711 :(・・) :2008/05/10(土) 03:27:01.79 ID:pWBNs4M0
「何やってんだよ、あいつはよぉ…」
ぼやきながら俺、三ツ屋浩輔は奴のアパートへ向かう。
ぼやきながら俺、三ツ屋浩輔は奴のアパートへ向かう。
奴とは俺の親友、近江由雄のことである。
俺と同じ大学であり、高校時代からの付き合いである由雄はいつもつるんで行動する事が
多かったのだが、ここ最近すっかり顔を会わす事が無くなっていた。
俺と同じ大学であり、高校時代からの付き合いである由雄はいつもつるんで行動する事が
多かったのだが、ここ最近すっかり顔を会わす事が無くなっていた。
俺自身もバイトで忙しくなっていたのも原因の一つではあるのだが、由雄の奴も
ここ数週間ほど大学の講義に顔を出さなくなっていた事の方が大きい。
ここ数週間ほど大学の講義に顔を出さなくなっていた事の方が大きい。
とりあえずメールや電話でお互い連絡を取り合っていたのだが、それもここ1週間ほど
音信不通の状態が続き、不審に思った俺は講義とバイトの合間を縫って奴のアパートへ
来た次第である。
音信不通の状態が続き、不審に思った俺は講義とバイトの合間を縫って奴のアパートへ
来た次第である。
ピンポーン
呼び鈴を鳴らす。
…
…返事が無い。
えい、もう一度だ。
ピンポーン、ピンポーン
ピンポーン、ピンポーン
…
…
…やっぱり返事が無い。
う~ん、留守かな? 仕様が無い、帰るか…と思った時
由雄の部屋からわずかながら小さな物音がしたのを俺の耳は聞き逃さなかった。
由雄の部屋からわずかながら小さな物音がしたのを俺の耳は聞き逃さなかった。
奴が居る事を判断した俺は迷わずドアを何度も強くノックした。
「由雄!居るんだろ!! 俺だ、浩輔だ!」
「由雄!居るんだろ!! 俺だ、浩輔だ!」
相変らず反応は返って来ないが俺は呼び掛けを続ける。
「おい!由雄、コラ!! 居留守使うんじゃねぇ! 俺には分かってるんだ!
黙っていたって仕方ねぇだろが! 何があったか知らんが親友の俺を無視するなんて
いい度胸だ! いいから男らしく出て来い!! 」
「おい!由雄、コラ!! 居留守使うんじゃねぇ! 俺には分かってるんだ!
黙っていたって仕方ねぇだろが! 何があったか知らんが親友の俺を無視するなんて
いい度胸だ! いいから男らしく出て来い!! 」
…
…反応が無い。
…やっぱ、居ないのか?
俺は完全に肩透かしを喰らった気分になり、すっかり諦めモードに入ったその時、
由雄の部屋の扉が僅かながらも開いたのを見た。
712 :(・・) :2008/05/10(土) 03:29:08.77 ID:pWBNs4M0
「…」
俺は完全に肩透かしを喰らった気分になり、すっかり諦めモードに入ったその時、
由雄の部屋の扉が僅かながらも開いたのを見た。
712 :(・・) :2008/05/10(土) 03:29:08.77 ID:pWBNs4M0
「…」
扉の隙間は約1センチ切るかどうかという程度であったが、
俺の呼び掛けに反応して由雄が開けてくれたものと俺は判断した。
俺の呼び掛けに反応して由雄が開けてくれたものと俺は判断した。
「…由雄、居たなら居たで返事しろよ。全く、俺は心配してんだぜ。
でもまぁ、とりあえず開けてくれて嬉しいぜ。」
でもまぁ、とりあえず開けてくれて嬉しいぜ。」
「…」
由雄は何も言わない。
でも誰かが扉の前にいる事は確かであり、人の気配がする。
でも誰かが扉の前にいる事は確かであり、人の気配がする。
「由雄、居るんだろ? 黙っていると何だか不気味だぞ。
とりあえず中に入るぞ?いいな?」
とりあえず中に入るぞ?いいな?」
このままでは話が進まないので俺は意を決し、扉を開けた。
「…」
「…お? あれ?」
「…」
「…え~っと、あれ?」
「…」
「…ここは近江 由雄君の部屋ですよね?」
「…」
この時の俺はどれだけ間抜けな対応をしていたのか分からない。
でも、自分の予測が大きく外れた状況でどれだけ冷静な反応ができるのかと
他の奴らに問いたいものである。
でも、自分の予測が大きく外れた状況でどれだけ冷静な反応ができるのかと
他の奴らに問いたいものである。
俺が部屋の扉を開けるとそこには少女が立っていた。
部屋の中はカーテンで閉め切っていた為 暗く、少女の顔の表情を窺い知ることが
出来なかったが、間違いなくそこには由雄では無くこの少女が立っていた。
出来なかったが、間違いなくそこには由雄では無くこの少女が立っていた。
「…」
「…」
俺と少女、二人とも無言でお互いを見つめ合いながら固まっている時間が続いた。
「…とりあえず、上がれよ」
この状況にしびれを切らしたのか少女が小さな声で俺に話しかけた。
何となくその口調は「もうどうにでもなれ」といった投げやりな感じがした。
何となくその口調は「もうどうにでもなれ」といった投げやりな感じがした。
716 :(・・) :2008/05/11(日) 06:43:02.77 ID:g1WbK1M0
「なんだ…これは」
「なんだ…これは」
少女の招きで部屋の中に入った俺はその惨状に唖然とした。
薄暗い部屋の中は衣類や雑誌、ペットボトル、食料パック類のゴミなど散らかり放題で
荒れ果てていた。俺の知る限り、この部屋の住人が由雄であるならば
この様な状況を放置している人間ではない。奴は自分の部屋をいつも綺麗に
していてかなり几帳面なところがあるのを俺は知っている。
荒れ果てていた。俺の知る限り、この部屋の住人が由雄であるならば
この様な状況を放置している人間ではない。奴は自分の部屋をいつも綺麗に
していてかなり几帳面なところがあるのを俺は知っている。
…という事はこの部屋の住人はもう由雄では無いと言う事か。
では、由雄は何処に行ったのか? そして俺の前に居る少女は何者なのか?
では、由雄は何処に行ったのか? そして俺の前に居る少女は何者なのか?
