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完全な置き場⇒詩の想い 詩の想い3



提供はbeyornic氏です
本家ラプランカ伝承(ハイバネ中心)をアレンジしたりしなかったりしながら、Salavec Rhaplancaに繋がるお話を考えました
昔ヒュムノス曲作ろうとしてこれを作ったんですが、スケールを大きくしすぎて自分の手に負えなくなってしまったものです
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荒れ果てた地で、ある少女が水を生み出す奇跡を紡いだ。
人々は少女に依存し、期待し、水に満足すれば食べ物、食べ物に満足すれば植物、植物に満足したら寝床…など。どんどん欲を膨らましていった。
少女はいくら力を使っても疲れることは無い。ただ、紡ぐものの大きさの限度はあった。
種類を選ばない食糧、少女が知識としてある物質、何でも紡げるが、村や泉などの非常に大きな物は紡げなかった。
そうして人々は自分達が望むもの全てを少女に紡いでもらうようになった。
少女も紡ぐ技術を研ぎ澄ましていき、同時に村人全ての望むものを紡げるようになった。
村人とやり取りをするうちに少女も知識を増やし、更に色々なものを紡げるようになっていった。

何でも好きなものが得られる。
周りの村からは「奇跡の村」として言われていた。
少女は自分の力のために、周りの村から襲われない様に、周りを厳重な鉄の壁で覆った。
こうして、「メタファリカ」の村が完成したのである。

全ては完璧だった。
少女の能力はどんどん開花していき、村の範囲ならどこにいても村人の声が聞けるようになり、同時にその場所へ直接物質を紡げるようになった。
他の誰かに頼むこともない。人々はそれぞれが自分だけの家を作ってもらい、そこに独り住み、口を動かし、少女に物質を紡いでもらうようになった。
ただそれだけの毎日がすぎていった。

変化のきっかけは、一人の村人の死だった。
それに気づくまでかなりの時間を要した。欲求の数が少なくなったと気づいた少女が、いつも欲求が聞こえてくるはずの家に赴いた時に、その死体が発見された。
家の中は散々だった。余った食糧が腐った臭い、無造作に捨てられた排泄物。
少女は意を決してその死体に近寄った。そして気づいた。
村人は息をしていた。しかし、目は半開きで遠くを見ている。ただ薄い呼吸の音が聞こえるだけだった。
少女は自身の知識の中に植物状態の人間というのがあるのを思い出した。まさにそれだった。
しかし自分の持っている知識とは違う。事故で脳が死んだわけではない。では何故?

そして少女は恐ろしいことに気づいた。他の家もこのような状況になっているのではないかと。
欲求の声が少なくなった家から順に見ていった。どこも同じ光景だった。
声がまだ頻繁に聞こえるところも、全く同じ状態だった。家に大きな音をたてて入った少女にも気づかずに、ただ欲求の声だけをあげている。
全ての家をまわって、少女は気づいた。最初に見た村人は何か外傷があってあのような植物状態になった訳ではない。
欲が消えたのだ。ただ食糧の欲求の不満が無い程度に無意識に食糧を求める声だけをあげているだけだったのだ。
そして遂に脳が麻痺し、自分が生きていることすらも忘れてしまったのだ。

少女は罪を感じた。
元々は貧しいこの村を救えれば、ただそれだけで良かったのだ。
それがどうしてこのような結果になってしまったのか。
もう少女は気づいている。自分にこのような何でも紡ぎだせる能力があるからだった。
なら能力が無ければいい。でもなくなることは無い。
初めてこの能力に怒りを感じた。そして嘘をついた。


少女は人々の自分への依存を断ち切るために、自分の力は尽きたと言った。
当然人々は彼女に迫る。「まだ力はあるんでしょう」「早く食糧を紡ぎなさい」と。
それでも少女は嘘を貫き通した。
人々は少女を見限り、「食糧も紡げないようならこの村にいる必要は無い」と村を追い出した。
少女は隣の村でひっそりと過ごすことになった。

その村は、村として正常だった。
素朴であるが、これこそがまさに少女が願っているものだった。
もちろん、この村には身よりはいないので、住む場所が無い。
しかし「奇跡の村」から来たと言えば、たちまち噂が流れ、村での話をしなければいけなくなり、最悪「奇跡の村」にばれる可能性もある。
少女は各地をさまよい、ここにたどり着いた、と村人に説明し、村長の家に居候することになった。
ここでは居候の身。村の仕事を手伝い、家事を手伝い、人間として生きる喜びを実感していった。
この喜びをあの村人達に伝えたい。彼女はそう思うようになっていった。

