0005:闇の帝王vs最強の馬鹿 ◆lEaRyM8GWs





「ゴムゴムの……!」
ルフィは力強く握った拳を凄まじいスピードで何度も何度も打ち出し、その回転を上げていった。
岩をも砕く拳の弾幕が張られ、目の前の不気味な男に迫る。
「ガトリング!!」
咆哮とともに肉薄し雨のような拳の連打を放つルフィだったが、
金髪の白人男性、DIOは唇に小さな弧を浮かべて己のスタンドを繰り出した。
「フフンッ、無駄無駄無駄」
スタンドは、ルフィの放つ拳の一発一発に向けて、同様に拳を繰り出した。
二人の間で拳の衝撃が弾け、ルフィは反動でジリジリと後ずさった。
「こんのやろぉっ……」
負けるものかとルフィはさらに回転を上げ、麦藁帽子の下で鋭い眼光を放つ。
が、DIOはその殺気をむしろ楽しむように微笑んでいる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
何十、何百と放たれる拳のすべてが空中でぶつかった。
だが互角ではない。ルフィの拳の皮が少しずつめくれ、血が滲み出している。
「くぅっ……」
「貧弱、貧弱ゥ!」
DIOは笑いながら前進を始め、拳を打ち合っていた分身とともに拳の雨を掻い潜る。
「貴様も相当やるようだが、我がザ・ワールドは最強のスタンド! WRRRYYYYYYYYYYYY!!」
ついにルフィの眼前まで迫ったDIOは、残忍な笑みを浮かべながらルフィの拳にザ・ワールドの拳を叩き込む。
常人なら腹を突き抜けるほどの威力ではあったが、ゴム人間のルフィはその衝撃を見事に吸収し、後ろに吹っ飛ぶだけですんだ。
「ムッ……」
殴り合ってる最中からルフィの身体が普通ではないと感じていたDIOだが、今の一撃で確信に変わった。
ゴムのような弾力を持つ麦藁帽子の男は、背後にあった高い木に叩きつけられる。
「奇妙な身体をしているな、小僧……このDIOの一撃を食らって生きているとは賞賛に値するぞ」

始まりは食事だった。長野県の山中、いくつかのログハウスを見つけたルフィは大喜びで走り出した。
大食いの彼にとって、支給された食料など一食分にもならない。だから家で食べ物を探そうと思ったのだ。
同様に、支給された食料が役に立たない男も獲物を待ち伏せするため、ログハウスへ向かっていた。
だが二人はログハウスにたどり着く前、偶然出会った。
「おい、お前……」
ルフィが声をかけると同時にDIOは血を吸おうと指を突き出し、ルフィは間一髪で逃れた。
こうして戦いが始まったのだ。

腹部を殴られたルフィは、外傷こそ無いものの、凄まじい衝撃に内臓を痛めていた。
後々まで響くようなダメージではないが、体力が回復するのに数十分はかかるかもしれない。
「くそっ……」
毒づくルフィを見つめながら、DIOは自身の鞄から無数のクナイを取り出した。

DIOに支給された物は忍具で、手裏剣、クナイ、まきびしがそれぞれ20個ずつ入っていたのだ。
普通、忍具といえばそんな偏った組み合わせはありえない。
まきびしを投げれば手裏剣の代わりになるし、クナイは穴掘り投擲接近戦と使い道は多い。
だからもっとかぎ爪とか縄梯子とか煙幕とか火薬とか色々入ってるはずなのだ。
もっともそんな事イギリス人のDIOが知るはずないし、異世界から来たルフィも知らないし、
チャクラを用いた忍術で忍具が必要ないほど様々な事ができる持ち主の忍者も知らない。

DIOはクナイをナイフのように投げる。
精密な動きをするスタンドを使ったせいか、一度に投げられたクナイの数は十本!
衝撃を吸収するゴムとはいえ刃物では傷つく。ルフィは避けようとしたが、腹の痛みに膝をついてしまった。
「チェックメイトだ!」
勝利宣言をするDIO
迫るクナイを絶望的に見つめるルフィ。
そして手のひらから閃光を放つ最強の男!!
すべてのクナイを一瞬で吹き飛ばした閃光は、そのまま後方にあるログハウスまで飛んでいき爆発を起こした。
「何だ!?」
「何ィ!?」
ルフィとDIOは、同時に閃光の放たれた方向を振り向いた。
そこには山吹色の道着を着た黒髪の青年が、両手を出して構えている。
「やめろ! おめえら、こんな馬鹿なゲームに乗る気か?」
青年の問いにルフィは怒気を孕んだ声で返す。
「んな訳ねぇだろ! そいつがいきなり襲ってきやがったんだ!」
今度はDIOが二人の視線を一身に浴びる番だった。

この時、ルフィと青年……孫悟空はあらゆる面で酷似していた。
まず、二人ともこのゲームに乗る気が無いという点。
そして明らかにゲームに乗っている男、DIOを倒そうと考えている点。
ルフィも悟空も強い正義感を持っている点。

異なるのは……悟空には敵を殺す覚悟があるが、ルフィは殺す気が無いという点だった。
どんな悪党だろうと、殴り飛ばしてそれでおしまいのルフィ。
果たしてDIOを倒した時、殺す覚悟を持てるかどうか……それはまだ分からない。

ちなみに、二人にはもう一点似ている部分がある。
それはとんでもない大食らいだという事。
この二人にかかっては、支給された食料など、一食分どころかおやつにもならない。





【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】
 所持品:荷物一式 忍具セット(クナイ×10 手裏剣・まきびし×20)@NARUTO
 現在地:長野県の山にある別荘地
 第一行動方針:目の前の二人を殺し、可能なら血を吸う】

【ルフィ@ONE PIECE】(腹部にダメージ、数十分休むか肉を食えば回復する程度)
 所持品:荷物一式(支給品不明)
 現在地:長野県の山にある別荘地
 第一行動方針:DIOを倒す。
 第二行動方針:飯を探す】

【孫悟空@DRAGON BALL】
 所持品:荷物一式(支給品不明)
 現在地:長野県の山にある別荘地
 第一行動方針:DIOを倒す。
 最終行動方針:フリーザ達を倒す】


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最終更新:2024年08月09日 00:37