「殺生石さま。ごきげんよう」
「ようこそ、漬物石さん」
休日の午後。殺生石のもとには時折客人が訪れる。
「今日はいい豆が入りましたので、餡を炊いてきました。そばがきと一緒にいただこうかと」
「まあ。漬物石さんは何でも作れるようになってきましたね」
はにかんだように土産を差し出す漬物石を、殺生石が迎え入れる。その先は、和室に手を加えた即席の茶室。
「おくつろぎください。略式でよろしいですか?」
湯気を立てる茶釜から、茶碗に湯をひとすくい。茶筅がふわりと空気を含ませ、淡緑色の茶を点てる。
「頂戴します」
静寂。
「ふふふ」
どちらからともなく笑いあう。
「たまにはこうしてゆったりと過ごすのもよいものです。長い時を過ごしてきましたが、心安らぐ時は少なかったものですから……まあ、おいしい」
遠くを見るような眼差しになった殺生石に、漬物石は思う。まだほんのわずかな時しか過ごしたことがないけれど、自分が友の慰めになれたらいいのに、と。
自分には想像もできないほど長い時を過ごしてきた友は、今は穏やかに微笑んでいる。
「お口に合えばいいんですけど」
「ええ、とても。主様にも分けて差し上げたいですね」
「仲がよろしくて……うらやましいです」
「あら。貴女のところも……」
「え、あ、そんなんじゃ……」
乙女の笑い声を光に溶かして、冬の日は傾いていく。
願わくば、友の心安からんことを。
「ようこそ、漬物石さん」
休日の午後。殺生石のもとには時折客人が訪れる。
「今日はいい豆が入りましたので、餡を炊いてきました。そばがきと一緒にいただこうかと」
「まあ。漬物石さんは何でも作れるようになってきましたね」
はにかんだように土産を差し出す漬物石を、殺生石が迎え入れる。その先は、和室に手を加えた即席の茶室。
「おくつろぎください。略式でよろしいですか?」
湯気を立てる茶釜から、茶碗に湯をひとすくい。茶筅がふわりと空気を含ませ、淡緑色の茶を点てる。
「頂戴します」
静寂。
「ふふふ」
どちらからともなく笑いあう。
「たまにはこうしてゆったりと過ごすのもよいものです。長い時を過ごしてきましたが、心安らぐ時は少なかったものですから……まあ、おいしい」
遠くを見るような眼差しになった殺生石に、漬物石は思う。まだほんのわずかな時しか過ごしたことがないけれど、自分が友の慰めになれたらいいのに、と。
自分には想像もできないほど長い時を過ごしてきた友は、今は穏やかに微笑んでいる。
「お口に合えばいいんですけど」
「ええ、とても。主様にも分けて差し上げたいですね」
「仲がよろしくて……うらやましいです」
「あら。貴女のところも……」
「え、あ、そんなんじゃ……」
乙女の笑い声を光に溶かして、冬の日は傾いていく。
願わくば、友の心安からんことを。