正直、あまり長居したくない状況ではあるが俺自身の疑問が
解決するまではここから出るわけにはいかなかった。
解決するまではここから出るわけにはいかなかった。
少女は、と言えば辛うじて座ることが出来そうな衣類の山と山の間に挟まるような
感じで膝を抱えて座りこんでいる。
感じで膝を抱えて座りこんでいる。
「…」
相変わらず無言のままで先刻からずっと俺を見続けている。
ううっ、何だか非常に居心地が悪い。
ううっ、何だか非常に居心地が悪い。
「何て言うか…、散らかっていて酷い部屋だよな。手伝ってやるからまずは掃除しようぜ。」
俺はそう言うと閉め切っていたカーテンを開け、窓を開けた。
俺はそう言うと閉め切っていたカーテンを開け、窓を開けた。
部屋の中が急に明るくなる。少女は一瞬眩しそうな顔をしたがその後は特に反応せず
無言で俺の行動を眺めていた。
無言で俺の行動を眺めていた。
俺は今の状況だと間が持たないというのもあり、とりあえず身体を動かす事で
現状の解決みたいなものを図ってみるつもりであった。
717 :(・・) :2008/05/11(日) 06:44:20.27 ID:g1WbK1M0
「…」
現状の解決みたいなものを図ってみるつもりであった。
717 :(・・) :2008/05/11(日) 06:44:20.27 ID:g1WbK1M0
「…」
「…」
無言の時間が続いた。相も変わらず少女は膝を抱えて座り込んでいる。
俺は黙々と部屋の片付けをしている。
俺は黙々と部屋の片付けをしている。
…しかし、時間が経つにつれて俺自身の疲労もあり
「何で俺がこんな事せにゃならないんだ」といった鬱積した気持ちが自分自身の中で
充満していくのを感じていた。
元々俺はそんなに掃除とか得意じゃない。散らかすのは得意だが、片付けるのは苦手だ。
そんな俺が先刻から黙々と片付け作業をしているのだ。
「何で俺がこんな事せにゃならないんだ」といった鬱積した気持ちが自分自身の中で
充満していくのを感じていた。
元々俺はそんなに掃除とか得意じゃない。散らかすのは得意だが、片付けるのは苦手だ。
そんな俺が先刻から黙々と片付け作業をしているのだ。
少女はそんな俺の働きをぼんやりと見ている。
たぶん部屋を散らかした張本人であるにも関わらず、俺の掃除の手伝いもしようとしない。
たぶん部屋を散らかした張本人であるにも関わらず、俺の掃除の手伝いもしようとしない。
俺の中でイライラした気分がどんどん大きくなっていくのを感じていて、
ある程度までは我慢していたがついに耐えられず爆発した。
ある程度までは我慢していたがついに耐えられず爆発した。
「おい!コラ! ふざけんなよ!! 俺はお前の召使でも何でも無いんだ!!
自分の部屋だろ! 俺ばっかやらせんな!!」
自分の部屋だろ! 俺ばっかやらせんな!!」
「!」
いきなりの俺の爆発に少女はビックリしたのか目を見開いたまま固まっていた。
いきなりの俺の爆発に少女はビックリしたのか目を見開いたまま固まっていた。
「聞こえて無いのかよ! お前も片付けをしろって言ってんだよ!!」
初対面の相手、しかも女の子に対してかなりキツイ口調であったが
俺は遠慮なく怒鳴った。
後で冷静に考えるとあの異様な状況に対し、解決の糸口らしきものが見当たらないこともあってか
俺自身かなりフラストレーションが溜まっていたのかも知れない。
初対面の相手、しかも女の子に対してかなりキツイ口調であったが
俺は遠慮なく怒鳴った。
後で冷静に考えるとあの異様な状況に対し、解決の糸口らしきものが見当たらないこともあってか
俺自身かなりフラストレーションが溜まっていたのかも知れない。
718 :(・・) :2008/05/11(日) 06:47:40.46 ID:pl9xkyg0
ともかく俺は謎の少女に対しかなりの事を言ったわけだが
次の瞬間、少女の反応は俺を驚かせた。
ともかく俺は謎の少女に対しかなりの事を言ったわけだが
次の瞬間、少女の反応は俺を驚かせた。
「…知るかよ」
「…ん? 何かいったか?」
「知るかよって言ったんだよ! ここは俺の部屋だ! 別に浩輔に掃除して欲しいって
頼んだ憶えも無いし、寧ろ余計な事をするなよ! なんで浩輔なんかに怒られなきゃなんないんだよ!
これ以上俺に構わないでくれ!!」
少女は叫ぶと立ち上がり、俺を部屋から追い出そうとした。
頼んだ憶えも無いし、寧ろ余計な事をするなよ! なんで浩輔なんかに怒られなきゃなんないんだよ!
