24 ひょんなことから女ねこ ◆Z5if4Sx6mU :2008/06/20(金) 02:40:51.64 ID:PqBF.XIo
「今日の給食、魚だったでしょ?」
家に帰るなり母親にそんな風にからかわれた事があった。
どうも頭をかく癖があるらしく、食事中に手から頭に匂いが移るそうだ。
家に帰るなり母親にそんな風にからかわれた事があった。
どうも頭をかく癖があるらしく、食事中に手から頭に匂いが移るそうだ。
無類の魚好きで、一人暮らしをはじめてから魚を食べることも多くなった。
昔の事を思い出したのは、鯵の塩焼きを食べながらつい頭を触ってしまったのだ。
まだ癖が直っていないんだな、と苦笑いをして食事を続ける。
その苦笑いを向ける相手がいないとさびしいものだ。
昔の事を思い出したのは、鯵の塩焼きを食べながらつい頭を触ってしまったのだ。
まだ癖が直っていないんだな、と苦笑いをして食事を続ける。
その苦笑いを向ける相手がいないとさびしいものだ。
そんな自嘲じみた平和な時間は長く続かなかった。
突然、胃の中が沸騰したような、痛みと熱さを感じたのだ。
必死で吐き出そうとするが、思うようにいかない。
倒れこんだ体の隅々に、痛みが広がってゆく。
意識を失うのに時間はかからなかった。
突然、胃の中が沸騰したような、痛みと熱さを感じたのだ。
必死で吐き出そうとするが、思うようにいかない。
倒れこんだ体の隅々に、痛みが広がってゆく。
意識を失うのに時間はかからなかった。
混沌とした色の中に一匹の猫がいた。
「王女様、はじめましてキャシアです」
キャシアと名乗ったその猫は、王女に向かって話しかけている。
その王女がどこに居るのかと思ったが、猫は自分に向かって話しかけている。
「王女…だと?俺は男だが、猫は人間の性別もわからないのか」
「目覚めれば理解できるでしょう。あなたが必要なのです。はやくお目覚めになってください」
そうか、これは夢だ。夢というのは往々にして無茶な設定の物語が繰り広げられる。
猫に言われなくても目覚めてやろう。あした大学に提出するレポートの続きを書かないといけない。
目の前が色あせ、やがて闇になった。
「王女様、はじめましてキャシアです」
キャシアと名乗ったその猫は、王女に向かって話しかけている。
その王女がどこに居るのかと思ったが、猫は自分に向かって話しかけている。
「王女…だと?俺は男だが、猫は人間の性別もわからないのか」
「目覚めれば理解できるでしょう。あなたが必要なのです。はやくお目覚めになってください」
そうか、これは夢だ。夢というのは往々にして無茶な設定の物語が繰り広げられる。
猫に言われなくても目覚めてやろう。あした大学に提出するレポートの続きを書かないといけない。
目の前が色あせ、やがて闇になった。
25 ひょんなことから女ねこ ◆Z5if4Sx6mU :2008/06/20(金) 02:44:44.72 ID:PqBF.XIo
目を開くと、倒れる前のことが鮮明に思い出された。
レポートどころじゃない。俺は食事中に胃から痛みを感じて倒れて…
まったく、魚が嫌いになりそうだ。毒でも混ざっていたのだろうか。
「ちょっとまてよ、おかしいぞ」
何かがおかしい。毒で倒れたならまだ苦しんでいるはずだ。
体に異常らしき異常は感じられず、倒れているのが信じられないほどだ。
レポートどころじゃない。俺は食事中に胃から痛みを感じて倒れて…
まったく、魚が嫌いになりそうだ。毒でも混ざっていたのだろうか。
「ちょっとまてよ、おかしいぞ」
何かがおかしい。毒で倒れたならまだ苦しんでいるはずだ。
体に異常らしき異常は感じられず、倒れているのが信じられないほどだ。
だが、無意識に頭を触ると信じられない感触に心臓が止まりそうになった。
あってはならないものが頭にあり、顔の横にはあるべきものがない。
耳が、獣のような耳になっていたのだ。
