0129:帝王雌伏 ◆SD0DoPVSTQ





愛知県と長野県の境、山中の廃屋。
ホコリが厚く積もった床の上には、干からびた動物の死体が散乱している。
そして廃屋の一番奥、壊れたテーブルや椅子の間に隠れるように、一人の男が座っていた。
(ぬぅ…動物の血ではさしたる回復は望めんか…)
支給された食料の果物を使って動物をおびき寄せ、手裏剣でそれを狩る。
夜が明ける前に数匹のウサギなどを獲ることに成功し、気休め程度だが怪我を治すことができたのだが…
血こそ止まっているものの、腹には穴が開いたまま(多少は小さくなっている)、右腕も傷跡が醜く残っている。
なにより、体力の消耗が激しかった。
「…むっ」
DIOが持っていた手裏剣を投げると、廃屋の隅にいたネズミが小さく悲鳴を上げて倒れた。
手裏剣と共に獲物を回収し、指を突き刺して血を吸う。
(今は耐えねばならん……かつて100年間海底で耐えたことを思えば、この程度どうと言うこともない)
ちなみに放送では、特に気になることは無かった。
交戦した相手の名前は聞かなかったので、死んだかどうかも判らない。
主催者の言葉は、徒党を組んでいる奴らを仲間割れさせる作戦だろうと思ったが。
体がゴムのように伸びる小僧、そして手から光線を放つ男…
(このDIOが傷を負わされ、捨てられた犬のように惨めな姿を晒して逃げることになるとはな…!)
特に光線を放つ男の方は、少なくともスピードではDIOを上回っていることは、プライドの高いDIOも認めざるを得なかった。
無敵のスタンドと自負する『世界』が正面からのラッシュで打ち負けるなどありえないと思っていた。
あの二人(と一匹)に復讐しようにも、体調が万全でなければ不可能だった。
そして、夜が来るまでに体調を万全にするのは無理だとDIOは悟っていた。
(あの時、妙な黒い男の血を吸えていれば、今頃は傷が完治していたのだが)
つまり、次に遭遇する相手は確実に格下でなければならない。
それも相手が一人なら最良。
(あるいは、誰かがこの廃屋に足を踏み入れれば…時を止め、その隙に血を吸う…
いや、成功すればいいが、今の状態では時をどれだけ止められるか判らんな。やはり人が来ないに越したことはない、か)
DIOは思案を続けながらも、周囲への警戒は怠らない。
このまま何事もなく夜を迎えるのか、あるいは…





【愛知県と長野県の境(山中の廃屋)/朝】
DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:右肘部から先を損失、腹部に貫通傷、疲労大。(出血は止まっている)
 [装備]:忍具セット(手裏剣×9)
 [道具]:荷物一式(食料(果物)を少し消費)
 [思考]:1、日が暮れるまで廃屋で身を隠す。
     2、参加者の血を吸い傷を癒す。
 [備考]:廃屋の周囲の血痕は消してあります。


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076:機人夜襲 DIO 159:悪のカリスマ

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最終更新:2023年12月09日 21:20