0256:奸な瞳
秋田県の上空を鴉が舞う。
木々の間を潜り抜け、影も舞う。
それは影。力を欲する、唯の影―――
雪を被った杉の木々をしならせながら、唯唯南へと跳躍していたソレは、
急に着地点を杉の木から地面へと変える。
ドゴォォンッ…!!
力が制限されているとはいえ妖怪である飛影の全力の拳だ。
邪炎を纏ったその拳は表面の雪を容易に蒸発させ、むき出しとなった地面には巨大なクレーターが残された。
「糞っ…!」
(この程度の力では勝てない…
ピッコロにも…幽助にも…)
飛影はその拳が本来の調子ではないことに苛立ちながらも、確実に在る獲物の存在に感謝していた。
言葉には出さないまでも、彼らのことを考えている間は忘れられた。あの忌まわしい雪女の事は。
「ふん…」
影は多くを語らない。影は多くを想わない。影は多くを望まない。
強ければ戦う。強ければ倒す。強ければ殺す。
微々たる反省と甚大な信念をその邪な眼に宿し、再び影は跳躍した。
あてもなく彷徨う飛影は、いつしか新潟県南部まで足を運んでいた。
(邪眼の能力も制限されてやがる…これではかなり接近してからでないと敵を把握できそうにないな)
幸か不幸か、制限された眼により彼は誰に出会うこともなく南下し続けることになった。
「そろそろ放送か…」
飛影は独り、木の上より放送を待つ。
【新潟県南部・樹林/夕方】
【飛影@幽遊白書】
[状態]若干疲労
[装備]マルス@BLACK CAT、無限刃@るろうに剣心
[道具]荷物一式、燐火円礫刀@幽遊白書
[思考]1、強いやつを倒す
2、幽助と決着を付ける
3、氷泪石を見つけだす
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最終更新:2024年04月18日 02:46