ひょんなことから女の子
ブランクライフ 3
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hyon
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398 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/20(火) 00:15:59.42 ID:mOV/JE7U0
「あの、もしかして貴女が……」
どのくらいたったかは分からないけれどようやっと彼が来た
「寒かったでしょ。とりあえずこれどうぞ」
コンビニの袋をガサガサと鳴らし、中から美味しそうな肉まんが出てくる
「時間に余裕あるかな、と思っていろいろ買ってきたんだけど…ごめんね」
他人が申し訳なさそうに頭をかく姿なんて初めて見た
こういう風に何かを貰ったのも初めて
謝られたのも初めて……
「あ、ご、ごめんね。いやホント女の子が寒い所で一人で……あの、いや…あんまんは嫌いだった?」
あんまんなんだこれ……
「別に嫌いじゃないです」
はむとかぶりつく
温かくて、甘くて、一緒に紙も口の中に入ってきて
それにちょっと塩辛い
「おいしいです」
とても上を向いてはいられなかった
「中に入ろうか?」
僕のより、もっと大きな手がそっと肩にかかる
ううん、もう少しこのままでいて…ください……
どのくらいたったかは分からないけれどようやっと彼が来た
「寒かったでしょ。とりあえずこれどうぞ」
コンビニの袋をガサガサと鳴らし、中から美味しそうな肉まんが出てくる
「時間に余裕あるかな、と思っていろいろ買ってきたんだけど…ごめんね」
他人が申し訳なさそうに頭をかく姿なんて初めて見た
こういう風に何かを貰ったのも初めて
謝られたのも初めて……
「あ、ご、ごめんね。いやホント女の子が寒い所で一人で……あの、いや…あんまんは嫌いだった?」
あんまんなんだこれ……
「別に嫌いじゃないです」
はむとかぶりつく
温かくて、甘くて、一緒に紙も口の中に入ってきて
それにちょっと塩辛い
「おいしいです」
とても上を向いてはいられなかった
「中に入ろうか?」
僕のより、もっと大きな手がそっと肩にかかる
ううん、もう少しこのままでいて…ください……
481 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/20(火) 20:08:33.21 ID:mOV/JE7U0
こたつは非常に温かい
こたつの外もストープのおかげで温かいのだが
なによりもこたつのほうが落ち着く
「えっと、君はお茶飲む?」
ぼけーっとテレビを見ている僕に、彼は色々と世話を焼いてくれる
「私がやります」
初めはそういったのだが、まぁまぁ君は座ってて、と言われ、それ以来ずっと座っている
こくり、とうなずく。彼はそう、と微笑み、台所の方へ歩いていく
いつもなら問答無用に僕がやらされたものだ
それを、今では全てやってくれる
僕は、ただ座っていて、と言われたから、ただ座っている
「はい、どうぞ」
粗茶ですが、というのが彼なりの流儀なのか……コトと置かれた湯のみはいい香り
ズズ………あちっ
流石にいれたては熱い
ふー、とベロを出していると、ガラスのコップに水
「ふいまふぇん……」
「お茶、熱過ぎたね。次はもう少しぬるくするよ」
ハハハ、と笑われた
……同じお茶、同じ「笑い」でも昔とは随分と違う
「あ、あの!……ゆ、夕食、私が作ります!」
こたつの外もストープのおかげで温かいのだが
なによりもこたつのほうが落ち着く
「えっと、君はお茶飲む?」
ぼけーっとテレビを見ている僕に、彼は色々と世話を焼いてくれる
「私がやります」
初めはそういったのだが、まぁまぁ君は座ってて、と言われ、それ以来ずっと座っている
こくり、とうなずく。彼はそう、と微笑み、台所の方へ歩いていく
いつもなら問答無用に僕がやらされたものだ
それを、今では全てやってくれる
僕は、ただ座っていて、と言われたから、ただ座っている
「はい、どうぞ」
粗茶ですが、というのが彼なりの流儀なのか……コトと置かれた湯のみはいい香り
ズズ………あちっ
流石にいれたては熱い
ふー、とベロを出していると、ガラスのコップに水
「ふいまふぇん……」
