知能テストをもっとも広範囲、かつ積極的に使用したのは第一次大戦後から1970年代にかけてのイギリスであろう。
イギリスは、中等学校は
義務教育ではなかったために、有料であった。そのため貧しい労働者階級の子弟はパブリックスクールやグラマースクールには通うことができなかった。しかし労働運動の高まりの結果、労働者階級の子弟の進学の道を開くために、一定割合の「無償席」が設けられ、その選抜のために知能テストが利用されたのである。1924年に出された政府の報告書では、知能テストが知的能力を計測するために有効であることが示されていた。
そして、1944年に学校制度が改革され、
小学校後の学校が、グラマースクール、ミドルスクール、テクニカルスクールという3つの類型に分化され、能力的な高低で進学するものと想定された。そして、11歳時全員が受けるイレブンプラス試験という知能テストを主たる内容のテストで、その振り分けがなされたのである。
したがって、知能テストは日本の学力入試に相当するものであるが、「先天的な能力」を計るとされたのだから、「努力」の要素などはあまり存在せず、大きな精神的負担を子どもに強いることになって、批判が高まり、3つに分けない共通カリキュラムによる総合制学校が各地に作られ、主流となっていった。それとともにイレブンプラス試験は行われなくなった。現在では15歳と18歳の全国試験がそれに代わっており、内容も知能テストではなく、学力試験となっている。
日本では、知能テストは、実用的には、小学校入学前のテストとして使用され、その結果、普通学級に通うか、養護学級に通うかの判定に使われる。つまり、選別の道具に使われる。その結果に関して、最終的にだれの権限か、という点については、どうも法的にあいまいである。
そして、中学でもう一度、知能テストが実施されるが、その利用方は、定かでないし、また結果は本人に通知されない。
ところが、これは多くの国で実施されている方式ではないようだ。
オランダの例をあげよう。オランダでは、次第に特殊教育の割合が多くなっている。
年 普通教育 特殊教育 計 割合
1980 1,743 91 1,834 4.96
1985 1,469 100 1,568 6.38
1889 1,433 107 1,539 6.95
1990 1,443 109 1,552 7.02
1991 1,452 110 1,561 7.05
1995 1,507 122 1,628 7.49
2000 1,584 139 1,723 8.06
しかし、この特殊教育の増大は、あいまいな政策によるので、[ともに学校に行こう]という反省があり、1992年からは新しい水準の特殊教育を行うことが行政に求められている。
ただ、オランダでは「特殊教育」の概念が多少異なっている。
- 発達に困難がある生徒
- 発達が中断しないように配慮した施設
- 通常の教育に継続できるようにもってくること
- 社会に出て行く準備
- 感性と理性の発達、創造性の発達、認識・社会・文化・肉体の習熟への達成
- 多文化社会へ育って行くための導入
種類として、聾・難聴・言語障害・盲・弱視・身体障害・入院中・長期療養・学習障害・重度学習障害・重度情緒障・学習情緒障害・小児科敷設学校・複雑障害児で、それぞれが、初等と中等教育がある。
最終更新:2008年08月15日 18:52