23 名前:閉鎖まであと 9日と 18時間 :2007/01/14(日) 02:56:42.86 ID:6Z+hhIP7O
兄「はははははっ!」
俺「笑ってんじゃねーよこのクソ兄貴!」
〔第1,5話 だらりと流れる午後の一時〕
肉親というのはどうしてこうも軽薄なのだろう。
俺が女になって早一ヶ月。
俺は週一で行われる検査を終え、兄貴の研究室でお茶をご馳走になっていた。
兄「しかし、いきなり痴漢だろ?いつ聞いてもおかしくてなぁ」
俺「笑い事じゃねえっつーの…」
女「そうですよ、不謹慎です」
俺の呟きに、一緒にテーブルを囲んでいた女性がうんうんと頷く。
この人――佐伯霧子さんは兄貴の助手を務めている。更に言えば、俺の義姉になる予定の人でもある。
研究以外にはてんでズボラな兄貴が何とか生きていけているのも、この公私ともに優秀なパートナーのお陰だろう。
霧「先生は女性の恐怖する気持ちが分からないんですか?」
兄「いや、悪いと思ってるさ。
それにしても興味深いな。男としての理性を持っていても、体が女性なら嫌悪感や対応はそちらに類似する…」
霧「全く話が通じて無い…」
俺「そもそも男だってケツ触られたらムカッとすんだろ」
俺「笑ってんじゃねーよこのクソ兄貴!」
〔第1,5話 だらりと流れる午後の一時〕
肉親というのはどうしてこうも軽薄なのだろう。
俺が女になって早一ヶ月。
俺は週一で行われる検査を終え、兄貴の研究室でお茶をご馳走になっていた。
兄「しかし、いきなり痴漢だろ?いつ聞いてもおかしくてなぁ」
俺「笑い事じゃねえっつーの…」
女「そうですよ、不謹慎です」
俺の呟きに、一緒にテーブルを囲んでいた女性がうんうんと頷く。
この人――佐伯霧子さんは兄貴の助手を務めている。更に言えば、俺の義姉になる予定の人でもある。
研究以外にはてんでズボラな兄貴が何とか生きていけているのも、この公私ともに優秀なパートナーのお陰だろう。
霧「先生は女性の恐怖する気持ちが分からないんですか?」
兄「いや、悪いと思ってるさ。
それにしても興味深いな。男としての理性を持っていても、体が女性なら嫌悪感や対応はそちらに類似する…」
霧「全く話が通じて無い…」
俺「そもそも男だってケツ触られたらムカッとすんだろ」
24 名前:閉鎖まであと 9日と 17時間 :2007/01/14(日) 03:39:02.18 ID:6Z+hhIP7O
兄「生活には慣れたか?」
俺「ああ。というか、まだあんま変化が無いな。
そういや、ちょーこには体の事喋っても良かったんだよな?」
兄「そもそも俺が世話を頼んだんだから構わないさ。
とはいえお前は世界初の被験体。周囲には出来るだけ気付かれないようにしてくれ」
俺「了解」
霧「あんまり不安になることはないんですよ。
普通に生活していればいいんですから」
霧子さんはそう言ってくれたが、やはり気にかかる事は山ほどある。
俺「そういやさ」
兄「なんだ?」
俺「…この体って、もともと誰のものなんだ?」
これは、結構前から気になっていた。
いくら兄貴でも一から人の体を造れるとは思えない。
誰かの体を使ったと考えるのが普通だろう。
兄「…やはり、気になるか」
その時、兄貴の顔つきがほんの少し変わったのを俺は見逃さなかった。
思わず、ゴクリと唾を飲み込む。
俺「ああ」
兄「生活には慣れたか?」
俺「ああ。というか、まだあんま変化が無いな。
そういや、ちょーこには体の事喋っても良かったんだよな?」
兄「そもそも俺が世話を頼んだんだから構わないさ。
とはいえお前は世界初の被験体。周囲には出来るだけ気付かれないようにしてくれ」
俺「了解」
霧「あんまり不安になることはないんですよ。
普通に生活していればいいんですから」
霧子さんはそう言ってくれたが、やはり気にかかる事は山ほどある。
俺「そういやさ」
兄「なんだ?」
俺「…この体って、もともと誰のものなんだ?」
これは、結構前から気になっていた。
いくら兄貴でも一から人の体を造れるとは思えない。
誰かの体を使ったと考えるのが普通だろう。
兄「…やはり、気になるか」
その時、兄貴の顔つきがほんの少し変わったのを俺は見逃さなかった。
思わず、ゴクリと唾を飲み込む。
俺「ああ」
25 名前:閉鎖まであと 9日と 17時間 :2007/01/14(日) 03:43:04.22 ID:6Z+hhIP7O
兄「…まあ無縁仏みたいなものさ。
それにナノマシン処理を施して使った」
なんとも抽象的な話だ。なんでもズバズバ話す兄貴としては珍しい。
俺「……」
兄「すまんな。これも機密のうちの一つなんだ」
俺「移植された本人にも話せないのか?」
兄「今はまだ気にしなくていい。時がきたら話そう。
そうだな…お前の体が元に戻った時に」
そう言った時には、兄貴は元の快活な顔に戻っていた。
俺「…分かった。
で、俺の本当の体は?」
兄「まだ修復中。あと半年って所だな」
俺「そんなにかかるのか?」
兄「ナノマシンによる自己修復に頼るしかないからな。
お前も修復効果に気付いたろ?」
俺「まあ」
この体、軽く指を切った程度ならものの数秒で完治するようだった。
兄「これもナノマシンの記憶と複製作用の一つさ。
有機体には効果が遅いのが難点だけどな」
俺「なるほどね」
兄「だからってあんまり無茶はするなよ?
まだ実験段階の技術だし、何より目立つ」
俺「しないって」
霧「体は大事にしないと。女の子ですもんね」
俺「違います」
また明るい雰囲気に戻ったのを感じる。
ただ、先程兄貴が見せた表情が忘れられず、俺はコーヒーカップに浮かぶ自分の顔をじっと眺めていた。
〔第1,5話 完〕
兄「…まあ無縁仏みたいなものさ。
それにナノマシン処理を施して使った」
なんとも抽象的な話だ。なんでもズバズバ話す兄貴としては珍しい。
俺「……」
兄「すまんな。これも機密のうちの一つなんだ」
俺「移植された本人にも話せないのか?」
兄「今はまだ気にしなくていい。時がきたら話そう。
そうだな…お前の体が元に戻った時に」
そう言った時には、兄貴は元の快活な顔に戻っていた。
俺「…分かった。
で、俺の本当の体は?」
兄「まだ修復中。あと半年って所だな」
俺「そんなにかかるのか?」
兄「ナノマシンによる自己修復に頼るしかないからな。
お前も修復効果に気付いたろ?」
俺「まあ」
この体、軽く指を切った程度ならものの数秒で完治するようだった。
兄「これもナノマシンの記憶と複製作用の一つさ。
有機体には効果が遅いのが難点だけどな」
俺「なるほどね」
兄「だからってあんまり無茶はするなよ?
まだ実験段階の技術だし、何より目立つ」
俺「しないって」
霧「体は大事にしないと。女の子ですもんね」
俺「違います」
また明るい雰囲気に戻ったのを感じる。
ただ、先程兄貴が見せた表情が忘れられず、俺はコーヒーカップに浮かぶ自分の顔をじっと眺めていた。
〔第1,5話 完〕