「もしもし!?緋花ちゃん!?」
「うおっ?ど、どうした、ゆかりっち。そんなに慌てて」
ここは第6学区のある一角。風紀委員176支部に所属する少女―
焔火緋花―は、同僚の
葉原ゆかりからの電話を受けていた。
「え、えとね・・・」
「・・・もしかして厄介事?私、今日非番なんですけどー。神谷先輩とかさぁ、他の人に・・・」
「わ、私以外の皆は今出払っているの!それに、緋花ちゃんって確か第6学区に遊びに行くって言ってたよね!?」
「そ、そうだけど・・・。どうしたの、ゆかりっち?」
焔火は同僚の尋常では無い様子に緊張の度合いを高めていく。
葉原がこれ程慌てているということは、非番の自分にわざわざ連絡をするということは、それ程のことが起きたということ。
「1、159支部の春咲先輩って知ってる?」
「おぉ、知ってる、知ってる。以前仕事で会ったことがあるけど・・・それが?」
「実は、さっき匿名の女性からタレコミがあって・・・。春咲先輩が・・・あの救済委員だってタレコミが・・・!!」
「!!!」
焔火は一瞬自分の耳を疑った。春咲とは仕事で、しかも少ししか接したことは無いが、それでも彼女の人柄の良さは伝わって来た。その彼女が・・・救済委員!?
「ちょ、ちょっと待って!?有り得なくない!?あの春咲先輩に限って!!」
「・・・これが、真実かどうかはわからないわ。ただ、その女性が言うにはさっき春咲先輩を・・・緋花ちゃんが今居る第6学区で見たらしいの」
「・・・成程。だから私に白羽の矢が立ったってわけね。いいわ。そのタレコミが本当かどうか、私の目で確かめてやる!!」
「緋花ちゃん・・・」
非番のために外していた風紀委員の腕章を付ける焔火の威勢に、葉原は勇気付けられる。葉原とてタレコミを完全に信じている訳では無い。否、信じたくは無かった。
「ゆかりっち!その春咲先輩“らしい”人物を見掛けたのって、第6学区のどの辺りなの?」
「そ、それが詳しいことはわからないの。第6学区で見たとしか・・・」
「・・・!!ってことは手当たり次第に行くっきゃないってことか・・・。うまくいくか・・・」
「・・・・・・?どうしたの、焔火ちゃん?急に黙って・・・」
「ゴメン、ゆかりっち!!報告は後でちゃんとするから!!」
「えっ、ちょっ・・・」
葉原の疑問を無視するかのように電話を切る焔火。何故なら・・・
「(あれは・・・あのリーゼントは荒我!?何慌てて走ってるの!?)」
焔火から少し離れた歩道を、髪をリーゼントで固めた男―
荒我拳―が突っ走って行ったからだ。荒我の顔に浮かんでいたのは・・・焦燥と怒り。
「(わからない・・・自分でもよくわからないけど・・・。荒我を見失っちゃいけない・・・そんな気がする!!)」
それは、焔火の勘。葉原から齎された、救済委員に所属しているという春咲“らしき”人物を第6学区で見掛けたという情報と、
その第6学区において焦燥と怒りを顔に浮かべながら駆け抜けて行く荒我。この奇妙な偶然を・・・焔火は軽視しなかった。故に追う。荒我を絶対に見失わないために。
「じゃじゃーん!!どうですか、そらひめ先輩!!わたしの仕事ぶりは!!」
「抵部・・・。コップの水にお前の指が入ってんだけど。あたしへの当て付けか、うん?」
「あっ!」
ここは、焼肉屋『根焼』。
ここで臨時アルバイトとして働いている少女―
抵部莢奈―の様子を、同僚で先輩でもある
閨秀美魁は覗きに来たのだ。もちろん、閨秀は風紀委員活動中である。
