0263:悪魔始動
扉を開け、外界に出る。
黒のメタリックボディが夕日に照らされ、
ウォーズマンが、笑う。
その、黒の顔面に浮かぶ目と口。
人間では表現できないような喜びの表情で、
ウォーズマンが、笑う。
「ウォーズマン……」
ウォーズマンが出てきた扉の奥。
小屋の中から、彼の名を呼ぶ声が木霊する。
「いいかなウォーズマン? そろそろ日も暮れる。日が暮れれば、夜がやってくる。わかるかね?」
「…………」
ウォーズマンから返事はない。
顔を縦にも横にも振らず、ただただその声を耳に入れることしかしない。
笑顔を浮かべたまま、無言。
だが、その無言には『肯定』という意味がある。
それは、声の主も承知していること。
「では再度確認しよう。ウォーズマン、君がやるべきことはなにかな?」
その問に、今度ばかりは無言ではなく、言葉を使って反応を示す。
「……コロス」
「殺してはだめだ。君が狩るのは、『生きたままの獲物』だ。ではその獲物をどうする?」
「……ツレテクル」
「そうだ。君は『生きたままの獲物』をここに連れてくる。この
DIOの目の前に」
声の主――
DIOは静かに、落ち着いた声で命じる。
ウォーズマンに、自分自身のための『人間捕獲』を。
DIOとの出会いは、ウォーズマンに様々なものをもたらした。
『安心感』
『覚悟』
『自由』
『笑顔』
『
氷の精神』
そしてなにより、この殺人ゲームの最中、正義超人でありながら人を殺してしまった哀れなウォーズマンに、
DIOは『許し』をくれた。
自分の全てを受け入れ、自分を認め、道を示してくれた。
そんな恩人ともいえる
DIOに、ウォーズマンがしてやれることといえばなにか。
それは、
DIOに従うこと。
正義超人の心を忘れ、『
氷の精神』に支配された彼の行動心理は、全てが
DIOの手中。
そんな
DIOが、ウォーズマンに命じたのは、『人間の捕獲』。
世界には、もうじき夜が訪れる。
DIOが行動を再開する夜が。
だが、
DIOは重症の身。完全に活動を再開するには、決定的に足りないものが一つある。
DIOが欲するもの――血。
この傷を癒すためには、他の参加者の血が必要。
だからウォーズマンに頼んだ。血の調達を――もとい、『人間の捕獲』を。
夜が訪れて、すぐにでも行動が再開できるように。ウォーズマンに、自分の元に人間を連れてくるよう頼んだのだ。
二人の関係は、言うならば悪の親玉とその子分か。
はたまた、飢えたハンターとその猟犬か。
もしくは、おつかいを命じた母親とその子供か。
ウォーズマンは、人間を狩り、
DIOの元に連れてくる。
DIOは、ウォーズマンの帰りを待つ。
さしずめ、狩った人間は食料。ウォーズマンはおつかいに行く子供。
DIOは帰りを待つ母。帰ってくる頃には、夕食時といったところだろうか。
やはり、母親と子供の関係が一番近しいか。
「いい子だウォーズマン。では…………ん?」
ふと、扉の外の気配が消えていることに気づいた。
「ア…………アアアアアアアアアアアァァアアアアアァァアアアアアアアアアア!」
その後、小屋からいくらか離れた地点で発された、奇怪な雄叫び。
それは、野に放たれた正義超人ウォーズマン……だった存在のもの。
今は、『
氷の精神』に支配された、ただの哀れなロボ超人。
その奇声に、
DIOは思わず微笑する。
「フフフ……気の早い奴だ」
今は、もうしばらくここで待機。
母はただ、食事の支度をしておつかいに行った子供の帰りを待つのみ。
とりあえずは、あと数分で告げられるであろう放送に耳を傾けて……
【愛知県と長野県の境(山中の廃屋)/夕方(放送直前)】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:右肘部から先を損失、腹部に貫通傷(出血は止まっている)
[装備]:忍具セット(手裏剣×9)
[道具]:荷物一式(食料(果物)を少し消費)
[思考]:1、ウォーズマンの帰りを待つ。
2、参加者の血を吸い傷を癒す。
3、悪のカリスマ。ウォーズマンを利用する。
[備考]:廃屋の周囲の血痕は消してあります。
【愛知県と長野県の境/夕方(放送直前)】
【ウォーズマン@キン肉マン】
[状態]精神不安定
[装備]燃焼砲(バーンバズーカ)@ONE PIECE
[道具]無し(荷物一式はトイレ内に放置)
[思考]1、DIOのため、人間を捕獲し連れてくる。
2、DIOに対する恐怖/氷の精神
3、DIOに従う。
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最終更新:2024年04月19日 01:28