664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/07(木) 07:48:27.51 ID:AmLfpW.0
薄暗い部屋の中、うな垂れながら並んで壁にもたれかかる男女。
二人とも気まずそうに黙り込んでいる。
顔を上げ、男のほうが口を開く。
以降会話――
男「なぁ……」
女『あ?』
男「せっかく可愛い女の子になったんだから外に出てみないか? お前の妹ちゃんの服でも借りてさぁ」
女『無理だ』
男「なんでだ?」
女『……オレは朝起きたら突然こうなってたんだぞ? 少し考えてみろ』
男「……? それはわかってるけど?」
女『街中で突然戻ったらどうする』
男「……!!」
女『目の前の女の子の服が突然裂け始め、背は伸び、手足は太く、硬く、筋肉に覆われ――』
男「も、もうやめてくれ……」
女『――全てが終わったとき、そこにいるのは全裸の男……』
男「やめろ……」
女『……まだ、外に出たいか?』
男「やめよう……」
――以降再び沈黙
男は口を閉じ、また下を向く。
二人とも気まずそうに黙り込んでいる。
薄暗い部屋の中、うな垂れながら並んで壁にもたれかかる男女。
薄暗い部屋の中、うな垂れながら並んで壁にもたれかかる男女。
二人とも気まずそうに黙り込んでいる。
顔を上げ、男のほうが口を開く。
以降会話――
男「なぁ……」
女『あ?』
男「せっかく可愛い女の子になったんだから外に出てみないか? お前の妹ちゃんの服でも借りてさぁ」
女『無理だ』
男「なんでだ?」
女『……オレは朝起きたら突然こうなってたんだぞ? 少し考えてみろ』
男「……? それはわかってるけど?」
女『街中で突然戻ったらどうする』
男「……!!」
女『目の前の女の子の服が突然裂け始め、背は伸び、手足は太く、硬く、筋肉に覆われ――』
男「も、もうやめてくれ……」
女『――全てが終わったとき、そこにいるのは全裸の男……』
男「やめろ……」
女『……まだ、外に出たいか?』
男「やめよう……」
――以降再び沈黙
男は口を閉じ、また下を向く。
二人とも気まずそうに黙り込んでいる。
薄暗い部屋の中、うな垂れながら並んで壁にもたれかかる男女。
沈黙は、まだまだ続く――
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/08(金) 17:22:01.91 ID:ae3M4sc0
陽は傾き始め、薄暗かった部屋を更に濃い闇が満たす。
微かに差し込む夕日の赤だけがこの部屋に存在するものの輪郭を教えてくれる。
壁にもたれかかりうな垂れる男と女。
時と共に増していく気まずさに耐えかねたのか、沈黙を破り男が口を開く。
以降会話――
男「なぁ……」
女『……あ?』
男「なんで一番最初に俺に連絡くれたんだ?」
女『……迷惑だったか?』
男「いや、なんか頼ってくれたのがうれしくてさ。他にも友達はいただろうに」
女『……ちょっとこれみてみろ』
男「携帯?」
女『アドレス帳のとこ』
男「……!!」
女『4件。父さん、母さん、妹、そしてお前』
男「お前……もしかして」
女『友達……いないんだ……』
男「ごめん……」
女『謝るなよ……』
男「……」
――以降再び沈黙
男はもう何も言えず、気まずさは更に加速する。
壁にもたれかかりうな垂れる男と女。
二人の存在を照らし出すのは、微かに差し込む青い月の光だけ。
陽はとうに沈み、部屋の殆どを闇が支配する。
陽は傾き始め、薄暗かった部屋を更に濃い闇が満たす。
微かに差し込む夕日の赤だけがこの部屋に存在するものの輪郭を教えてくれる。
壁にもたれかかりうな垂れる男と女。
時と共に増していく気まずさに耐えかねたのか、沈黙を破り男が口を開く。
以降会話――
男「なぁ……」
女『……あ?』
男「なんで一番最初に俺に連絡くれたんだ?」
女『……迷惑だったか?』
男「いや、なんか頼ってくれたのがうれしくてさ。他にも友達はいただろうに」
女『……ちょっとこれみてみろ』
男「携帯?」
女『アドレス帳のとこ』
男「……!!」
女『4件。父さん、母さん、妹、そしてお前』