「閨秀・・・随分暇そうね。よかったら、ウチの仕事・・・手伝う気はない?」
「・・・勘弁して下さいよ、破輩先輩。こう見えても、あたし達って忙しい・・・」
「忙しい人が、こんな所で油を売ってる暇は無いと思うんだけど?」
「厳原まで・・・。後輩がちゃんとやってるか見に来ただけだっての!・・・やってないみたいだけど」
「ひ、ひどーい!!」
そんな閨秀の隣の席に座っているのは、破輩、厳原、佐野、湖后腹という159支部メンバー。
たまたま、『根焼』の下見に来ていた159支部メンバーと閨秀が店でバッタリ会ったのだ。
「・・・・・」
「(どうしました、湖后腹?ボーっとして)」
「(えっ?いやっ、その・・・歳が近くてもやっぱり“差”ってできるんだなぁって)」
「(“差”?)」
湖后腹の言葉を受けて、佐野は湖后腹が見ていた先にあるものを見る。それは・・・“胸”である。
破輩妃里嶺は・・・その高校生離れしたグラマナスなスタイルを誇る。故に胸もドーン!!!である。
厳原記立は・・・本人曰く貧乳だそうだが、それは周囲の人物の胸がデカすぎるだけで、実はドン!!である。
閨秀美魁は・・・・・・・・・プッシュッ~~である。
「(湖后腹・・・あなた)」
「(い、いや、け、決していやらしい気持ちで見てたわけじゃあ・・・)」
佐野の軽蔑の眼差しを受けて、狼狽する湖后腹。
「おい、佐野!何さっきからジロジロ見てるんだ?・・・お前、もしかしてそんなナリでむっつりスケベ野郎だったりすんのか?」
「ブッ!!!」
思わぬ巻き添えを喰らう佐野。対して湖后腹は我関せずの状態である。
「ご、誤解です、破輩先輩!これは湖后腹が・・・」
「お前もやっぱり男だったんだな。何だか安心したぞ。お前からは全く女っ気を感じなかったからな」
「でも・・・。佐野君・・・不潔です!!」
「何言っても怒らないからさ~。お姉さんに言ってみな、うん?あたし達の何を見てたのか・・・何を見比べていたのかをさ~」
「で、ですから!!うんっ?なっ、何でそんな哀れむ視線を向けて来るんだ!?く、くそっ!な、何でこんなことに!!!」
破輩、厳原、閨秀の言葉を受けてしどろもどろになる佐野。加えて周囲からの冷たい視線が佐野に集中するので余計に。
ピロロロロロロロ~
「ん?誰からだ・・・?悪ぃ、ちょっと席外しますわ」
「どうぞ~」
そんな時、閨秀の携帯に着信が入る。携帯の画面に表示された文字を見て、閨秀が席を外す。そして・・・数分後。
「抵部・・・。バイトは終わりだ。急用ができた・・・風紀委員としての。お前も早く着替えて来い!!」
「えっ、でもっ、まだ仕事が・・・」
「早く!!」
「は、はい!!」
閨秀の怒声に抵部はビクつきながらも頷き、店長に早退願いを伝えるために店の奥に入った。
「閨秀・・・どうしたんだ?そんな怒鳴り声を挙げて。何かあったのか?」
破輩は閨秀の様子を怪訝に思い質問する。閨秀は、数秒後破輩に向かい合い言葉を発した。それは、159支部メンバーにとっても信じ難い情報。
「・・・さっきウチの渚って風紀委員から連絡があった。破輩先輩・・・落ち着いて聞いてくれ」
「?どういうこと?」
「159支部の風紀委員・・・
春咲桜が救済委員だってタレコミがあった」
「「「「!!!!」」」」
破輩、厳原、佐野、湖后腹は驚愕する。同じ支部員で仲間の春咲桜が救済委員だという情報に。
「詳しいことはわからないけど、春咲“らしき”人物を第6学区で見掛けたそうだ。だから・・・あたしは、そいつをひっ捕らえる!!」