村長には息子がいた。その少年の名前をマオと言う。
マオは「奇跡の村」に興味深々で、いつか住んでみたいと話していた。
奇跡の村など嘘だろう、という風潮があったこの村では、マオはこの村では孤独だった。
マオの奇跡の村に対する期待は少女にとって非常に苦痛だった。反面、今その村はどうなっているのか、気になってもいた。
少女は村が嫌いにはなっていなかった。嫌いなのは村をあんなふうにしてしまった自分だった。
そして、村の人々には自分で生きることの素晴らしさ、幸せを実感して欲しい。ただそれだけを思っていた。
そして自分がいなくなった今、村はどうなってるのか調べに行くために、マオと一緒にこっそり村を見に行くことにした。

村は死んでいた。
当然だった。少女が与えたのは植物や食糧。決してその方法ではなかったのだ。
生きている人は数名。少女は村の全員を覚えていたが、顔をみて誰かを思い出せないくらい酷い光景だった。
よく見ると村の真ん中に柵がつくられ、そこで分断されていた。

目の前の村人に聞くと、少女が出てすぐに、村は内戦状態に入っていった。
最初は食糧を得るために、人々はそれぞれが互いに他の家を襲っていったそうだ。
しかし、少女が見たとおり全ての家はまるでゴミ箱のようだった。人間がまともに食べれるような食糧は一切無かった。
そして最後に、村の真ん中にあった少女の家を人々は襲い始めた。

 ―少女の家に入って、すぐにそれは発見された。
 家の床にわざとらしく置かれた手紙。それは少女が追い出される直前に少女が書きなぐったものだった。
 「私への依存を忘れ、村人全てが自分のこの手で生きることを思い出し、自分自身を取り戻してほしい」
 人々はその手紙を読み、共感するもの、少女に裏切られたと感じるもの、この共感側と反対側の二つの勢力に分けられた。
 共感側はあくまで対話での食糧の交渉を求めた。しかし、反対側は手段を選ばなかった。
 反対側は共感側を見境無く殺していった。そうして共感側は全滅した。
 しかし、また食糧を求めて、各個がそれぞれに争い始めた。
 ほとんどの村人が息絶え、遂に十数人となったところで、食糧が完全に尽きた。
 そして、何もなくなった今、この争いが何も生まなかったことに人々は今更気づいたのだ。
 一番重要なことは、自分達が自力で生きていかなければいけないことに気づいたのだ。
 全て遅すぎて、今人々は前よりも更に酷く、無気力になっている。
 少女には頼れない。でも自分達では生きていけない。
 いっそ、死んだ方いい。
 そう目の前の村人は語った―

マオは深く失望した。
期待していたものが、こんなにも酷い有様だとは思ってもみなかった。
でも、少女のしてきたことすべて、少女の想いをすべてを感じて、マオは少女を助けたいと思った。
マオは、少女と一緒にこの村を復興していくことを決意した。

残っている村人はほぼ餓死寸前で動けない。しかし少女は何も紡がなかった。
全てこの自分自身の手で生きていくことにした。
ただ、見殺しには出来ない。マオの村から食糧を持ってきて、それを村人に配った。

まず、少女は太陽をさえぎる鉄の壁を壊した。
かなりの力作業だったので、マオと村人に手伝ってもらった。
そして、腐った家を壊し、荒れ果てた地を均し、用水路を作り、田畑を作り、食糧を育てた。
水は井戸を掘って得た。全て手探りだった。

村人は自分で食物を作り、食べることに生きがいを感じた。
それこそが幸せなのだと、少女は村人に語った。

復興する中で、マオと少女は惹かれあい、この村で一生を一緒に生きていくことを誓った。
人々は少女の力を忘れ、少女も自身の力を忘れていった。


 …内戦時の反対側の中から一人、少女を求めて村を出たものがいる。
 少女を見つけて、村に戻そうとしたのだ。
 しかし、その村人は少女が行った村とは全く逆の方向へ行ってしまった。
 そして、ある日たどりついた街で、奇跡の村が復活したことを耳にした。
 噂をしている人から詳しい話を聴くと、なんでも今は奇跡の力を使わずに村を復興しているらしい。
 それは非常に勿体無いと思った村人は、奇跡の力の再興を考えて、力を求めていると言う魔道士にその話をもちかけた。
 魔道士は非常に興味をもち、少女を手に入れるべきある完璧な計画を立てた。



