433 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 03:06:01.62 ID:0u0VpL.0
シュポッ―
使い慣れたライターに手慣れた感じで火を付け、咥えているタバコを近づける。
「…はぁ~」
まだ寒い三月の夜に、俺の吐き出した白い息がよく映える。
しかし、俺は向こうから見知った人影が現れたのに気付き、急いで吸いかけのタバコを地面に捨てて踏みつぶした。
「よっ…。悪いなこんな夜に呼びつけちまってさ」
寄っかかっていた壁から体を起こすと、話しかけた相手に数歩近づく。
しかし、近くで見る彼女は思っていたよりも暗い顔をしていた。
「マジでごめんな!でもどうしても今日伝えたくて!」
「・・・」
やはりこんな時間に女の子を呼び出すのはまずかったか、彼女はさっきから一言も口を開かない。
「あのな、俺が今日伝えたい事ってのは―」
「待ってください」
俺は急に話を遮られ、生唾を飲んだ。静かな夜の公園にゴクリと音が響いた気がした。
「斉藤君には悪いけど・・・、こういうことされるの迷惑なんです」
「え?あ!」
突然の拒否に狼狽える俺を尻目に、彼女はさっさと来た道を戻って行ってしまった。
そんなに広くない公園に、俺一人だけがポツンと取り残されてしまった。
「マジかよ・・・」
俺はポケットからタバコの箱を取り出したが、目当てのタバコはさっきので終わりだったようだ。
舌打ちをして空箱を投げ捨てた。
どうも最近何もかもが上手くいかない。今日だってそうだ。
冷たい風が吹き、体が無意識に強ばる。そろそろ夜の寒さも本格的に我慢できないほどになってきた。
「いい加減タバコ止めるかな」
そうつぶやき、俺は背を丸めてトボトボと家路についた。
434 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 03:43:57.86 ID:0u0VpL.0
俺は斉藤昭人。地元の有名私立大学の経済学部に通うどこにでもいる男だ。
顔だって可もなく不可もなくで正確も明るく社交的・・・まぁ自己評価だけど。
実際は、他人にどう思われてるかなんて知るわけ無い。現に今さっきイケると思った女の子に振られたのだから。
まあ振られるのは不本意ながら慣れているためそんなに辛くはないが、明日からはもう彼女に話しかけられないのかと思うと・・・。
「気が重いっつうの・・・」
自然と愚痴がこぼれる。無理もない、彼女とは同じサークルなのだから。
明日からどうするか、そんなことを考えながら歩いていると、タバコの自販機が目についた。
ついさっき止めると決めたにもかかわらず、俺は夏の虫のように自販機の光に吸い寄せられていった。
目当てのタバコを見つけ、ポケットから小銭を取り出そうとした。
「あ・・・。あ~ぁ、ありえねぇ」
指がかじかんでいたため、掴んだはずの小銭はチャリンと音を立てて自販機の下に潜っていってしまった。
取れるかどうか下を覗こうとしたが、客観的に無様すぎるその光景が頭をよぎり、やめた。
「泣きっ面に蜂っていうのはこういう事か」
タバコを諦め、俺はさっさと家に帰ろうと早足で家路を急いだ。
暫く歩き道を曲がると、前方から走ってきたポンチョのような物を着て顔が隠れるくらいすっぽりとフードを被った人とぶつかりそうになった。
俺は慌ててひょいっと右に避け・・・れなかった。なんとその人も俺と同じ右側に避けようとしたのだ。
その結果、俺はその人とガチで正面衝突してしまった。その衝撃で俺ははね飛ばされて尻餅をついた。
「つぅ~~~痛ぁ・・・。おいどこ見て走ってんだよ!」
俺はぶつかってきた相手を睨みつけようとして―
「へ?」
間抜けな声を上げた。何故なら、とても不思議な事が起きたのだ。既に目の前には誰も居なかったのだ。
「そんな馬鹿な・・・。一瞬で人が消えるなんて事があるわけ―」
そこである物に気がつき、俺はソレを手に取った。
「なんだこれ?タバコ?」
俺が手に取ったのは、見た目こそタバコの箱そのものな真っ白い箱だった。
中を見てみると、まだ封を開けたばかりなのか隙間無くタバコが入っていた。
俺は立ち上がり尻についた土を払うと、その箱から一本タバコを取り出し、火を付けて吸ってみた。
「ふぅ~~。変な味だけど普通のタバコか・・・」
俺は箱をポケットにしまうと、そのタバコを吸いながら何事もなかったかのように家に帰った。
シュポッ―
使い慣れたライターに手慣れた感じで火を付け、咥えているタバコを近づける。
「…はぁ~」
まだ寒い三月の夜に、俺の吐き出した白い息がよく映える。
しかし、俺は向こうから見知った人影が現れたのに気付き、急いで吸いかけのタバコを地面に捨てて踏みつぶした。
「よっ…。悪いなこんな夜に呼びつけちまってさ」
寄っかかっていた壁から体を起こすと、話しかけた相手に数歩近づく。
しかし、近くで見る彼女は思っていたよりも暗い顔をしていた。
「マジでごめんな!でもどうしても今日伝えたくて!」