「け、閨秀!!ちょ、ちょっと待って!!」
閨秀の“春咲桜を捕まえる”という発言に待ったを掛けようとする厳原。
「厳原・・・。あたしがどういう性格か知ってるよな」
「・・・!!」
「あたしは・・・救済委員って連中が大っ嫌いだ!!そこに、現役の風紀委員が入っているってなら・・・あたしは絶対に許さねぇ!!」
「閨秀・・・」
閨秀は、風紀委員でも警備員でも無い者が治安活動を行うことを極度に嫌っていた。それは、プロ意識とでも言うべきか。
そして、それを犯した奴は強硬手段でもって排除する。それが、閨秀美魁という少女の正義。
「そらひめ先輩―い!!準備できましたー!!」
「よし。それじゃあ行くぞ、抵部!!」
「はい!!」
そうして、閨秀と抵部は『根焼』を後にした。呆然とする159支部メンバーを置き去りにして。
「駄目です!!支部に幾ら電話を掛けても誰も出ません!!」
「春咲先輩や鉄枷、リンリンの携帯も・・・全く出る気配は無いですね・・・」
湖后腹と佐野がそれぞれ報告する。彼等159支部メンバーは、現在『根焼』を出てすぐの空き地に居た。
閨秀の言うことが本当ならば、159支部にもタレコミが入っているかもしれない。
そう予測した破輩は、湖后腹と佐野に確認を取るように指示したが・・・結果は芳しく無い。
「妃里嶺・・・」
「今は何より情報の確認が最優先だ。春咲のことは・・・後で考えよう」
「でも、どうするんですか?他の支部に確認でも取るんですか?」
「今タレコミが入っているのがわかっているのは・・・
花盛学園ですね。すぐに、確認してみます!」
「・・・いや、待て」
花盛学園風紀委員支部に連絡をしようとする佐野を止める破輩。
「破輩先輩?」
「・・・そんなタレコミより、もっと精度の高い情報が得られるかもしれない奴を・・・私は知っている」
「えっ!?」
佐野の疑問の声を無視して破輩は携帯を操作して行く。そして、数コール後・・・
「もしもし」
「どうした、破輩?何か用か?」
電話の先にいる男は・・・不動。『
シンボル』の一員であるこの男とは、以前同席したバイキングでアドレス交換をしていた。
そもそも、『根焼』の情報も不動経由で知ったものである。破輩は言葉を飾らない。そんな余裕は・・・無い。単刀直入に質問する。
「ウチの春咲桜って仲間が救済委員だってタレコミが風紀委員支部に入っているみたいなんだが・・・お前達『シンボル』は関わっていないのか?」
「!!?」
不動は目を見開く。そして・・・最悪の展開が頭を掠めた。
「・・・誰からのタレコミだ?」
「残念ながら、私等159支部にはそのタレコミが来ていない。・・・いや、確認が取れていない。だから、誰がタレコミをしたのかはわからない」
不動の逆質問に破輩は確信する。この件に『シンボル』が関わっていることを。
「・・・そうか」
「で、どうなんだ、不動。こっちも何が何だかサッパリわからない状態だ。簡単に言えば、ムカついているんだよ!!さっさとお前等が知ってることを話せ!!」
「・・・いいだろう。但し、私自身は直接関与していない」
「どういう意味だ?」
「実際に春咲桜に関わっているのは得世の奴だ。それと・・・
一厘鈴音」
「!?一厘が・・・!?やっぱり・・・」
不動の言葉に破輩は驚きと共に納得する。あの夜、退席した春咲を追うように店を飛び出した界刺と一厘。特に一厘は、あの夜以降春咲をしきりに気にするようになっていた。
その意味を、その理由を確信した。一厘は知っていたのだ。春咲が救済委員であることを。
