【名前】帝白紫天(たいはく してん)
【性別】男
【所属】科学
【能力】慣性統御(イナーシャハンズ)レベル4
【能力説明】
一定領域内の対象に係る慣性を統御し、外部からの運動エネルギーに影響されず又は影響を利用した上で、慣性の方向性や力の増減を図る運動エネルギー操作能力。遠心力やコリオリの力も慣性の一種に数えられる。
慣性とは同じ運動を行い続けようとする力であり、別の言い方をすれば一方向に働く反動的な運動エネルギーを指す。
普通は方向性や力そのものをダイレクトに変える事や不可能だが帝白は運動の方向変換や力の増減ないし等速を実現できる。
車と運転する人間を例に挙げると、加速し始めると運転手が座席に背中を押し付けられる。ブレーキを掛けると運転手が前につんのめる。これらが普通の慣性の法則。
帝白はこれを、加速し始めてもブレーキを掛けても運転手が反動を受けないように慣性を操作できる。
車についてはブレーキを掛ける際進行方向に向けて発生する慣性を弱くすれば急停止し、逆に強くすればする程止まらない。
加速する際に進行方向とは逆の方向へ発生する、静止し続けようとする慣性を弱くすれば急加速し、逆に強くすればする程動かない。
慣性を重力とつりあわせ無重力状態を実現しフワフワ浮かぶ事もできれば、どれだけ加速しようとも物体を強引にその場へ留めさせる事もできる。
サーカス好きの帝白が呼ぶ“天幕”とは一定領域内に存在する対象へ自分が操作する慣性の静止作用を適用する事で我が身へ攻撃を寄せ付けない技術を指す。
他には同じ運動を行い続けようとする作用を利用し、領域内であれば壊れるまでは等速で対象を進み続けさせる工夫もあり、使いようによっては強力な攻撃手段に変貌する。
対象の数や種類に制限は無いが絞った方が精度自体は増す傾向がある。方向変換は90度辺りまでが限界、自分を中心に半径25mが最大圏内となっている。
【概要】
明知中等教育学院卒業生、現白帝学園高校3年生のサーカス大好き少年。
学院時代は天秤座(リブラ)と明知生徒会会長両方に就き、現在は白帝学園高校生徒会会長及び帝白サーカス団『スタンティーク』団長を務める。自分の名字に似た白帝が目に止まり、設備環境なども整っていると判断し受験した。
とにかくじじくさい。会話も行動も年寄り染みており、周囲からは学園都市の最新技術で若返りを果たした爺さんじゃないかと囁かれている。
真実はお爺ちゃん子だっただけ。学園都市に移ってくる前まで祖父と共に暮らしていた帝白は祖父が醸し出す雰囲気がすごく好きで、言動も祖父のものが移った。
普段からのほほんとしており、授業中に居眠りしたり昼休みは高層ビル屋上で日向ぼっこしながら昼食を摂ったりしている。


中学・高校とエリート学校を渡り歩いているが、本人の家系は全くもってエリートでは無い。平々凡々な家系で、明知にも一般試験を経て入学した。
明知の内情を知らず入学した帝白は、学内の派閥抗争を目の当たりにし驚くも怪我人だけは起こさないように授業をこなしていった。
生徒会に入ったのも、決闘や抗争で傷付く人をできるだけ抑えようと考えたから。自分の能力であれば決闘であれ抗争であれ無闇に人を傷付ける事はない。
生徒会の一員として決闘の審判役(総合的な評価を下すのではなく決着が着いたと判断し、それ以上の戦闘行為を阻止する為の実働役)を買って出る事も多かった。
帝白が審判役を務めた際の怪我率は恐ろしい程低く、怪我人が発生した時の応急処置も絶妙と教師陣の評価もすこぶる上々。それに伴うように生徒会の評判も上昇。
後に生徒会会長選に推薦される切欠はまさしくこの審判役である。本人は会長になるつもりは全くなかったが、他の生徒会メンバーや裏から教師陣の応援もあり立候補を決断。
その年の立候補者は帝白のみという無風選挙の末会長となった。タイミングを同じくしてレベル4と認定され、学院から天秤座(リブラ)を宛がわれる。
学院側からすれば黄道十二星座の一角と生徒会会長を両方務めるという、明知のプロパガンダとしてはこれ以上無い生徒となった帝白を全面支援するようになった。
特に、学院の創立に関わった神輿庭家などの巨大派閥とは無縁の生徒という事もあって御しやすいと判断した面もある。
帝白も生徒会長という重責を務める責任感を内心感じ、抗争の激化を防ぐべく学院側と決闘ルールの改定や三部制度の一部見直しを提言するなど模索を続けていった。
また、生徒からの評判も全体的に良かった。一部の抗争グループから妬ましく思われていたが帝白本人がグループと直接話し合い、ぶつかり合い、次第に喧嘩仲間のような間柄となった為沈静化していった。
生徒会のトップとして学院の風紀を司る明知中等教育学院風紀支部長矯星美璃亜ともタッグを組み、学院史上有数の安定期と謳われる1年を明知に齎すという結果を残すに至る。