村は襲われた。
あまりにも突然だった。
いつもどおりの平穏な夜に、得体の知れない魔物が現れた。
内戦を経験した村人は人間に対する術は持っていたが、魔物に対する術は全くもってなかった。
唯一戦えるのはマオだけだった。マオの村では時々魔物が来るので、対処する術は身につけていた。
しかし強さが桁違いだった。マオは大怪我を負い、すぐに村の戦力は無くなった。

そこに通りすがりの魔道士が現れた。
彼はこの地を魔物の襲撃から救った。
しかし、最近できたこの付近の魔物の巣からは永遠に魔物が出続ける。
そこを封印しない限りは一生あの魔物に襲われると告げられた。
次に魔物が大量に巣から出てくる前兆、この周辺が不自然な闇に包まれる時に
ある生贄を一人、捧げなければこの村は滅びると魔道士は言った。




提供はblue_frappe氏です
「世界は音で繋がっている」をイメージしました
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「世界は音に満ちている――」
そう言ったのは、誰だったか……

陽が沈む刻
少女はひとり歌っていた
毎日ひとりで歌っていた
少女は歌が、歌うことが大好きだった
今日も朱く染まった空を見上げながら
少女はひとりで歌っていた

"もしも沢山の人たちと一緒に謳えたら…"
ふと少女の頭にそんな考えがよぎる
色褪せてしまった記憶、幼かった時分
村の子供たち皆で謳った懐かしい想い出

楽しかったな…

微笑ましい昔の記憶を辿っていく
そんな中、少女はとある言葉を思い出す
少女の中に一つの想いが生まれる

"世界中の皆と、一緒に謳いたい!!"

その日から少女の歌は少し変わった
遠くにいるであろう
自分と同じ想いを抱く人に向けて
この想いが必ず届くと信じて
陽が沈む刻
今日も少女はひとりで歌う

少女が抱いた想いは詩となり
少女の紡いだ詩は音となり
少女の奏でた音は世界に拡がる

高い高い山の向こうのもっと向こう
少女の音はひろがっていく
広い広い海の向こうのさらに向こう
少女の詩はひろがっていく
遠い遠い陸の向こうのそのまた向こう
少女の想いはひろがっていく

―世界は音に満ちている
―私達は常に誰かの奏でた想いに包まれているんだ

あの頃、半信半疑で聞いていた言葉
今は信じたい、本当にそうであって欲しい
祈りを込めて今日も少女はひとりで歌う

その時、少女の心に誰かの囁く謳が聞こえた――




提供はcanary_cafe氏です
皆さんのようにアルトネリコの背景を取り込んだ詩を考えるのが難しかったので
ヒュムノスクラスタの皆さんが出会い、アルシエルとそこの人々に想いを届ける
といったようなイメージで紡いでみました。
即興で紡いでしまったので拙い部分があるかもしれません・・・
+ ...


今日も 世界に 感謝を
願わくば そこに在る全ての生命に 祝福を―

我らは 生きている
この星(地球)の物語で

我らは 出会った
彼の星(アルシエル)の物語で
想いから紡がれた詩を通して

広がりゆく人々の繋がり
さぁ 謳おう我らの詩を

貴方たちに届けたい

この出会いをくれた世界に感謝の気持ちを
願わくば そこで出会った人々に祝福を―

そして―
私たちは貴方たちを愛しています と

響き渡れ この想い―

決して交わることのない二つの星の物語。
しかし 我らは出会ってしまった

貴方たちに何かをしてあげることはできないけれど
せめて この詩を 私たちの想いを 届けたい

感謝の気持ちを
愛する気持ちを

いくつもの月日が経ち
今日のことを忘れてしまっても
この詩と想いだけは世界に残ると信じて
我らは この詩を謳う

ありがとう アルシエル。
ありがとう そこに住まう全ての人たち










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最終更新:2011年10月31日 21:50