「ただいまーっ」
玄関から響く元気な声。寒々しい我が家にはもったいないぐらいの明るさだ。その直後、六畳一間のボロアパートにうちの居候がやってくる。
「おかえり。なんかやたらとご機嫌だな」
この子の名前は化石。アンモナイトの髪飾りと丸眼鏡がトレードマークの女の子。名前は変だが、実は宝石乙女という人形らしい。
乙女というと、いいとこの娘さんみたいなイメージが強い。しかしうちは貧乏だ。本職の稼ぎが悪いので内職を二つほど掛け持ちしているような男の元に、何でこの子は来たんだろうか……謎だ。
「マスタっ、今日鶏冠石のとこに遊びに行ったねんっ」
……このよく分からん関西弁、乙女っぽくないよなぁ。で、鶏冠石というのは、うちとは全く正反対のお金持ちの家にいる宝石乙女だ。
「へぇ。確か南の方にあるどでかい屋敷だろ?」
「そやそや、ものごっついお屋敷っ」
「ものごっついって……で、どうだった?」
「もぉびっくりの連続! 廊下だけでうちの部屋より広いねんっ!」
玄関から響く元気な声。寒々しい我が家にはもったいないぐらいの明るさだ。その直後、六畳一間のボロアパートにうちの居候がやってくる。
「おかえり。なんかやたらとご機嫌だな」
この子の名前は化石。アンモナイトの髪飾りと丸眼鏡がトレードマークの女の子。名前は変だが、実は宝石乙女という人形らしい。
乙女というと、いいとこの娘さんみたいなイメージが強い。しかしうちは貧乏だ。本職の稼ぎが悪いので内職を二つほど掛け持ちしているような男の元に、何でこの子は来たんだろうか……謎だ。
「マスタっ、今日鶏冠石のとこに遊びに行ったねんっ」
……このよく分からん関西弁、乙女っぽくないよなぁ。で、鶏冠石というのは、うちとは全く正反対のお金持ちの家にいる宝石乙女だ。
「へぇ。確か南の方にあるどでかい屋敷だろ?」
「そやそや、ものごっついお屋敷っ」
「ものごっついって……で、どうだった?」
「もぉびっくりの連続! 廊下だけでうちの部屋より広いねんっ!」
……狭いからなぁ、うち。
「部屋もいっぱいあってなー、客室っちゅーとこには必ずベッドが二つ以上あるんやっ。しかもうちより広くてそれが20部屋!」
……狭いからなぁ、うち。
「それからなぁー……そやっ、うち木でできた螺旋階段初めてみたんや! なんかいろいろ模様がついててすごいんやでっ」
……狭い、から……なぁ……。
「それからそれから……あ、あれ? マスタ、何で泣いとん?」
「狭いからなぁ……うち……うぅ」
「あ……え、えーっと、うちそんなこと気にしてへんよ? マスタと一緒ならどこでも六本木ヒルズやっ」
「どこで覚えてきたか知らないけど、それは絶対ないぞ……」
「そ、そか。えーと、んーと……ま、マスタっ、泣くんやないっ! 涙は男の産廃やでっ!」
今、化石がものすごく失礼なことを言った気がする。でも自業自得だよなぁ、俺がもっと稼げる人なら……。
「化石にはいつも苦労かけてるなぁ、俺が不甲斐ないばかりに」
「だ、だからうちは気にして……あぁ、とにかく泣かんといてーなぁ」
「いつか金持ちになるからな……」
「だからうち気にしてへんゆーてるのにぃ」
「部屋もいっぱいあってなー、客室っちゅーとこには必ずベッドが二つ以上あるんやっ。しかもうちより広くてそれが20部屋!」
……狭いからなぁ、うち。
「それからなぁー……そやっ、うち木でできた螺旋階段初めてみたんや! なんかいろいろ模様がついててすごいんやでっ」
……狭い、から……なぁ……。
「それからそれから……あ、あれ? マスタ、何で泣いとん?」
「狭いからなぁ……うち……うぅ」
「あ……え、えーっと、うちそんなこと気にしてへんよ? マスタと一緒ならどこでも六本木ヒルズやっ」
「どこで覚えてきたか知らないけど、それは絶対ないぞ……」
「そ、そか。えーと、んーと……ま、マスタっ、泣くんやないっ! 涙は男の産廃やでっ!」
今、化石がものすごく失礼なことを言った気がする。でも自業自得だよなぁ、俺がもっと稼げる人なら……。
「化石にはいつも苦労かけてるなぁ、俺が不甲斐ないばかりに」
「だ、だからうちは気にして……あぁ、とにかく泣かんといてーなぁ」
「いつか金持ちになるからな……」
「だからうち気にしてへんゆーてるのにぃ」
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