「お茶、熱過ぎたね。次はもう少しぬるくするよ」
ハハハ、と笑われた
……同じお茶、同じ「笑い」でも昔とは随分と違う
「あ、あの!……ゆ、夕食、私が作ります!」
……少しでもお礼がしたいですから
482 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/20(火) 20:09:55.35 ID:mOV/JE7U0
初めは俺が作るから座っていて、と言っていた彼も「じゃあ、一緒に作ろう」ということで落ち着いた
自分の意見が通ったのも、自分から食事を作ろうとしたのも、どうも初めてばかりだ
もしかしたら、もしかしなくても……迷惑かもしれないけど、おいしい料理は作れるはず
こんなことで感謝の気持ちが伝わるかは分からないけど、どうにかお礼がしたい
「あの、何かリクエスト、なんでもいいです……ケド…なにかありますか……?」
自分の意見が通ったのも、自分から食事を作ろうとしたのも、どうも初めてばかりだ
もしかしたら、もしかしなくても……迷惑かもしれないけど、おいしい料理は作れるはず
こんなことで感謝の気持ちが伝わるかは分からないけど、どうにかお礼がしたい
「あの、何かリクエスト、なんでもいいです……ケド…なにかありますか……?」
大丈夫、きっと上手くいく……はず
ははは…言わなきゃ良かったかも……
483 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/20(火) 20:11:41.34 ID:mOV/JE7U0
彼のリクエストで、頑張ってコロッケを作った
この一ヶ月、一切料理はしてこなかったけど、まずまずの出来だった
キャベツを刻んで、お味噌汁を作って、ごはんを炊いて、
この一ヶ月、一切料理はしてこなかったけど、まずまずの出来だった
キャベツを刻んで、お味噌汁を作って、ごはんを炊いて、
彼の作ったコロッケは挙げている最中に崩れちゃったけど……
それでもなんとか食卓の完成
うん、なかなかの出来栄え。これなら彼も……少しは喜んでくれると……いいなぁ……
うん、なかなかの出来栄え。これなら彼も……少しは喜んでくれると……いいなぁ……
484 名前:愛のVIP戦士 :2007/02/20(火) 20:14:11.09 ID:mOV/JE7U0
「それじゃあ、いただきます」
…お箸が衣を割き、ソースを絡めたキャベツと一緒に彼の口の中に……
「………………」
「…………サクサク」
「………………」
「…………モグモグ」
自分の食事そっちのけで、彼の口が開くのを待つ
「………………」
「…………モキュモキュ」
「………………」
「…………ゴクン」
「………………」
「…いや、じっと見られると食べにくいんだけど……」
あ、う、い、いや……ご、ごめんなさい
「…上手く作るたかどうか心配で……あの、美味しかったですか?」
「ん?ああ……人暮らしはじめてから食べた食事で一番……だな」
……え?あ……ホ、ホント?
「ありがとうございます!」
お礼は俺の方だって彼は言うけど…そんな、感謝したいのはこっちなのに……
あ、あれ?少しでも役に立ちたかったから、これでいいのに
「お、おい!泣くなよ、な?」
失敗したコロッケは俺が食うから、って言うけどそれは全く関係ないよ?
ふふ、関係ないけど…お腹……入りそうも無いや
おいしい?それじゃあ、私の分もどんどん食べてください
…お箸が衣を割き、ソースを絡めたキャベツと一緒に彼の口の中に……
「………………」
「…………サクサク」
「………………」
「…………モグモグ」
自分の食事そっちのけで、彼の口が開くのを待つ
「………………」
「…………モキュモキュ」
「………………」
「…………ゴクン」
「………………」
「…いや、じっと見られると食べにくいんだけど……」
あ、う、い、いや……ご、ごめんなさい
「…上手く作るたかどうか心配で……あの、美味しかったですか?」
「ん?ああ……人暮らしはじめてから食べた食事で一番……だな」
……え?あ……ホ、ホント?
「ありがとうございます!」
お礼は俺の方だって彼は言うけど…そんな、感謝したいのはこっちなのに……
あ、あれ?少しでも役に立ちたかったから、これでいいのに
「お、おい!泣くなよ、な?」
失敗したコロッケは俺が食うから、って言うけどそれは全く関係ないよ?