しかし、帝白が3年に進級すると同時に明知の学院長兼理事長に就いた蕩魅召餌の方針によって提言そのものは白紙化されている。
表向きには「もっと合理的な方法を検討する為一度白紙化する」とあったが、本心をひた隠す蕩魅の言動に帝白は不信感を抱くようになった。
その後帝白に蕩魅から生徒会の方針について幾つか要求はあったものの、それら全てを半ば無視し、次期生徒会会長選にて蕩魅の養子蕩魅綺鵺が生徒会長に選ばれるまで強権的に生徒会の方針を堅持した。
当時は着任したばかりではっきりとした成果を示す時間が足りなかった蕩魅だからこそ、学院側から認められていた帝白が強権を発揮する事ができたと言える。
逆に言えば、時間が足りなかったからこそ蕩魅の思惑を明かす事ができなかったとも言える。この辺は時間を逆算して仕掛けていった蕩魅が一枚上手だったという事だろう。
黄道十二星座の一角でもある帝白へ星座に関連付けたうんちくを語る蕩魅の姿は、事情を知らない一般生徒からすれば学院長と生徒会会長が仲良くしている微笑ましいものに映っただろう。
実際は狐と狸の化かし合い。着任したばかりでイメージを落としたくない学院長を利用して我を通すじじくさい生徒会長。時間はたっぷりあると考え評判が上々の生徒会長とまず親しくしてイメージを上げようと利用する狡猾な学院長。
どちらにも利があったが、最終的には学院を卒業せざるを得ない帝白の負け。会長を引退した身である帝白は学院長の方針を推し進める綺鵺の方針に口は出さなかったものの、学院の未来へ一抹の不安を抱きながら明知中等教育学院を去っていった。


現在は白帝学園高校生徒会会長を務め、放課後は生徒会室の会長席でボケーッと座って過ごしている。じじくさい事を自分と同じく白帝へ進学した矯星を筆頭とした生徒会メンバーにしょっちゅう突っ込まれているが意に介さない。
生徒会室の一角に帝白専用のサーカステントが設置されており、綱渡り様の長いロープやトランポリンなどが常備されている。
道化師メイクをして皆に能力を使った手品を披露したりしてよく空気を和ませる。会長として学院時代も現在も在校生徒の顔と名前は全て覚えている。
本人は自分が人の上に立つ資質に満ちていると思っちゃいないが、「立場は人をどんな風にも育てる」という今は亡き祖父の教えから周囲の環境や立場に重点を置いている。
後輩の江城椎野と付き合いを持ち、彼女が明知の風紀委員という事で秘かに明知の現状について問い質したりしている。
学院時代、決闘回数が学内トップクラスだった江城の審判役を何度も担当したのが腐れ縁となっている。黒歴史扱いになりそうな互いの性格や過去を巡って今も懲りずに喧嘩する程度には仲が良い。
実は前年度の卒業式で起きた一件も知っている。これは後に江城にも問い質したが、まずは学院時代生徒会業務を経て親しくなっていた明知の教師来栖治鵡から情報を得た。
事件の中心人物である生徒が天秤座を宛がわれた風紀委員斗修星羅だった事、彼女が病院送りにした不良グループの内幾人かは生徒会時代何度か接触を持った事があった生徒だった事を知り、
後に偶然を装って見舞いの為に病院へ通い入院した生徒の内の1人である遊臥焔雀を訪ねた際に現在の明知の状態、特に陰湿さが益々増していた事を知った。
生徒会の立場も自分が会長を務めていた頃より微妙になっており、現生徒会長神輿庭麟子の擁護グループが神輿庭を排斥しようと動くグループと抗争している事も耳に入った。
かつて自分が属した黄道十二星座と明知生徒会が歪み始めている事を悟った帝白は、白帝生徒会の活動の傍ら江城を通じて神輿庭麟子に接触を図ろうとしている。
卒業生である自分が直接何かできるわけではないが、母校の為、そして母校に通う生徒の為まずは助言から始めてみようと帝白は考えている。


