人間は自然的属性をもって人間社会の中に生まれてくる。そして、自然的属性と生きている社会という環境の相互作用の下に成長していく。他のほとんどの動物とは異なって、自立できない存在として誕生する人間は、大人の厚い保護と世話がなければ生きのびることはできないし、また、複雑な社会構成の中で大人として生活していくためには、身につけなければならない能力・技能・知識が多くある。それらを大人が意識的に子どもたちに学ばせていく過程が存在してきた。そうした行為を教育と呼ぶことは誰にも異論がないだろう。
このような基本的な意味での教育という行為は人類発生以来ずっと存在していたと考えられる。しかし、今日教育というと、まず誰でも学校を思い浮かべるだろう。学校は人類が「文字」を持ったことによって発生した。現在でも文字をもたず、文字を学ぶことがない民族は、学校をもっていないと考えられる。逆に言えば、文字の発生と発展が人類の文明と文化にとって、いかに大きな意味をもったことがわかる。
こうして文字を媒介とする教育を行う学校と、技能等の直接的伝授を媒介とする教育とが併存する時代が長く続いた。そして、学校を中心とする「文字」を媒介とした教育スタイルはむしろ少数の者が享受する特権であり、ほとんどの教育は、文字を媒介とせず、直接「行為」で指導する形で行われてきた。もちろん、後者も今では文字で書かれたテキストなどを必ず使用するだろうが、教育的な特質としては、徒弟制などによって代表される非学校的教育は今でも存在しているのである。
そしてふたつの教育は、学校的教育が次第に肥大化し、徒弟制的教育が縮小してきたという歴史がある。特に、19世紀の後半に先進国で始まり、現在ではほとんどの国家が採用している「
義務教育制度」が成立するに至り、学校という教育組織は社会の中で膨大な量を占める存在となり、そこに多くの人々が係わる事態になっている。その人数を見てみよう。
生徒 教員
中学校 3,663,513 249,794
高校 3,719,148 255,605
中等教育学校 36,051 470
大学 2,505,923 157,504
最終更新:2010年12月28日 23:36