ふふ、関係ないけど…お腹……入りそうも無いや
おいしい?それじゃあ、私の分もどんどん食べてください
62 名前: 元ID:mOV/JE7U0 2007/02/25(日) 13:06:59.48 ID:M/dbOJDv0
結局、彼はお味噌汁二人分と、白米を二合、コロッケを6個も食べてしまった……
残しておけば、温め直すだけでまた明日も食べれるのに
僕がそう気づいたのは最後のお味噌汁を飲み干すとこだったから、仕方ない
「流石に……ウェップ……食い過ぎだ……」
食べ終わったとたんに後ろに倒れる
食べてすぐ寝るとうしになると言うけど、本当にそうだったら良かったのに、昔はそう思った
「それじゃあ、後片付け、しておきますね」
机の上に置かれた食器を重ね、流しへ運ぶ
そのまま、水をはったお味噌汁の鍋につけて、またこたつの中へ
こたつの中はぬくぬくとして温かい
「なぁ、ちょっと質問していいか?」
「いいですけど、なんですか?」
「どうして俺の家に来たんだ?俺、一応加害者だし、君もかなりの重体だったのに」
こう質問する彼は僕の事情を何処まで知っているんだろう
身内がいないことくらいは知っていると思う
本当は身元不明だってこともきっとお医者さんから聞いてるんだろうな……
残しておけば、温め直すだけでまた明日も食べれるのに
僕がそう気づいたのは最後のお味噌汁を飲み干すとこだったから、仕方ない
「流石に……ウェップ……食い過ぎだ……」
食べ終わったとたんに後ろに倒れる
食べてすぐ寝るとうしになると言うけど、本当にそうだったら良かったのに、昔はそう思った
「それじゃあ、後片付け、しておきますね」
机の上に置かれた食器を重ね、流しへ運ぶ
そのまま、水をはったお味噌汁の鍋につけて、またこたつの中へ
こたつの中はぬくぬくとして温かい
「なぁ、ちょっと質問していいか?」
「いいですけど、なんですか?」
「どうして俺の家に来たんだ?俺、一応加害者だし、君もかなりの重体だったのに」
こう質問する彼は僕の事情を何処まで知っているんだろう
身内がいないことくらいは知っていると思う
本当は身元不明だってこともきっとお医者さんから聞いてるんだろうな……
「……どうしても言わなくちゃダメ、ですか?」
幻滅されるのは嫌、できることなら聞かないで欲しい
だけど、どうしても、なら、僕は言わなくちゃいけない、そんな気がする
だけど、どうしても、なら、僕は言わなくちゃいけない、そんな気がする
63 名前: 元ID:mOV/JE7U0 2007/02/25(日) 13:08:19.22 ID:M/dbOJDv0
「そうか……」
はぁ、と溜息をついて、会話が途切れる
言葉の無い静けさに、お互いの呼吸がやけにはっきりと聞こえる
「ま、それなら別に話さなくてもいいか……」
だいぶ考えたみたいで、台詞になにか妙な、『力強さ』とはちょっと違う非常に似通った『何か』を感じた
「とにかく、この家に来たってことはあの事故は許してくれるってことでいいのかな?」
ゆるすも何も、貴方のおかげで、むしろ僕が救われてるのに
「それとも、復讐のために来たとか?」
「そ、そんなことないです!」
「冗談だよ」
「うっ……そ、そうですか……」
ひと月前なら、冗談なんて言わなかった
言われても、何の弁明も無く、ただただ僕が傷つくだけだった
こういうのは悪くない
笑顔でどうでもいい会話ができることって、それだけで嬉しい
だれかが無駄だと言っても、僕はそうは思わない
「うー、寝ている時覚悟してくださいよ」
おお、それは怖い、と彼が言う
「笑顔で言われても迫力は無いね」って
笑顔って素敵、心からそう思った
はぁ、と溜息をついて、会話が途切れる
言葉の無い静けさに、お互いの呼吸がやけにはっきりと聞こえる
「ま、それなら別に話さなくてもいいか……」
だいぶ考えたみたいで、台詞になにか妙な、『力強さ』とはちょっと違う非常に似通った『何か』を感じた
「とにかく、この家に来たってことはあの事故は許してくれるってことでいいのかな?」
ゆるすも何も、貴方のおかげで、むしろ僕が救われてるのに
「それとも、復讐のために来たとか?」
「そ、そんなことないです!」
「冗談だよ」
「うっ……そ、そうですか……」
