【名前】クリスタルズ=リング
【性別】女
【所属】科学
【能力】生物十声(トゥルースヴォイス)レベル不明
【能力説明】
原石にカテゴライズされる能力。葉っぱの上に止まる虫、ビルの屋上で毛繕いしている鳥、路地裏を走る猫、建物の壁に刻まれた人の残留思念。
およそ生物のカテゴリーに入る全ての生き物達が発し、あるいは残した『言葉』をクリスタルズは聴く。傍に相手がいるのであれば自らの『言葉』を相手へ送り届け、心を通わす。
平たく言えば生物と話せる力。厳密に言えば生物の思念を自らの言語に翻訳し、意思疎通を図る『言葉』として自らの言語に再翻訳を施し、生物へ確実に送り届ける力。
クリスタルズ=翻訳機という解釈。間違っても生物を思うがままに操作する能力ではない。強いて言うなら、『言葉』を交わす生物達はクリスタルズを自分達と同類の生き物と見做すようである。
虫と喧嘩したり、鳥と近況を報告したり、猫とじゃれあったり。もちろん同類と見做されるからといって襲われないとは限らないが、今までクリスタルズが襲われた事例は1つも存在しない。
クリスタルズ曰く「虫や動物達へ敬意を払い、不用意に縄張りを侵さず、隣人として共に歩みたいと『言葉』を送り届ければ彼等は理解してくれる」との事。
この辺りの原理は原石らしく今のところ解明されていない。人間相手には一見意味がないように思えるが、錯乱や洗脳を施されている人間を正常に戻したという報告がある。
人間にしろ動物にしろ虫にしろ、クリスタルズは生物達の思念の中に隠れている本心・本音を引き摺り出し、そこへ自身の『言葉』をダイレクトに響かせる事ができるようである。
【概要】
ロシアに存在する、ある地方に生まれた少女。父子家庭で一人っ子。今年で13歳になる。愛称クリス。
神秘的と形容するしかない独特な雰囲気を醸し出し、右が灰色・左が青紫色を映すオッドアイと膝裏まで伸びる白銀の髪の艶は目にする者達へ強烈な印象を与える。
付近には自然保護区が有り、珍しいものを含めて様々な生物と触れ合う機会を持ちながら幼少期を過ごした。
鹿などの草食動物だけではなく虎などの肉食動物などに遭遇する事も多くあったクリスタルズが無事に育ったのは先天的に超能力を発現した原石だったからであろう。
自然に恵まれた環境で育った所以か、はたまたそれ以外の要因があったのか、しかしながら現在に至るまで能力発現の理由は特定されていない。
クリスタルズは虫や動物達と言葉を交わすのがとても好きで、普段は単身赴任で海外へ出張している父親と一緒にいられない寂しさを彼等と共に過ごす事で埋め合わせてきた。
偶の休暇に帰宅するクリスタルズの父は、動物が好きな娘への埋め合わせとしてよくクリスタルズを動物園やサーカスへ連れていった。
ロシアでも有名なものを父自ら選んだ末の小旅行のようなものだったが、そこでクリスタルズを待っていたのは動物達の悲鳴であった。
全ての動物達がそうであるというわけではない。だが、狭い檻の中に閉じ込められて人々の好奇的な視線を集める動物園の動物達、本来芸を行う事を目的としているわけではない動物達に火の輪を潜り抜けさせたりしているサーカスの動物達は叫んでいた。
視線を集めるストレスを。火を潜る恐怖を。躾と称して人間達から暴力を振るわれる動物達の悲鳴をクリスタルズは受け止め続け、あるサーカスの観覧中に限界を迎え意識を喪失した。
娘を思って旅行へ連れていってくれる父の為にそれまで我慢していたクリスタルズの限界を超えた当時の一件で、初めて父親は我が娘が常識では説明できない異能の力を抱えている事に気付いた。これが後にクリスタルズが父の勧めで学園都市へ転入する契機となった。


現在白帝学園に通う中学1年生。日向永弌と同じクラスに通う。学園都市に住むと決めたのはクリスタルズが12歳の時で、来日するまでに一通りの日本語を独学で習得済み。
