0069:略奪
太平洋に日が昇る。ゲーム開始から初めての朝がやってくる。
桃白白は
ゴン蔵を殺した後、海岸線沿いに南下し、宮城県に到達していた。
「もう夜明けか…ずいぶん走ったな。」
桃白白は地図を取り出し、現在地を確認した。
その時、ハイウェイの脇の森からガサッという音がした。
「誰だ。出てこい!」
大声で叫んだが返事はない。怖気付いたのか。気のせいではないだろうが。
桃白白は
ゴン蔵から奪ったバスケットボールを茂みに向かって投げ付けた。
すると…
「危ないわねッ。いきなり何するのよッ!」
大声と共に太った女性が顔を出した。
「女か…貴様、武器と食料を出せ。そうすれば見逃してやろう」
まるで山賊のような口調で
桃白白は言った。
「食料って…そんなモノ、とっくに皆食べちゃったわョ」
二日分の食料も、彼女にとっては一食分にしかならなかったのだ。
「チッ。使えない女だ。悪いが死んでもらうぞ」
そう言い、カプセルにしまってあった脇差を取り出し、女の方へ向けた。
「フン。あんた、これが目に入らないの」
女の方も茂みの中からショットガン――かつてジャギが愛用していたもの――を取り出し、
桃白白の方へ向けた。
「ほう。中々いいものを持っているではないか。だがこの私に当てられるかな?貴様のようなデブが」
桃白白は不敵な笑みを浮かべて女を挑発した。
「あんた!そんなに死にたいの!!!」
女の理性が切れた。
ドン!
すさまじい銃声。飛び出す散弾。しかし、射線の先に
桃白白の姿はなかった。
「エッ、嘘。どこ行ったの?」
女は
桃白白が消えて困惑している。
「ここだ!」
突然木の上から声がした。女は逃げようとしたが足が竦んで動かない。
次の瞬間、
グサリ。
桃白白の脇差は女の心臓を貫いた。
そして、彼女が最期に発した言葉は…
「た、
ターちゃん…」
女の名は
ヂェーン。ジャングルの王者ターちゃんの妻であった…
「ククク、死んだな。それにしてもいい武器を拾ったものだ。この調子で
孫悟空も蹴散らしてくれる」
桃白白はショットガンと弾を回収し、さらに南へと進んでいった…
【宮城の海岸線沿いの道@早朝】
【桃白白@DRAGON BALL】
【状態】健康
【装備】脇差し、ジャギのショットガン残弾19@北斗の拳】
【道具】支給品一式(バスケットボールは捨てました)
【思考】1悟空を殺す。2優勝する。
【ヂェーン@ジャングルの王者ターちゃん 死亡確認】
【残り116人】
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最終更新:2024年08月16日 21:17