テレビを見ていると、きな臭い話題ばかりが目立つ今日このごろ。
物騒な言葉の数々が日常茶飯事のように耳に入ってきては、こちらの頭も洗脳されかねない。
そんな朝のことだ。ニュースにも飽き飽きしていたので、テレビを切ってペリドットの作った美味い朝食に専念することにする。あー、幸せ……。
「思い出し笑いですか?」
「ん、別に。ただ今日も飯が美味いと思っただけだ」
「まぁ、そう言ってもらえるとこちらも嬉しいですよ。ふふっ」
そういって子供っぽく微笑む。
ペリドットの笑顔は、宝石乙女の長女とは思えないほど幼い雰囲気が漂っている。
「ホント、料理の上手な同居人がいると毎日が楽しいな」
「愛情は最高の調味料ですから。自分が食べる物より相手に食べてもらう物を作った方が美味しくなるんですよ」
愛情ねぇ……この場合は母性愛って奴か。外見は俺の子供って感じなのにな。
だが、ペリドットの笑顔にその答えは見出せない。まぁペリドットみたいな女性なら、母親でも充分ありがたい。
……愛情ってのは、ずいぶんといろいろな意味を持っているな。
と、そんな朝食を邪魔するかのようにインターホンが家に鳴り響く。
「ずいぶんと朝早くから客が来るんだな……俺が出る」
「お手数をおかけします」
椅子から立ち上がり、玄関へ。
ドアの覗き窓から外を見てみると、なにやら偉そうなおっさんが数人……。
物騒な言葉の数々が日常茶飯事のように耳に入ってきては、こちらの頭も洗脳されかねない。
そんな朝のことだ。ニュースにも飽き飽きしていたので、テレビを切ってペリドットの作った美味い朝食に専念することにする。あー、幸せ……。
「思い出し笑いですか?」
「ん、別に。ただ今日も飯が美味いと思っただけだ」
「まぁ、そう言ってもらえるとこちらも嬉しいですよ。ふふっ」
そういって子供っぽく微笑む。
ペリドットの笑顔は、宝石乙女の長女とは思えないほど幼い雰囲気が漂っている。
「ホント、料理の上手な同居人がいると毎日が楽しいな」
「愛情は最高の調味料ですから。自分が食べる物より相手に食べてもらう物を作った方が美味しくなるんですよ」
愛情ねぇ……この場合は母性愛って奴か。外見は俺の子供って感じなのにな。
だが、ペリドットの笑顔にその答えは見出せない。まぁペリドットみたいな女性なら、母親でも充分ありがたい。
……愛情ってのは、ずいぶんといろいろな意味を持っているな。
と、そんな朝食を邪魔するかのようにインターホンが家に鳴り響く。
「ずいぶんと朝早くから客が来るんだな……俺が出る」
「お手数をおかけします」
椅子から立ち上がり、玄関へ。
ドアの覗き窓から外を見てみると、なにやら偉そうなおっさんが数人……。
◇ ◇ ◇ ◇
「……ト……おい…………ペリドット!」
「ん……マスター?」
何というか、久々にかなり焦った。
ペリドットがテーブルに突っ伏して寝てるだけだったらまだいいのだが、その目には涙が浮かんでいたんだから。
その上なかなか目を覚まさないと来たんだからそりゃあもぉ……仕事帰りの疲れも悪い意味で吹っ飛ぶ。
「……どちら様でしょうか? マスターは……」
「は? おいおい、冗談はほどほどにしてくれよ」
「え……あ、あれっ? ごめんなさいっ、私ったら……」
寝ぼけてるのか? ペリドットらしくない。
「とりあえずほら、涙拭いて。そんな顔じゃ俺が落ち着かない」
「はい……本当にすみません。夢と現実が混同してしまって……」
「そうか。まぁ、何ともないならいいんだけどな……ふぅ」
「……ダメですね、昔のマスターのことを思い出しちゃうなんて」
昔のマスター?
