0243:小休止
琵琶湖の北側の湖岸で、
ヤムチャとサクラが水の補給がてら休息をとっていた。
道中、強い戦闘力の持ち主をいくつか感知したが、まずは長野に向かうのが先決だったので上手くやり過ごしてここまで来た。
「この分なら、夜には長野県まで行けそうですね」
「ああ、そうだな…くそっ、全然釣れないじゃないか、やめだやめだ!」
湖に釣り糸を垂らしていた
ヤムチャは、木の枝で作った簡易釣竿を投げ捨てて寝転がった。
サクラはそれを拾うと、どうも魚の姿は無いように見える湖面に釣り糸を垂らす。
いや、魚だけではない。空にも鳥の姿がほとんど見えない。
(動物が少ない…元々この島にはいないのか、それとも……)
誰かが――誰かと言っても主催者くらいしか思いつかないが――意図的に動物の数を減らしているのか。
両津やぬ~べ~の話では、日本と言うらしいこの島は本来の大きさよりもかなり小さくなっているそうだ。
ということは、ここは主催者が殺し合いの場とするために、日本を模して作り上げた舞台とは考えられないだろうか。
そして動物の姿が少ないのは…
「……食料を補給させないため、かしら…」
「あん?なんか言ったか?」
サクラはなんでもないと言うように首を横に振る。
今はそんなことを考えても仕方ない。ここがどんな場所か判っても、この首輪がある限りどうしようもないのだから。
首輪を外せるような力を持った人物を見つけるまでは、主催者の掌の上で踊るしかないのだろう。
「お、引いてるぞ」
そんな力を持った人がいるのかは疑問だが、諦めたらそこで終わってしまう。
「おーい、当たりが来たぞ」
「…え?あ、引いてる!」
その後もう少し粘ってさらに1匹の魚をゲットした二人は、森の中でそれを焼魚にした。
森の中なら、焚き火程度の煙は木の枝の間を通るうちに拡散し目立たなくなる。
手際よく火をつけて魚を焼いていくサクラに、
ヤムチャは感心して思わず声を上げた。
「へぇ、意外に手馴れてるんだな」
「忍者は任務で里を離れることが多いから、サバイバルの訓練もしてるんですよ」
焼き上がった魚は、前に食事をした時に食べた乾パンや菓子パンの袋に入れて
ヤムチャが持つことにした。
たった2匹だが、1食分くらいにはなるはずだ。
魚を
ヤムチャに渡し、火を消すと、サクラは立ち上がった。
「
ヤムチャさん、そろそろ行きましょう」
「もう行くのか?もうちょっと休んでいこうぜ…」
「ダメですよ!長野県の強い反応が悟空さんだったとしても、探知してから半日くらい経ってるんですよ!
早く行かないと、どこかに行っちゃうかもしれないじゃないですか!」
サクラはそう言いながら、仰向けに寝ている
ヤムチャの腕を引っ張って無理やり立たせる。
一方の
ヤムチャは、朝の
大蛇丸以来敵に遭遇してないためか、
或いは悟空さえ見つかればなんとかなるという楽観的な考えからか、すっかり気が緩んでしまっている。
「わかったわかった、行けばいいんだろ…まったく、そんなに口うるさいとイイ嫁さんになれないぜ?」
「大きなお世話です!」
ピシャリと
ヤムチャの頭をはたくと、サクラはすたすたと歩き始める。
「おいおい待ってくれ」と、
ヤムチャも慌てて後を追いかけ、二人は琵琶湖を後にした。
【滋賀県・琵琶湖北岸/1日目・午後】
【ヤムチャとお守り】
共通思考:3日目の朝には兵庫県に戻る。無理なら琵琶湖。
【春野サクラ@NARUTO】
状態:若干の疲労
装備:スカウター@DRAGON BALL
道具:荷物一式(一食分の食料を消費、半日分をヤムチャに譲る)
思考:1.スカウターを使って隠密行動をしながら、ヤムチャと共に悟空を探し仲間を増やす。
とりあえず強い反応があった長野県に向かってみる(強い反応の正体は悟空の界王拳)。
2.ナルト、シカマルと合流して脱出を目指す。
3.大蛇丸を見つける
【ヤムチャ@DRAGON BALL】
状態:右小指喪失、左耳喪失、左脇腹に創傷(全て治療済み)
超神水克服(力が限界まで引き出される)、五行封印(気が上手く引き出せない)
装備:無し
道具:一日分の食料
思考:悟空を探す。若干気が緩んでいる。
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最終更新:2024年03月26日 19:12