これ以上俺に構わないでくれ!!」
少女は叫ぶと立ち上がり、俺を部屋から追い出そうとした。
「ええ? な、なんだぁ?」
俺はいきなりの少女の行動に戸惑う。しかも今、俺の事を「浩輔」って…。
俺はいきなりの少女の行動に戸惑う。しかも今、俺の事を「浩輔」って…。
「このっ! このぉぉぉぉっ!!」
顔を真っ赤にしながら少女は必死に俺を部屋から押し出そうとしている。
顔を真っ赤にしながら少女は必死に俺を部屋から押し出そうとしている。
俺はそれほど背が高いわけではないがそれでも170以上の身長がある。
それに対し、少女は俺より頭一つ分低い身長。たぶん150ちょいか。
それに対し、少女は俺より頭一つ分低い身長。たぶん150ちょいか。
「~っ! ~!」
俺とこの少女の体格差、体力差を考えるとどう考えても
俺を部屋から力づくで追い出す事なんて無理だよなと混乱した状況に
おいても判断してしまう。
719 :(・・) :2008/05/11(日) 06:54:30.37 ID:pl9xkyg0
「…はぁ、はぁ」
俺を部屋から力づくで追い出す事なんて無理だよなと混乱した状況に
おいても判断してしまう。
719 :(・・) :2008/05/11(日) 06:54:30.37 ID:pl9xkyg0
「…はぁ、はぁ」
間も無く少女は体力の全てを使い果たすと、多少は片付いた部屋の絨毯の上に
突っ伏してゼイゼイ言っていた。
突っ伏してゼイゼイ言っていた。
俺はというとそれ程疲れてなかったので少女の様子を見ながらアパートに来る前に
コンビニで購入していた由雄へ差し入れ用のコーラを開け、コップにそれを注ぐ。
コンビニで購入していた由雄へ差し入れ用のコーラを開け、コップにそれを注ぐ。
「…ほら、疲れたろ。これでも飲めよ」
「…」
少女は俺の差し出したコーラと俺の顔を交互にジト目で見る。
「いらないなら俺が飲むけど、いいか?」
「…駄目だ、俺が飲む。」
少女はゆっくり身体を起こすと俺の手のコップを受け取るをその中の
コーラを美味しそうに飲み出す。
少女はゆっくり身体を起こすと俺の手のコップを受け取るをその中の
コーラを美味しそうに飲み出す。
「お前、美味そうにコーラ飲むなぁ。そういや、由雄の奴もお前みたいに
美味そうに飲むんだよなぁ。」
俺自身先刻まで冷静で無かったのでじっくり観察していなかったが、
俺の前にいる少女は15、16歳位?割と幼い印象を受ける。
目鼻立ちがハッキリしていて中々の美少女である。
肩までかかる髪の毛が乱雑にしているせいかボサボサなので最初は見た目が悪く感じたが
綺麗にまとめてみたらかなりいい線いくのではないだろうか。
美味そうに飲むんだよなぁ。」
俺自身先刻まで冷静で無かったのでじっくり観察していなかったが、
俺の前にいる少女は15、16歳位?割と幼い印象を受ける。
目鼻立ちがハッキリしていて中々の美少女である。
肩までかかる髪の毛が乱雑にしているせいかボサボサなので最初は見た目が悪く感じたが
綺麗にまとめてみたらかなりいい線いくのではないだろうか。
落ち着いて観るとさらに気になってくるのが彼女の着ている服装である。
どこかで観たことのある男物の洋服。しかし、サイズがまるで合っていない。
裾を何度も折り返して丈を合わせているようであるがかなりフカブカである。
どこかで観たことのある男物の洋服。しかし、サイズがまるで合っていない。
裾を何度も折り返して丈を合わせているようであるがかなりフカブカである。
そんな感じで俺が少女を観察している間、黙ってコップのコーラを飲んでいた少女で
あったが先刻の俺の呟きを聞いていたのか俺の顔をじっと見つめてきた。
あったが先刻の俺の呟きを聞いていたのか俺の顔をじっと見つめてきた。
「ん?どうした?」
「…どうしたもこうしたも無い。浩輔、お前先刻俺のことを由雄みたいって言ったけど、
みたいじゃなくって俺自身が由雄本人だから。」
みたいじゃなくって俺自身が由雄本人だから。」
723 :(・・) :2008/05/13(火) 21:21:47.76 ID:2UIUIXU0
「…だから何度も言ってるだろう、なんで判んないかな?」
散らかった衣類を折りたたみながら少女は俺を睨みつける。
「…だから何度も言ってるだろう、なんで判んないかな?」
散らかった衣類を折りたたみながら少女は俺を睨みつける。
「いや、だから何度言われても分からないから。」
俺は突っかかってくる少女の言葉をかわしつつ、ビニール袋にゴミを入れていく。
俺は突っかかってくる少女の言葉をかわしつつ、ビニール袋にゴミを入れていく。
「自分が由雄である」という少女の衝撃(?)の告白ではあったが
到底納得しない俺に対して先程からこの様なやり取りが続いている。
とりあえず話の進展は進まなくとも部屋の掃除は着実に進んでいた。
到底納得しない俺に対して先程からこの様なやり取りが続いている。
とりあえず話の進展は進まなくとも部屋の掃除は着実に進んでいた。
まあ、確かにこの部屋に居るべき人間は俺の親友の近江 由雄であり、
この少女の「自分自身こそが近江 由雄、その人だ」という主張は
「ここの部屋の住人=近江 由雄」という点ではある意味正解なのかも知れない。
しかし、あまりにも違いすぎるだろう、容姿も性別も。
この少女の「自分自身こそが近江 由雄、その人だ」という主張は
「ここの部屋の住人=近江 由雄」という点ではある意味正解なのかも知れない。
しかし、あまりにも違いすぎるだろう、容姿も性別も。
何かが吹っ切れたのか初めの頃とは打って変わり、少女は俺と一緒に部屋の片付けをしながら
自身が「由雄」であることを一所懸命に話していた。
自身が「由雄」であることを一所懸命に話していた。
「! なんだ? 何でそんな事まで知っていいるんだよ?」
「だ・か・ら! 俺が由雄だから知っているんだって!
何遍言ったら分かるんだよ、あ~、もうお前は…」
何遍言ったら分かるんだよ、あ~、もうお前は…」
なかなか納得しようとしない俺に対し、高校時代の頃からの思い出話や
俺と由雄の間でしか分からない話題とか
少女の話はあっちへ行ったりこっちに行ったりと様々な方向へと進んだ。
俺と由雄の間でしか分からない話題とか
少女の話はあっちへ行ったりこっちに行ったりと様々な方向へと進んだ。
「う~む、ここまで俺の過去を知っているとは…」
目の前の少女に自分のあられの無い過去話を遠慮なく言われ、
すっかり青ざめた俺は色んな意味で精神的にダメージを受けてしまった。
724 :(・・) :2008/05/13(火) 21:23:55.32 ID:2UIUIXU0
「どうよ? これで俺の事、由雄だってわK」
目の前の少女に自分のあられの無い過去話を遠慮なく言われ、
すっかり青ざめた俺は色んな意味で精神的にダメージを受けてしまった。
724 :(・・) :2008/05/13(火) 21:23:55.32 ID:2UIUIXU0
「どうよ? これで俺の事、由雄だってわK」
「おまえ! 俺のストーカーだな!!」
「なんでそうなる!!」
顔を真っ赤にして少女は地団駄を踏む。
少女のもどかしくてどうしょうも無い気持ちが伝わってくるのだが、
その仕草が妙に微笑ましくて笑ってしまう俺。
顔を真っ赤にして少女は地団駄を踏む。
少女のもどかしくてどうしょうも無い気持ちが伝わってくるのだが、
その仕草が妙に微笑ましくて笑ってしまう俺。
「何、ニヤニヤしてるんだよ? 俺はニブイお前に怒っているの!
この、バカバカ! ○○○! ピー(以下、自主規制)」
この、バカバカ! ○○○! ピー(以下、自主規制)」
「ハハハ、まぁ落ち着け。とりあえずお前の言いたい事は分かったよ。」
俺は少女の肩をポンポンと叩いて落ち着かせる。
俺は少女の肩をポンポンと叩いて落ち着かせる。
少女は起こしかけた癇癪を落ち着かせると、俺の上着の両袖を両手でぎゅっと掴む。
「…もぉ、俺がどれだけ苦労しているか分かって無いだろ?