男「お前……もしかして」
女『友達……いないんだ……』
男「ごめん……」
女『謝るなよ……』
男「……」
――以降再び沈黙
男はもう何も言えず、気まずさは更に加速する。
壁にもたれかかりうな垂れる男と女。
二人の存在を照らし出すのは、微かに差し込む青い月の光だけ。
陽はとうに沈み、部屋の殆どを闇が支配する。
沈黙は、まだまだ続く―
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/08(金) 19:18:27.91 ID:ae3M4sc0
雨音が耳を叩く。
月は雲に隠れ、部屋の中にはもう闇しか存在しない。
そこには確かに俯き座る男と女がいるのだが、
それを知らせるのは口を開いた男の声と、それに答える女の声だけである。
以降会話――
男「なぁ……」
女『ん……?』
男「なんでこうなったのか心当たりあるか?」
女『いや……』
男「昨日は何してたんだ?外で何かあったとか……」
女『ずっと家にいたよ……』
男「じゃ、じゃあ二日前は?」
女『ずっと家にいたよ……』
男「三日前は……」
女『ずっと……家にいたよ……』
男「……うん」
女『なんか、ごめんな……』
男「いや……気にするなよ……」
女『……』
男「……」
――以降沈黙
もはや声を上げるものは無く、
沈黙と闇に包まれたそこに二人がいることを証明するものも無くなった。
雲は厚みを増し、闇は部屋の中で深みを増す。
雨音だけが、耳を叩いている。
雨音が耳を叩く。
月は雲に隠れ、部屋の中にはもう闇しか存在しない。
そこには確かに俯き座る男と女がいるのだが、
それを知らせるのは口を開いた男の声と、それに答える女の声だけである。
以降会話――
男「なぁ……」
女『ん……?』
男「なんでこうなったのか心当たりあるか?」
女『いや……』
男「昨日は何してたんだ?外で何かあったとか……」
女『ずっと家にいたよ……』
男「じゃ、じゃあ二日前は?」
女『ずっと家にいたよ……』
男「三日前は……」
女『ずっと……家にいたよ……』
男「……うん」
女『なんか、ごめんな……』
男「いや……気にするなよ……」
女『……』
男「……」
――以降沈黙
もはや声を上げるものは無く、
沈黙と闇に包まれたそこに二人がいることを証明するものも無くなった。
雲は厚みを増し、闇は部屋の中で深みを増す。
雨音だけが、耳を叩いている。
沈黙は、いつ終わるとも知れず――
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 09:11:15.06 ID:l.yJMg20
雨は止み、静寂が訪れる。
依然雲は晴れず、闇はそこに居座り続ける。
全てが黒く溶けてしまったような世界の中で、二人の会話は再び始まる。
口を開く男、答える女。
刻々と変化を続ける部屋の中で、変わらないのはそのルールだけ。
以降会話――
男「なぁ……」
女『……ん?』
男「明後日の同窓会、サボって二人で鍋でもしようか」
女『……同窓会?』
男「中三の時のクラスのやつらで集まろうって、こないだ昔の連絡網で……き……て……」
女『……』
男「……ごめん」
女『……謝られても……』
男「……ごめん……」
――以降沈黙
変わらないものは、変わりゆくものの中でどんな役割を果たすのか。
口を閉じる男、俯く女。
二人の会話は止まり、残るのは黒と沈黙の世界。
しかし厚かった雲の隙間からは、微かに糸のような光が覗き始める。
雨は止んだ。静寂も永遠ではないかもしれない。
雨は止み、静寂が訪れる。
依然雲は晴れず、闇はそこに居座り続ける。
全てが黒く溶けてしまったような世界の中で、二人の会話は再び始まる。
口を開く男、答える女。
刻々と変化を続ける部屋の中で、変わらないのはそのルールだけ。
以降会話――
男「なぁ……」
女『……ん?』
男「明後日の同窓会、サボって二人で鍋でもしようか」
女『……同窓会?』
男「中三の時のクラスのやつらで集まろうって、こないだ昔の連絡網で……き……て……」
女『……』
男「……ごめん」
女『……謝られても……』
