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 現在義務教育の公立学校の教職員の給与に関しては、「設置者負担主義」の例外となっており、設置者である市町村ではなく都道府県が負担し、その2分の1を国が補助する形になっている。そしてそのために、教職員の定数が国家基準として決まっている。これは戦前市町村財政の中で教職員の給与が占める割合が非常に高く、市町村財政を圧迫していたために、負担を軽減し、あわせて国家的な水準を確保するために、国が補助をし、定数を決めていたことによる。この制度は全国的に教育水準を維持するためには機能していたが、少人数教育など国家基準を上回る水準での教育を実現しようというときには、その政策を実行することが不可能ではなかったが、やりにくくしていたことも事実である。従って、教育の地方分権を求める立場から、財源の委譲とともに、教職員の給与負担も地方に委譲すべきであるという意見も少数ながらあった。
 しかし、国家財政の赤字解消という目的から、この給与負担を地方に委譲しようという動きがあり、現在でも大きな問題となっている。(2004年9月現在)

 〈地方自治制度の変遷〉
1871年 「廃藩置県」。知藩事に代わり府知事、県令を中央から派遣。同年末に
      3府72県に
1878年 郡区町村編制法、府県会規則、地方税規則の3新法公布。廃藩置県で無
      くなった「町村」が復活
1888年 「市制町村制」を公布し、〈明治の大合併〉を推進
1889年 大日本帝国憲法公布
1890年 「府県制・郡制」を制定
1918年 義務教育費の一部を国が負担する「市町村義務教育費国庫負担法」成立
1929年 26年に続き「府県制、市制、町村制」を改正。条例規則制定権の付与
      など府県や市町村の「団体自治権」を拡充
1936年 臨時町村財政補給金規則を公布、施行し「財政調整制度」導入
1946年 日本国憲法公布
1947年 「地方自治法」施行
1949年 「シャウプ勧告」公表。翌年、勧告に基づき地方財政平衡交付金制度が
      創設
1950年 「地方公務員法」制定。公務員の団体交渉権、争議権が規制される。行
      政事務配分についての「神戸勧告」が公表される
1953年 「町村合併促進法」施行。人口規模約8000人を基本に町村合併を推
      進
1954年 地方交付税制度創設
1956年 「新市町村建設促進法」施行。<昭和の大合併>を推進し市町村の数は
      1961年6月には9868から3*23)472に。「指定都市制度」も創
      設、現在の政令指定都市は13都市
1965年 「市町村の合併特例法」施行。議員定数や地方交付税などについて特例
      を盛り込む
1994年 「広域連合制度」「中核市制度」を創設
1995年 「市町村の合併特例法」改正。1999、2002年にも改正し<平成
      の大合併>を推進。「地方分権推進法」施行
1998年 国と地方の役割分担を明確にする「地方分権推進計画」を閣議決定
1999年 「特例市制度」創設
2000年 「地方分権推進一括法」施行。機関委任事務が廃止され地方の仕事は自
      治事務と法定受託事務に
2003年 税源移譲、補助金削減、地方交付税見直しの「三位一体の改革」を閣議
      決定
2005年 「市町村の合併特例法」が3月末で失効*24)2003.10.22 読売新聞

 知事サイドにも賛否両論がある。

――「義務教育は国が担うべき事業」との反論もあるが。
神奈川県松沢知事
 「教育もきちんと地方でできる。『義務教育費がばんばん切られる』という人がいるが、最低限のルールを決めておけばいい。文部科学省はいらない。ただ中央教育委員会のようなプランニングの機関を国に設け、学習指導要領の策定や義務教育では最低限この程度のクラス編成をするなどの標準法を定めておけば、それ以上は崩れることはない。その方が特色ある教育ができるし、自治体同士が競争して、よりよい義務教育のサービスを展開することができる」

 「今、県立高校は地方の一般財源でやっている。このため高校教育は自由化され、面白い高校が生まれている。それなのに、財政が厳しいといって県立高校の教師の給料をばっさばっさ切ればどうなるのか。そんなことをやったら知事は次の選挙で当選できない。教育こそ地方分権によって発展する可能性がある」

――義務教育の国庫負担廃止は、改革の中でどう位置づけるか。
鳥取県片山知事
 「改革の対象に義務教育が当てはまるかというと、そうではない。廃止に意味はない。補助金を廃止して地方に税源を移したとしても、教育の場合、法律による枠がある。だから地方が財源をより自由に使えるようになるわけではない。使い勝手にしても昨年、文科省が『総額裁量制』を導入、改善された」

 「義務教育は財源がちゃんと確保されなければならない。補助金ではない一般財源になると、東京都など税収が多いところは問題がない。しかし、税だけで賄えない地方自治体は結局、税に加え政府からの地方交付税が必要になる。交付税は明確にルール化されておらず、政府の思いつきで増やしたり切ったりする。こういうのは分権に反する」*25)東京新聞2004.8.13

 文部科学省や多くの教育団体は反対の意見が圧倒的である。中央教育審議会は、この問題について報告をだし、教職員の基本的な待遇については国が責任をもつことが必要であるとの見解をまとめた。
最終更新:2008年08月04日 21:29