俺はこんなになっちゃって、どうしたらいいのか分かんなくって
ほんっっとぉ~に困ってるんだぞ!!」
「…もぉ、俺がどれだけ苦労しているか分かって無いだろ?
俺はこんなになっちゃって、どうしたらいいのか分かんなくって
ほんっっとぉ~に困ってるんだぞ!!」
上目づかいで俺を睨み付ける少女。すっかり涙目になっている。
「そ、そう言うけどよ、普通は分からないぞ? どこの世界にこないだまで男だった奴が
ここまで女みたいになっちゃうんだ?」
少女の仕草に不覚にも萌えてしまう俺。口調が上ずってしまった。
ここまで女みたいになっちゃうんだ?」
少女の仕草に不覚にも萌えてしまう俺。口調が上ずってしまった。
「俺だって知らないよ!気がついたらこうなってたんだから!」
「でもよ、漫画や小説じゃあるまいし ここまで変わってしまうと…その、何だかなぁ…」
「…な、何だよ? なにジロジロ見てんだよ?」
少女の身体を上から下までじっくりと観察する俺に対し
何か良からぬものを感じたのか少女はパパッと俺から離れた。
両腕で自分の身体を隠すように抱えこんで、俺の出方を伺っている。
何か良からぬものを感じたのか少女はパパッと俺から離れた。
両腕で自分の身体を隠すように抱えこんで、俺の出方を伺っている。
「何警戒してるんだよ。幾ら可愛くてもお前は『由雄』なんだろう?
流石の俺も自分の親友を襲う程 変態じゃねーよ。」
言葉とは裏腹に正直なところこの少女にときめいているのだが、
その気の無い素振りを見せる俺。
流石の俺も自分の親友を襲う程 変態じゃねーよ。」
言葉とは裏腹に正直なところこの少女にときめいているのだが、
その気の無い素振りを見せる俺。
「あ、そ、そうなの? なんだ……ちぇ。
…って! え? 浩輔、それって… 」
俺の言葉にホッとしたの警戒を緩める少女であったが
次の瞬間、何かに気付いたのか慌てて反応する。
…って! え? 浩輔、それって… 」
俺の言葉にホッとしたの警戒を緩める少女であったが
次の瞬間、何かに気付いたのか慌てて反応する。
「…何驚いているんだよ。まあ、何だ、お前の言う事を信じるよ、由雄。」
731 :(・・) :2008/05/15(木) 01:30:16.98 ID:Kg4h4pw0
気がついたらすっかり外が暗くなっていた。
気がついたらすっかり外が暗くなっていた。
少女は部屋の掃除をしながら俺を納得させるという器用な芸当をしたせいか
すっかり疲れきって布団の上で横になっている。
すっかり疲れきって布団の上で横になっている。
いまいち腑に落ちないところもあるが、
とりあえず俺はこの少女が「由雄」本人であるという事を信じることにした。
とりあえず俺はこの少女が「由雄」本人であるという事を信じることにした。
それは少女との会話の内容、そして時折見せる少女の仕草等…様々な要因から
俺自身「少女=由雄」という結論に達することができたからである。
俺自身「少女=由雄」という結論に達することができたからである。
二人がかりで作業したせいか思いのほか早く片付いた部屋はすっかり以前の
綺麗な状態に戻っている。
綺麗な状態に戻っている。
当初、由雄は自身の変化に身体だけでなく精神的にもついていくことが出来ず
結果として部屋を荒らしまくったり無気力状態が続いていたとのことで、
俺に会ってすっかり正気を取り戻した由雄は
自分の荒らした部屋の状態を恥ずかしく思ったのか、
「へへ…ごめん。まさか浩輔に自分の部屋の掃除をさせてしまうなんてさ。
こんなの全然俺らしくないよな…」
そう自嘲気味に言うと顔を赤らめた。
結果として部屋を荒らしまくったり無気力状態が続いていたとのことで、
俺に会ってすっかり正気を取り戻した由雄は
自分の荒らした部屋の状態を恥ずかしく思ったのか、
「へへ…ごめん。まさか浩輔に自分の部屋の掃除をさせてしまうなんてさ。
こんなの全然俺らしくないよな…」
そう自嘲気味に言うと顔を赤らめた。
その後、少女は部屋の掃除が完了したのと俺が「少女=由雄」だと納得したのを確認した後
「ごめん、本気で疲れたから横になる」といってさっさと布団に寝入ってしまった。
「ごめん、本気で疲れたから横になる」といってさっさと布団に寝入ってしまった。
ゴミ出しを終えて煙草をふかしながら俺は少女の寝顔を見つめる。
小柄で華奢な身体、透るような白い肌、整った目鼻…。以前の由雄の面影は一応はあるものの、
全くの別人になってしまった自分の親友の姿に俺はかなりの戸惑いを感じていた。
全くの別人になってしまった自分の親友の姿に俺はかなりの戸惑いを感じていた。
とりあえず本人の前では納得したように見せてはいるのだが、それは少女を
安心させるためという部分が大きい。
実際のところは納得し切れない部分があるのは言うまでも無い。
安心させるためという部分が大きい。
実際のところは納得し切れない部分があるのは言うまでも無い。
だってそうだろ?