まぁ、ペリドットなら当然何人も契約を結んだ人間がいるだろうけど。
「今夕食を用意しますね。今日はマスターの好物ですよ」
「あ、あぁ、ありがとう」
「……ト……おい…………ペリドット!」
「ん……マスター?」
何というか、久々にかなり焦った。
ペリドットがテーブルに突っ伏して寝てるだけだったらまだいいのだが、その目には涙が浮かんでいたんだから。
その上なかなか目を覚まさないと来たんだからそりゃあもぉ……仕事帰りの疲れも悪い意味で吹っ飛ぶ。
「……どちら様でしょうか? マスターは……」
「は? おいおい、冗談はほどほどにしてくれよ」
「え……あ、あれっ? ごめんなさいっ、私ったら……」
寝ぼけてるのか? ペリドットらしくない。
「とりあえずほら、涙拭いて。そんな顔じゃ俺が落ち着かない」
「はい……本当にすみません。夢と現実が混同してしまって……」
「そうか。まぁ、何ともないならいいんだけどな……ふぅ」
「……ダメですね、昔のマスターのことを思い出しちゃうなんて」
昔のマスター?
まぁ、ペリドットなら当然何人も契約を結んだ人間がいるだろうけど。
「今夕食を用意しますね。今日はマスターの好物ですよ」
「あ、あぁ、ありがとう」
テレビを見ていると、きな臭い話題ばかりが目立つ今日このごろ。
核やら拉致やらが日常茶飯事のように耳に入ってきては、こちらの頭もどうかしそうだ。
仕事帰りの疲れた頭だとなおさらだ。こんなニュースを見てもつまらないから、テレビを切ってペリドットの作った美味い夕食に専念。
「さすがペリドット。俺の猫舌に合わせた絶妙な火加減だ」
「ありがとうございます。味はどうですか?」
「もちろん最高」
きっと今の俺は悪ガキのような笑顔を浮かべているに違いない。
また子供を見るような目で微笑まれるんだろうなぁ……。
「今可愛いとか思っただろ」
「秘密です。ふふふ」
くそー、この顔はそうに違いない。くやしいっ! でも見とれちゃう。
と、家の電話の呼び出し音が鳴り響く。なんだよこんな夜に……。
「ったく、誰だよ……ちょっと出てくる」
……顔を見ていたから、見逃さなかった。
確かに笑顔を浮かべたペリドットが目の前にいる。だが、その顔がわずかにこわばっている?
「まぁ、食事中に椅子を立つのは行儀悪いですよ」
「いやしかし電話が……」
「行儀が悪いのは、めーですよ?」
呼び出し音は止まらない。
いや、そんなことはどうでもいい。それよりもペリドットの様子がおかしい方が気がかりだ。
行儀が悪いのを注意するぐらいなら、今までもあった。だけどそれとは何かが違う。何なんだ……。
……呼び出し音が、切れる。
「あーあ……まぁ、いいけど」
「そうですよ。食事中はちゃんと食事に専念しましょう」
「あ、ああ……ペリドット、なんかあったのか? 電話でしつこい訪問販売とか」
「いいえ、何もありませんよ」
普段のおだやかで、温かい笑顔のペリドット。
「愛情込めて作った料理は、美味しく食べてもらわないと悲しいんですよ?」
「それについては問題ないって。いつもありがたく食べさせてもらってますよ」
「ありがとうございます」
まぁ、何があったか知らないけど、ペリドットだっていろいろあるんだ、うん。
たまにはこういうこともある……そう納得させておこう。
核やら拉致やらが日常茶飯事のように耳に入ってきては、こちらの頭もどうかしそうだ。
仕事帰りの疲れた頭だとなおさらだ。こんなニュースを見てもつまらないから、テレビを切ってペリドットの作った美味い夕食に専念。
「さすがペリドット。俺の猫舌に合わせた絶妙な火加減だ」
「ありがとうございます。味はどうですか?」
「もちろん最高」
きっと今の俺は悪ガキのような笑顔を浮かべているに違いない。
また子供を見るような目で微笑まれるんだろうなぁ……。
「今可愛いとか思っただろ」
「秘密です。ふふふ」
くそー、この顔はそうに違いない。くやしいっ! でも見とれちゃう。
と、家の電話の呼び出し音が鳴り響く。なんだよこんな夜に……。
「ったく、誰だよ……ちょっと出てくる」
……顔を見ていたから、見逃さなかった。
確かに笑顔を浮かべたペリドットが目の前にいる。だが、その顔がわずかにこわばっている?