ひと月前なら、冗談なんて言わなかった
言われても、何の弁明も無く、ただただ僕が傷つくだけだった
こういうのは悪くない
笑顔でどうでもいい会話ができることって、それだけで嬉しい
だれかが無駄だと言っても、僕はそうは思わない
「うー、寝ている時覚悟してくださいよ」
おお、それは怖い、と彼が言う
「笑顔で言われても迫力は無いね」って
笑顔って素敵、心からそう思った
112 名前: 『冬(仮)』 2007/02/26(月) 07:41:20.66 ID:YQaxlSWt0
「あーそうだ、お風呂はどうする?」
夜遅くのお話
「えーっと、この家に無いんですか?」
「いや、そりゃあるよ。ただ、君みたいな嫁入り前の子が、だな」
ああ、そうか。一応は僕も女の子なんだっけ
「別に私は気にしませんよ?だから気を遣っていただかなくっても大丈夫です」
「そ、そう?ならいいんだけど……」
「けどってことは、まだ何かありますか?」
「今日、お風呂入りたい?」
時計は、もう12時を過ぎている。確かにこの時間からお風呂というのも少々遅い
「んー、明日の朝、シャワーあびさせてもらえればうれしいですケド」
やっぱり、女の子たるもの、できる限りはお風呂に入りたいものだ、と入院中の小説に載っていたからね
「そうか、明日、いや今日か、俺が仕事に出るのが朝6時位だから……その後は自由にどうぞ」
寝室は用意しておきました、寝ないとキツイのでお先に失礼します。とこたつの中でそのまま横になる
布団の用意も嬉しいけど、僕としてはこたつで一回寝てみたかったりするんだけど、
それじゃあお休み、と言ったにも関わらず僕が寝ようとするまで電気を消さないつもりなのか
そんな態度がプレッシャー
すみません、おとなしくお布団お借りします
夜遅くのお話
「えーっと、この家に無いんですか?」
「いや、そりゃあるよ。ただ、君みたいな嫁入り前の子が、だな」
ああ、そうか。一応は僕も女の子なんだっけ
「別に私は気にしませんよ?だから気を遣っていただかなくっても大丈夫です」
「そ、そう?ならいいんだけど……」
「けどってことは、まだ何かありますか?」
「今日、お風呂入りたい?」
時計は、もう12時を過ぎている。確かにこの時間からお風呂というのも少々遅い
「んー、明日の朝、シャワーあびさせてもらえればうれしいですケド」
やっぱり、女の子たるもの、できる限りはお風呂に入りたいものだ、と入院中の小説に載っていたからね
「そうか、明日、いや今日か、俺が仕事に出るのが朝6時位だから……その後は自由にどうぞ」
寝室は用意しておきました、寝ないとキツイのでお先に失礼します。とこたつの中でそのまま横になる
布団の用意も嬉しいけど、僕としてはこたつで一回寝てみたかったりするんだけど、
それじゃあお休み、と言ったにも関わらず僕が寝ようとするまで電気を消さないつもりなのか
そんな態度がプレッシャー
すみません、おとなしくお布団お借りします
布団の中に電気湯たんぽ、お心遣い感謝します
113 名前: 『冬(仮)』 2007/02/26(月) 07:42:17.53 ID:YQaxlSWt0
それにしても、ふかふかの布団は逆に眠りづらいもので、時計の短針が“2”の上に被さっても未だに目が覚めたまま
部屋を仕切るふすまの向こうには彼が寝ているわけで
こたつで眠ると風邪を引きやすいって聞くから、毛布くらいはかけてあげるのが礼儀な気がする
スッっとふすまを開けて、彼が眠っているのを確認して
月の明かりだけを頼りに、毛布を持って、抜き足差し足忍び足
やっぱり寒いのか、少し背を曲げるように小さく丸くなっている
風邪、ひかないでくださいね?
部屋を仕切るふすまの向こうには彼が寝ているわけで
こたつで眠ると風邪を引きやすいって聞くから、毛布くらいはかけてあげるのが礼儀な気がする
スッっとふすまを開けて、彼が眠っているのを確認して
月の明かりだけを頼りに、毛布を持って、抜き足差し足忍び足
やっぱり寒いのか、少し背を曲げるように小さく丸くなっている
風邪、ひかないでくださいね?
今夜は満月。
ひと月前、事故のあった晩も本当に綺麗な月だった……多分
ひと月前、事故のあった晩も本当に綺麗な月だった……多分