【名前】
【スペック】
- 寄生性質を持つ微生物の集合体である魔術師
- 普段は『黒い丸薬』の姿で、他人に摂取されることでその人物の自我と肉体を乗っ取り、容姿はそのままに『燕尾服に片眼鏡』の服装に変化する
【能力・所持品】
感染
サンジェルマンは、自らの肉体を分解し、寄生性質を持った数千数万という微生物の集合体である。
まず、いつか世界のどこかで、生命活動を半ば以上停止させた乾燥状態となる『黒い丸薬』の姿で自然発生する。この状態だと年単位の生命維持が可能となる。
人間がその『黒い丸薬』を口に含む事で、唾液その他の水分を得て活性化、演技性のトランスを利用した人格改変術によってその自我を書き換え宿主とし、その姿を『サンジェルマン』へと変貌させて活動を始める。この一連の流れを『感染』と呼ぶ。
この性質によって同期・並列化・結晶化を繰り返し、サンジェルマンは1000年以上の時を生き続けている。
『丸薬』はその性質から『サンジェルマンウィルス』とも呼ばれ、以下の種類が存在する。
天然のサンジェルマンウィルスである黒い丸薬。作中の世界に自然発生し、体内に摂取されることで『感染』を行う。
木原唯一が培養及び改良して弱毒化させた赤い丸薬。上記の『強毒性』よりも毒性が低いため即座に『感染』は行われず、唯一はその人格改変術や『シャンボール』を利用した。また、彼女の台詞から『弱毒性』であっても上条に対して効果はあるものと思われる。
アンナが直接手を加えた黒い丸薬。代を重ねて侵食効能が弱まった『強毒性』よりも強力であり、上条に摂取させて『魔術の副作用』を『幻想殺し』でも処理できない速度で引き起こし、死の寸前まで追い詰めた。しかし、彼女の思わぬ形で離反され、最終的に上条の命を救うために『幻想殺し』によって自滅した。
また、宿主は「元の知識・技術を無視して『シャンボール』という魔術を扱える能力」を得る。ただし、宿主が能力開発を受けた人間であれば、「能力者が魔術を使用する副作用」によって体内を蝕む。
逆に言えば、サンジェルマン自身には魔力の源となる生命力がないため、宿主の肉体でしか生命力から魔力を精製できず、魔術を使用できない。また、他人の脳を使わなければ、思考を持続すること自体が行えない。
また、特定の手順を踏まない限り勝手に二次感染することはない。これは
オティヌス曰く、「サンジェルマン自身が無秩序に拡散する事で自己が希釈や変異を起こすのを恐れた」からとのこと。
シャンボール
炭素を操る術式。ダイヤモンドの傷を直したという伝承に由来する魔術だが、操れるのはダイヤモンドに限らず、ダイヤモンドから炭素、炭素から有機物、有機物から植物といったように、様々な物を生成・操作できる。
汎用性の高い能力であり、以下に一例として、作中で行ったことを記載する。
炭素または炭素を含む化合物を溶かして捻って尖らせたような『槍』を生み出す。側面には『St.Germain』と銘が刻まれている。
この槍の穂先に見える簡所から更に50~100cm程、髪の毛のように細い先端部が伸びており、接触したものにトンネル状の穴を空けて本命の槍を通す仕組みとなっている。
サンジェルマンが特に好んで使う攻撃手段であり、普通に一本生成して刺突や薙ぎ払いの他、サンジェルマン一人辺り100本以上展開し、360°全方向から放つこともできる。
通常時でも、鋼鉄の重機である『運搬着(パワーリフター)』を容易に粉砕する程度の火力がある。
また、この槍は植物で言うところの『根』に相当し、束ねて強度を増加させることで『枝』や『幹』に強化することができる。
植物細胞を一度完全に分解して、皮膚・骨格・血管・筋肉といった各々の機能を細分化、その後再び統合し、最適化を促す事で植物質のケモノを生み出す。何らかの生物を模した姿をしており、体のどこかに核となるサンジェルマンが存在する。
このケモノは植物で言うところの『枝』や『幹』に相当し、麦野の『原子崩し』を複数撃ち込み、浜面の『運搬着』の鋼の両腕を突き出して強引に抑え込み、絹旗の『窒素装甲』を纏って突撃し、上条が『幻想殺し』の右手を叩き込むことで、ようやく動きが止まる程の強度を持つ。
また、仮に破壊されてもその残骸から次の『植物装甲』を生み出したり、別の攻撃の糧とすることができる。