「その様子では、一厘という風紀委員はお前にしっかり見抜かれていたようだな。・・・まぁ、いい。
そんなことより、春咲桜に関することだったな。私も又聞きだから、今起きていることについては詳しくはわからんが、それでもいいのか?」
「いい。タレコミなんかより、よっぽど精度が高そうだ」
「わかった。では、順を追って説明するぞ。まずは・・・」
そうして、不動は破輩達に説明していく。春咲桜が抱えていたモノ。春咲桜が何故救済委員に入ったのか。界刺が何故関わっているのか。
それら自分が知る限りの全てを、電話の向こうにいる春咲の仲間達に余すことなく伝えていく。
「―以上が私の知る限りの情報だ。・・・そのタレコミを聞く限り、春咲桜の身元は割れたとみて間違いあるまい。・・・最悪の可能性も考えなければならんだろう」
「・・・・・・ありがとう、不動」
不動に礼を言う破輩。いや、礼しか言えなかったという方が正しい。
破輩、厳原、佐野、湖后腹は皆多大なショックを受けていた。春咲が何故そのような行為に走ったのか。何故自分達に打ち明けてくれなかったのか。
そこに秘められていた思いを、感情を、悲痛を知り・・・言葉を失っていたのだ。
「破輩・・・。1つ忠告がある」
「・・・・・・何だ」
「この件・・・お前達は一切関わるなよ」
「!!」
不動の忠告。それは、“外野にいろ”という無情で無慈悲な宣告。
「ど、どういう・・・」
「お前ならわかるだろう?今学園内で抱えている問題が片付いていない時にお前達が・・・
159支部の風紀委員が救済委員である春咲桜を助ける行為に走れば・・・お前達の正当性が失われるぞ?」
「!!」
そう。破輩達159支部が現在進行中で抱えている問題。
風輪学園で起きている騒動。これの解決のために159支部の風紀委員は全力を挙げていた。
それは、学園内に16人しかいないレベル4の力を借りる程の大騒動。そして、彼等レベル4の力を借りられるのも・・・風紀委員という治安活動に勤める職務あってのものだ。
「破輩。リーダーとして春咲桜を心配するお前の気持ちはわかっているつもりだ。私も『シンボル』ではまとめ役を務めているからな。
だからこそ、忠告する。お前達は動くな。優先順位を付けられるような問題では無いだろうが、それでも動くな!動いた後のデメリットが・・・大き過ぎる!」
「くっ・・・!!!だ、だがっ!!」
破輩は―心の片隅では―理解していた。不動の忠告はもっともだ。
今、自分達が救済委員である春咲を助ける行為に走れば、現在抱えている学園内に敷いている網は・・・瓦解する。
だが、それでも!!学園内の問題を優先して、危険な目に合っているかもしれない春咲を放っておける程、破輩妃里嶺という少女は大人では無い。
「・・・得世を信じろ!!」
「えっ・・・?」
そんな彼女に不動は強く語り掛ける。
「“今”はあの男も動かないだろうが・・・春咲桜が本当にあの男が動く程の何かを証明できるのならば・・・得世は絶対に見限らない。
あの男は決して認めないだろうが・・・得世は春咲桜という少女を信じている筈だ。だから、破輩・・・お前も信じてやれ。得世を・・・春咲桜を!!」
「!!!」
破輩は、はっとする。それは、今の今まで頭の外にあったもの。それは、信じること。自分の部下を、仲間を、春咲桜を信じること。
「彼女・・・春咲桜は己の力を証明するために救済委員になった。ならば・・・証明しなければならない。己が力を。己が意思を!