ちなみに現生徒会長神輿庭麟子の先代にあたる白雪窓辺とは、彼女が1年生の時に知り合った。黄道十二星座と生徒会長を兼任する自分を越えると言わんばかりに努力を重ねる窓辺を帝白は見守った。
野心的な窓辺の志向と自分の思考の相違から契合する事は無かったが、それもまた一つの在り方として認めていた。そんな窓辺と思われる少女に先日学園都市の一角に存在する倉庫街で襲われた。
元々の相性が悪い事もあり、襲撃直後に窓辺の発火能力と倉庫の外に山積みになっていた袋の中にあったイベント用カラーパウダーを利用して粉塵爆発を引き起こし、爆発に巻き込まれて死んだ…フリをして逃げ延びた。
昔からゴキブリのようにしぶとい事に定評があり、付き合いの長い者からはゴキブリとじじくさい性格を合わせた「G(君・さん)」という愛称(?)で呼ばれる程である。
先代生徒会長を務めた窓辺が起こしたような異変を帝白は『卒業生である自分が明知の揉め事に深く関わらない』というマイルールにおける数少ない『例外』として扱い、卒業式の一件や神輿庭麟子の件を含めて帝白が明知の現状を憂慮し、裏側から関与度を増す大きな要因となっている。実際、進学先である霧ヶ丘女学院の学生寮へ一切帰らず消息不明になっている窓辺の現状を知った帝白は、速記式暗号法を心得ている矯星を経由して現在も明知で教鞭を振るう来栖へ秘密裏に連絡を取る等明知への関与度を増してきている。


サーカスが大好きで、休日は訪れた公園などで地上曲芸や空中曲芸を自ら実践して通り掛かる人達を楽しませている。
将来の目標は学園都市でしか見られないサーカス一団を結成する事。その下準備として『スタンティーク』を立ち上げ、主に白帝学園や明知中等教育学院の生徒へそれとなしに話を振っている。
当初は帝白が1人で切り盛りしていたが、最近ではひょんな事から入団を熱望し帝白サーカス団員一号となった御神楽帝や帝白の勧誘を経て入団した神輿庭麒太郎クリスタルズ=リング達と共に各地で観覧無料のショーを開催している。
尚、麒太郎が麟子の双子の弟であった事は勧誘当初は全く知らず、彼と交流を深めていく内に次第に彼の姉が明知の現生徒会長である麟子だと気付いた。
麟子に接触を図るなら江城を経由するより麒太郎を経由した方が遥かに効率も良かったが、出会った当初から不貞腐れ、自分の才能に勝手に失望し、何にでもなれる自分を揶揄し、それでも「本当になりたいものを見つけたい」と渇望し苦悩し続けていた麒太郎と彼の置かれた立場・周囲の環境を鑑みた帝白は麒太郎を出しにして麟子と接触する事を愚行と断じ、サーカスを通じて少しずつ成長していく麒太郎を見守った。
後に麒太郎が明知と麟子の件で帝白へ食って掛かってきた時は彼の成長振りに内心感動し、彼の誤解を解く中で「本当に明知を変えられるのは、麒太郎のような明知で生活を送る人間である」と再認識し、自分は裏舞台で彼のような人達を応援する役回りに徹しようと心に決める。
尊敬して止まない歴史的宮廷道化師(ジェスター)が真実の為に己が仕事で欺瞞や虚偽へ立ち向かったのと同じように、帝白紫天は明知を変えようとする主役達を“天幕”を代表とする多芸でささやかに湧かす道化師(ジョーカー)となる。
【特徴】
173センチ68キロ。藍色のショートマッシュパーマ。毛先は癖毛風にくるっとしている今時の若者スタイルの1つ。
作務衣を好み、私生活では主に青・黒・臙脂色の作務衣を好んで着用する。草履を履き、扇子を広げ、唐傘をさすなど和で構成されたファッションで統一。
能力使用を想定して高強度・高靭性を備えるセラミックスもしくはタングステン鋼で出来た球を幾つも持っている。
二輪免許を持ち、免許取得後購入した学園都市製バイクを休日のお供にして学園都市を駆け巡っている。『スタンティーク』の活動として現地集合する際は、御神楽と共に現場までバイクを走らせている。
【台詞】じじくさい。後輩の江城椎野には「いつか黒歴史になりますよ」という有り難い忠言を頂いている。
「わしぁ御覧の通り精神の枯れた少年。耳が遠い気がするし腰も痛い気がする。よって、わしはこの会長席に座って皆からの朗報を待っておるよ。…何じゃ矯星。その『ツッコミ待ちよね?』みたいな哀れみを込めた視線は。……何じゃ切那。その『お前夏バテか!?』と妙な勘違いを起こして今にもムカつく笑い声を挙げようとする体勢は」
「遊臥。わしはの、ぬしのように抗争を起こす生徒達の気持ちが全くわからんわけじゃない。気に食わぬか?自分より上にのさばる人間が。今まで親が稼いで得てきた恵まれた環境の中で育ったぬしにとっては、自分こそが選ばれた人間だと心の何処かで捉えておるな?ふむ。そんな選ばれたぬしが成し遂げた結果がこの無用な怪我か?そこに自分の価値が映っておるぞ?選ばれたぬしの価値がの。つまるところわしが言いたいのはの、早く怪我人を保健室へ連れていきたい!抗争する暇と体力があるなら手を貸せ!!」

