443 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 22:55:42.75 ID:QEk9woQ0
『シガレット→しがれっと』第二話
『シガレット→しがれっと』第二話
現実は残酷だ。
昨晩は仲の良かった子に勇気を出して告白し、見事撃沈。
そして今朝はどういう訳か体が女の子になっていた。
一体俺が何をしたというのだろうか、誰か知っているなら是非教えて欲しい。その時はもちろん男に戻る方法も一緒に。
そこまで考えて、俺は思考を払うように頭を振った。
とにかく今はこの現実を受け止めて、これからどうするかを考えなければ。
幸い今は春休みで大学は無い。携帯電話の待ち受けには、無機質なデジタル数字が10時過ぎを示していた。
「とりあえず、メシ食うか」
ここで問題がいくつかできた。
まず、服だ。こんなぶかぶかで、ズボンなんか手で引き上げてないとすぐにずり落ちてしまうくらい体のサイズが違うのだ。
そして、さらなる問題はやはりこの体のことを家族や知り合いになんと説明するか。いや、正体を明かすべきなのか。
もし誰かが面白がってマスコミなんかに連絡した日には・・・、想像しただけで背筋が凍る。
しかしそれでも、家族には教えるべきなのだろうか。いや、血を分けた肉親なんだし、父さんも妹もきっと力になってくれるだろう。
よしっ!意を決して立ち上がると部屋を堂々と出た。さながらBGMは威風堂々がベストマッチだろう。
もちろん、ずり落ちそうなスウェットを両手でしっかりと押さえて・・・。
444 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 23:23:14.49 ID:QEk9woQ0
階段を下りると、リビングから話し声がする。どうやら父さんもマキも居るようだ。
丁度良い、俺は一瞬躊躇った後、思い切ってリビングへのドアを思いっきり開けた。
「おはよー!」
元気良く中に入る。案の定、二人はソファーに座ってTVを見ていたようだ。その二人の視線が一斉にこちらを向く。
「いや~、朝起きたら女になってたよ!あはは―」
俺はなるべくいつも通りに明るく振る舞う。しかし、なんだこの温度差は・・・。二人の視線は冷たく、痛い。
「すみません、どちらさまでしょう?」
父さんはソファから腰を上げると、まるで他人行儀のように聞いてきた。
「いや、だから俺は昭人だから、マジなんだよ!」
どんなに必死に伝えても、やはり父さんの顔には困惑と疑いが色濃く出ている。
「もしかして、アキ兄ぃのカノジョ?」
そんな的はずれな答えを口にするのは、ソファから身を乗り出して興味津々に俺を見る馬鹿妹マキ。
「ちょっと待てよ二人とも!本当に俺は俺なんだって!」
「そんな事言われても・・・ねぇ?」
マキはわざとらしく父さんに同意を求め、父さんもそれに答えて頷く。
よく、感動する話として家族の絆がドラマや本で題材となる。家族の絆ほど強い繋がりは無い―と。
しかし、そんなものはやはり希なのだろう。現実は正に我が家のように薄情な家庭が多いのでは無いだろうかと疑ってしまう。
この後俺は必死な説得を続け、やっと信じてもらえた頃にはTVからタモさんの歌が流れてきていた。
445 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 23:43:35.43 ID:QEk9woQ0
「不思議なことがあるもんだねぇ~」
食後のお茶をずずっと啜り、マキはまだ信じられないと言わんばかりの目で俺を見てくる。
父さんは父さんで、ショックなのかさっきから一言も口に出さない。
「とりあえずさ、このことは家族の秘密な?」
「あったりまえだよ~!こんなこと高校で喋ったら、入学早々に頭おかしい子って思われちゃうよ!」
マキはどっかぬけてる所があるから、早かれ遅かれ変な子だとは思われてしまうだろうが・・・。
そんな事は口に出さず、俺は父さんにも目をあわせて同意を求める。
「あ、ああ・・・。わかってる」
よし、これで問題の一つは解決した。後は―
「おいマキ。お前の服俺にくれ。出来れば下着もくれると助かるんだが」
「い・や!」
暫く粘ってみたが、マキはなかなか頭を縦に振らず・・・。
仕方なく、とりあえずはぶかぶかのTシャツに短くしたベルトでズボンを固定し、外に服を買いに行くことにした。
自分の服を貸すのは嫌だと言ったマキも一緒に行くー!と提案してくる。
まあ、俺は女物の服を買ったことなどは有るはずもなく、心細いこともあり同行を了承する。
心配性な父さんも一緒に行こうと言ってきたが、さすがに断った。