男「……ごめん……」
――以降沈黙
変わらないものは、変わりゆくものの中でどんな役割を果たすのか。
口を閉じる男、俯く女。
二人の会話は止まり、残るのは黒と沈黙の世界。
しかし厚かった雲の隙間からは、微かに糸のような光が覗き始める。
雨は止んだ。静寂も永遠ではないかもしれない。
沈黙の終わりは――
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 09:58:02.93 ID:l.yJMg20
陽光は雲を突き破り、光の矢を地上へ突き刺す。
部屋を満たす闇を追い払い、二人は輪郭を取り戻す。
見えなかったものが見え始め、それはいつからそこに流れていたのか。
たった一つ変わらなかったルールは今、沈黙と共に崩れ去る。
以降会話――
女『……なぁ』
男「ん?」
女『…………一緒に鍋、してくれるか……?』
男「もちろんだ」
女『……同窓会はいいのか?』
男「昔からお前と一緒に居たほうが楽しかった」
女『……』
男「泣いてる女の子を放っとく訳にもいかないしな」
女『……泣いてない、オレは男だ』
男「目を真っ赤にして上目遣いで言われても説得力皆無だな」
女『うるさい!』
――沈黙はもう訪れない
静寂は消え去り、ルールなど元々必要なかった。
いつからか不安で流れ続けていたそれも、見え始めたことで拭う手を得た。
闇は部屋の隅に追いやられ、二人は確かにそこに在る。
雲は掻き消え、空は青く。
陽光は雲を突き破り、光の矢を地上へ突き刺す。
部屋を満たす闇を追い払い、二人は輪郭を取り戻す。
見えなかったものが見え始め、それはいつからそこに流れていたのか。
たった一つ変わらなかったルールは今、沈黙と共に崩れ去る。
以降会話――
女『……なぁ』
男「ん?」
女『…………一緒に鍋、してくれるか……?』
男「もちろんだ」
女『……同窓会はいいのか?』
男「昔からお前と一緒に居たほうが楽しかった」
女『……』
男「泣いてる女の子を放っとく訳にもいかないしな」
女『……泣いてない、オレは男だ』
男「目を真っ赤にして上目遣いで言われても説得力皆無だな」
女『うるさい!』
――沈黙はもう訪れない
静寂は消え去り、ルールなど元々必要なかった。
いつからか不安で流れ続けていたそれも、見え始めたことで拭う手を得た。
闇は部屋の隅に追いやられ、二人は確かにそこに在る。
雲は掻き消え、空は青く。
――沈黙は消え、もう少しだけ話しは続く――
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 11:08:42.79 ID:l.yJMg20
鍋を囲み向かい合う男と女。
女『なぁ、本当に迷惑じゃなかったのか?』
男「何がだ?」
女『いや……だから、同窓会とか……こないだだっていきなり呼び出して一晩中気まずい思いさせちゃったし……』
男「安心しろ、そのくらいでお前を嫌ったりはしない」
女『こ、答えになってないぞ!』
男「迷惑をかけて俺がいなくなるのが心配なんだろ?」
女『え……あ、いや、そりゃ…………まぁ』
男「なら一番分かりやすい答えになってると思うんだが」
女『そうかもしれないけど……でも何でここまで――』
言葉の途中で男に強く引き寄せられる女。
二人の間に距離は無くなり、その一瞬は永遠にも感じられる。
我に返り身体を離した女に向かい、男は言う。
男「一目ぼれだった。惚れた弱みってやつだ」
顔を赤くして言う様は多少の情けなさを纏うが、それはもう一人も同じことで。
女『だっ……だからってお前!いきなりそんな……キ……キ……キ……』
男「キ?」
女『うるさいっ!大体、オレは男だ!』
男「今は女だろ」
女『それだっていつ戻るか分からないし……』
男「戻らなけりゃいいのか?」
女『い……いや、ほら!友達いないぞ!?』
男「俺がいる」
女『家からも出ないぞ!?』
男「俺が連れ出す」
女『同窓会ハブられてるんだぞ!?』
男「俺が一緒にいてやる」
女『……』
男「お前はどうなんだ……?」
女『…………あぁもう……馬鹿野郎…………これはアレだからな?