あってはならないものが頭にあり、顔の横にはあるべきものがない。
耳が、獣のような耳になっていたのだ。
「一体なんだこれは!まだ夢なのか?」
叫びながら起き上がろうとして、テーブルの下に居たために頭を打ってしまう。
ただ頭が痛いだけでなく薄い耳が傷つくリアルな感覚が、自分を正気にさせる。
ついでに体のあらゆる所を点検すると、今までの自分とはまったく違う体がそこにあった。
「獣の耳が付いた…女、だと?」
姿見の前に立って改めて確認すると、体つきはどう見ても少女のそれで、
人間のものではない耳に加えて、ご丁寧に尻尾まで生えている。
どことなく自分に似ている少女の顔が、冷静な顔で自分を見つめている。
驚きを通り越して冷静になった頭で、夢の話を思い出した。
叫びながら起き上がろうとして、テーブルの下に居たために頭を打ってしまう。
ただ頭が痛いだけでなく薄い耳が傷つくリアルな感覚が、自分を正気にさせる。
ついでに体のあらゆる所を点検すると、今までの自分とはまったく違う体がそこにあった。
「獣の耳が付いた…女、だと?」
姿見の前に立って改めて確認すると、体つきはどう見ても少女のそれで、
人間のものではない耳に加えて、ご丁寧に尻尾まで生えている。
どことなく自分に似ている少女の顔が、冷静な顔で自分を見つめている。
驚きを通り越して冷静になった頭で、夢の話を思い出した。
26 ひょんなことから女ねこ ◆Z5if4Sx6mU :2008/06/20(金) 02:48:18.71 ID:PqBF.XIo
「みゃぁ」
鳴き声の主は、夢の中で見た猫だった。
「えっと、君がキャシアなのか?」
床に座って猫に話しかける。
「王女様、突然で申し訳ございません。今まで人間の雄として生きてこられたので、
さぞかし驚かれたでしょう。しかし時間がないのです。王宮で女王様がお待ちです。
説明は道中でいたします」
「ちょっとまて、もうちょっとまて、いやまて。何がなんだかわからない。
とりあえず獣の耳がついた女になってしまったのは、無理やり理解した。
だが、王女?夢の中でも俺を王女と呼んだが、一体それは何だ。
出かけるには知識が無さ過ぎる。ついでに言えば、着ていく服も無い。」
相手が一息で話してきたから、負けじと畳み掛けるように言葉を吐き出す。
キャシアはその剣幕に驚いたのか固まってしまった。
しかし王女への連絡係を任されただけあってか、すぐに平静を取り戻す。
「もうしわけございません」
そう言ってから語り始めた説明を要約すると、
ニャンス王国という猫の国の王女であること、
女王が人間界で子を育てた、つまり自分の母親がニャンス王国の女王だったこと、
そしてニャンス王国が今存亡の危機にある事だった。
鳴き声の主は、夢の中で見た猫だった。
「えっと、君がキャシアなのか?」
床に座って猫に話しかける。
「王女様、突然で申し訳ございません。今まで人間の雄として生きてこられたので、
さぞかし驚かれたでしょう。しかし時間がないのです。王宮で女王様がお待ちです。
説明は道中でいたします」
「ちょっとまて、もうちょっとまて、いやまて。何がなんだかわからない。
とりあえず獣の耳がついた女になってしまったのは、無理やり理解した。
だが、王女?夢の中でも俺を王女と呼んだが、一体それは何だ。
出かけるには知識が無さ過ぎる。ついでに言えば、着ていく服も無い。」
相手が一息で話してきたから、負けじと畳み掛けるように言葉を吐き出す。
キャシアはその剣幕に驚いたのか固まってしまった。
しかし王女への連絡係を任されただけあってか、すぐに平静を取り戻す。
「もうしわけございません」
そう言ってから語り始めた説明を要約すると、
ニャンス王国という猫の国の王女であること、
女王が人間界で子を育てた、つまり自分の母親がニャンス王国の女王だったこと、
そしてニャンス王国が今存亡の危機にある事だった。