0095:虚無の夢 ◆QGtS.0RtWo





忌み子、飛影。

氷河の国で生まれた呪われた凶児――


幼少時より魔界で敵となる相手とただひたすらに戦い、殺し、命を狩り続けて育った。

紆余曲折を経て人間界へと渡り――
そこでの様々な出会いによって、彼は少し変わった。
しかし――
本来、彼は生まれた時からすでに生きるか死ぬか、殺すか殺されるかのサバイバルに常に身を置いて生きてきたのだ。

言うなれば、このゲームの舞台はまるで自分の人生そのものを具現化したような物である。

『男の赤子…忌み子…!忌み子じゃ!』

以前はひたすらに血を…強さを、求めて生きてきた。
生きる目的があったから。

だが…今はもう無い。探し物も見つけた。故郷も見つけた。
だから――別にいつ死んでも構わない。
ただ――

『…今のお前はB級の中位妖怪にランクされている…戸愚呂弟はB級の上位妖怪だ――』

『ただのケンカしようぜ。国なんかぬきでよ――』


『戸愚呂…幽助の本当の底力を見たいんだろ?てっとり早い方法を教えてやるよ…

――幽助の仲間を殺すことだな』

…あいつと戦ってみたい。
心の底から本気で。

…本気のあいつと戦えるなら、この下らない生も…長らえる張り合いがある――


「……夢、か…」

桃との戦いの後、小さな森の中にある人気の無い小さな廃墟を見つけてそこで少しだけ睡眠を取っていた飛影は、
もう何度目になるかわからない遠い昔の夢を見て目覚めた。
目を覚ますと、桃に付けられた顔の小さな傷にほんの少し痛みを覚える。

(…朝か…)
窓から朝日が射し込んできて、その光に目を細める。
まだ少し疲労が抜けてはいないが…飛影は立ち上がる。
下らない奴に邪魔をされる前に――目的を果たすため。
(幽助、簡単に死ぬなよ…この俺と戦う前に死ぬなど、許さんぞ…!)

扉に手を掛ける。
扉を開けると、隙間から暗い内部と己の体が光に照らし出される…が

(……!!?何だ!?)

突如、耳の奥から甲高い耳鳴りのような音が響く。

『…諸君、ご苦労…爽やかな朝だ。よく眠れたかね?――』

――頭に直接響く言葉。
それは、忘れもしない…あの忌々しい主催者の男の一人、バーンの声であった――





【山形県/早朝】

【飛影@幽遊白書】
[状態]少し疲労(眠気は収まった)
[装備]マルス@BLACK CAT
[道具]荷物一式
   燐火円礫刀@幽遊白書
[思考]幽助と決着を付ける、強いやつと戦う


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047:蒼き虎と黒き龍 飛影 136:さまよう影

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最終更新:2023年11月22日 21:22