「MITによる低線量被曝影響についての研究論文【線量率効果】」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
MITによる低線量被曝影響についての研究論文【線量率効果】 - (2012/09/21 (金) 22:11:46) の編集履歴(バックアップ)
MITによる低線量被曝影響についての研究論文【線量率効果】
(管理人)2012年5月に出た論文で、Twitterで話題になったもので、タイミング的に遅くなってしまいましたが、記事としてまとめました。2012.9.19
関連記事
長期間にわたる放射線被曝についての新しい見解 — MITの研究が示した低線量被曝のDNAへの少ないリスク
GEPR
MIT(マサチューセッツ工科大)による低線量被曝の研究についての日本語解説記事
MIT(マサチューセッツ工科大)による低線量被曝の研究についての日本語解説記事
ねずみに5週間、自然放射線の400倍の放射線照射をしたが、DNAへの損傷は観察されなかった
(管理人)厳密に言うと「(DNA修復システムの能力を超えなかったため)DNA損傷(の有意な増加)は観察されなかった。」ということだと思います。
学術誌「環境と健康をめぐる知見」(Environmental Health Perspective) に発表されたベビン・エンゲルワード、ジャクリーン・ヤンチが行った研究によれば、複数のねずみに5週間にわたって自然放射線の400倍の放射線照射をしたが、DNAへの損傷は観察されなかった。
人間の体にはDNA損傷を修復するシステムがある
上記URLから引用)
DNAの損傷は自然放射線のレベルでも起こるもので、少なめに見積もっても一つの細胞に1日当たりおよそ1万回生じる。損傷の大半はそれぞれの細胞内にあるDNAの修復システムによって回復される。
別角度からの考察:Togetterより
福島の現在の線量率では、DNA損傷の有意な増加はみられない
MIT(マサチューセッツ工科大学)による低線量被曝影響についての研究論文が発表されました。
http://web.mit.edu/newsoffice/2012/prolonged-radiation-exposure-0515.html
http://web.mit.edu/newsoffice/2012/prolonged-radiation-exposure-0515.html
生物学の研究者Yuhki_Nakatake氏の言葉を借りれば「マウスで0.0002cGy/min=2μGy/min=120μGy/hで5週間、積算で100mGyほどを受けたマウスのDNA変異や抗酸化マーカに有意な違いが無かった」という研究内容。
http://twitter.com/Yuhki_Nakatake/status/204579520873897984
http://twitter.com/Yuhki_Nakatake/status/204579520873897984
要約
論文の内容の一部を翻訳したツイート
http://www.twitlonger.com/show/hgi7a6
「10万人の住民を避難させた日本政府がさらに多くの住民を避難させない事で批判されているのは興味深い。我々の研究からは、住み続けている住民にDNA損傷の増加は見られないと推定される。我々の研究所で最近開発された技術でそれをテストすることが可能だ」
http://www.twitlonger.com/show/hgi7a6
「10万人の住民を避難させた日本政府がさらに多くの住民を避難させない事で批判されているのは興味深い。我々の研究からは、住み続けている住民にDNA損傷の増加は見られないと推定される。我々の研究所で最近開発された技術でそれをテストすることが可能だ」
Twitter上での議論:Togetter MIT から低線量被曝影響の研究論文〜自然放射線の400倍でもDNAへの過剰影響なし
Yuki Nagatake氏(分子生物学などの研究者)が論文の解説をしています。(Togetterの後半部分)
長期かつ低線量での被曝によって、DNAの損傷(の増加)は見られない
5週間の時間をかけて、合計100mSVをマウスに照射したがDNA損傷の増加は見られなかった。これを根拠に「福島の避難基準は(米国の)環境放射線の8倍程度であ過剰である」とMITは推定しています。
※DNAは被曝関係なく一定量は損傷しますが、人間の体にはそれを修復するシステムがあります。
※DNAは被曝関係なく一定量は損傷しますが、人間の体にはそれを修復するシステムがあります。
「線量率効果」とは
線量率効果というのは簡単に言うと「一気に放射線を受ける」より「時間をかけて放射線を受ける」ほうが影響が少ない。という効果。つまり、人体に放射された(=人体に受けた)累積した放射線量が同じであっても、その時間のかけ方によって人体に与える効果は違うよ。ということです。
参考
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-02-02-14
http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/se23.html
参考
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-02-02-14
http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/se23.html
線量率効果のわかりやすい説明:アルコールの摂取速度の違いと影響:
管理人が一般人にもわかりやすいように例えてみます。(個人差がありますが)アルコールを一気に一定量を飲むと急性アルコール中毒になる可能性が強くなります。が、(時間をあけて、たとえば一週間に一回に)少量ずつアルコールを摂取すれば(累積で同量のアルコールだとしても)急性アルコール中毒にはならずぶっ倒れたりしません。つまり生物への影響は時間の概念が欠かせないということですね。