父の判断でクリスタルズは白帝学園へ通う事となった。よって、クリスタルズが学園都市へ来たのは今年初め。貴重な原石という事もあって学園側もクリスタルズの編入試験を認めた。クリスタルズのレベルは初めて行った『身体検査』において情報不足が散見されるため不明とされている。
異国の地で父と離れて暮らす寂しさは確かに抱えているが、それ以上に父の愛情を強く感じるクリスタルズは父に依存するのではなく、自立した立派な女性となる事を目標としている。
そして、父兄らが気兼ねなく学園都市に入れる数少ない機会である大覇星祭までに少しでも1人の人間として成長していようと勉学に励んでいる。
日向永弌には色々世話になっている。新入生ながらとりわけ教師から期待されている者同士とでもいうべきか、教師から日向へクリスタルズの世話役を指示された事がきっかけとなり友達になった。
家族との確固たる繋がりを手に入れられていない日向を心配しており、世話を焼いてくれる彼の為に何かできる事がないか思案している。
最近では、自分と同じく異国から学園都市へ来たケリィ=エイトビットと仲良くなった。ケリィのマッサージの虜になってしまったのがきちんと会話するきっかけとなった。


神秘的な雰囲気を醸し出しながらも人当たりは良い方なクリスタルズでも唯一気に入らない人間が存在した。
自分に異能な力が宿っていると父が気付く契機となり、自身が学園都市で暮らす起因となったサーカスのメンバー募集の為に白帝学園の生徒へ声を掛けている帝白紫天である。
サーカス=動物虐待と考えていたクリスタルズは、どこで知ったのか動物と会話できる自分を勧誘しにきた帝白を延々と批判し続けた。
「あんなものは動物の虐待でしかない」「サーカスなんて興行が未だ続いている現状が嘆かわしい」「あなたには火に怯え、叩かれる鞭を恐れる動物達の気持ちがわからない」「学園都市でしか見られないサーカス一団を結成したい?それは動物達をモルモットとして使い捨てるという事か?」「あなたのような人間が私達生徒のトップだなんて私は認めない」等々それはもう散々に言い捨てた後、帝白の意見を聞かずに勝手に去っていく有様であった。
言いたい事も言ったし、これであの男も少しは自分の愚かさに気付くだろう―などと勝手に1人で納得していたクリスタルズだったが、次の日もその次の日も帝白が自分の前に姿を現した。
それら全てを一切無視し避けていたクリスタルズだったが、ゴキブリのような帝白のしぶとさに遂に根負けし渋々話に付き合った。
その後どういう経緯を経たのか、クリスタルズは帝白サーカス団『スタンティーク』の団員の1人に数えられるようになった。
クリスタルズ当人は団員を含め他人に入団に至るまでの経緯を聞かれる度に入団そのものを否定しているものの、帝白サーカスが開かれる際には殆ど顔を出している。
帝白サーカス団でのクリスタルズの担当は動物を用いた火の輪くぐりや自転車操作、縄跳びなどを代表とする動物演芸……ではなく、帝白サーカスを目にした周囲の生物達が人間の行っている芸についてどのような感想を抱いたのかを記録する係。
『生物達が人間の言動に対してどのような反応をするのか、どんな感情を持つのか』という自主研究テーマに合致しているとしてクリスタルズは渋々請け負っていると話している。
その過程で、団員である神輿庭麒太郎御神楽帝達と交流を持つようになった。帝白の指示を受けた麒太郎が操縦するアクロバイクの後ろに乗っていつも各現場へ向かっている。
あれだけサーカスを動物虐待とイコール付けていたクリスタルズが、どんな経緯を経て帝白サーカス団の活動に付き合うまでに至ったのか、詳細は当人達にしかわからない。
断片的に判明しているのは2つ。いずれも帝白からクリスタルズへ向けられた偽りのない『言葉』。それは『謝罪』と『帝白が考えるサーカスの在り方』。