「・・・」
やはりこんな時間に女の子を呼び出すのはまずかったか、彼女はさっきから一言も口を開かない。
「あのな、俺が今日伝えたい事ってのは―」
「待ってください」
俺は急に話を遮られ、生唾を飲んだ。静かな夜の公園にゴクリと音が響いた気がした。
「斉藤君には悪いけど・・・、こういうことされるの迷惑なんです」
「え?あ!」
突然の拒否に狼狽える俺を尻目に、彼女はさっさと来た道を戻って行ってしまった。
そんなに広くない公園に、俺一人だけがポツンと取り残されてしまった。
「マジかよ・・・」
俺はポケットからタバコの箱を取り出したが、目当てのタバコはさっきので終わりだったようだ。
舌打ちをして空箱を投げ捨てた。
どうも最近何もかもが上手くいかない。今日だってそうだ。
冷たい風が吹き、体が無意識に強ばる。そろそろ夜の寒さも本格的に我慢できないほどになってきた。
「いい加減タバコ止めるかな」
そうつぶやき、俺は背を丸めてトボトボと家路についた。
434 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 03:43:57.86 ID:0u0VpL.0
俺は斉藤昭人。地元の有名私立大学の経済学部に通うどこにでもいる男だ。
顔だって可もなく不可もなくで正確も明るく社交的・・・まぁ自己評価だけど。
実際は、他人にどう思われてるかなんて知るわけ無い。現に今さっきイケると思った女の子に振られたのだから。
まあ振られるのは不本意ながら慣れているためそんなに辛くはないが、明日からはもう彼女に話しかけられないのかと思うと・・・。
「気が重いっつうの・・・」
自然と愚痴がこぼれる。無理もない、彼女とは同じサークルなのだから。
明日からどうするか、そんなことを考えながら歩いていると、タバコの自販機が目についた。
ついさっき止めると決めたにもかかわらず、俺は夏の虫のように自販機の光に吸い寄せられていった。
目当てのタバコを見つけ、ポケットから小銭を取り出そうとした。
「あ・・・。あ~ぁ、ありえねぇ」
指がかじかんでいたため、掴んだはずの小銭はチャリンと音を立てて自販機の下に潜っていってしまった。
取れるかどうか下を覗こうとしたが、客観的に無様すぎるその光景が頭をよぎり、やめた。
「泣きっ面に蜂っていうのはこういう事か」
タバコを諦め、俺はさっさと家に帰ろうと早足で家路を急いだ。
暫く歩き道を曲がると、前方から走ってきたポンチョのような物を着て顔が隠れるくらいすっぽりとフードを被った人とぶつかりそうになった。
俺は慌ててひょいっと右に避け・・・れなかった。なんとその人も俺と同じ右側に避けようとしたのだ。
その結果、俺はその人とガチで正面衝突してしまった。その衝撃で俺ははね飛ばされて尻餅をついた。
「つぅ~~~痛ぁ・・・。おいどこ見て走ってんだよ!」
俺はぶつかってきた相手を睨みつけようとして―
「へ?」
間抜けな声を上げた。何故なら、とても不思議な事が起きたのだ。既に目の前には誰も居なかったのだ。
「そんな馬鹿な・・・。一瞬で人が消えるなんて事があるわけ―」
そこである物に気がつき、俺はソレを手に取った。
「なんだこれ?タバコ?」
俺が手に取ったのは、見た目こそタバコの箱そのものな真っ白い箱だった。
中を見てみると、まだ封を開けたばかりなのか隙間無くタバコが入っていた。
俺は立ち上がり尻についた土を払うと、その箱から一本タバコを取り出し、火を付けて吸ってみた。
「ふぅ~~。変な味だけど普通のタバコか・・・」
俺は箱をポケットにしまうと、そのタバコを吸いながら何事もなかったかのように家に帰った。
これがこれから俺に降りかかる災難の原因だった。
435 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 04:04:31.13 ID:0u0VpL.0
(もう朝か・・・)
目が覚めるときは、なんとなく朝だって自分で気がつくからだ。
例え夢の途中でも、朝だと感じれば勝手に目が覚めてしまう。昔からの俺の生活リズムだ。
目を開けると、眩しい光がもろに眼球へと直撃する。
反射的に手をかざし光を遮り、ゆっくりと体を起こす。今日は体調が良いのか、いつもより体が軽い。
立ち上がり俺は大きく体を伸ばして、寝間着を脱ぎ捨てて着替えようとして―
「なんじゃこりゃああああああ!」
ジーパン刑事の代役になれるのではないかというくらい絶叫した。
「んなアホな・・・」
俺の視線は自分の胸に集中していた。別に変態的な意味ではなく、大きく腫れてしまっている胸に目が釘付け状態なのだ。
というか、腫れたってレベルでは無い・・・。これはもはや、本やビデオで見慣れた女性の胸そのものだった。
慌てて部屋に置いてある姿見の前に行き、自分の今の体を見て更に絶叫した。
驚くのも当たり前だ。俺が写っているはずの鏡には、顔が引きつった可愛らしい女の子が映し出されていたのだ。
そこで俺はとある事に気がついた。
