注意書き:この記事は2021年11月の事件発生直後に書かれた物です。事件発生直後の報道と裁判での事実は大きく異なっていました。申し訳ございません。
2024年2月29日追記
2024年2月29日追記
兵庫県稲美町兄弟放火殺人事件(ひょうごけんいなみちょうきょうだいほうかさつじんじけん)とは2021年11月19日に発生した放火殺人事件である。報道によっては兵庫放火殺人事件とも呼ばれる。
(事件が起きた兵庫県稲美町)


場所 | 兵庫県稲美町岡の民家 |
---|---|
日付 | 2021年11月19日 |
概要 | 11月19日午後11時頃に自宅が放火により全焼し、この家に住んでいた兄弟2人の遺体が発見された事件。 |
容疑 | 兄弟の伯父の松尾 留与 |
動機 | 妹夫婦に精神的な苦痛を与える為に大切にしている子どもを狙った |
犯人・松尾留与
後に犯人となる松尾留与は中学時代は野球部に所属し、中学卒業後に神戸市内の寝装品の製造会社に就職する傍ら、夜間学校に通っていた。その後、地元で衣料品をなど扱う工場などで働いた後に大阪市内の会社に勤務。結婚歴はなかった。
2006年9月に父親が死去すると、4人居る兄弟の長男だった松尾は実家の土地を相続。そして事件現場となる妹夫婦が暮らす実家に戻ったのは事件の約1年前だった。妹夫婦も元々は別の場所に住んでいたのだが、松尾の母親(おばあちゃん)の体調が悪くなったために実家に戻り、松尾の事も心配して呼び寄せたという。妹夫婦の旦那は事件翌日に「コロナ禍で仕事もなくなり、体調も悪いというので、大阪から連れて帰ってきたんや」と言っていた。
しかし実家に戻った後の松尾は家からほとんど出なく、いわゆる引きこもりの状態になっていた。松尾は妹夫婦に「財産も金も譲る。この土地も譲るから、生活保護を受けて生きていきたい」「働きたくないから」等と言うようになっていき、妹夫婦は仕事を探して働くように説したが、松尾にとっては煩わしく、カッターナイフやライターを持って家の中を歩き回ったり、壁をドンドン叩いたりする行動を取った。自室でラジオを大音量で流したりもしたという。
2006年9月に父親が死去すると、4人居る兄弟の長男だった松尾は実家の土地を相続。そして事件現場となる妹夫婦が暮らす実家に戻ったのは事件の約1年前だった。妹夫婦も元々は別の場所に住んでいたのだが、松尾の母親(おばあちゃん)の体調が悪くなったために実家に戻り、松尾の事も心配して呼び寄せたという。妹夫婦の旦那は事件翌日に「コロナ禍で仕事もなくなり、体調も悪いというので、大阪から連れて帰ってきたんや」と言っていた。
しかし実家に戻った後の松尾は家からほとんど出なく、いわゆる引きこもりの状態になっていた。松尾は妹夫婦に「財産も金も譲る。この土地も譲るから、生活保護を受けて生きていきたい」「働きたくないから」等と言うようになっていき、妹夫婦は仕事を探して働くように説したが、松尾にとっては煩わしく、カッターナイフやライターを持って家の中を歩き回ったり、壁をドンドン叩いたりする行動を取った。自室でラジオを大音量で流したりもしたという。
事件
2021年11月19日の午後11時50分頃、兵庫県稲美町の自宅が全焼する火事が発生した。同時刻にこの自宅から火が出ているという通報がされ、火事発生から4時間後に消し止められ、そして20日にこの家に住んでいた兄弟のA・Bの遺体が発見された。火事の際に両親は外出しており、父親はスーパーで働く母親を迎えに行く為に午後11時半頃に外出していた。現場にはガソリンが撒かれた跡があり、駐車場からは農機具に使うためのガソリンの携行缶が見つかった。
この自宅では兄弟に加え、両親と母方の伯父が同居していた上、出火直後には兄弟と一緒に家に残っていた伯父が歩いて外出する姿が近所の防犯カメラに写っていた上、この火事が起きてから伯父の所在が不明だった事から警察は何かしらの事情を知っているとして行方を追っていた。
この自宅では兄弟に加え、両親と母方の伯父が同居していた上、出火直後には兄弟と一緒に家に残っていた伯父が歩いて外出する姿が近所の防犯カメラに写っていた上、この火事が起きてから伯父の所在が不明だった事から警察は何かしらの事情を知っているとして行方を追っていた。
容疑者の足取り・逮捕

(扇町公園)
容疑者の伯父は自宅を後にした後、1キロほど離れたコンビニへ行き、食べ物を購入。翌朝には10キロほど離れたJR明石駅の防犯カメラに映っていた。ここから電車で大阪へ行ったと見られる。
