日本の公立学校は、学校の教育方針を中心に作られるわけではなく、学校があって、それから方針がとりあえず作られる。教師は、だいたい7、8年で転勤するし、校長は、3年程度が多い。したがって、学校の方針が独自性をもって継承されていくことは、大変少ない。(栄進中学の生徒による校則作成は、それほど長く継続しなかった。)
ヨーロッパの学校は、学校の継続性が強く、独自の教育方針をもっている場合が多い。その中で、1960年代の社会改革の中から、教師だけではなく、親や生徒・学生を含む「学校協議会」が設置され、現在では多くの国で法制度化されている。
サマーヒルとサドベリ・バレイ校の全校集会は、そうした典型的な事例である。
次の資料はデンマークの事例である。
学校評議会では、学校の運営に係る様々な事項の決定・承認を行う機能がある。これにより、教育行政に関わる教育省や県の事務当局、またその学校の教員だけではなく、実際に学校を利用している生徒や財政拠出する納税者、また知識人などが政策を検討し、その学校独自の教育施設を策定できる。
学校理事には、まずその学校代表として教員の代表2名、生徒の代表2名、そして事務担当者1名が選出される。この中で、教員の代表にその学校の学校長が選出される必要はなく、各組織の中の互選で決定される。
次に、納税者代表として、その学校の属する県および市の議会の代表各2名が選出される。
このほか「ギムナシウム」においては、生徒の保護者の代表3名が加わる。
そのほかに、前述の学校理事が選出した、文化人代表および産業界代表を各1名、理事として迎え入れることもできる。
評議会の決定事項としては、学校定員、科目および学校休日・長期休業の設定がある。前に紹介した第3外国語選択科目への日本語の組み込みも、この評議会で決定されたものである。
評議会の承認事項としては、
学校運営に係る予算、規則の設定、外部団体と共同の事業実施や、営利活動の実施がある。予算については主要会計に限られるが、その中には、教員の給与も含まれており、評議会の承認なしに実施することはできない。*54)
http://www.clair.nippon-net.ne.jp/HTML\_J/FORUM/GYOSEI/089/INDEX.HTM\#4
文部省は1998年9月に中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」 で、学校評議会の提案を行った。
6 地域住民の学校運営への参画
学校が地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域が連携協力して教育活動を展開するためには、学校を開かれたものとするとともに、学校の経営責任を明らかにするための取組が必要である。このような観点から、学校の教育目標とそれに基づく具体的教育計画、またその実施状況についての自己評価を、それぞれ、保護者や地域住民に説明することが必要である。
また、学校・家庭・地域社会が連携協力し、相互補完しつつ一体となって子どもの健やかな成長を図るため、各学校においては、PTA活動の活性化や学校区内の各地域における教育懇談会の開催などにより家庭や地域との連携が図られている。今後、より一層地域に開かれた学校づくりを推進するためには学校が保護者や地域住民の意向を把握し、反映するとともに、その協力を得て学校運営が行われるような仕組みを設けることが必要であり、このような観点から、学校外の有識者等の参加を得て、校長が行う学校運営に関し幅広く意見を聞き、必要に応じ助言を求めるため、地域の実情に応じて学校評議員を設けることができるよう、法令上の位置付けも含めて検討することが必要である。
また、学校評議員には、学校運営の状況等を地域に周知することなどにより、学校と地域の連携に資することが期待される。
具体的改善方策
(教育計画等の保護者、地域住民に対する説明)
ア 各学校においては、教育目標や教育計画等を年度当初に保護者や地域住民に説明するとともに、その達成状況等に関する自己評価を実施し、保護者や地域住民に説明するように努めること。また、自己評価が適切に行われるよう、その方法等について研究を進めること。
(学校評議員の設置)
イ 学校に、設置者の定めるところにより、学校評議員を置くことができることとすること。
ウ 学校評議員は、校長の推薦に基づき
教育委員会が委嘱するものとすること。
エ 学校評議員は、校長の求めに応じて、教育活動の実施、学校と地域社会の連携の進め方など、校長の行う学校運営に関して、意見を述べ、助言を行うものとすること。
(学校評議員の構成)
オ 学校評議員については、学校の種類、目的等に応じて、学校区内外の有識者、関係機関・青少年団体等の代表者、保護者など、できる限り幅広い分野から委嘱することが望ましいこと。
(意見交換の機会の設定等)
カ 校長は、必要に応じて、学校評議員が一堂に会して意見を述べ、助言を行い、意見交換をする機会を設けるなど運営上の工夫を講じること。*55)
http://www.monbu.go.jp/singi/cyukyo/00000253/\#3-6\footnote{
これに対して、日教組は以下のような見解を示している。
八、答申は「学校評議員」制度の創設を提言しています。私たちは、父母・住民・教職員そして子どもなどで構成する「学校評議会」制度を開かれた学校の一つのありかたとして主張してきたものでもあります。この私たちの主張に似せて住民参加を図るという形を取る「学校評議員」創設のねらいは、「特色ある学校づくり」などをすすめる校長を支援すると同時に校長を監視する役割も果たしかねません。私たちが主張してきた「学校評議会」制度とは似て非なるものです。その上、「校長の求めに応じて」と限定し、特定の目的に添った教育活動や学校運営全てにわたった意見・助言を「学校評議員」に求めています。これは、学校外の力を借りて校長を「特色ある学校づくり」に追いやるという学校教育介入そのものです。さらに答申は、「学校自己評価」の導入を提言していますが、教育委員会の「指導・助言」の下で校長の専決により作成され、「学校評議員」の点検のもとで実施されれば、教職員の教育活動に対する三重の介入の仕掛けと言わなければなりません。「国民に対して直接責任を負う」(教育基本法第10条「教育行政」)教育活動をすすめる教職員の責務を全面的に放棄させ、すべての教育活動を中教審路線に奉仕させかねないものです。「学校自己評価」は、純粋に教育活動を改善するためだけに自主的・民主的に行われるべきものです。また、子どもの学校参加についてはまったく触れておらず、「子どもの権利条約」が示す、権利の主体者とする考え方は、まったく見当たりません。さらに地域住民の教育行政への参加を言いながら、校長の推薦する「学校評議員」を住民の代表に仕立てる一方、住民全体にたいしては、「意向把握・苦情処理、情報提供」を行うにすぎず、その上行政へのボランティア協力を押しつけようとするものであり、およそ住民の教育行政への参加とは言いがたいものです。*56)
http://www.ny.airnet.ne.jp/zenkyo/kenkai2.htm
Q 親や生徒の意思形成は、どのように保障されるべきだろうか。
Q 住民の意思形成の意思形成はどうだろうか。
最終更新:2008年08月04日 21:48