作中では、以下のような姿を形成している。
- 全高が末端まで含めれば2m弱で全長は4m以上ある、太い尾を反らせた蠍
具体的には、脚の代わりに複雑に絡み合う樹木の根を、顎の代わりにうっすらと赤みがかった白色の花弁を、両の大鉄の代わりに食虫植物の捕食嚢を備えたハナカマキリにも似た姿を持つ。尾端の毒針の代わりに男のサンジェルマン。
上記と同一のサンジェルマン。乱雑な牙を持つ。
上記と同一のサンジェルマン。胴体が膨らみ体のあちこちから小さな花が開き、一酸化炭素を巻き散らす。
巨大な腹部の背をベッドやソファ代わりに身を沈めるような格好の男のサンジェルマン。
肩を中心に二本の鎌を装着し残る全身をマントのように引きずる若い女のサンジェルマン。
尾端の発音番官の代わりに老人のサンジェルマン。
この他、以下のようなことも行った。
- 石油やアルコールを精製して引火させる
- 人工ダイヤの粉末を超高速で打ち出すレーザー状のダイヤモンドカッターを放つ
- 炭素粉末を大量に撒き散らして粉塵爆発を起こす
- 人の身のまま根や蔓を巻きつけてバネとし、柱や天井を蹴って跳ね回り高速移動する
- 左手で大気を操作し、上条の胸の前にダイヤモンドを生成、その輝きで目測を狂わせ、わざと破壊させる事で、ナイフの破壊の進行速度やベクトルをわずかに逸らす
- ダイヤモンドで傘よりも薄い板を2枚構築し、ビル風のように風向きを変え、可燃性のガスを他所へ流す
- 地面にダイヤモンドの六角柱を生成、真下から勢いよく突き上げ、3mほど垂直に飛ぶ
- 生成したダイヤモンドを避雷針として、切断された高圧電線が撒き散らす紫電を誘導して回避する
- 床からダイヤモンドの柱を斜めに突き出し、『薔薇の術式』による強酸の海を押し留めつつ、その透明な柱を足場にする
- ダイヤモンドの盾や柱を生成し、『薔薇の術式』による爆発を防ぐ
- 『槍をここに。七つの壁の密室は120年秘密を守り、許可なき者の侵入を認めず』
上記の詠唱を行うことで、上条が背中を預けたトンネルの壁の奥から、7本の透明な槍が突き出てアンナの掌を抑え込んだ。
本来であればサンジェルマンの魔術でアンナの掌を抑え込むのは不可能だが、戦闘中の場所が地下だったため、地の利によって出力を向上させ成功させたとのこと。
- 『テトラクテュス、それは一〇を形作る数字の三角。その完全性にて我を上昇させよ』
上記の詠唱を行うことで、左右十指から炭素繊維の糸を張り巡らせ、走行する貨物列車の屋根まで飛び上がった。
不死
サンジェルマンは、サンジェルマン個人が死亡することはあるが、世界から完全に消滅することはない。
構造を解析した
インデックスの『歌』等によって増殖・感染経路を断ち、今いる個体を全て倒すことで戦闘に勝利することはできるが、ある程度の時間を置いて世界に自然発生する。また、オティヌスが「サンジェルマンは絶対に自然消滅しない」と断言している。
これは弱体化前の僧正ら『魔神』が世界を作り変えても同様であり、『位相改変』に耐性を持つ稀有な能力でもある。
サンジェルマン曰く、「たとえ『魔神』達がどれほど完壁で幸せな世界を作り上げようが、私はどのような可能性、環境下にあったとしても必ずどこかの時点で発生する。私もまた因果や位相を超越した存在なのだから」
ただし、世界が砕け散る前提で直接介入すれば消し去ることはできる模様。
【短所】
- サンジェルマン(となった感染者)は生身である点。例えば、頭を打つ等して意識を失った個体は、普通の人間のようにそのまま無力化するし、自分で生成した一酸化炭素を多量摂取した個体はそのまま倒れるし、『シャンボール』を行使した個体の元が能力者であれば副作用で自滅する、といったことは起こる。
- サンジェルマン(寄生生命体である本体)は摂取しなければ何もできない点。アンナ曰く「消毒石鹸で擦った程度でくたばる微生物の塊」
【戦法】
- シャンボールを行使し、槍、植物装甲、ダイヤモンドカッター、ダイヤモンドの盾や柱、一酸化炭素、粉塵爆発等様々な手段を用いて戦闘する。感染可能な相手であれば、黒い丸薬を摂取させてサンジェルマン化させる。
【備考】
- 非能力者に『感染』した状態で、『黒い丸薬』を所持して参戦。
最終更新:2020年07月16日 23:50