【特徴】
150センチに僅か満たない低身長に女性として起伏が乏しい体格に関わらず見る者達に強い印象を残す。右が灰色・左が青紫色を映すオッドアイ。目元はパッチリ二重まぶた。
膝裏まで伸びる白銀の髪。前髪も伸びており、白銀の毛先から覗くオッドアイと雪のような真っ白い肌が一際目立つ。
ロシア帽の形状を参考にした耳当て付きの青紫色の帽子を被る。時々能力が無意識に発動する為、負担を和らげる意味合いがある。
上質な青いウールにイチイの葉・花・果実が模様として描かれているウールショール、日本ではプラトークと呼ばれる伝統的な四角のショールを右肩から羽織り、ショールの先を首に巻いて落ちないようにしている。
私生活はおろか学校に通う時もプラトークを羽織っている。私生活では白系統の上着に青系統のスカートなどを着る。
日本に来てそれ程経っていないので、自分の知らない日本の文化に触れると内心興奮する。特に、食事前のあいさつである「いただきます」に込められた意味に感銘を受けた。
日向から日本発祥のマンガ文化やゲーム文化について教わって以降は、コンビニで毎週発売されるマンガを立ち読みするのが習慣となりつつある。
動物をこよなく愛するがベジタリアンというわけではない。魚も牛も豚も鳥も食べる。クリスタルズが本当に動物の死を全て許せない性分ならば、かつて暮らしていた村付近にあった自然保護区で肉食動物が草食動物を食らうのを黙って見てはいなかっただろう。
ここにクリスタルズ=リングが抱く価値観の1つが凝縮されており、帝白紫天との話し合いで彼及び彼が語るサーカス観と折り合いをつける事ができた最大の理由が秘められている。
【台詞】一人称「私」。二人称「君」「あなた」。他人の名を呼ぶ時は年上だろうが年下だろうが男だろうが女だろうが「~君」と呼ぶ。独学の影響のようだ。
歯に衣着せぬ言葉遣いが特徴。虫や動物に変な渾名や愛称を付ける癖がある。しかも、どれも石の名前である。その時々の直感で名称を決めるとの事。
「お父さん。ごめんなさい。私…これ以上ここにいれない。聴こえるの。あそこ…にいる動物達の悲鳴が。恐怖に染まった叫び…が……」
「日向君に私がしてあげられる事ってなんだ?きっと、日向君の家族は日向君を見捨てたりしていない。遠く離れた私のお父さんが、今もずっと私を愛し続けてくれているように」
「そうだ。この言葉は私の祖国には存在しないんだ。初めて言葉に込められた意味を知った時、私は涙が出た。生き物の命を頂き自らの生命に活かす。自然の恵みに対する感謝に有り触れた挨拶を共に紡ごう。……いただきます」
「日向君。ケリィ君。紹介する。あそこの黒い猫が閃亜鉛鉱君。隣の白い猫がホワイトバッファロー君。少し離れた場所で欠伸をしているのが橄欖石君だ。皆良い子達だ。仲良くしてやって欲しい」
「麒太郎君。もうちょっと君のお腹に回してる腕の力を強めていいか?…そうか。それでは失礼。それにしても、私が思う以上にアクロバイクはスピードが出るんだな。まあ私のせいで遅刻しそうになっているんだ。文句は言えない…ど、どうした麒太郎君?スピードがさらに上がったぞ?へ、返事をするんだ麒太郎君!」
「G君は私にこう言ったんだ。『おぬしの話を聞いてわしは思ったぞ。折角学園都市でしか見られぬサーカス一団を結成するのだ。楽しんでくれる観客が人間限定では些か勿体無い。ここは強欲にいこうぞ。クリス。動物達も楽しんでくれるサーカス一団結成の為におぬしの力をわしに貸してくれ』とな。最初耳にした時はボケたのかと思った。だが……ふぅ。この話はもうお終い」
【SS使用条件】
特になし

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最終更新:2015年11月15日 01:24