0356:そしてだれもいなくなった
漆黒の闇に包まれた四国の地にハイエナが一匹…
志々雄は、既に物言わぬ屍となったナルトらの荷物から支給品、食糧を根こそぎ強奪していた。
―—この世は所詮、弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。弱者は強者の肉になる運命なんだよ。
と、明治の世なら強盗殺人で死刑に値する行動をとりながら、全く罪悪感を感じていない。
それどころかこの状況を楽しんでいるようにも感じられた。
ふと、乾の手帳に目が止まる。
そこには今の惨状を予期していたかのような文章が書かれていた。
最も、現実の被害はそれを遥かに超えるものなのだが…
「文章から考えるに、乾とかいう奴は最後に俺を射殺しようとした小僧のことだな。
鵺野とかいう奴は、以前俺が見逃した小僧に殺された男だな。
全く、こいつほどの阿呆はいねぇな。弱者は弱者らしく尻尾を巻いて逃げてれば殺されずに済んだのによ。
キジも鳴かずば撃たれまい、か。まぁいい。こいつらには仲間がいるみたいだ。
そのうちここに来るかも知れねぇな。よし、この悲壮感溢れる文章を俺がもっと面白くしてやるよ」
―――残念だったな。鵺野とかいう男はもう、この世にはいない。俺が殺したんだ。
おっと、言っとくが、俺はナルトとかいう男じゃねぇ。
俺の名は志々雄真実。かつて薩摩長州にその人ありと言われた維新志士だ。
もし、この俺を殺す勇気があるのなら奥州まで来い。俺はそこにいる―――
「これでよし。こいつらの憎しみは深まるはずだ。
まぁ、
夜明け前にこいつらがここに来ればこの手帳を見ることなく逝けるんだがな。 」
手帳の2ページ目に支給されたペンで文字を書くなり、志々雄は近くの草むらに腰を下ろし、横になる。
「さてと。だいぶ動いちまったからな。体のためにも少し休むとするか。」
―――3時間後―――
結局、両津とダイは四国には到着しなかった。正確に言えば、いくつかのアクシデントがあって、到着できなかったのだが。
瀬戸内海に2度目の陽が昇る。眩しい朝日とともに、剣士は再び目覚める。行く先は、現在活動可能な範囲で最北端である奥州。
「やはり来てねぇか。主催者の宿敵とやらと一戦交えたかったものだがな。」
残念そうに呟くなり、強奪した沢山の武器をカプセルに戻し、
腰には愛刀となった飛刀をぶら下げ、左手には篭手を装備し、元来た瀬戸大橋を渡った。
太陽が昇り、夜とは違った中国地方が目の前に広がっていた。
その中でも志々雄の目を引いたのは、見えなくなるまで遠くに延々と続いている線路と、粗末な駅のプラットホームだった。
「へぇ、俺が生きてる時代じゃ関東の方でしかお目にかかれなかった汽車が、ここではこんな田舎にも通ってるのか。
面白れぇ。どうせ急いで奥州まで行くこたぁねえんだ。
のんびり日本の景色を眺め、弁当でも食いながら行くとするか。」
対主催者との対決で基地として機能するはずだった四国。
太公望が最重要地点として考えていたその地には最早誰一人いない。
数時間後、それに気付く者が現れるかもしれないが…
ある島に5人の漂流者が足を踏み入れた。
途中で2人増え、7人になった。
そのうち4人は偵察に行ったきり、戻ってこなかった。
夕方になり、新たに3人の旅人が現れた。
また2人が出て行き、4人になった。
夜、2匹の猛獣と1人の人間が無人島にやってきた。
2人と1匹が食べられ、島には3人と1匹が残った。
深夜―――猛獣が牙を剥き、1人が食べられ、2人になった。
そこへ1人の騎士と1匹の悪魔、1人の子供がやってきた。
旅人と騎士は力を合わせ、猛獣を倒したが、子供と一緒に悪魔に殺された。
悪魔が去った後、島には誰もいなくなった。
【岡山県/早朝】
【志々雄真実@るろうに剣心】
[状態]:全身に軽度の裂傷
[装備]:衝撃貝の仕込まれた篭手(右腕)@ONE PIECE、飛刀@封神演義
[道具]:荷物一式 八人分(食料、水二日分消費)、コルトローマンMKⅢ@CITY HUNTER(ただし照準はメチャクチャ)(残弾1)
青雲剣@封神演義、パチンコ@ONE PIECE(鉛星、卵星)
ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険、キメラの翼@ダイの大冒険
弾丸各種(マグナムリボルバーの弾なし) 、ソーイングセット、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
[思考]:1:第5放送を聞いた後、関東に着くまで休息。
2:長時間戦える東北へ向かう。
3:無限刃を手に入れる。
4:少しでも多く参加者が減るように利用する。
5:全員殺し生き残る
(乾の手帳は鵺野の死体の側に置かれています。)
時系列順で読む
投下順で読む
最終更新:2024年07月13日 06:30