オレも突然体が変わって情緒不安定になってるんだ、じゃなきゃお前とどうこうなんてそんな馬鹿なことはないんだからな?
こないだ呼んだらすぐ来てくれたのが少し嬉しかったり、何も文句言わずに一晩中隣にいてくれたお礼とか、な? な?
戻るまでの間、そう、戻るまでの間だけならオレもお前のことなんていうか……その…………女に言わせるなよ……』
男「……好きです。一目見た時から……いや、お前がお前だったからこそ。
俺と……付き合って下さい。」
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/09(土) 11:08:42.79 ID:l.yJMg20
鍋を囲み向かい合う男と女。
女『なぁ、本当に迷惑じゃなかったのか?』
男「何がだ?」
女『いや……だから、同窓会とか……こないだだっていきなり呼び出して一晩中気まずい思いさせちゃったし……』
男「安心しろ、そのくらいでお前を嫌ったりはしない」
女『こ、答えになってないぞ!』
男「迷惑をかけて俺がいなくなるのが心配なんだろ?」
女『え……あ、いや、そりゃ…………まぁ』
男「なら一番分かりやすい答えになってると思うんだが」
女『そうかもしれないけど……でも何でここまで――』
言葉の途中で男に強く引き寄せられる女。
二人の間に距離は無くなり、その一瞬は永遠にも感じられる。
我に返り身体を離した女に向かい、男は言う。
男「一目ぼれだった。惚れた弱みってやつだ」
顔を赤くして言う様は多少の情けなさを纏うが、それはもう一人も同じことで。
女『だっ……だからってお前!いきなりそんな……キ……キ……キ……』
男「キ?」
女『うるさいっ!大体、オレは男だ!』
男「今は女だろ」
女『それだっていつ戻るか分からないし……』
男「戻らなけりゃいいのか?」
女『い……いや、ほら!友達いないぞ!?』
男「俺がいる」
女『家からも出ないぞ!?』
男「俺が連れ出す」
女『同窓会ハブられてるんだぞ!?』
男「俺が一緒にいてやる」
女『……』
男「お前はどうなんだ……?」
女『…………あぁもう……馬鹿野郎…………これはアレだからな?
オレも突然体が変わって情緒不安定になってるんだ、じゃなきゃお前とどうこうなんてそんな馬鹿なことはないんだからな?
こないだ呼んだらすぐ来てくれたのが少し嬉しかったり、何も文句言わずに一晩中隣にいてくれたお礼とか、な? な?
戻るまでの間、そう、戻るまでの間だけならオレもお前のことなんていうか……その…………女に言わせるなよ……』
男「……好きです。一目見た時から……いや、お前がお前だったからこそ。
俺と……付き合って下さい。」
――男の気持ちに女がどう答えたのか。
二人はこれからどうすごしてゆくのか。
一から十までを書き記すことは可能かもしれないが、それはやはり野暮というもの。
唯一つ言えるのは、この部屋を沈黙が満たすことは当分無いということ。
二人はこれからどうすごしてゆくのか。
一から十までを書き記すことは可能かもしれないが、それはやはり野暮というもの。
唯一つ言えるのは、この部屋を沈黙が満たすことは当分無いということ。
静寂を掻き乱す二人の声は、いつ終わるとも知れず――