こんな事見たことも無ければ聞いたことも無いぞ。
こないだまで男だった奴が女に、…それもこんなに美少女になってしまっているのだからな。
732 :(・・) :2008/05/15(木) 01:45:12.70 ID:Kg4h4pw0
会った当初とは打って変わり、安堵の表情を浮かべて眠る少女の顔を
見つめながら俺は「この少女を何とか助けてやれるのは自分しかいない」
…などと妙な使命感を持ち始めていた。
こんな事見たことも無ければ聞いたことも無いぞ。
こないだまで男だった奴が女に、…それもこんなに美少女になってしまっているのだからな。
732 :(・・) :2008/05/15(木) 01:45:12.70 ID:Kg4h4pw0
会った当初とは打って変わり、安堵の表情を浮かべて眠る少女の顔を
見つめながら俺は「この少女を何とか助けてやれるのは自分しかいない」
…などと妙な使命感を持ち始めていた。
また、それとは別にこの少女に対し由雄の頃とは違った感情が俺の中で芽生えていた。
正直こうして眺めているとあまりにこの少女が俺のストライクゾーンど真ん中なのだ。
「う~む、可愛過ぎる…」
「う~む、可愛過ぎる…」
布団の中の少女はそんな俺の様々な気持ちなど露知らず呑気にスヤスヤと寝息を立てている。
「やべえな…」
俺はとりあえず立ち上がり、自分の感情を落ち着かせようと部屋から出ることにした。
俺はとりあえず立ち上がり、自分の感情を落ち着かせようと部屋から出ることにした。
「…浩輔?…どうした?」
そんな俺の物音に目を覚ましたのか少女はのそのそと布団から身を起こすと、
俺の後について来た。
俺の後について来た。
「わ! な、何起きているんだよ、そのまま寝ていればいいだろうが!」
「? 何焦っているんだ? 別にいいだろ、起きちゃったんだから。
あ~、でも良く寝た。色々有ったけど落ち着いたかな。…一応は。」
軽く目をこすりながら少女は俺の横に立つと欠伸をする。
あ~、でも良く寝た。色々有ったけど落ち着いたかな。…一応は。」
軽く目をこすりながら少女は俺の横に立つと欠伸をする。
「そうか、まだまだ大変なのはこれからだろ。」
「ううっ、言うなよ。そこんところは分かっているから。」
嫌な事を言うなよ、といった表情を浮かべる少女。
嫌な事を言うなよ、といった表情を浮かべる少女。
「ああ、そうだよな…」適当に相槌を打つ俺。
「…うん」少女も意味も無く反応する。
「…」
「…」
ちょっと沈黙。シリアスな展開か? と思ったのも束の間、
きゅ~るるる…、俺の横からお腹の鳴る音。
「…え~と、腹減ったよな。まずはメシ喰いに行こうぜ(///)」
自分のお腹を押さえ、恥ずかしそうな仕草をする少女。
自分のお腹を押さえ、恥ずかしそうな仕草をする少女。
やれやれといった表情を浮かべ俺は苦笑いする。
「しゃあないなぁ…。じゃ、駅前の牛丼家でいいか?」
「しゃあないなぁ…。じゃ、駅前の牛丼家でいいか?」
…実のところ、その少女の仕草に激しく萌えている俺であった。
738 :(・・) :2008/05/16(金) 02:35:24.13 ID:YLy00Ak0
「…俺、実際のところどうすればいいのか分かんなかったんだ。
だから浩輔が来てくれてホント良かったよ。」
「…俺、実際のところどうすればいいのか分かんなかったんだ。
だから浩輔が来てくれてホント良かったよ。」
駅前の吉○家で牛丼並盛を頬張りながら少女=由雄は俺に語る。
「思えば1ヶ月前から兆候はあったのかもしれない。
俺、初めの1週間ずっと謎の腹痛に襲われたんだ。そして2週目は身体の自由が利かなくなって
3週目には高熱にうなされてさ、そして気がついたらこうなってたんだ。
俺の顔や身体が以前の自分とは全然違うし性別も女みたいになっているし、
正直、俺自身何が何だか訳が分かんないよ…。」
俺、初めの1週間ずっと謎の腹痛に襲われたんだ。そして2週目は身体の自由が利かなくなって
3週目には高熱にうなされてさ、そして気がついたらこうなってたんだ。
俺の顔や身体が以前の自分とは全然違うし性別も女みたいになっているし、
正直、俺自身何が何だか訳が分かんないよ…。」
由雄は自分の顔や髪の毛、身体を軽く触って自分自身がこんなに変わってしまったことを
俺にアピールする仕草をしてみせた。
俺にアピールする仕草をしてみせた。
「…そうだったのか。そう言えば俺と由雄が音信不通の状態になったのも丁度その頃だったよな。」
「自分の姿、形がこんなになってからは毎日何をすればいいのか分かんなくって…
浩輔が俺のところに来るまでずっとあの部屋に篭り切りでさ、正直なところ精神的にかなり
参っていたんだろうな。だから折角心配して来てくれたにもかかわらずあんな態度を取って
しまって…すまなかったな。」
浩輔が俺のところに来るまでずっとあの部屋に篭り切りでさ、正直なところ精神的にかなり
参っていたんだろうな。だから折角心配して来てくれたにもかかわらずあんな態度を取って
しまって…すまなかったな。」
由雄はそう言うと牛丼を食べるのを止め、黙り込んでしまった。
「お、おい、別にそんなこと気にすんなよ。第一、俺とお前は昔からの付き合いじゃないか。
お前がどんな事になっても俺はお前の親友として出来る事は協力してやるから。
ここのところまともに食事もとって無かったんだろ?まずはメシでも喰って体力でもつけろよ。
今後のことはそれから考えようぜ。
今日は俺の奢りだ! よーしパパ、牛丼特盛頼んじゃうぞー!!」
お前がどんな事になっても俺はお前の親友として出来る事は協力してやるから。
ここのところまともに食事もとって無かったんだろ?まずはメシでも喰って体力でもつけろよ。
今後のことはそれから考えようぜ。
今日は俺の奢りだ! よーしパパ、牛丼特盛頼んじゃうぞー!!」
由雄の落ち込んだ姿に慌てた俺は何とか元気づけようと明るく振舞った。
「あははっ、そんなに食べられないって。
…でも、ありがとうな。その気持ちだけで何だか元気になれたよ。
そうだよな、俺には浩輔がいるんだよな。お前が居てくれてホント良かった。」
由雄はそう言うと俺に向かって嬉しそうに笑った。
…でも、ありがとうな。その気持ちだけで何だか元気になれたよ。
そうだよな、俺には浩輔がいるんだよな。お前が居てくれてホント良かった。」
由雄はそう言うと俺に向かって嬉しそうに笑った。
「! …お、おう、そうか! それは良かった、あはは…」
