
自分のオーラを自在に操る技術。
念能力の集大成。
必殺技ともいわれる。

念を教えてはならない相手に話す場合には、念を心を燃やす意志の強さである「燃」に置きかえ、「点」で精神を集中して目標を定め、「舌」でその目標を口頭または頭の中で言葉にし、「錬」でその意志を高め、「発」で実際の行動に移すと説明される。
ただしこの方便は本来の念を用いるために必要な心構えをも表しているため完全な嘘というわけではなく、ゴンは療養中に「燃」の修行を行うことで、本物の念能力の精度を上げることに成功している。

念の応用技

応用技は四大行と比べ疲労が激しい。

周(シュウ)
「纏」の応用技。
物にオーラを纏わせる技術。
刃物の切れ味を強化するなど、対象物の持つ能力を強化する。
しばしば「硬」と併用される。

隠(イン)
「絶」の応用技。
自分のオーラを見えにくくする技術。
「凝」を用いても、全ての「隠」を見破ることができるとは限らない。

凝(ギョウ)
「練」の応用技。
オーラを体の一部に集め、増幅する技術。
オーラを集中させた箇所は攻防力が飛躍的に上昇し、その他身体能力も上がる。
ただし当然それ以外の箇所のオーラは薄くなり、攻防力は大きく落ちる。
打撃の際に手や足に集中させて威力を増したり、首やみぞおちなどの急所に集中させて致命傷を逃れたりと様々な局面で使われる技術だが、通常ただ「凝」と言う場合は、目に集めてオーラを見ることを意味する。
熟練者は「隠」で隠されたオーラをも見ることができる。
通常はどこか1箇所に「凝」を行うが、熟練した者は複数箇所で同時に「凝」を行うことができる。(後述の「流」参照)

堅(ケン)
「纏」「練」の応用技。
「練」で増幅したオーラを維持する技術。
念での戦いは主に「堅」を維持したまま闘うことになり、これが解けると(解くと)防御力が著しく落ちるため、よほど実力に差がない限り一瞬で敗北という状況にもなりうる。
仕組み的には全身を「硬」状態に保つという矛盾した動きが要求されるため、維持する時間を10分間伸ばすだけでも1か月かかると言われている。

円(エン)
「纏」「練」の応用技。
体の周囲を覆っているオーラを自分を中心に半径2m以上広げ、1分以上維持する技術。
「円」内部にあるモノの位置や形状を肌で感じ取ることができる。
その広さは個々人によって異なり、達人になると50m以上に達する。
通常は本人を中心とした円形にオーラが広がるが、例外もある。
コルトピは「コピーした物体の内部およびその表面」が「円」の範囲であり、ネフェルピトーは自身の意思で円形からアメーバ状に一部分だけを伸ばしたり、「円」内部に空洞を作ったりすることが可能である。

硬(コウ)
「纏」「絶」「練」「発」「凝」を複合した応用技。
練ったオーラを全て体の一部に集め、特定の部位の「攻撃力」「防御力」を飛躍的に高める技術。
「凝」の発展形とも言える。
「凝」による強化との違いは「絶」を併用することである。
すなわち「凝」の状態で他の部位からわずかに漏れ出している余分なオーラを敢えて「絶」で閉じることで、集中させた部位のオーラの量は更に増大するということである。
ただし、オーラを集中していない箇所は「絶」状態(ほぼ生身)になってしまうため、その部位の攻防力はほぼゼロとなる。
ゴンはウィングの「(教えたことの)全てを同時に見せなさい」というアドバイスを元に自らこの応用技にたどり着いたため、特に思い入れが強い様子。

流(リュウ)
「凝」の応用技。
オーラを体の各部に意識的に振り分ける技術。
「凝」の項目にあるとおり、「凝」は他の部位の攻防力が落ちるのでリスクをともなう技術である。
しかし、未熟な者はオーラを集中させるのに時間がかかったり、力んだ箇所にオーラが集中してしまったり、集中するオーラ量に加減がきかなかったりする。
そうなると「凝」での打撃のつもりが「凝」が間に合わず素手での打撃になってしまったり、相手の攻撃を察知してからでは「凝」での防御が間に合わなかったり、フェイントをかけたつもりが本命の方にオーラが集まっているのがバレたり、不必要にオーラを浪費してしまったり、という問題が起こる。
それらを解決するため、「凝」を素早く行う技術や、「凝」に使うオーラを必要最低限の量でセーブする技術、複数箇所で同時に「凝」を行う技術などが求められる。
これらを総称して「流」と呼ぶ。
この「流」による攻防力移動は、念能力者同士の戦いにおいて基本であるとともに、奥義でもある。

系統

念能力は、オーラの使われ方によって6つの系統に分類される。
念能力者は例外なくこれらのいずれかの系統に属した性質を持っており、それがその者の「才能」でありその系統の能力を最も高いレベルまで身に着けることができる。

これらは6角形の図で表されるような相関関係を持っており、それぞれ相性の「良い系統」「悪い系統」が存在する。
自身が属する系統と相性の良い系統は(天性の系統には及ばないまでも)高いレベルで身に着けることが可能であり、扱う際の「威力」「精度」共に高いが、そうでない系統は本来の系統から遠い能力ほど習得できる念のレベルと共に念の扱いが不得手となるために威力や精度が落ちる。
しかし、特質系は例外で、属していない人は全く使うことができない。

念能力の中には複数の系統の能力を必要とする能力が存在するが、相性の悪い系統を組み合わせた能力は習得が困難で高いレベルまで完成させられないなどのデメリットが存在する。
そのため能力を身に着けるならば自身の系統にマッチしたものが良いとされるが、実際に身につける能力がどんなものになるかは本人の性格や嗜好にも強く左右される。

