14 名前: 右大臣(中国地方) :2007/04/12(木) 22:38:17.35 ID:7spOWu8z0
「よぉ!」
「よぉ!」
と、通学中の俺は肩を叩かれた。こういうことをするのはひとりしかいない。朝っぱ
らからテンション高く、スロースターターの俺とは対極な奴。今日は月曜日だが、それ
さえもマイナス要因にはならないらしい。
らからテンション高く、スロースターターの俺とは対極な奴。今日は月曜日だが、それ
さえもマイナス要因にはならないらしい。
「毎朝毎朝よくもまあそんなクライマックスなテンションでいられるよな、まったく…
…ってどちらさま?」
振り返ると、見知った顔じゃない人がいた。女の子だ。俺と同じ高校の制服と学年の
徽章の活発そうな女の子。だたし、見たことはない。
あれ? あいつと同じ行動取ってるからてっきり奴かと思ったが、違ったみたいだ。
徽章の活発そうな女の子。だたし、見たことはない。
あれ? あいつと同じ行動取ってるからてっきり奴かと思ったが、違ったみたいだ。
「あはははは! なんて顔してんだよ。オレだよオ・レ」
指差して大笑いされた。なんだっていうんだ。
「なんか勘違いしてるようだが、俺はあんたを知らない」
「まったくあいかわらず鈍いなオマエ。せっかくいつものように振舞ってやってるって
のに。それだけでふつー気づきそうなもんだろ」
のに。それだけでふつー気づきそうなもんだろ」
その心底楽しそうに腹をかかえて笑う姿が一瞬ダブった。俺のよく知っている奴もこ
うやって腹をかかえて笑うクセがあった。
うやって腹をかかえて笑うクセがあった。
15 名前: 右大臣(中国地方) :2007/04/12(木) 22:39:46.68 ID:7spOWu8z0
「まさか……お前……」
「まさか……お前……」
いや、そんなはずはない。俺の知っている奴は男だ。間違ってもこんなカワイイ女の
子じゃない。これは奴が俺をからかうためにエキストラに頼んだに違いない。
子じゃない。これは奴が俺をからかうためにエキストラに頼んだに違いない。
「やっと気づいたか。遅いぞ、オマエ。あー、ホントここまでリアクションでヒント出
しても気づかないんだもんな。最後までこのままかと思ったよ」
しても気づかないんだもんな。最後までこのままかと思ったよ」
そういう彼女(彼?)の顔は雰囲気が奴そっくりだった。
「いや、まだ信じたわけじゃ──」
「うじうじ疑うなよ。男のくせに」
まだ完全に信じたわけじゃないが、信じないと話が進まないようだ。まったくRPGに
出てくる王様と会話している気分だ。
出てくる王様と会話している気分だ。
「じゃあ、お前その格好は?」
「これ? 似合ってるだろ」
くるりとその場で一回転して見せた。制服の上からでもわかる豊かな胸と突き出した
ヒップとふわっと浮き上がるスカートの裾につい目がいってしま──いかんいかん。
ヒップとふわっと浮き上がるスカートの裾につい目がいってしま──いかんいかん。
「そうじゃないって。なんでお前は女になったんだ? 先週まで男だったじゃないか」
16 名前: 右大臣(中国地方) :2007/04/12(木) 22:40:15.84 ID:7spOWu8z0
「オレにもよくわからん」
「オレにもよくわからん」
「なんだよそれ」
「そう言うなよ。かいつまんでシンプルに説明するとだな、昨日朝起きたらこうなって
た。以上」
た。以上」
シンプルすぎて逆にわからん。いったいどうしたっていうんだ。
「オマエ、まだ信じてないな」
「そりゃそうだろ……。いきなり女になったなんて話、聞いたことがない」
「証拠を見せてやろうか?」
「証拠? まあ、中身がお前だってことは認めなくもないが」
それぞれの仕草はいつも見ている奴のそれに一致した。ここまで行動をコピーできる
のは紅天女の演者くらいか本人しかいない。
のは紅天女の演者くらいか本人しかいない。
「そうじゃねーよ。オレが女になった証拠を見せてやるって言ってんだ」
その意味を理解する前に、視線だけがそっちに釘付けになった。
17 名前: 右大臣(中国地方) :2007/04/12(木) 22:41:15.84 ID:7spOWu8z0
「どうだ、ホンモノのおっぱいだろ!」
「どうだ、ホンモノのおっぱいだろ!」
こともあろうに奴は天下の往来でブレザーとブラウスのボタンをひとつ残らずはずし、
その下にある大胸筋サポーター──俗にいうブラジャーを俺に見せ付けていた。確か
にそこにはブラによって整形された見事な谷間があった。
その下にある大胸筋サポーター──俗にいうブラジャーを俺に見せ付けていた。確か
にそこにはブラによって整形された見事な谷間があった。
「どうだ、なんなら触ってみるか? ただしだ……オレをオレだと認めたらタッチする
ことを許可してもいい」
ことを許可してもいい」
畜生、俺がおっぱい星人だと知っていての狼藉だ。今すぐにでも腕を振り上げて「おっ
ぱい!おっぱい!」と連呼したい。
しかし、押しとどめる。それにはちゃんとした理由があった。
ぱい!おっぱい!」と連呼したい。
しかし、押しとどめる。それにはちゃんとした理由があった。
「どうしたんだよ、早く触れよ! 触ってオレだって認めろよ!」
「泣きながら言うようなセリフじゃないだろ」
奴は泣いていた。顔を赤くし、なにかに耐えるように声を押し殺して泣いていた。
そんな状態で触ろうなんて気にはなr──ああ、ならないとも。
そんな状態で触ろうなんて気にはなr──ああ、ならないとも。
18 名前: 右大臣(中国地方) :2007/04/12(木) 22:41:40.55 ID:7spOWu8z0
「あー、わかったわかった。認めるから。全面肯定するから。触らなくても大丈夫だ」
「あー、わかったわかった。認めるから。全面肯定するから。触らなくても大丈夫だ」
「……意気地なし」
「泣いてるお前に言われたくないな」
「バーカ。涙は女の特権なんだよ」
端々に若干の差異はあるが、基本スペックは奴は奴のままだった。どんなに追い詰め
られていても強がるところとか。
られていても強がるところとか。
「しかし、世の中よくわからん……」
つい最近まで男だったやつが女になる。
……やっぱり騙されてる気がするな。
……やっぱり騙されてる気がするな。