俺の牛丼を駆け込む手が思わず止まった。
俺の牛丼を駆け込む手が思わず止まった。
ヤバイ。マジヤバイ。
由雄の今の笑顔は俺にとって物凄く萌えのツボであるようでして、
胸のあたりがえらくドキドキしているんだが…。まいったぜ…。
由雄の今の笑顔は俺にとって物凄く萌えのツボであるようでして、
胸のあたりがえらくドキドキしているんだが…。まいったぜ…。
「…?」
動揺している俺の姿を見て由雄は軽く首を傾げる。
動揺している俺の姿を見て由雄は軽く首を傾げる。
739 :(・・) :2008/05/16(金) 02:36:36.56 ID:YLy00Ak0
吉○家を出て俺と由雄はアパートへ向かう。
吉○家を出て俺と由雄はアパートへ向かう。
自分のアパートに向かう足取りは勝手知ったる何ぞやというか、
由雄は先導切って俺の前を歩いている。
俺は、と言うとそんな少女の姿をぼんやりと見ながら歩いている。
由雄は先導切って俺の前を歩いている。
俺は、と言うとそんな少女の姿をぼんやりと見ながら歩いている。
歩くペースは少女の方が早いのだが、如何せん歩幅は俺のほうが大きいので
実際の歩行スピードは同じ位である。
実際の歩行スピードは同じ位である。
「なあ 由雄。」
その名前を呼ぶには明らかに不似合いな程 俺の目の前を歩く少女は可愛らしいのだが
他に呼び方が無いのでそう呼ぶ。
その名前を呼ぶには明らかに不似合いな程 俺の目の前を歩く少女は可愛らしいのだが
他に呼び方が無いのでそう呼ぶ。
「どうした?」
何の躊躇いも無く俺の呼び掛けに振り返る少女。
何の躊躇いも無く俺の呼び掛けに振り返る少女。
「俺さぁ、さっきから思ってたんだけど…その服装、全然似合って無いな。」
タボダボの男物のYシャツとジーンズ。
女の子が着るには明らかに違和感があるその格好は夕方の人で賑わう駅前通りの中においても
人の目を引いていた。
タボダボの男物のYシャツとジーンズ。
女の子が着るには明らかに違和感があるその格好は夕方の人で賑わう駅前通りの中においても
人の目を引いていた。
「仕方無いだろ? 俺はこんなになっちゃったし、服だってこんな物しか無いんだから!」
由雄も自分の服装が似合っていない事に気付いているようで、
気になる事を言われたせいか少々口調が怒っている感じに聞こえる。
由雄も自分の服装が似合っていない事に気付いているようで、
気になる事を言われたせいか少々口調が怒っている感じに聞こえる。
「もしかして気にしてたのか? だったらワリィ。何か気になってサ…。」
「そりゃ、これだけブカブカだと俺だって気になるよ。これじゃ外出も厳しいよなぁ。
…今してるけど。」
…今してるけど。」
俺は少々考え込む。
それから駅前の街並みを見渡し、自分の時計を確認した後
ある考えが俺の中で浮かんだ。
「まだ店も開いている時間だからさ、どこかでお前の普段着れるような服を買いに行かないか?」
それから駅前の街並みを見渡し、自分の時計を確認した後
ある考えが俺の中で浮かんだ。
「まだ店も開いている時間だからさ、どこかでお前の普段着れるような服を買いに行かないか?」
「え?」
予期せぬ俺の提案に由雄は驚いた。
予期せぬ俺の提案に由雄は驚いた。
826 :(・・) :2008/05/20(火) 10:02:06.02 ID:W1pUtnE0
「さて…」
「さて…」
「どうしようか…」
いきなり提案したのはいいけれども、具体的に何処に行って
何を買おうかという細かいところまでは考えておらず、俺と由雄の二人は
ぼんやりと駅前のショッピングモール内のとある店先でぼんやりと佇んでいた。
何を買おうかという細かいところまでは考えておらず、俺と由雄の二人は
ぼんやりと駅前のショッピングモール内のとある店先でぼんやりと佇んでいた。
目の前には若い女性客たち(高校生位であろうか)が女性物の服を品定めしている。
その店内は割りと賑わっている。
正直なところ俺はこのような状況には慣れておらず、女性の群れる店内に入って
服を選んだりすることに抵抗を感じた。
その店内は割りと賑わっている。
正直なところ俺はこのような状況には慣れておらず、女性の群れる店内に入って
服を選んだりすることに抵抗を感じた。
「…」
少女も俺と同じ思いなのか、店に入ることを躊躇しているようだ。
多くの女性の賑わいを見て引いている感じがする。
多くの女性の賑わいを見て引いている感じがする。
やはりそれは元々少女が由雄、つまりは男であったからか。
昔から由雄は女の免疫が無い奴だったからな。このようなシュチュエーションは苦手だろうなぁ。
…俺も似たようなものではあるが。
昔から由雄は女の免疫が無い奴だったからな。このようなシュチュエーションは苦手だろうなぁ。
…俺も似たようなものではあるが。
「…ん?」
さて、どうしたものかと考え込んでいると由雄が俺の服の袖を引っ張ってきた。
「ど、どうするんだ? 浩輔? やっぱ、止めとく?」
明らかに逃げ腰の由雄。顔が引きつっている。
明らかに逃げ腰の由雄。顔が引きつっている。
「何いってんだよ。ここまで来て後に引けるかよ。お前だって着れる服が欲しいんだろ。」
「ううっ、そうだけどさぁ…。流石にこんなに女が沢山居ると入り辛いよぅ…」
「あのなぁ…お前も女だろうが。正直、俺の方が入りづらいぜ。」
「お、俺だって好きで女になったわけじゃないよ! 」
「その話はいいから、とりあえず入ろうぜ。俺も付き合うからさ。」
「う、…うん。」
ここまで来た以上帰るわけにも行かないので俺と由雄は意を決し店内に入ることにした。
827 :(・・) :2008/05/20(火) 10:05:04.61 ID:W1pUtnE0
外から店の中を見た時には入り辛い雰囲気を醸ち出していていたが
店内に入ってやっぱり俺と由雄は激しく後悔していた。
外から店の中を見た時には入り辛い雰囲気を醸ち出していていたが
店内に入ってやっぱり俺と由雄は激しく後悔していた。
今どきのファッションに身を包んだ若い女性客達のなかで明らかに俺たちの存在は
浮いているように感じる。
浮いているように感じる。
ブカブカな男物の服を着る不思議な格好をした少女とそんなにイケ面でも無いし
最新の流行とは縁遠い格好の俺。ちなみに今日の服のチョイスは近所の洋服屋の
在庫セールで買った無名ブランドのジーンズとパーカー。
最新の流行とは縁遠い格好の俺。ちなみに今日の服のチョイスは近所の洋服屋の