心源流では、グラスに水を入れてその上に葉っぱを浮かべ、両手をグラスの脇にかざし「発(練)」を行いグラス内で起きた変化によって念能力者自身の系統を判断する「水見式」(みずみしき)と呼ばれる方法が伝わっている。
ヒソカによる各系統別の性格診断では、「強化系を単純で一途」「放出系を短気で大雑把」「変化系を気まぐれで嘘つき」「操作系を理屈屋・マイペース」「具現化系を神経質」「特質系を個人主義・カリスマ性あり」と単行本上でまとめられているが、あくまで彼の独断と偏見によるものとされている。

強化系
モノの持つ働きや力を高める能力。
主に自分自身を強める能力者が多い。
自分自身を強化すると、攻撃力だけでなく防御力や治癒能力も高まるため、戦闘面では最も安定して強い系統とも言われている。
水見式ではグラス内の水の量が変化する(例:水の量が増える)。

放出系
通常は自分の体から離れた時点で消えてしまうオーラを、体から離した状態で維持する技術。
この系統の能力としては、単純に「オーラの塊(=念弾)」を飛ばす技が最もポピュラーである。
また、体外に離した人の形などに留め操作系の能力で操作する使い方もある。
具現化系や操作系などと併用されることが多い。
水見式ではグラス内の水の色が変化する。

変化系
自分のオーラの性質を変える能力。
オーラに何かの形をとらせる技術も変化系に分類される。
オーラ自体を別の何かに変えるという点では、具現化系と共通点のある系統であるが、変化系はオーラの形状と性質を変化させ、具現化系はオーラを固形化させ物に変えるという違いがある。
具現化系と同じく、オーラを別の何かに変えるには、それに対する強いイメージが不可欠である。
水見式ではグラス内の水の味が変化する(例:甘くなる)。

操作系
物質や生物を操る能力。
オーラ自体に動きを与えたり、他の何かにオーラを流し込みその動きを操る能力もある。
前者である場合、具現化系と放出系など他の能力と併用することが多い。
逆に後者の場合は操作系能力単体で完結することも可能であるが、道具などを操作する能力である場合、道具に対する愛着や使い込みが能力の精度に影響することが多く、その道具を失うと能力が発揮できなくなるリスクがある。
水見式では水面に浮かぶ葉っぱが動く。

具現化系
オーラを物質化する能力。
オーラに形を持たせるという点では変化系と共通する部分がある。
オーラを物質化するほどに凝縮するには相当に強いイメージが必要である。
物質化したものに特殊な能力を付加する者が多い。
また、人間の能力の限界を超えたものは具現化できない(例:なんでも斬れる刀)。
水見式ではグラス内の水の中に、不純物が生成される。

特質系
他の5系統に分類できない特殊な能力。
血統や特殊な生い立ちによって発現する。
他の系統に属する者でも後天的に特質系に目覚める可能性がある。
特に六性図で特質系と隣り合う操作系と具現化系の能力者が特質系能力に目覚める可能性が高いとされている。
水見式では上記以外の変化が起きる(例:葉っぱが枯れる)。

制約と誓約と覚悟

念能力を使用する際に、あらかじめ「制約(ルール)」を決めて、それを遵守すると心に誓う。
その制約が厳しいほど、使う技は爆発的な威力を発揮する。
厳しい制約はイコール破ったときのリスクの厳しさであり、誓約を破ればその反動で能力やその者の命すら失う危険性がある。

顕著な例として、クラピカの「束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)」という能力がある。
また、リスクに加え、覚悟する事が念能力の向上に繋がることがあり、フランクリンの「俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)」のように、指先から「オーラの塊(念弾)」を連射する能力を、自分の指の先端を切断したという覚悟を持つことで、さらに飛躍的に威力を上昇させた。
ゴンは「(念能力を含む)全てを失ってもいい」と覚悟し、自身の命を圧縮することにより、のちに来るであろう全盛期の肉体まで成長させ、念能力を爆発的に上昇させたなどの例もある。

強力な能力ほど発動条件や踏まなければならない手順が複雑になる傾向がある。
このパターンの場合は破ったときのリスクが付くことは少ないが、その分条件が格段に厳しい場合が多い。
例として、ゲンスルーは条件無しで掴めば何でも爆破できる「一握りの火薬(リトルフラワー)」に対し、「相手に触れて『ボマー』と言う」「対象の前で能力の説明をする」「6000カウント経過するor仲間と指を合わせて『リリース』と言う」の3つのステップに加え、「能力者の体に触れ、『ボマーつかまえた』と言えば解除される」というリスクがある「命の音(カウントダウン)」の威力はおよそ10倍にも跳ね上がる。

キメラ=アント編では、使い勝手を悪くすることで能力を強化する制約が多くなる。
ナックルの「天上不知唯我独損(ハコワレ)」は「相手の反撃をかわしつつ敢えてオーラを与える」という条件で30日間強制的に相手を「絶」の状態にするという能力を実現している。

個別能力

能力使用者の個性が色濃く反映される特殊能力。
例えば「物を具現化する」という意識が強いとその能力が目覚める。
これは自分の系統と異なる場合でも目覚めることがあり、自分の系統と一致すればより強い能力となる。
これは気持ちで能力の強弱が決まるため、「好戦的である方が強い(戦闘向きな)」能力に目覚めることが多い。
取得後も念の強弱は才能という点が上達の速さや個人の限界に大きく関係する。
例を挙げればゴンとキルアの念能力の才能はウイングからすると「1000万人に1人の才能」だがゴン達より長く修行したはずのズシは「10万人に1人の才能」らしい。

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最終更新:2022年11月27日 02:43

*1 本人がそれに気づいているかは別

*2 念を扱うほどの実力がないと

*3 その際求められるのは「練」ではなく「発」である