事件から5日後の11月24日の昼頃、松尾が大阪市北区の扇町公園のベンチに居た所を県警の捜査員に発見される。捜査員によって任意同行され、その後に現住建造物等放火罪、兄弟に対する殺人罪で逮捕された。松尾は容疑を認めており、就職を促してくる妹夫婦が嫌いだった事や妹夫婦に精神的な苦痛を与えたくて子どもを狙った事などを供述していた。
事件から5日後の11月24日の昼頃、松尾が大阪市北区の扇町公園のベンチに居た所を県警の捜査員に発見される。捜査員によって任意同行され、その後に現住建造物等放火罪、兄弟に対する殺人罪で逮捕された。松尾は容疑を認めており、就職を促してくる妹夫婦が嫌いだった事や妹夫婦に精神的な苦痛を与えたくて子どもを狙った事などを供述していた。
裁判、明らかになった真実
松尾は事件後の2021年12月から2022年7月まで鑑定留置を受け、2022年7月8日に「刑事責任能力がある」と判断されて起訴された。(なお、松尾が起訴されたこの日は奇しくも安倍晋三氏射殺事件と全く同じ日であった。)
そして、事件からおよそ2年以上が経過した2024年1月25日に松尾の初公判が開かれ、松尾は起訴内容を認めた。
検察の冒頭陳述や弁護側の冒頭陳述によると
- 松尾は実家だったこの家(上記の通り2006年9月に父親が死去した際に長男の松尾が相続)を出て転々とし、10年ほど前に戻り、松尾と兄弟と妹夫婦と母親と母親の兄に当たる男性の5人で生活していた。当初は妹家族と一緒に外出するなどの交流があったが、次第に会話する事が無くなっていった。
- 松尾は妹夫婦から食事や住宅内の移動や入浴など生活を制約される
- 松尾は妹夫婦が暮らす2階の部屋に無断で入り、注意された事などから不満や怒りを蓄積させた
- 妹夫婦は松尾が自分たちの部屋に無断で侵入した形跡があった為に2階や1階の冷蔵庫前に防犯カメラを設置。松尾は「人として扱われていない」と考えて、最も苦しめる方法として妹夫婦の子供である兄弟を殺害しようと決意した。
- 松尾は事件を起こすまで知的障害と診断された事はなく支援も受けていなかった
1月31日 被告人質問
弁護側 | 苦しみ、どういう苦しみですか。 |
松尾 | 人間として扱ってもらっていなかった。 |
弁護側 | その苦しみはどれほど。 |
松尾 | 今まで経験した事ないぐらいの苦しみ、不満だった |
弁護側 | それは誰に対して。 |
松尾 | 妹夫婦に。 |
弁護側 | どうして子供にやったのか。 |
松尾 | あいつらの1番大事なものを奪って、なぜ俺がこういうことをやったのか分からせたかった。 |
弁護側 | いま、自分の罪についてどう思っているか。 |
松尾 | (死刑になるくらい)罪深い事件だと思います。 |
また、検察官に妹夫婦に対する謝罪の気持ちを聞かれた松尾は「一切ありません」と答え、事件後に新聞記事で事件に関する報道を確認し両親が泣き叫んでいたことを知った時には「正直やったと思った」などと述べた。
2月5日 被告人質問
この日も松尾の被告人質問が行われ、この日は遺族側の代理人弁護士が遺族に代わって質問した。松尾は被害者遺族である妹夫婦に「間接的にやったのはお前らやで」などと述べ、さらに「もう少し精神的ダメージがあっていいと思う」「今の精神状態であいつら(妹夫婦)に謝る事は出来ない」と遺族である妹夫婦を侮辱するかのような発言を繰り返した。その一方で被害者の兄弟に対しては「ごめんなさい」と謝罪の言葉を述べた。
また、どの日の被告人質問かは不明だが、被害者の死について「犬死に、無駄死に」と言ったり「兄弟を無惨な姿にすることで妹夫婦を悲しませアルコール中毒にさせたい」とも話す場面もあった。
死刑求刑
2月7日に検察側による論告求刑と弁護側による最終弁論が行われ、論告に先立って被害者の父親が「命を持って償ってもらいたい」と意見陳述し、検察側は松尾に死刑を求刑した。
- 妹夫婦への不満を晴らすために不満の対象ではない2階で寝ていた兄弟が避難できないように階段下の押し入れに放火して殺害したのは生命軽視の態度が著しく、動機は極めて身勝手で残虐で非人道的で計画性も認められる。
- 2人を同時に殺せるという理由から放火を選び、無限の可能性を秘めた未来も奪われた。裁判での「直接的に殺したのは自分だが、間接的に殺したのはお前らだ」などと話すなど被告の反省のなさや裁判のでの発言遺族をさらに傷つけている。被告の更生は困難で死刑を回避する事情は皆無だ。
弁護側
- 松尾被告には事件後の精神鑑定で軽度の知的障害がある事が分かっていて、弁護側はこうした影響から建設的な問題解決が出来ず、カメラの設置などで感情をコントロール出来なくなり精神的に追い詰められた末に犯行に及んだ。死刑は相当ではない。