「そっか!これは夢なんだ!」
こんな簡単なことに気がつかなかった自分の頭をトントンと叩き、俺はすぐに布団に潜って目を閉じた。
435 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 04:04:31.13 ID:0u0VpL.0
(もう朝か・・・)
目が覚めるときは、なんとなく朝だって自分で気がつくからだ。
例え夢の途中でも、朝だと感じれば勝手に目が覚めてしまう。昔からの俺の生活リズムだ。
目を開けると、眩しい光がもろに眼球へと直撃する。
反射的に手をかざし光を遮り、ゆっくりと体を起こす。今日は体調が良いのか、いつもより体が軽い。
立ち上がり俺は大きく体を伸ばして、寝間着を脱ぎ捨てて着替えようとして―
「なんじゃこりゃああああああ!」
ジーパン刑事の代役になれるのではないかというくらい絶叫した。
「んなアホな・・・」
俺の視線は自分の胸に集中していた。別に変態的な意味ではなく、大きく腫れてしまっている胸に目が釘付け状態なのだ。
というか、腫れたってレベルでは無い・・・。これはもはや、本やビデオで見慣れた女性の胸そのものだった。
慌てて部屋に置いてある姿見の前に行き、自分の今の体を見て更に絶叫した。
驚くのも当たり前だ。俺が写っているはずの鏡には、顔が引きつった可愛らしい女の子が映し出されていたのだ。
そこで俺はとある事に気がついた。
「そっか!これは夢なんだ!」
こんな簡単なことに気がつかなかった自分の頭をトントンと叩き、俺はすぐに布団に潜って目を閉じた。
しかし、この後携帯のアラームで目を覚ました俺の鏡に映った姿は、さっきの夢のままだった。
436 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 04:22:46.81 ID:0u0VpL.0
そ~っと、物音を立てずに部屋のドアを少し開け、廊下に誰も居ないことを確認する。
さっきまで散々ほっぺたをつねったり壁に頭を打ち付けたりしたが、そこにはリアルな痛みしかなく―
「夢じゃ・・・ない」
そう認めざるを得ないと悟った。
しかし、人間こんな時でも生理現象には勝てないらしい・・・。
こんな状況でも、朝一番の尿意は既に我慢の限界に達しようとしていた。
普段なら何も考えずにトイレに行けばいいのだが、今のこの姿で家族と鉢合わせするのは避けたい。
だから、こうしてこそこそと廊下を伺っているのだ。
俺の部屋は二階の端。二階のトイレに行くには姉貴と両親の部屋の前を通過することになる。
もしそこで誰かと鉢合わせすれば・・・。
そう考えている間にも、着実に限界は近づく。というか、なんか男の体よりも我慢しにくい。
誰も出てこない事を祈りつつ、忍者のように抜き足差し足でトイレを目指す。
漫画ならここで何かハプニングが起こるが、意外にあっさりとトイレへと辿り着くことが出来た。
早速便座を上げ、ぶかぶかになってしまったスウェットとパンツを下げ、一瞬クラッと目眩が襲った。
「そう言えば、下の確認はしていなかった・・・」
視線の先。つい昨日まで男だった俺には相当ショッキングな光景であり、とてつもない喪失感に襲われた。
俺は上げたままの便座を力なく下げると、失意のままそこに座って用を足した。
夢なら寝ションベンでも良いから早く覚めてくれ!そう願った。
436 :佐白 [sage]:2007/07/18(水) 04:22:46.81 ID:0u0VpL.0
そ~っと、物音を立てずに部屋のドアを少し開け、廊下に誰も居ないことを確認する。
さっきまで散々ほっぺたをつねったり壁に頭を打ち付けたりしたが、そこにはリアルな痛みしかなく―
「夢じゃ・・・ない」
そう認めざるを得ないと悟った。
しかし、人間こんな時でも生理現象には勝てないらしい・・・。
こんな状況でも、朝一番の尿意は既に我慢の限界に達しようとしていた。
普段なら何も考えずにトイレに行けばいいのだが、今のこの姿で家族と鉢合わせするのは避けたい。
だから、こうしてこそこそと廊下を伺っているのだ。
俺の部屋は二階の端。二階のトイレに行くには姉貴と両親の部屋の前を通過することになる。
もしそこで誰かと鉢合わせすれば・・・。
そう考えている間にも、着実に限界は近づく。というか、なんか男の体よりも我慢しにくい。
誰も出てこない事を祈りつつ、忍者のように抜き足差し足でトイレを目指す。
漫画ならここで何かハプニングが起こるが、意外にあっさりとトイレへと辿り着くことが出来た。
早速便座を上げ、ぶかぶかになってしまったスウェットとパンツを下げ、一瞬クラッと目眩が襲った。
「そう言えば、下の確認はしていなかった・・・」
視線の先。つい昨日まで男だった俺には相当ショッキングな光景であり、とてつもない喪失感に襲われた。
俺は上げたままの便座を力なく下げると、失意のままそこに座って用を足した。
夢なら寝ションベンでも良いから早く覚めてくれ!そう願った。