「まぁ、食事中に椅子を立つのは行儀悪いですよ」
「いやしかし電話が……」
「行儀が悪いのは、めーですよ?」
呼び出し音は止まらない。
いや、そんなことはどうでもいい。それよりもペリドットの様子がおかしい方が気がかりだ。
行儀が悪いのを注意するぐらいなら、今までもあった。だけどそれとは何かが違う。何なんだ……。
……呼び出し音が、切れる。
「あーあ……まぁ、いいけど」
「そうですよ。食事中はちゃんと食事に専念しましょう」
「あ、ああ……ペリドット、なんかあったのか? 電話でしつこい訪問販売とか」
「いいえ、何もありませんよ」
普段のおだやかで、温かい笑顔のペリドット。
「愛情込めて作った料理は、美味しく食べてもらわないと悲しいんですよ?」
「それについては問題ないって。いつもありがたく食べさせてもらってますよ」
「ありがとうございます」
まぁ、何があったか知らないけど、ペリドットだっていろいろあるんだ、うん。
たまにはこういうこともある……そう納得させておこう。
……納得できるわけなかった。
だいたいよく考えてみろ、俺が帰ってきて最初に見たペリドットだ。
泣いていた。寝ていたとはいえ、ペリドットが泣いていた。
絶対これはただごとじゃない。それは明確だろう。
そんなことが頭を巡っているせいか、布団に潜り込んでも眠れない。今もペリドットが泣いているのではないかと、胸の奥に妙な突っ掛かりが生まれる。
……最近、ペリドットの顔をあまり見ていない気がする。
そんな関係のないことまで頭に浮かんだが最後。俺は布団を抜け出し、ペリドットの部屋へと向かう。
どうせ明日は休みだ、一晩中あいつと話してみれば、この気分も晴れるだろう。
「ペリドット、いるか?」
ノックをしてみる……反応なし。
「寝てるのか?」
ペリドットには申しわけないが、ドアを開けて確認。
……いない。普段眠っている大きな鞄にその持ち主はなく、廊下と同じ闇の空間が広がっているだけ。
ペリドットが俺に何も告げずに出かけるとは考えにくい。となると別の部屋、もしくは……。
リビングへと向かい、庭へと続く大きな窓が開いているのを確認する。
庭か……とりあえず窓から外を見てみる。
「……おいおい」
だいたいよく考えてみろ、俺が帰ってきて最初に見たペリドットだ。
泣いていた。寝ていたとはいえ、ペリドットが泣いていた。
絶対これはただごとじゃない。それは明確だろう。
そんなことが頭を巡っているせいか、布団に潜り込んでも眠れない。今もペリドットが泣いているのではないかと、胸の奥に妙な突っ掛かりが生まれる。
……最近、ペリドットの顔をあまり見ていない気がする。
そんな関係のないことまで頭に浮かんだが最後。俺は布団を抜け出し、ペリドットの部屋へと向かう。
どうせ明日は休みだ、一晩中あいつと話してみれば、この気分も晴れるだろう。
「ペリドット、いるか?」
ノックをしてみる……反応なし。
「寝てるのか?」
ペリドットには申しわけないが、ドアを開けて確認。
……いない。普段眠っている大きな鞄にその持ち主はなく、廊下と同じ闇の空間が広がっているだけ。
ペリドットが俺に何も告げずに出かけるとは考えにくい。となると別の部屋、もしくは……。
リビングへと向かい、庭へと続く大きな窓が開いているのを確認する。
庭か……とりあえず窓から外を見てみる。
「……おいおい」
見慣れた彼女は、肩に自分よりも巨大な鎌を担いで月を見上げていた。
ペリドットが武器を持っているというのは前に聞いたことがあったが、それがあの鎌なのだろう……。
暗闇でよく分からないが、装飾が施された柄と刃を見るからして、武器というよりは美術品のような物なのかもしれない。
……って、そんな冷静に分析している場合じゃない。
「そんな物騒な物抱えて、何してるんだ?」
「あ……」
予想外の人間に見られたといった感じの顔を浮かべるペリドット。
だがもう遅い、こちらを振り返ったペリドットの顔はしっかりと見てしまった。
「……なんか、辛いことでもあったのか?」
先ほどよりも、冷静にペリドットの涙を見ることができた。
だが、尋ねてみてもペリドットはそのまま押し黙ってしまう。
「……俺って、そんなに頼りないか?」
「え……ごめんなさい、そう思わせてしまって。でもそんなことは決して……」
「言ったら迷惑になるって思うんだったら、それは頼りないって思われてるのと一緒だと思う」
再び押し黙るペリドット。
ペリドットと比べれば、俺なんてまだまだ若造だ。頼りないと思われるのも納得がいく。だからこのまま口を開く様子がなければ、そのまま立ち去るつもりだった。
しかし、今度は何かを告げようとしているようにも見える。
やがて一つ溜め息をつき、しっかりと俺の顔を見据えてきた。
「今のこの国は、平和ですね。こんな武器など必要のないほどに」
「ま、まぁ昔から比べればな……」
急にどんな話が始まるかと思えば、世間話とは……。
だが、次の言葉でそんなことを思った自分に嫌気が差した。
「今日は……初恋の人の、命日なんです」
初恋……命日って、もしかして昔のマスターなのか?