懲役30年判決
2月15日に松尾に対する判決公判が開かれ、神戸地裁姫路支部は松尾に懲役30年判決を下した。
判決理由
- 被告は家の中で完全に孤立する中で妹夫婦への恨みや憎しみを抱き、大切な存在をしている存在を奪う事で自分の苦しみを分からせたいと考えたもので、命を軽視していると言わざるを得ず、結果は極めて重大で動機は身勝手で悪質だ
- 私利私欲や自己保身の為ではなく、被告への度重なる嫌がらせに対する逆恨みという親族感トラブルに起因する
- 被告を無視したり、立ち入った事が分かるようにドアに紙を挟んだり、冷蔵庫前に防犯カメラを設置した妹夫婦の行動は、同居親族に対する行為としては明らかに行き過ぎであり、被告が人として扱われていないと受け止めたのは無理からぬこと
- やや犯行計画には杜撰な面があり、被告の軽度の知的障害による問題解決能力の低さが犯行に影響を与えた事は否定できない
そして、最後に裁判長は松尾に向けて「命の重みをしっかり考え、重大なことをしてしまったことを一生忘れてはならない。恨みを晴らすためだったとしても、単なる一時的な満足に過ぎず、虚しさが残るだけ。何も得られず、何も生まれてこない」と諭した。
この判決に対して遺族の妹夫婦は「夫婦の生き甲斐である何の落ち度もない2人を残虐な手段で殺害した。これに対して有期刑というのは納得できない。このままでは子供たちに報告できない。」と話し、防犯カメラの設置や無視については「設置すれば(松尾が)勝手に部屋に入らないだろうという抑止の目的だった」「私たちは被告を無視していたのではなく何かあれば言ってほしいと言葉を交わしていた」と話した。
そして、検察側は2月28日に判決を不服として大阪高裁に控訴した。
後記
Twitter(X)上で、松尾の裁判を傍聴していたというアカウントが以下のツイートをしている
- 松尾が2階の部屋に入ったのは妹夫婦が外出時にTV受信アンテナのコンセントを抜くためにテレビが見れないのでコンセントを繋ぐ為だった
- 第2回公判の妹への証人尋問で検察側が「他に住まいを探そうとしなかったのか」と尋ねると、妹は「探すのに手間がかかるし、家賃もかかるから」と答え、次に検察側が「なぜ名義変更をしなかったのか」と答えると、妹は「贈与税を払いたくなかった」と話した。
- 松尾の実母の口座から固定資産税が、姉の口座から携帯電話料金が差し引かれていた
- 被害者の兄弟たちも松尾を無視するようになり、松尾の母にいつ家を出ていくのかと聞いたり、さらに松尾が監視カメラに怒りティーパックを投げつけたら「そんな所に捨てるな」と言われる。
出典元
伯父、謝罪や反省の言葉なく 稲美放火殺人2週間 妹夫婦に一方的不満、死亡兄弟の在宅「知っていた」
https://news.yahoo.co.jp/articles/360dc61864872b49f6fd88201a1e4d335eae002b
https://news.yahoo.co.jp/articles/360dc61864872b49f6fd88201a1e4d335eae002b
稲美町の放火殺人 伯父「妹夫婦の子ども傷つけようと思った」
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20211202/2020016268.html
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20211202/2020016268.html
《兵庫放火“小学生兄弟”死亡》「カッターナイフやライターを持って家の中を歩き回り…」逮捕の伯父(51)が妹夫婦に抱えた“身勝手な鬱屈の正体”
https://bunshun.jp/articles/-/50419?page=1&_gl=1*176um00*_ga*YW1wLUVKNnNZYV85clpERjdhSjVfckI2LTdyRHpXNXl5OUlQNm9QYUNoRnRzWXNoWXJ2d1lPUUtSN2NQNzBHWXNkUnM
https://bunshun.jp/articles/-/50419?page=1&_gl=1*176um00*_ga*YW1wLUVKNnNZYV85clpERjdhSjVfckI2LTdyRHpXNXl5OUlQNm9QYUNoRnRzWXNoWXJ2d1lPUUtSN2NQNzBHWXNkUnM
<兵庫 小学生兄弟死亡>放火した伯父51歳が語っていた「財産も土地も譲るから…」