女物の服や下着を買いに行くのだから、それに父親を同伴させるのも嫌だったのだ。
そんなわけで、寂しく見送る父さんを尻目に、俺は妹と一緒に隣の街にある大きなショッピングモールに向けて出発した。
昨晩は仲の良かった子に勇気を出して告白し、見事撃沈。
そして今朝はどういう訳か体が女の子になっていた。
一体俺が何をしたというのだろうか、誰か知っているなら是非教えて欲しい。その時はもちろん男に戻る方法も一緒に。
そこまで考えて、俺は思考を払うように頭を振った。
とにかく今はこの現実を受け止めて、これからどうするかを考えなければ。
幸い今は春休みで大学は無い。携帯電話の待ち受けには、無機質なデジタル数字が10時過ぎを示していた。
「とりあえず、メシ食うか」
ここで問題がいくつかできた。
まず、服だ。こんなぶかぶかで、ズボンなんか手で引き上げてないとすぐにずり落ちてしまうくらい体のサイズが違うのだ。
そして、さらなる問題はやはりこの体のことを家族や知り合いになんと説明するか。いや、正体を明かすべきなのか。
もし誰かが面白がってマスコミなんかに連絡した日には・・・、想像しただけで背筋が凍る。
しかしそれでも、家族には教えるべきなのだろうか。いや、血を分けた肉親なんだし、父さんも妹もきっと力になってくれるだろう。
よしっ!意を決して立ち上がると部屋を堂々と出た。さながらBGMは威風堂々がベストマッチだろう。
もちろん、ずり落ちそうなスウェットを両手でしっかりと押さえて・・・。
444 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 23:23:14.49 ID:QEk9woQ0
階段を下りると、リビングから話し声がする。どうやら父さんもマキも居るようだ。
丁度良い、俺は一瞬躊躇った後、思い切ってリビングへのドアを思いっきり開けた。
「おはよー!」
元気良く中に入る。案の定、二人はソファーに座ってTVを見ていたようだ。その二人の視線が一斉にこちらを向く。
「いや~、朝起きたら女になってたよ!あはは―」
俺はなるべくいつも通りに明るく振る舞う。しかし、なんだこの温度差は・・・。二人の視線は冷たく、痛い。
「すみません、どちらさまでしょう?」
父さんはソファから腰を上げると、まるで他人行儀のように聞いてきた。
「いや、だから俺は昭人だから、マジなんだよ!」
どんなに必死に伝えても、やはり父さんの顔には困惑と疑いが色濃く出ている。
「もしかして、アキ兄ぃのカノジョ?」
そんな的はずれな答えを口にするのは、ソファから身を乗り出して興味津々に俺を見る馬鹿妹マキ。
「ちょっと待てよ二人とも!本当に俺は俺なんだって!」
「そんな事言われても・・・ねぇ?」
マキはわざとらしく父さんに同意を求め、父さんもそれに答えて頷く。
よく、感動する話として家族の絆がドラマや本で題材となる。家族の絆ほど強い繋がりは無い―と。
しかし、そんなものはやはり希なのだろう。現実は正に我が家のように薄情な家庭が多いのでは無いだろうかと疑ってしまう。
この後俺は必死な説得を続け、やっと信じてもらえた頃にはTVからタモさんの歌が流れてきていた。
445 :佐白 [sage]:2007/07/19(木) 23:43:35.43 ID:QEk9woQ0
「不思議なことがあるもんだねぇ~」
食後のお茶をずずっと啜り、マキはまだ信じられないと言わんばかりの目で俺を見てくる。
父さんは父さんで、ショックなのかさっきから一言も口に出さない。
「とりあえずさ、このことは家族の秘密な?」
「あったりまえだよ~!こんなこと高校で喋ったら、入学早々に頭おかしい子って思われちゃうよ!」
マキはどっかぬけてる所があるから、早かれ遅かれ変な子だとは思われてしまうだろうが・・・。
そんな事は口に出さず、俺は父さんにも目をあわせて同意を求める。
「あ、ああ・・・。わかってる」
よし、これで問題の一つは解決した。後は―
「おいマキ。お前の服俺にくれ。出来れば下着もくれると助かるんだが」
「い・や!」
暫く粘ってみたが、マキはなかなか頭を縦に振らず・・・。
仕方なく、とりあえずはぶかぶかのTシャツに短くしたベルトでズボンを固定し、外に服を買いに行くことにした。
自分の服を貸すのは嫌だと言ったマキも一緒に行くー!と提案してくる。
まあ、俺は女物の服を買ったことなどは有るはずもなく、心細いこともあり同行を了承する。
心配性な父さんも一緒に行こうと言ってきたが、さすがに断った。
女物の服や下着を買いに行くのだから、それに父親を同伴させるのも嫌だったのだ。
そんなわけで、寂しく見送る父さんを尻目に、俺は妹と一緒に隣の街にある大きなショッピングモールに向けて出発した。