破輩。リーダーたるお前が本当にしなければならないのは・・・何だ?“今”危険な目に合っているかもしれない彼女を救うことか?まあ、それも1つの選択肢だろうが。
私達『シンボル』のリーダーたる得世ならば、おそらくこう言うだろう。『自分のツケは自分で払えば?』とな」
「・・・!!」
破輩は瞠目する。リーダーとして何をすべきか?そんなことを問われたことは・・・一度も無かった。それは、ひとえに彼女の優秀さを物語っているのだが。
「と言っても、私個人としてはお前と同じ気持ちではある。今の言葉のほとんどは得世の受け売りみたいなものだ。
私がお前の立場であれば・・・おそらくすぐにでも助けに向かうだろう。私にとって、命以上に重いものは存在しないからな」
「・・・」
「だが、それでもこんなことを言ったのは、お前に冷静になって欲しかったからだ。
今のお前は、度重なる衝撃で冷静な思考ができない状態だと私は踏んでいた。どうだ・・・少しは冷静になれたか?」
「・・・あぁ。つまり、お前が『シンボル』内で熱くなった時はあの碧髪の男がストッパー役になっていると想像できるくらいには」
「むっ!?な、何を根拠にそんな・・・」
「・・・その慌てぶりだと、私の想像は見事当っていたようだな」
「むぅ・・・」
「不動・・・ありがとう。お前のおかげで少し落ち着いた」
「そ、そうか。ならばいい」
図星を当てられ言い淀む不動に礼を言う破輩。確かに先程までの自分は、表にこそ出さないものの冷静では無かった。
しかし、今は違う。クリアな思考状態を保つことができている。理由は・・・言うまでも無い。
「不動」
「何だ」
「お前達に・・・お前達を・・・私は頼ってもいいのかな?」
それは、破輩の意思。今回の件に破輩達159支部が関わらないと判断したことを示す言葉。
その真意を汲み取り・・・不動は破輩に応える。
「勿論だとも。何せウチには“ついで”で結果を出してしまう変人がいるからな。余裕だろう」
『ま、別にいいんじゃないか、記立。ウチのレベル4連中よりはマシだろ。“ついで”でも何でもちゃんと結果は出しているようだし』
『結局は結果を出してナンボだ!ウチのレベル4みたいに実力はあるけど自分は関わらない体を貫いている馬鹿共よりは何倍もマシだろうよ!』
「フフッ・・・!!そうだな」
不動の言葉にかつて自分が放った言葉を思い出し、つい笑ってしまう破輩。だが・・・こういうのも悪くは無い。
ふと、破輩は思う。あの成瀬台の風紀委員達も今自分が感じているような気持ちを抱いていたのかと。
「ならば、今回の件はお前達『シンボル』と・・・春咲自身に任せることにする!!・・・あっ、そういえば一厘が・・・」
「一厘鈴音のことならば心配ないだろう。得世とも連絡を取っていたようだし。お前達は関わるなとは言ったが・・・1人くらいならそう問題あるまい」
「そうか・・・。ならば、こちらからもう1つ有益な情報を贈ろう」
「有益な情報?何だ、それは?」
「実は、そのタレコミが入った支部は・・・花盛の支部だ。私が言いたいことはわかるな?」
「“花盛の宙姫”か。私達のような存在を毛嫌いしているあの・・・」
「ああ。その“宙姫”が春咲をひっ捕らえようと第6学区を飛び回っている。お得意の『皆無重量』でな。奴は・・・強いぞ。大丈夫か?」
「・・・あぁ。おそらく対抗くらいはできるだろう」
「ほう。何か当てでもあるのか?」
「奴は空を統べる“お姫様”なのだろう。ならばこちらには―」
程無くして通話が途切れる。破輩は携帯をしまい、静かにしていた他のメンバーに指示を出す。その姿には彼女本来の毅然とした佇まいが漂っていた。
「今から急いで風輪学園に戻るぞ!!春咲のことは春咲自身と『シンボル』の連中に任せる!!私達は一厘達がほったらかした仕事に集中する。異論は認めない。いいな!?」
「「「了解!!!」」」
破輩の宣言に厳原、佐野、湖后腹が応える。実は、厳原達は携帯のすぐ傍で聞き耳を立てていたため、破輩と不動の会話を全て聞いていた。
もちろん、破輩の宣言に込められた意味を3人共理解していた。早急に学園に戻って行く159支部の面々。
「(全く・・・。あの堅物があんな冗談めいたことを言うとは夢にも思わなかった。あの碧髪の影響か?フフッ)」
そんな中、破輩は先程の不動と最後に交わした言葉を思い出す。不覚にも破輩が虚を突かれたその言葉とは・・・
『奴は空を統べる“お姫様”なのだろう。ならばこちらには・・・空を喰らい尽くす“仏様”が居るぞ?』
continue!!
最終更新:2012年07月06日 19:43