https://bunshun.jp/articles/-/50266?page=1&_gl=1*1y2u0aa*_ga*YW1wLXd0U2FfVlA3SnJJNkh4eG5Kdk9QcEJEMWNOZ3FHbkgySXpwWE82ZmRNY3pqUzVldG9xN25hb2dkWUtVTDNjRVU.
https://bunshun.jp/articles/-/50266?page=1&_gl=1*1y2u0aa*_ga*YW1wLXd0U2FfVlA3SnJJNkh4eG5Kdk9QcEJEMWNOZ3FHbkgySXpwWE82ZmRNY3pqUzVldG9xN25hb2dkWUtVTDNjRVU.
小学生の兄弟放火殺人事件の初公判 被告の伯父起訴内容認める
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20240125/2020024372.html
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20240125/2020024372.html
小学生の兄弟犠牲の放火殺人 「人として扱われていない」恨み募らせ犯行 伯父の初公判冒頭陳述
https://www.sankei.com/article/20240125-XWQIEK74ARODHPGLE2DUJLPKJQ/
https://www.sankei.com/article/20240125-XWQIEK74ARODHPGLE2DUJLPKJQ/
稲美放火殺人・量刑争点に、初公判…兄弟の両親も傍聴
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20240126-OYO1T50014/
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20240126-OYO1T50014/
放火殺人罪の伯父に死刑求刑 地裁姫路支部で検察側、小学生兄弟死亡
https://www.asahi.com/sp/articles/ASS2741HMS26PIHB013.html
https://www.asahi.com/sp/articles/ASS2741HMS26PIHB013.html
兵庫の放火殺人、伯父に死刑求刑 小学生兄弟死亡
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0787C0X00C24A2000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0787C0X00C24A2000000/
裁判長「一生背負って」 遺族「子供に報告できない」 小学生兄弟死亡、伯父に懲役30年判決
https://www.sankei.com/article/20240215-EXHL52Q4QFJ43J5MVBOGYMBDSQ/
https://www.sankei.com/article/20240215-EXHL52Q4QFJ43J5MVBOGYMBDSQ/
小学生兄弟死亡の放火殺人、53歳の伯父に懲役30年の判決 神戸地裁
https://www.nikkansports.com/m/general/news/202402150000911_m.html?mode=all&utm_source=AMPbutton&utm_medium=referral
https://www.nikkansports.com/m/general/news/202402150000911_m.html?mode=all&utm_source=AMPbutton&utm_medium=referral
兵庫の放火殺人、伯父に懲役30年判決 小学生兄弟死亡
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1565C0V10C24A2000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1565C0V10C24A2000000/
兵庫 小学生兄弟死亡の放火殺人事件 判決不服で検察が控訴
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240228/2000082362.html
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240228/2000082362.html