在庫セールで買った無名ブランドのジーンズとパーカー。
パーカーのバックには大きく「 鰹 」という字がプリントされているのが
この装いの程良いアクセントになっているような、いないようなwwww
この装いの程良いアクセントになっているような、いないようなwwww
とりあえず入ってしまった以上この雰囲気に呑まれたままでいるわけにもいかず、
俺と由雄は服を選び始めた。
俺と由雄は服を選び始めた。
「これなんてどうだ?」
俺は目の前の少女に合いそうな服を見せる。
薄いピンク色のブラウスと短めの赤いプリーツスカート。
妄s、いや想像力豊かな俺の頭の中にこの装いをする少女の姿が浮ぶ。
…これは萌える、激しく萌える。
俺は目の前の少女に合いそうな服を見せる。
薄いピンク色のブラウスと短めの赤いプリーツスカート。
妄s、いや想像力豊かな俺の頭の中にこの装いをする少女の姿が浮ぶ。
…これは萌える、激しく萌える。
「…何ハァハァしてるんだよ。キモイよ、浩輔。」
俺に冷たい視線を浴びせる由雄。
俺に冷たい視線を浴びせる由雄。
「キモ…」
まさか元男の親友にそんな事言われるとは予想だにしておらず
ダメージを負う俺。
まさか元男の親友にそんな事言われるとは予想だにしておらず
ダメージを負う俺。
「俺はそんなにフリフリしたものやギャルっぽいのとかそんなに『女の子』を
意識したものなんて要らないから。あくまで普段着として着れるもので充分なの。」
由雄は割と地味めの白のブラウスと、これまた地味めの黒のレディースジーンズを
引っ張りだす。
意識したものなんて要らないから。あくまで普段着として着れるもので充分なの。」
由雄は割と地味めの白のブラウスと、これまた地味めの黒のレディースジーンズを
引っ張りだす。
「これだと上下合わせて7千円位か。もう少し服のバリエーションを増やしたいけど
予算もあるし、この辺りで妥協するべきか…。」
さすがに自分が着るだけあって由雄の選択は堅実である。
予算もあるし、この辺りで妥協するべきか…。」
さすがに自分が着るだけあって由雄の選択は堅実である。
「なぁなぁ、これ買えよ。これはかなり可愛いぞ」
「キモイ」と冷たくあしらわれたにもかかわらず
俺はフリフリのワンピースとかミニスカート(ニーソックス必須)、
明らかに可愛い「女の子」を意識した装いを薦める。
「キモイ」と冷たくあしらわれたにもかかわらず
俺はフリフリのワンピースとかミニスカート(ニーソックス必須)、
明らかに可愛い「女の子」を意識した装いを薦める。
「…しつこいな。そんな服はお前の彼女とかに着せればいいだろ。
こないだまで男だった俺がそんなもの恥ずかしくて着れるかよ。」
冷たく言い放つ由雄。
こないだまで男だった俺がそんなもの恥ずかしくて着れるかよ。」
冷たく言い放つ由雄。
「俺に彼女なんて居ない! それは由雄も知っているだろ!」
「胸張っていうなよ…。堂々としているのはいいけど、それはそれで恥ずかしいぞ…」
苦笑いを浮かべる由雄。
828 :(・・) :2008/05/20(火) 10:08:20.00 ID:W1pUtnE0
「言っておくけどな、俺は由雄が着て似合うものしか選んでいなんだからな。
他の女が着てもそこそこ似合うかもしれないが、俺はお前以上に似合う奴は居ないという
絶対の自信を持ってお前に薦めているのだ!」
えらく強気の俺。こうなってくると俺の妄想力全開である。
苦笑いを浮かべる由雄。
828 :(・・) :2008/05/20(火) 10:08:20.00 ID:W1pUtnE0
「言っておくけどな、俺は由雄が着て似合うものしか選んでいなんだからな。
他の女が着てもそこそこ似合うかもしれないが、俺はお前以上に似合う奴は居ないという
絶対の自信を持ってお前に薦めているのだ!」
えらく強気の俺。こうなってくると俺の妄想力全開である。
「え…、ち、ちょっと何言ってんだよ? 恥ずかしい事言うなよ…。
ホント昔から浩輔って突拍子も無い事言ってくるよな…」
困ったように笑顔を浮かべて俺の薦める洋服を手に取る由雄。
心なしか頬が赤く染まっているのは俺の気のせいか。
ホント昔から浩輔って突拍子も無い事言ってくるよな…」
困ったように笑顔を浮かべて俺の薦める洋服を手に取る由雄。
心なしか頬が赤く染まっているのは俺の気のせいか。
「…お前自身のファッションセンスはゼロに近いものがあるけど、
不思議とお前の薦めるものはセンスが良いのが意味不明だよ。」
俺の薦めた衣類を吟味する由雄。
不思議とお前の薦めるものはセンスが良いのが意味不明だよ。」
俺の薦めた衣類を吟味する由雄。
「それ褒めてんの?」
「うん、馬鹿にしてるの!」
由雄は俺にニッコリと笑顔で答える。
由雄は俺にニッコリと笑顔で答える。
一通り服を選んだあとで俺と由雄はレジで会計を済ませた。
買った洋服の中には俺の薦めた洋服も数点含まれていた。
ちなみに俺の薦めた洋服の代金は何故か俺持ちである。
買った洋服の中には俺の薦めた洋服も数点含まれていた。
ちなみに俺の薦めた洋服の代金は何故か俺持ちである。
買い物を終えて外に出ると賑やかな駅通りも落ち着きを見せ始めていた。
閉店の準備に取り掛かる店もちらほら見かける。
「あ~、色々買ったなぁ…」
「まさかこんなに買い込むなんて考えて無かったよ。」
829 :(・・) :2008/05/20(火) 10:09:27.00 ID:W1pUtnE0
それぞれ大きな紙袋を持って俺と由雄は満足げにアパートに向かう。
それぞれ大きな紙袋を持って俺と由雄は満足げにアパートに向かう。
「それにしても今日は色々あったな」
俺は妙に感慨深げに呟く。
俺は妙に感慨深げに呟く。
「…俺も久しぶりに浩輔に会ってここまで展開が進むことになるなんて
考えてもいなかった。あれだけ部屋で悶々としていたのが嘘のようだよ。」
由雄も落ち着いた声を出した。昼間会った時とは随分違って見える。
表情に由雄本来の明るさが戻っているのが俺には分かった。
考えてもいなかった。あれだけ部屋で悶々としていたのが嘘のようだよ。」
由雄も落ち着いた声を出した。昼間会った時とは随分違って見える。
表情に由雄本来の明るさが戻っているのが俺には分かった。
「…でも色々取り組まねばならない問題もあるよな。」
そう言うと若干表情に翳りをみせる由雄。
そう言うと若干表情に翳りをみせる由雄。
「…まあな。でも俺が出来る限りで協力してやるから大船に乗った気でいてくれよ!」