「クリス。何時ものように記録を頼む。……さぁ寄ってやらっしゃい見てらっしゃい!これより、帝白サーカス団『スタンティーク』による綱渡りを開催するぞい!本日の先鋒を務めるは帝白サーカス団員一号ミカミカ!!次峰はアクロバイクを手足のように操る麒太郎!!最後は団長ことこのわしGが逆立ちしながら渡るぞう!!観覧の皆々様!皆が成功した暁には観覧料の代わりに是非とも大きな拍手をお願いするぞい!」
「ほぅ。天秤座に新しい生徒が就き、ほぼ同時に天秤座を追われた斗修星羅へ乙女座が宛がわれたのか。何やら因果のようなものを感じるのう。そうは思わぬか、江城?おぬしも昔はかなりやんちゃ…むぐぅ!?……なんじゃ江城。またわしと喧嘩する気かのう?ぬしもとことん懲りん奴じゃ。ふん、受けて立つわい。今回の決闘は…指相撲三本勝負じゃ!!」

「のう、学院長。わしは今日をもってここから去るが…お前さんがわしの後釜として綺鵺を生徒会長に推し立ててまで近い将来披露しようと目論む舞台は面白味に欠けそうだの。観客を楽しませる事ができぬようでは、興行主としては失格だよ学院長。
星々の輝きなど周囲の環境や置かれる立場でいくらでも変わる。お前さんの作り上げようとする窮屈で鬱屈な箱庭で、果たして星々は満足に光ってくれるかのう?」
「カサカサカサ!ぜぇぜぇ。助かったー。あぁ死ぬかと思ったわ。…あの子、江城が教えてくれた天秤座の白雪窓枠か?明知の制服…容姿は一致……いや、違う。あのボブヘアーのハネ具合は………わしの記憶違いで無ければ白雪窓辺か。確か窓枠の1つ違いの従妹だったのう。今は既に明知を卒業しておる筈。先代生徒会長を務める程努力家だったあの子がどうしてこんな馬鹿げた事を。それに、あの容姿であれば1つ下の従妹と見間違われてしま………わしの勘違いの可能性もある。来栖先生への連絡も念頭に少し調査が必要だの。現生徒会長の麟子の周辺でキナ臭い動きがあるかと思えば今度は先代の窓辺もか。卒業式の一件といい、学院長(あやつ)が育てた我が母校の生徒は何をやっとるんだ」

「わしは、自分が『選ばれた』人間だと思った事は唯の一度もない。こんなじじくさい人間に、人の上に立つ資質やカリスマなど満足にあるものかよ。わしが会長という立場に立って大事にするのは皆がわしを『選んでくれた』事への感謝だのう。それを忘れない限り、きっとやっていける。ありきたりな意見だがの、だからこそ大事にせねばなるまいよ。そうは思わぬか…麟子殿?」
「案ずるな麒太郎。わしが尊敬する偉人が務めた宮廷道化師(ジェスター)というのはの、世話になった母校の先生曰く『文学において常識と誠実さの象徴』だそうだ。わしはそんな人間で在りたいし、ぬしにも誠実で在りたい。これでもおぬしの心意気を認めておるのだぞ?とはいえ、『例外』が起きた以上わしとしても主役であるぬし等に全て任せて傍観するというわけにもゆかぬ。明知の卒業生達が集う折角の『同窓会』じゃし、何よりぬしの姉君の為にものう。まぁ見ておれ。ゴキブリのように裏舞台でカサカサと蠢いて、狸爺のように愉快に知恵を振り絞って、そして尊敬して止まぬ宮廷道化師のように明知の君主へよう風刺が効いた多芸を披露しながらささやかに母校を湧かす道化にわしはなろうぞ」
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最終更新:2015年11月27日 23:00