0261:守る思い、まもる狂気
歩き続けて早数時間。
途中休みつつ、また警戒しながら動いていたため、それほど多くの距離を移動していたわけではなかったが、
それまで誰一人敵と遭わなかったのは幸運だったと言えるかもしれない。
剣心一行は狂気の男達、志々雄と剣八から逃れた後、北東へと進んでいた。
剣心の探し人はもういない。
(剣は凶器、剣術は殺人術)
「それが真実であったとしても・・・拙者は薫殿の甘っちょろい戯言のほうが好きでゴザったよ・・・」
剣心は昔のことを思い出していた。
薫を殺した殺人者がこの世界のどこかにいる。
だけど・・・
今は、今だけはせめて・・・手の届く人を守りたい。
それで許してもらえるとは思わない。
だけど今だけは・・・
己の目の前にいる二人の少年。
今は、この少年たちだけは守りたい。剣心はそう思っていた。
鳥取にさしかかった時のことだった。
少し休めるところを探していたとき、前を進む二人の少年が立ち止まった。
「ひ、ひどい・・・」
それは、見た瞬間にわかる「死体」であった。
そこには、無残に死体を晒されている石崎の姿があった。
「こんな子供まで・・・うおぉぉぉぉぉ!!!」
剣心が吼えた。
堪えようのない怒りが剣心の内奥に広がっていく。
「何故こんな少年が殺されなければならんのでゴザルか!こんな少年が・・・薫殿が・・・」
セナはそんな剣心に声をかけることができなかった。
少しして蛭魔が倉庫にあったスコップらしきものを持ってきた。
その表情からは何を考えているかは読み取れなかった。
至って普通の表情。
冷静な表情。
「・・・埋葬してやるんだろ?」
そう言って剣心にスコップを渡した。
「あぁ・・・そうでゴザルな」
剣心は何故か救われたような気がした。
何故だか心の中の怒りが和らいだような気がする。
そしてこの二人を命に代えても守ろうと思った。
しばらくして、
「そろそろ行くでござるか」
そう言って石崎の居た場所を後にする。
「セナ殿の姉上を探しに行こう。こんな状況ではいつ殺人者に狙われるかわからないでゴザルからな。」
そう言って三人は更に東へ向かっていく。
「ちっ、糞マネがどこ行ってやがんだ?手間かけさせやがって」
(まもり姉ちゃん、どうか無事でいてね・・・必ず助けにいくから)
セナは知らない。
己が守ろうとしている相手が、自分のために今も新たな殺人を犯していることを。
未だ両者が出会うことはない。
【鳥取県/午後】
【緋村剣心@るろうに剣心】
【状態】身体の至る所に軽度の裂傷、胸元に傷、軽度の疲労、精神中度の不安定
【装備】刀の鞘@るろうに剣心
【道具】荷物一式
【思考】1.姉崎まもりを護る(神谷薫を殺害した存在を屠る)
2.小早川瀬那、 蛭魔妖一を護る(襲撃者は屠る)
3.力なき弱き人々を護る(殺人者は屠る)
4.人は斬らない(敵は屠る)
(括弧内は、抜刀斎としての思考ですが、今はあまり強制力はありません)
【小早川瀬那@アイシールド21】
[状態]:健康
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式、野営用具一式(支給品に含まれる食糧、2/3消費)
[思考]:1.まもりとの合流
2.これ以上、誰も欠けさせない
【蛭魔妖一@アイシールド21】
[状態]:右肩骨折、夷腕坊操作の訓練のため疲労
[装備]:無し
[道具]:支給品一式
[思考]:1.まもりとの合流
2.東京へ向かう
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最終更新:2024年06月16日 17:49