「梅の花も、雛祭りもない国の人です。それでも春の息吹を感じられる、素晴らしい場所でした」
前住んでいた人の植えた梅の花が、月明かりで輝く。
だがペリドットにその美しさは見えているだろうか。俺の知らない国の情景が、目に映っているのではないか……。
「彼は、貴方と同じように私の料理を美味しいと言ってくれました。ですが、あの人はその食事を全て食べ終えぬまま、私の元を去ってしまいました」
「……事故か、何かか?」
「いいえ……あの人は、満足な別れも告げてくれずに、その日のうちに戦場へ……」
戦争……か。だからさっき今は平和だと。
「帰ってきたのは一年と半年後。残った食事を食べることなどできるはずのない、白い封筒だけ」
「……そっか」
「書いてある内容も、どうでもいいものでした。あの人ともう会えないという事実など、すでに分かっていましたから……」
分かっていた……それでも、ペリドットは二年もその人の帰りを待っていたのかもしれない。
「せっかく腕によりをかけた朝食だったんですけど……もったいない、ですよね……」
涙と微笑みの、ミスマッチな顔。
きっと、その時の光景が夢にでも出て……だからあのときも、泣いていたのか。
……ずっと、長い間、この時だけ泣いていたのか。
「これを持っていれば、何でも護れると思っていましたが……」
刃を見つめ、呟く。
「本当に必要なのは、是が非でも傍に仕えること。それがなければ、護る力は無意味になってしまうのです」
そして、その顔は俺へと向けられる。
「私は、貴方の傍に仕えていても、かまいませんか?」
……綺麗な、本当に綺麗な顔。
こちらが悲しくなるほどに、綺麗で……。
「……もちろん。むしろ俺の方がお願いしたいぐらいだ」
そう答えなければならなかった。
そう答えたかった。
今、本心を伝えなかったら、それこそ頼りない男なのだから。
「ありがとうございます」
そして、夕食の時と同じ笑顔で、同じ言葉を告げてくれる。
「少しは、心が楽になりそうです。一人で泣かずに……済みそうですから」
「……そう、だな」
「ええ……願わくば、諸刃月が二度と昇らぬことを」
そう呟くと、大鎌は砂のように細かく霧散し、消えていく。
俺の知っているペリドットには、あまりにも不釣り合いだった物。
見慣れたペリドットの姿。だけど、それがあまりにも久しぶりに感じられる。
だから、その姿があまりにも大切な物に見えて……。
これからもずっと悲しみを背負う人。俺の目の前に立つ女性は、宝石のように綺麗だった……。
ペリドットが武器を持っているというのは前に聞いたことがあったが、それがあの鎌なのだろう……。
暗闇でよく分からないが、装飾が施された柄と刃を見るからして、武器というよりは美術品のような物なのかもしれない。
……って、そんな冷静に分析している場合じゃない。
「そんな物騒な物抱えて、何してるんだ?」
「あ……」
予想外の人間に見られたといった感じの顔を浮かべるペリドット。
だがもう遅い、こちらを振り返ったペリドットの顔はしっかりと見てしまった。
「……なんか、辛いことでもあったのか?」
先ほどよりも、冷静にペリドットの涙を見ることができた。
だが、尋ねてみてもペリドットはそのまま押し黙ってしまう。
「……俺って、そんなに頼りないか?」
「え……ごめんなさい、そう思わせてしまって。でもそんなことは決して……」
「言ったら迷惑になるって思うんだったら、それは頼りないって思われてるのと一緒だと思う」
再び押し黙るペリドット。
ペリドットと比べれば、俺なんてまだまだ若造だ。頼りないと思われるのも納得がいく。だからこのまま口を開く様子がなければ、そのまま立ち去るつもりだった。
しかし、今度は何かを告げようとしているようにも見える。
やがて一つ溜め息をつき、しっかりと俺の顔を見据えてきた。
「今のこの国は、平和ですね。こんな武器など必要のないほどに」
「ま、まぁ昔から比べればな……」
急にどんな話が始まるかと思えば、世間話とは……。
だが、次の言葉でそんなことを思った自分に嫌気が差した。
「今日は……初恋の人の、命日なんです」
初恋……命日って、もしかして昔のマスターなのか?