妙に明るく振舞う俺。折角ここまで元気になったのに振り出しに戻す訳にはいかない。
妙に明るく振舞う俺。折角ここまで元気になったのに振り出しに戻す訳にはいかない。
「ふふっ、そうだな。浩輔がいるんだから大丈夫だよな。
良かったよ、俺にはこんなにいいダチが居るんだからな。」
暗い表情から一転、俺の言葉に安心したのか由雄は若干照れ臭そうな笑みを浮かべる。
良かったよ、俺にはこんなにいいダチが居るんだからな。」
暗い表情から一転、俺の言葉に安心したのか由雄は若干照れ臭そうな笑みを浮かべる。
「そうそう、問題無しだ。」
「そうだな…!あっ!」
思わず立ち止まる由雄。何かを思い出したような顔をしてそれからすぐ深刻な表情になる。
思わず立ち止まる由雄。何かを思い出したような顔をしてそれからすぐ深刻な表情になる。
「? …どうしたんだ? 何か問題あったか? 」
「…大アリだよ。どうしよう…。下着を買い忘れた…」
やや顔を赤らめ、少女は恥ずかしそうに言った。
やや顔を赤らめ、少女は恥ずかしそうに言った。
863 :(・・) :2008/05/23(金) 00:23:06.72 ID:XLBMan20
翌日、俺は再び由雄のアパートの部屋に向かった。
今後の事について手を打つべきところは打たなくてはならないからだ。
由雄にも約束したしな。
翌日、俺は再び由雄のアパートの部屋に向かった。
今後の事について手を打つべきところは打たなくてはならないからだ。
由雄にも約束したしな。
アパートに向かう足取りが妙に軽やかに感じるのは俺の気のせいでは無いだろう。
俺の親友、近江 由雄。
奴が男だった時はここまで気分が高翌揚する事は無かった。当然だけど。
しかし由雄が女の子になった今の状況においては自分でも信じられない位の
気持ちの盛り上がりを感じる。原因は変化後の由雄にある事は言うまでも無い。
しかしあそこまで変わってしまうなんて反則だろう…。
奴が男だった時はここまで気分が高翌揚する事は無かった。当然だけど。
しかし由雄が女の子になった今の状況においては自分でも信じられない位の
気持ちの盛り上がりを感じる。原因は変化後の由雄にある事は言うまでも無い。
しかしあそこまで変わってしまうなんて反則だろう…。
昨日はアパートまで由雄を送って俺は家に帰った。
問題(?)の下着についてはコンビニで購入し、とりあえず解決したが
手に入ったのはショーツのみで上(ブラ)は購入できてない。
手に入ったのはショーツのみで上(ブラ)は購入できてない。
華奢な体つきをしている由雄にブラが必要なのかどうか俺には分からないが、
「…そんなに胸は大きくないような気がするけど
シャツで擦れるのが気になるし服の上から目立つのが嫌だ」
などと言うので下着一式は専門店で後日購入することになった。
昨日のショップでのこともあり俺としてはできれば女性ものの専門店への
同行はご遠慮蒙りたいところだが。
しかしチャンスといえばチャンスかも。実のところ俺は縞パン萌えなのだ。
この機に奴に縞パンを買わせて穿いてもらうのも悪くない。
…絶対見せてくれないと思うけど。
「…そんなに胸は大きくないような気がするけど
シャツで擦れるのが気になるし服の上から目立つのが嫌だ」
などと言うので下着一式は専門店で後日購入することになった。
昨日のショップでのこともあり俺としてはできれば女性ものの専門店への
同行はご遠慮蒙りたいところだが。
しかしチャンスといえばチャンスかも。実のところ俺は縞パン萌えなのだ。
この機に奴に縞パンを買わせて穿いてもらうのも悪くない。
…絶対見せてくれないと思うけど。
などと様々な思いに捉われつつ、気がつくと俺は由雄のアパートの前にいた。
864 :(・・) :2008/05/23(金) 00:24:31.84 ID:XLBMan20
「浩輔、早かったな。」
呼び鈴を鳴らすと昨日とは打って変わってすぐに由雄が出てきた。
864 :(・・) :2008/05/23(金) 00:24:31.84 ID:XLBMan20
「浩輔、早かったな。」
呼び鈴を鳴らすと昨日とは打って変わってすぐに由雄が出てきた。
「お、おう。」
「…」
「…何、じっと見ているんだよ。…変か?」
俺の視線を気にしながら由雄は自分の格好を見渡す。
由雄は昨日買った服を早速着ていた。ちなみに今着込んでいるのは由雄自身がチョイスした
大人しめのデザインの黒のカットソー、紺色デニム地のハーフパンツ。
俺の視線を気にしながら由雄は自分の格好を見渡す。
由雄は昨日買った服を早速着ていた。ちなみに今着込んでいるのは由雄自身がチョイスした
大人しめのデザインの黒のカットソー、紺色デニム地のハーフパンツ。
カットソーの胸元に小さな白地のリボンがついているのが可愛らしさを演出している。
服装を変えれば他のところも気になるところなのか、肩までかかるボサボサの髪の毛は
長さ的に足りない気がするものの綺麗にポニーテイルで纏められ、
すっきりしていてちょっとアクティブな印象を受ける。
服装を変えれば他のところも気になるところなのか、肩までかかるボサボサの髪の毛は
長さ的に足りない気がするものの綺麗にポニーテイルで纏められ、
すっきりしていてちょっとアクティブな印象を受ける。
さすがに昨日の格好と比較にならない位、由雄の姿は女の子らしく尚且つ可愛らしい。
俺はそんな由雄の姿にしばし見惚れてしまうのであった。
俺はそんな由雄の姿にしばし見惚れてしまうのであった。
しかし…
「俺の服は着てくれないんだ…」
「俺の服は着てくれないんだ…」
「いきなりミニスカは無理というか、俺には不可能だから!
これでも俺自身かなり頑張った方なんだぞ、この格好でも!」
明らかに落胆した俺の姿にムッとしたのか由雄は今の装いを精一杯アピールする仕草をする。
これでも俺自身かなり頑張った方なんだぞ、この格好でも!」
明らかに落胆した俺の姿にムッとしたのか由雄は今の装いを精一杯アピールする仕草をする。
「…まあ、悪く無いというか…。確かに良く似合っているかもな。」
「そうだろ! 分かればヨロシイ!」
どんなもんだというように由雄は胸を張る。
どんなもんだというように由雄は胸を張る。
おいおい…可愛い格好を褒められて嬉しそうにしている元・男が何処にいるんだよ
などと思ったが口に出さない。
などと思ったが口に出さない。
そんな俺自身も由雄の女の子っぽい格好に萌えているのは言うまでもありません。
たけど、今回は大丈夫かな。