「梅の花も、雛祭りもない国の人です。それでも春の息吹を感じられる、素晴らしい場所でした」
前住んでいた人の植えた梅の花が、月明かりで輝く。
だがペリドットにその美しさは見えているだろうか。俺の知らない国の情景が、目に映っているのではないか……。
「彼は、貴方と同じように私の料理を美味しいと言ってくれました。ですが、あの人はその食事を全て食べ終えぬまま、私の元を去ってしまいました」
「……事故か、何かか?」
「いいえ……あの人は、満足な別れも告げてくれずに、その日のうちに戦場へ……」
戦争……か。だからさっき今は平和だと。
「帰ってきたのは一年と半年後。残った食事を食べることなどできるはずのない、白い封筒だけ」
「……そっか」
「書いてある内容も、どうでもいいものでした。あの人ともう会えないという事実など、すでに分かっていましたから……」
分かっていた……それでも、ペリドットは二年もその人の帰りを待っていたのかもしれない。
「せっかく腕によりをかけた朝食だったんですけど……もったいない、ですよね……」
涙と微笑みの、ミスマッチな顔。
きっと、その時の光景が夢にでも出て……だからあのときも、泣いていたのか。
……ずっと、長い間、この時だけ泣いていたのか。
「これを持っていれば、何でも護れると思っていましたが……」
刃を見つめ、呟く。
「本当に必要なのは、是が非でも傍に仕えること。それがなければ、護る力は無意味になってしまうのです」
そして、その顔は俺へと向けられる。
「私は、貴方の傍に仕えていても、かまいませんか?」
……綺麗な、本当に綺麗な顔。
こちらが悲しくなるほどに、綺麗で……。
「……もちろん。むしろ俺の方がお願いしたいぐらいだ」
そう答えなければならなかった。
そう答えたかった。
今、本心を伝えなかったら、それこそ頼りない男なのだから。
「ありがとうございます」
そして、夕食の時と同じ笑顔で、同じ言葉を告げてくれる。
「少しは、心が楽になりそうです。一人で泣かずに……済みそうですから」
「……そう、だな」
「ええ……願わくば、諸刃月が二度と昇らぬことを」
そう呟くと、大鎌は砂のように細かく霧散し、消えていく。
俺の知っているペリドットには、あまりにも不釣り合いだった物。
見慣れたペリドットの姿。だけど、それがあまりにも久しぶりに感じられる。
だから、その姿があまりにも大切な物に見えて……。
これからもずっと悲しみを背負う人。俺の目の前に立つ女性は、宝石のように綺麗だった……。
夜更かしのあとの朝は辛い。
「マスター、起きて下さい。朝食ができてますよ」
「んぅ……眠い」
「朝食はしっかり食べないと、めーですよ」
布団をはがされ、身体を無理矢理起こされる。
うぅむ、なんだか今日のペリドットは積極的だ。
「自分が食べる物より相手に食べてもらう物を作った方が美味しくなるんですよ」
よくペリドットが言う言葉。
だが、それには続きがあった。
「だから、食べてもらう人がいなかったら、私悲しくなっちゃいますよ?」
……よし、今日もしっかり朝飯食うか。
「マスター、起きて下さい。朝食ができてますよ」
「んぅ……眠い」
「朝食はしっかり食べないと、めーですよ」
布団をはがされ、身体を無理矢理起こされる。
うぅむ、なんだか今日のペリドットは積極的だ。
「自分が食べる物より相手に食べてもらう物を作った方が美味しくなるんですよ」
よくペリドットが言う言葉。
だが、それには続きがあった。
「だから、食べてもらう人がいなかったら、私悲しくなっちゃいますよ?」
……よし、今日もしっかり朝飯食うか。
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